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第10章

トシオの2度目の夏の大会がやってきた

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ヒデキは学校では今までどうり少し髪を長くしておかっぱヘアにしていたが、一人で外出する際には作品の写真のような膝上20cm丈の大胆なミニスカートに黒のハイソックスを履いて女の子らしい装いをして出かけることが多かった。

ゴールデンウィークも野球部の練習でトシオと会えなかったが、トシオが好みそうな女の子らしさが出る洋服を買っては着ている姿をメールでトシオに送っていた。

トシオ「ヒデキくん、その洋服よく似合っていて可愛いね」

ヒデキ「トシオくん、私ねトシオくんになかなか会えないからこの写真を見て元気になってもらいたくて」

トシオ「ヒデキくん、僕とっても嬉しいよ。ヒデキくんのミニスカートやハイソックス姿がすごく好きなんだ」

ヒデキ「トシオくん、ミニスカート好きだからちょっと恥ずかしいけど短めの買っちゃったんだ」

トシオ「ありがとう。僕、ヒデキくんの写真を見て頑張るよ」

ヒデキとトシオは会えなかったが、お互いに写真などを送って元気にしているよなどといってメールのやり取りをしていた。

いよいよトシオの2度目の夏の大会がやってきた。1年生からレギュラーだったトシオはもちろん今回もレギュラーとして期待されていた。トシオはヒデキに試合日程を伝えられると、ヒデキは試合日程の日はあけるようにして持っていた制服を着て応援に行った。

ヒデキは声を出したら男だとばれてしまいそうなので、なるべく後ろの方の席で声を出さずにじっとトシオの勇姿を見守っていた。トシオも一礼をする際、ヒデキがいるのを確認すると目で合図をしてくれたので、ヒデキもトシオに手を振ってこたえた。

トシオの学校もシード校でダークホース的な存在の強豪校だったので1回戦は見事コールドゲームで勝利した。ヒデキは「トシオくん」と声を出したかったが、自分がすぐに男だとわかってしまうので声は出さずに心の中で「トシオくん頑張って」と思いながら声援を送り続けていた。

その後もトシオの学校は順調に勝ち進み、ベスト16までいった。次の対戦相手はアンダースローの好投手を率いるチームで接戦になると予想されていた。

ヒデキは夏の大会の期間、少し髪を伸ばして縁起を担ぐ効果と大会が終わったらトシオ好みの髪の毛の長い女の子らしさを演出したかった。その日はセーラーではなく新たに新調したブレザータイプの制服にイーストボーイの紺のハイソックスを履いて応援に行った。

予想通り緊迫した投手戦になった。相手投手の低めにコントロールされた丁寧な投球に苦しめられ、0対0の展開が続いた。

7回表、ヒットとエラーが絡みトシオの高校は先制点をとられてしまった。その後、両者点数が入らず9回裏になった。

9回裏トシオの学校はツーアウトになってしまい万事休すの状況だった。ヒデキはただ手を握って祈るようにしてトシオのことを見守っていた。

ツーアウトからトシオの前の打者がボテボテのショートゴロだったが、懸命に走ってその効果が実ってセーフになった。

ツーアウト1塁でトシオがバッターボックスに立った。ヒデキは心の中で「トシオくーん頑張って」とずっと声援を送り続けていた。

好投手ということもありトシオは3打席おさえられていた。追い込まれたら厳しいと思ったトシオはファーストストライクは積極的に打っていこうと思った。

ワンストライク、ツーボールになり、次に相手投手が投げてきた球が少し甘めに入ってきたのでトシオは渾身の力でスイングすると打球は右中間を破るあわやホームランかと思うようなタイムリースリーベースとなって土壇場で1対1の同点に追いついた。

それを見たヒデキは思わず満面の笑みを浮かべ、トシオくんやったねって心の中で叫んだ。

次の打者はショートゴロだったので、延長かと思われたが1塁に悪送球をしてしまいトシオの学校は土壇場で逆転勝ちした。

次に対戦するのが練習試合でも勝ったことのない優勝候補と対戦することになった。トシオの学校は昨年も準々決勝で敗退したのでどうにか勝利したいと思ったが、相手は甲子園の常連校でもあったので厳しい戦いが予想された。

その日、ヒデキはセーラー服に白のハイソックスを履いて全体的に白基調をベースとした装いでいった。理由はトシオの学校に勝ってもらいたいからだった。

だが、その日ははっきりと力の差が出る試合内容になってしまい、全くよいところもなくトシオの学校は負けてしまった。ヒデキも残念だったが、トシオの学校の1点はトシオ自信が叩きだしたタイムリーだったので試合後メールで「トシオくん、お疲れ様。負けちゃったけどタイムリーすごかったね」とメールを送ってトシオの夏は終了した(続)





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