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20章
ヒデキにとって高校野球史に残る好ゲーム!
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「セーフ」
主審がセーフと判定してトシオの学校は土壇場で追いついた。ヒデキはその瞬間、自分が男の子であるのも忘れて飛び上って喜んだ。トシオの学校の応援席は歓喜で飛び上って喜んでいる生徒も多かった。
しかし、ホームベースへヘッドスライディングで滑り込んだ影響もあり、トシオは右手の指先あたりを痛がるようにしてベンチでコールドスプレーなどをかけていたので、ヒデキは心配だった。
バッターランナーも2塁打制のあたりだったが、ホームへの送球の間に3塁まで進んでいた。
トシオの学校は土壇場で3対3と追いつき、ツーアウト3塁と一打逆転のチャンスを迎えていた。相手チームはかなりショックも大きかったようで、流れは完全にトシオの学校に傾いていた。
際どいコースが入らなくなり、ツーボールからの3球目相手投手の真ん中に入ってくる甘めのコースを意表をついた三塁線へのセフティーバントを試みた。3塁手も完全に意表を突かれたようで送球するのをあきらめファールになるか見極めたが、ボールはフェアーグランド内に残っていたのでトシオの学校は3対4で決勝進出を果たした。
トシオの学校の応援席のボルテージは最高潮に達し、歓喜の渦に包まれていた。ヒデキも高校野球史に残る好ゲームを観戦でき、両校に拍手をおくっていた。敗れた相手チームはがっくりして泣いている選手も多かった。
試合が終わるとトシオがヒデキのところへ行き声をかけてきた。
トシオ「ヒデキくん、今日も暑い中、観戦ありがとう。いよいよあす決勝だけど精一杯頑張るよ」
ヒデキ「トシオくん、お疲れ様。最後、ヘッドスライディングしたとき、腕大丈夫」
トシオ「ヒデキくん、心配してくれてありがとう。一瞬、痛いと思ったけどどうにか大丈夫そうだよ」
ヒデキ「良かった。それならいいけど」
トシオ「これからミーティングをしてチームのメンバーと一緒に帰るけど明日は必ず勝ってヒデキくんを甲子園へ連れていくよ」
ヒデキ「うん、明日ももちろん応援に行くからトシオくん絶対勝ってね。それとこれ、明日のチームの情報が書いてあるからよかったら参考にして」
トシオ「ヒデキくん、いつも本当にありがとう。ヒデキくんの情報のおかげで今日の試合も勝てたと思うよ」
ヒデキはトシオと会話を交わした後、そのまま帰宅した。対するトシオはヒデキには大丈夫といったもののまだ指先の痛みがあったようで、トシオの学校の監督やチームメイトもトシオのことが気がかりだった。
いよいよ決勝の当日の朝を迎えた。ヒデキはいつものように赤いスカーフの付いたセーラー服に紺のかなり短めのプリーツスカート、紺のイーストボーイのハイソックス、黒のロファーを履き、お化粧や日焼け止めクリームもバッチリ塗って試合会場へ向かった。
ヒデキはかなり早めに会場に入ったがすでに応援席には両チームの生徒や高校野球ファンが観戦に駆けつけていた。
今日のトシオの学校の対戦相手は最も甲子園に出場するだろうといわれている第一シード校のチームでこの大会で5本塁打を放ちプロも注目する選手もいて総合的には相手チームが1枚上かもしれないが、トシオの学校も第2シード校を破るなど勢いにも乗っており、ここまで大活躍していたトシオを相手チームも警戒していた。
両チームのスターティングメンバーを見たとき会場内からはどよめきの声が上がり、ヒデキも一瞬、言葉を失った。
なザならトシオがスターティングメンバーに入っていなかったのである。
会場内からはまるでブーイングのような感じで「なんでトシオが入っていないんだよ」といった声も聞かれていたが、ヒデキは恐らくトシオの腕の状態が悪いのかなって思っていた。トシオはボールを送球する際、痛みを感じたらしくチームに迷惑はかけられないとのことでその日はスターティングメンバーからは外れたようである。
ヒデキはトシオがいないのはがっかりしたが、どこかで必ずトシオは出てくると思っていた。その日のトシオはひとまずチームのキャプテンとしてチームの応援をすることに徹しようと思っていた。
