ずっと女の子になりたかった 男の娘の私

第18章

トシオくん大活躍！

トシオの学校はベスト8で勢いに乗っているノーシード校との対戦が決まった。

トシオはヒデキからもらったデータをチームメイトにも伝えて次の試合に臨んだ。

準々決勝が始まる当日、ヒデキはいつものように女子高生の制服に着替え、トシオの学校の応援に行った。

トシオの学校はファーストストライクの変化球に的を絞っていこうと作戦を立て、初回から積極的に攻撃を仕掛けトシオのタイムリーなどもあり、3点を先制した。2回以降、相手投手も投球内容を変えてきたので簡単には点数は入らなかった。4回が終わりトシオの学校は3対0とリードしていた。

5回表トシオの3打席目がまわってきた。ヒデキはトシオの打席になると祈るように声援を送っていた。トシオはヒデキの期待にこたえるかのように相手投手のストレートを見事レフトスタンドへ本塁打を放った。トシオの学校は4対0とリードを広げた。

しかし、6回裏相手にもチャンスがまわってきた。イレギュラーした打球をトシオが捌けずエラーをしてしまい、ヒットと四球でワンアウト満塁とピンチを迎えた。その後、ボテボテの内野ゴロとヒットで2点を返され4対2になった。
その直後の7回表、トシオの学校も相手のエラーと四球でチャンスを迎えトシオに打席が回ってきた。ヒデキは「トシオくん頑張って」と祈るような姿勢で声援を送り続けていた。この日のトシオはヒデキの声援に見事にこたえ、センター前のタイムリーヒットを放つと5対2と3点差に広げた。

トシオの学校は9回にもさらに1点を加えて6対2とリードを4点差に広げた。このままゲーム終了かと思われたが、9回裏相手の高校も連打と死球でツーアウト満塁のピンチを迎えた。

ここでトシオは投手のところにいって一声かけた。トシオの学校のピッチャーはやや球が高めに浮きだし、心配されたが少し落ち着きを取り戻し、低めにコントロールした球でツーストライクと追い込んだ。

しかし、低めに丁寧にコントロールされた球を左中間に運ばれ外野の間を抜けるタイムリーとなり、2点を追加し、ツーアウト2、3塁と一打同点のピンチを迎えた。

ヒデキは心の中でトシオの学校の声援を送り続けていた。次の打者が三遊間を抜けそうな強烈な打球を放ち一瞬「ひやっ」としたが、トシオがダイビングキャッチをして打球を止めると一塁へ送球してゲームは終了した。

トシオの学校は準決勝まで進んだ。次の対戦相手は優勝候補のAシード校だった。ヒデキもこの学校については事前にデータをかなり入念に調べた。甲子園に行くためにはこの学校を倒さなければ難しいと思っていたからだ。

トシオ「ヒデキくん、明日はいよいよ準決勝。絶対に勝つよ」

ヒデキ「トシオくん、私精一杯応援する」

トシオ「ありがとう。全く隙のないチームだけど、ヒデキくんのくれたデータを参考にして精一杯頑張るよ。いつも応援しくれてありがとう」

ヒデキ「トシオくん、絶対勝って甲子園連れてってね」

トシオ「ヒデキくん、甲子園に絶対に連れていくよ」

いよいよトシオの準決勝の当日、ヒデキははブレザータイプの制服にチェック柄のミニスカート、紺のハイソックス、ロファーを履いて出掛けた。

会場につくと今までにない観客の多さと熱気に包まれ、ヒデキは心の中で「トシオくん、今日は苦しい試合になると思うけど絶対勝ってね」と心の中で叫んでいた。

両チーム、シートノックを終え、整列して挨拶を交わすとサイレンが鳴っていよいよ準決勝が始まった(続)