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第6章

教えるということ

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人に教えるということは想像以上に大変なことだった。

何故なら成績が上がらなければ保護者からのクレームがあるし、集団授業の場合は一人うるさい子がいたりすると真面目に授業を受けている子どもには迷惑がかかるし、塾生が増えると様々な問題が浮上してきた。

大山は授業の方で忙しかったので私が保護者からのクレーム対応をすることが多かったが、英語の授業に関するトラブルについては大山に直接対応して欲しかった。というのは英語の授業で○くんがうるさいからどうにかしてくれないかって私にいわれても私は大山にその事実を伝えるしかできなかったからである。

しかし大山自身、保護者対応等は苦手だったようで私が電話から面談まで直接対応することが多かった。

実際、私の授業についても成績が上がらなかったりといったクレームもあった。始めに大変だなぁと思っていた中三生については二人とも希望の学校に合格して感謝の言葉をもらって嬉しかったが、ほぼマンツーマンで二人とも真面目に授業を受けてくれたから教える方としては楽だった。また、あえて難しい問題は始めから捨ててできる問題のみを徹底的にやらせるスタイルをとっていたから合格できたのだと思う。

しかし、もともと勉強が嫌いで親に無理やりいかされている子どもたちの成績をあげるのは至難の技である。

始めから「勉強なんてしたくないよ」といいながら母親に無理やり連れていかされる感じだったので、私としてもどうすれば真面目に授業を聞いてくれるのか日々考えながら授業をしていた。

でも、塾に来てもやる気がないため中々、授業が進まずに成績が上がらなかったので、母親からクレームを受けることも多かった。

ちなみにその問題のある子のお姉さんは大山から英語を習っていたが、お姉さんは明るくて真面目で非常に勉強もできる子だった。

大山もお姉さんは勉強もできるし、手がかからないから楽だよといっていた。

でも、大山がする集団授業の中にも中学生で一人問題児の子どもがいた。実際、集団授業を受けている別の子どもの保護者からも一人うるさい子がいて、うちの子は迷惑しているといったクレームもあった。

始めは大山もその子どもに優しく接していたが、あまりにも授業中にうるさく他の子どもたちも不満げな顔をしていたので、大山が始めてものすごい表情をして「うるさいぞ。静かにしろ」と怒ったのだ。

いつも笑っている大山がこれだけ怒ったのを筆者は始めてみた(続)
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