シートノックが終わると両チームが整列していよいよ決勝戦が始まった(続)
主審がセーフと判定してトシオの学校は土壇場で追いついた。ヒデキはその瞬間、自分が男の子であるのも忘れて飛び上って喜んだ。トシオの学校の応援席は歓喜で飛び上って喜んでいる生徒も多かった。
しかし、ホームベースへヘッドスライディングで滑り込んだ影響もあり、トシオは右手の指先あたりを痛がるようにしてベンチでコールドスプレーなどをかけていたので、ヒデキは心配だった。
バッターランナーも2塁打制のあたりだったが、ホームへの送球の間に3塁まで進んでいた。
トシオの学校は土壇場で3対3と追いつき、ツーアウト3塁と一打逆転のチャンスを迎えていた。相手チームはかなりショックも大きかったようで、流れは完全にトシオの学校に傾いていた。
際どいコースが入らなくなり、ツーボールからの3球目相手投手の真ん中に入ってくる甘めのコースを意表をついた三塁線へのセフティーバントを試みた。3塁手も完全に意表を突かれたようで送球するのをあきらめファールになるか見極めたが、ボールはフェアーグランド内に残っていたのでトシオの学校は3対4で決勝進出を果たした。
トシオの学校の応援席のボルテージは最高潮に達し、歓喜の渦に包まれていた。ヒデキも高校野球史に残る好ゲームを観戦でき、両校に拍手をおくっていた。敗れた相手チームはがっくりして泣いている選手も多かった。
試合が終わるとトシオがヒデキのところへ行き声をかけてきた。
トシオ「ヒデキくん、今日も暑い中、観戦ありがとう。いよいよあす決勝だけど精一杯頑張るよ」
ヒデキ「トシオくん、お疲れ様。最後、ヘッドスライディングしたとき、腕大丈夫」
トシオ「ヒデキくん、心配してくれてありがとう。一瞬、痛いと思ったけどどうにか大丈夫そうだよ」
ヒデキ「良かった。それならいいけど」
トシオ「これからミーティングをしてチームのメンバーと一緒に帰るけど明日は必ず勝ってヒデキくんを甲子園へ連れていくよ」
ヒデキ「うん、明日ももちろん応援に行くからトシオくん絶対勝ってね。それとこれ、明日のチームの情報が書いてあるからよかったら参考にして」
トシオ「ヒデキくん、いつも本当にありがとう。ヒデキくんの情報のおかげで今日の試合も勝てたと思うよ」
ヒデキはトシオと会話を交わした後、そのまま帰宅した。対するトシオはヒデキには大丈夫といったもののまだ指先の痛みがあったようで、トシオの学校の監督やチームメイトもトシオのことが気がかりだった。
いよいよ決勝の当日の朝を迎えた。ヒデキはいつものように赤いスカーフの付いたセーラー服に紺のかなり短めのプリーツスカート、紺のイーストボーイのハイソックス、黒のロファーを履き、お化粧や日焼け止めクリームもバッチリ塗って試合会場へ向かった。
ヒデキはかなり早めに会場に入ったがすでに応援席には両チームの生徒や高校野球ファンが観戦に駆けつけていた。
今日のトシオの学校の対戦相手は最も甲子園に出場するだろうといわれている第一シード校のチームでこの大会で5本塁打を放ちプロも注目する選手もいて総合的には相手チームが1枚上かもしれないが、トシオの学校も第2シード校を破るなど勢いにも乗っており、ここまで大活躍していたトシオを相手チームも警戒していた。
両チームのスターティングメンバーを見たとき会場内からはどよめきの声が上がり、ヒデキも一瞬、言葉を失った。
なザならトシオがスターティングメンバーに入っていなかったのである。
会場内からはまるでブーイングのような感じで「なんでトシオが入っていないんだよ」といった声も聞かれていたが、ヒデキは恐らくトシオの腕の状態が悪いのかなって思っていた。トシオはボールを送球する際、痛みを感じたらしくチームに迷惑はかけられないとのことでその日はスターティングメンバーからは外れたようである。
ヒデキはトシオがいないのはがっかりしたが、どこかで必ずトシオは出てくると思っていた。その日のトシオはひとまずチームのキャプテンとしてチームの応援をすることに徹しようと思っていた。
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