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第16章
トシオの最後の夏の大会!
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7月になりいよいよトシオの最後の夏の大会がスタートする。
トシオの学校はBシード校に選ばれ、トーナメント表を見ると準々決勝までは順調に勝ち上がれそうな感じだった。
トシオはいつものように組み合わせが決まるとヒデキにメールを入れた。
トシオ「ヒデキくん、今日抽選会があって対戦相手も決まったよ」
ヒデキ「トシオくん、最後の大会楽しみだな」
トシオ「ヒデキくんが見に来てくれるなら優勝できるように一戦一戦、精一杯頑張るよ」
ヒデキ「うん、僕もトシオくんの学校が優勝できるように精一杯応援するね」
トシオ「ありがとう。必ず、ヒデキくんを甲子園に連れていってみせるよ」
ヒデキ「僕にできることがあればなんでも協力するから」
トシオはヒデキを甲子園に連れていくといって、夏の大会に向けてひたすら練習に励んだ。ヒデキも休みの日にはトシオの学校に行って対戦相手の情報を伝えたり、できる限りのことはやった。
いよいよ開会式も終わり、トシオの最後の夏がスタートした。
ヒデキも1回戦から女子高生になりきって女の子らしさを演出して応援に行った。
ヒデキは「トシオくん、頑張って」と思いっきり叫びたかったが、男の子の声だとはっきりわかってしまうのが怖くて叫ぶことはできなかった。
1回戦は初回から大量得点を入れて5回コールドで大勝した。
トシオ「ヒデキくん、情報ありがとう」
ヒデキ「トシオくん、情報がなくても楽勝だったでしょ」
トシオ「情報があったから初回に大量得点が入って流れがこっちに来たけど、情報がなかったらもう少し接戦になっていたかもしれないよ」
ヒデキ「少しでも情報が役に立ったなら良かった」
ヒデキは2回戦以降も対戦相手について調べトシオに情報を渡すようにした。
トシオの学校は危なげなく、2回戦、3回戦とコールドゲームで4回戦へと勝ち進んだ。
ただヒデキはちょっと困ってしまった。
なんと4回戦の対戦相手がヒデキの学校だったのである。
ヒデキの学校は公立高校で特に野球が強いわけではなく、例年1回戦か2回戦で負けてしまうので、今年もすぐに負けてしまうだろうとヒデキは思っていたが、今年はピッチャーを中心とした守りのチームでシード校相手に接戦で勝利するなど勢いに乗っていて学校内でも「野球部頑張っているな」と話題になっていた。
ヒデキは授業が終わっていつものように図書館に行くとノブコに声をかけられた。
ノブコ「野球部頑張ってるよね」
ヒデキ「そうだね」
ノブコ「私、女友達と一緒に応援しに行こうと思っているんだ」
ヒデキ「そうなんだ」
ノブコ「ヒデキは応援にいかないの」
ヒデキ「・・・う~ん、僕は用事があるから」
ノブコ「ヒデキ、よく野球の本読んでるじゃない」
ヒデキ「野球のルールとかについて学んだりするのは好きなんだけど」
ノブコ「ちょっと変わっているよね。私、見に行くからもし行くようなら声でもかけてね」
ヒデキは心の中で「困ったな」って思った。自分の学校の応援ではなく、女の子の格好をして対戦相手の応援に行って誰かに「バレタラ」どうしようと思った。ましてトシオに自分の学校の情報を教えるのもまるでスパイみたいでどうしようって思った。野球部のピッチャーの子は1年生の時に一緒だったが、ヒデキが体育の時間靴下のことで他の男子にバカにされるようなことがあってもその子は「お前、酷いこというなよ」って守ってくれる子なのに、その子の情報をトシオに教えるのも「どうなのかな」って考えてしまった。そんなときにトシオからメールが届いた。
トシオ「ヒデキくん、次の対戦相手はヒデキくんの学校になってしまったね」
ヒデキ「うん、私もちょっと困っちゃって」
トシオ「ヒデキくん、自分の学校なんだし、その日は自分の学校の応援に行っても大丈V!」
ヒデキ「トシオくん、でも私、いろいろ考えたんだけどやっぱりトシオくんの学校の応援に行く。その日は女子高生の格好だけではなく、マスクして帽子も被ってなるべく顔も見られないようにしてトシオくんの学校応援する」
トシオ「ヒデキくん、ありがとう。とっても嬉しい。ただ、今回はヒデキくんに自分の学校の情報をもらうわけにはいかないから僕精一杯頑張るよ」
ヒデキ「うん」
ヒデキは自分の学校の野球部の情報について調べたが、今回はトシオに情報を伝えるのはやめることにした。やっぱり、トシオの学校に勝ってほしいと思ったが、好試合になってほしいと思っていた。
いよいよヒデキの学校とトシオの学校が対戦をする日を迎えた。ヒデキはいつも以上に入念にお化粧をして完璧なぐらいに女子高生になりきり、帽子をかぶりマスクにサングラスまでして球場にいった。誰かとすれ違いたくなかったので早めに球場入りするとトシオの学校の3塁側の後方席に座って見守ることにした。
