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第5章

新規英語専門塾オープン

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フランチャイズから脱退し、以前の学習塾の看板等はすべて削除した。

以前の塾で入会した塾生にはそのままの料金で継続したが、今後の入塾する子どものために新たなチラシを作成した。

ポスティング用の簡単なチラシについては私が作成して、本格的なチラシについては広告会社に足を運んで大山の要望にあったチラシを作ってもらった。

大山はチラシ作りには一字一句力をいれていた。大山は何をするにも成功している人のノウハウを盗み、それを自分なりにアレンジするのが非常に優れている男だった。

実際、英語専門塾のチラシ作りにおいても全国各地から成功している英語専門の塾のチラシを集めてきて、このフレーズをここに入れようとか、塾のロゴをこんな風にしようと思っているんだけどどうかなとかいろいろと聞いてきた。

そんな風にしながら自分が納得のいくチラシ案が浮かび上がると広告会社にもっていってチラシが完成した。

脱退してから1週間後には英語専門の塾として看板も変えてオープンすることになった。

私と大山の一番の違いは行動に移すことの早さだった。私は優柔不断でなかなか行動に移せないが、彼は思いついたらすぐに行動に移していた。

早く行動に移しすぎて失敗するケースもあったが、大山の持論は「行動に移すことのできない人間は成功しない」だった。

確かに私は今になってあの時、行動していれば成功したかも知れないということが何度もある。

人間、危ない橋は渡りたくないというのがあると思うので、なかなか行動に移せないこともあると思うが、あの時行動しておけば良かったと後悔するよりは、思いきって一歩行動に移してみることは大切なことだと思う。

実際、大山は英語専門の塾にしてからは、自分の好きな英語を小中学生に集団でのびのびと教えていた。大山が楽しそうに教えているから、塾生も笑顔で帰っていき実際、英語専門の塾に変更してからは塾生も増えていった。

塾生も増えてきたこともあり、私も僅かではあるが、給料もアップしたが、それでもまだバイトをしなければやっていけないほど少なかった。

ちなみに私は英語以外の科目を教えていた。最初の学習塾のシステムで入塾した子どもたちに算数・数学、国語などを受けている子もいたからだ。

国語などは全く教えたこともなく、教えられる知識をもっていなかったが、解説書付きの問題集を使って問題を解かせて解説するぐらいなら私にもできた。

ただ、私がきつかったのは中三生が二人いて偏差値も低い子を二人指導していたので合格させるために、高校受験問題を徹底的に分析した。

とはいえ、私は教えている塾生も少なかったので時間のとれる時にはポスティングをしていた。大山の方は英語を受講する子どもがどんどん増えていったので英語を教えることに専念していた(続)
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