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第4章

えっ、突然の方向転換?

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入塾説明会以降、生徒が3名ほど来るようになったが、さらに人数を増やさなければならなかった。

ちなみに料金設定は小学生が1科目週1で4,980円、中学生が1科目週1で5,980円だった。正確な値段設定までは覚えていないが、1対1の個別指導と1対2の指導があり、上記の金額は1対2のものである。

とはいえ始めのうちは人数も少なく1対2を希望しても1対1の指導だった。

大手の進学塾のように年間カリキュラム等はなく、入塾生の個々のレベルに合わせて指導する感じだった。

小中学校で習う基本的な内容が理解できていなければ、学校の教科書に準拠した問題集を買ってもらってそれにそってやっていく感じだった。

始めのうちはすごく優秀な生徒というよりは真ん中より下の入塾生が多かった。

私も大山も空いている時間帯はひたすらポスティングをしたり、問い合わせがあった人への電話営業もした。

そんな努力も実り少しずつ塾生は増えていった。

でも、実際に私がもらっていたのは少ない給料だったので週に2回程度アルバイトをするようになった。

たまたまアルバイト募集サイトでみたチラシ配りやプラカード持ちの仕事だった。

単純な仕事だったし、多少は収入のプラスになったので良かった。

大山も塾にいることがメインであったが、家庭教師や予備校講師の仕事を続けていた。

大山は話していたが、新規開校するまでにかかった金額や新規開校してからも収入が少なく、僅かではあったが私にも給料を支払っていたこともあり、家庭教師や予備校講師の仕事を続けていかなければやっていけなかったようである。

そんなこともあり、始めの3ヶ月ぐらいはひたすらポスティングや電話営業をして塾生を増やすことがメインだった。

しかし、新規開校してから1ヶ月程たったある日、大山は突然、私にこんなことをいいだした。

「○○先生、今、フランチャイズに加盟して塾をやっているけど、英語専門の塾をやろうと思っているんだ。だからこの塾の看板をすべて処分して新しい看板を設置しようと思っているんだ」

大山は突然、塾を方向転換するのはどうかと尋ねてきた。

私はただ大山がずっと英語専門の講師として教えてきたことも知っているし、大山が自分で覚悟を決めてオープンした塾なんだから大山がやりたいようにやればよいとだけ伝えた。

すると大山はその日のうちにフランチャイズ本部に電話して、フランチャイズから脱退してすべて英語専門の塾に変更してしまった(続)
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