前の試合が終了した頃、1塁側を見てみるとヒデキの学校の生徒がだんだん増えてくるのがわかり、こっちには来ないようにと祈るばかりだった。
シートノックも終わって、両校が成立して挨拶を交わすとサイレンが鳴り試合が始まった(続)
トシオの学校はBシード校に選ばれ、トーナメント表を見ると準々決勝までは順調に勝ち上がれそうな感じだった。
トシオはいつものように組み合わせが決まるとヒデキにメールを入れた。
トシオ「ヒデキくん、今日抽選会があって対戦相手も決まったよ」
ヒデキ「トシオくん、最後の大会楽しみだな」
トシオ「ヒデキくんが見に来てくれるなら優勝できるように一戦一戦、精一杯頑張るよ」
ヒデキ「うん、僕もトシオくんの学校が優勝できるように精一杯応援するね」
トシオ「ありがとう。必ず、ヒデキくんを甲子園に連れていってみせるよ」
ヒデキ「僕にできることがあればなんでも協力するから」
トシオはヒデキを甲子園に連れていくといって、夏の大会に向けてひたすら練習に励んだ。ヒデキも休みの日にはトシオの学校に行って対戦相手の情報を伝えたり、できる限りのことはやった。
いよいよ開会式も終わり、トシオの最後の夏がスタートした。
ヒデキも1回戦から女子高生になりきって女の子らしさを演出して応援に行った。
ヒデキは「トシオくん、頑張って」と思いっきり叫びたかったが、男の子の声だとはっきりわかってしまうのが怖くて叫ぶことはできなかった。
1回戦は初回から大量得点を入れて5回コールドで大勝した。
トシオ「ヒデキくん、情報ありがとう」
ヒデキ「トシオくん、情報がなくても楽勝だったでしょ」
トシオ「情報があったから初回に大量得点が入って流れがこっちに来たけど、情報がなかったらもう少し接戦になっていたかもしれないよ」
ヒデキ「少しでも情報が役に立ったなら良かった」
ヒデキは2回戦以降も対戦相手について調べトシオに情報を渡すようにした。
トシオの学校は危なげなく、2回戦、3回戦とコールドゲームで4回戦へと勝ち進んだ。
ただヒデキはちょっと困ってしまった。
なんと4回戦の対戦相手がヒデキの学校だったのである。
ヒデキの学校は公立高校で特に野球が強いわけではなく、例年1回戦か2回戦で負けてしまうので、今年もすぐに負けてしまうだろうとヒデキは思っていたが、今年はピッチャーを中心とした守りのチームでシード校相手に接戦で勝利するなど勢いに乗っていて学校内でも「野球部頑張っているな」と話題になっていた。
ヒデキは授業が終わっていつものように図書館に行くとノブコに声をかけられた。
ノブコ「野球部頑張ってるよね」
ヒデキ「そうだね」
ノブコ「私、女友達と一緒に応援しに行こうと思っているんだ」
ヒデキ「そうなんだ」
ノブコ「ヒデキは応援にいかないの」
ヒデキ「・・・う~ん、僕は用事があるから」
ノブコ「ヒデキ、よく野球の本読んでるじゃない」
ヒデキ「野球のルールとかについて学んだりするのは好きなんだけど」
ノブコ「ちょっと変わっているよね。私、見に行くからもし行くようなら声でもかけてね」
ヒデキは心の中で「困ったな」って思った。自分の学校の応援ではなく、女の子の格好をして対戦相手の応援に行って誰かに「バレタラ」どうしようと思った。ましてトシオに自分の学校の情報を教えるのもまるでスパイみたいでどうしようって思った。野球部のピッチャーの子は1年生の時に一緒だったが、ヒデキが体育の時間靴下のことで他の男子にバカにされるようなことがあってもその子は「お前、酷いこというなよ」って守ってくれる子なのに、その子の情報をトシオに教えるのも「どうなのかな」って考えてしまった。そんなときにトシオからメールが届いた。
トシオ「ヒデキくん、次の対戦相手はヒデキくんの学校になってしまったね」
ヒデキ「うん、私もちょっと困っちゃって」
トシオ「ヒデキくん、自分の学校なんだし、その日は自分の学校の応援に行っても大丈V!」
ヒデキ「トシオくん、でも私、いろいろ考えたんだけどやっぱりトシオくんの学校の応援に行く。その日は女子高生の格好だけではなく、マスクして帽子も被ってなるべく顔も見られないようにしてトシオくんの学校応援する」
トシオ「ヒデキくん、ありがとう。とっても嬉しい。ただ、今回はヒデキくんに自分の学校の情報をもらうわけにはいかないから僕精一杯頑張るよ」
ヒデキ「うん」
ヒデキは自分の学校の野球部の情報について調べたが、今回はトシオに情報を伝えるのはやめることにした。やっぱり、トシオの学校に勝ってほしいと思ったが、好試合になってほしいと思っていた。
いよいよヒデキの学校とトシオの学校が対戦をする日を迎えた。ヒデキはいつも以上に入念にお化粧をして完璧なぐらいに女子高生になりきり、帽子をかぶりマスクにサングラスまでして球場にいった。誰かとすれ違いたくなかったので早めに球場入りするとトシオの学校の3塁側の後方席に座って見守ることにした。
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