オリジナルの童話を思いついたら更新します!

ムーワ

文字の大きさ
上 下
6 / 6
第6話

ハチの妖精と人間(完全オリジナル童話)

しおりを挟む
むかしむかしあるところに、ふーべんというそれはそれは働き者で優しいおじいさんがおったそうな。

ふーべんさんはハチを駆除するオリジナルの道具を持っていて、毎年、近所の人から「ふーべんさんや家のハチの巣をどうにかしておくれ」と頼まれました。以前はハチに刺されて被害を受けたり、最悪のケース亡くなった方もいますが、ふーべんさんが駆除するようになってからは誰ひとり被害にあった話を聞かなかった。

ある日、いつものようにハチの駆除を頼まれたふーべんさんはハチを駆除しているとき、それはもうみたことのない小さな小さなハチの妖精が現れ、
「ふーべんさん、ふーべんさん、もうハチの駆除をするのはやめておくれ」と言われました。

困ったふーべんさんはハチの妖精に
「ハチさんは人間に危害は絶対に加えないと約束してくれるかい」と尋ねました。

小さな小さなハチの妖精は
「わかりました。絶対に人間には危害を加えません。約束します。そのかわり一つお願いがあります。ハチにも絶対に危害を加えないと約束してください」

ふーべさんは
「ハチさんには絶対に危害を加えないように約束します」と伝えました。

ふーべんさんは早速、村の住人たちにハチさんは絶対に人間に危害は加えないといったので、ハチの駆除をするのはやめることにしましたと話しました。

それからしばらくの間は、ハチからの危害もなく近所の人々も平和に暮らしていました。

ところが、村の子どもたちがボール遊びをしていた時に、偶然ハチの巣にボールが直撃してしまい、ハチの巣が地面に叩きつけられて壊れてしまったのです。中にいた大量のハチが亡くなってしまいました。

この事態にハチの妖精の怒りはおさまりません。生き残ったハチたちは力を合わせて次々に人間に危害を加えました。


村人がふーべんさんの所に行き、
「ふーべんさん、これみてくれ。ハチに刺されたぞ。話が違うじゃないか?」

困ったふーべんさんはハチの巣を駆除することにしました。

早速、ハチの巣を駆除しに行こうとするとハチの妖精がふーべんさんの前に現れました。

「ハチの妖精さん、村人がハチに刺されたみたいで話が違うじゃないか」

「人間がハチに危害を加えたから、私たちも危害を加えただけだ」

「人間がハチに危害を加えた?」

「そうだ。ボールに巣をぶつけられてたくさんのハチたちが亡くなったんだぞ」

ハチの妖精は涙目でふーべんさんに話しました。それを聞いたふーべんさんは何も言い返すことができません。

「ハチの妖精さん、それは本当に悪いことをした。すまなかった」

「あなたは人間でも話の分かる人だと思う」

「ハチの妖精さん、この村の住人の住む家からは少し離れた場所に巣をつくるようにしてくれないかい。そうすればもう、危害を加えるようなことはないと思う。あの遠くに見える森の付近なら人間は住んでいないからいいと思うよ」

「ふーべんさん、あなたの言うとおりそちらに引っ越して巣をつくるようにします」

「ハチの妖精さん、ありがとう」

ハチの妖精はふーべんさんのいわれた通り、遠く離れた森に引っ越してハチの巣をつくり、村には平和が訪れましたとさ(おしまい)


しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

子猫マムと雲の都

杉 孝子
児童書・童話
 マムが住んでいる世界では、雨が振らなくなったせいで野菜や植物が日照り続きで枯れ始めた。困り果てる人々を見てマムは何とかしたいと思います。  マムがグリムに相談したところ、雨を降らせるには雲の上の世界へ行き、雨の精霊たちにお願いするしかないと聞かされます。雲の都に行くためには空を飛ぶ力が必要だと知り、魔法の羽を持っている鷹のタカコ婆さんを訪ねて一行は冒険の旅に出る。

児童小説をどうぞ

小木田十(おぎたみつる)
児童書・童話
児童小説のコーナーです。大人も楽しめるよ。 / 小木田十(おぎたみつる)フリーライター。映画ノベライズ『ALWAIS 続・三丁目の夕日 完全ノベライズ版』『小説 土竜の唄』『小説 土竜の唄 チャイニーズマフィア編』『闇金ウシジマくん』などを担当。2023年、掌編『限界集落の引きこもり』で第4回引きこもり文学大賞 三席入選。2024年、掌編『鳥もつ煮』で山梨日日新聞新春文芸 一席入選(元旦紙面に掲載)。

ねむたくてねむたくて

しましまにゃんこ
児童書・童話
りすくんはねむたくてねむたくてしかたがないのにねることができません。それはきっとなにかがたりないせい。なにがたりないのかな? 寝かしつけのためのお話です。

きたいの悪女は処刑されました

トネリコ
児童書・童話
 悪女は処刑されました。  国は益々栄えました。  おめでとう。おめでとう。  おしまい。

シャルル・ド・ラングとピエールのおはなし

ねこうさぎしゃ
児童書・童話
ノルウェジアン・フォレスト・キャットのシャルル・ド・ラングはちょっと変わった猫です。人間のように二本足で歩き、タキシードを着てシルクハットを被り、猫目石のついたステッキまで持っています。 以前シャルル・ド・ラングが住んでいた世界では、動物たちはみな、二本足で立ち歩くのが普通なのでしたが……。 不思議な力で出会った者を助ける謎の猫、シャルル・ド・ラングのお話です。

カラス姫

霜月りつ
児童書・童話
おやまで出会った不思議な女の子。 人の魂をとるカラス姫なのだろうか?

【総集編】日本昔話 パロディ短編集

Grisly
児童書・童話
❤️⭐️お願いします。  今まで発表した 日本昔ばなしの短編集を、再放送致します。 朝ドラの総集編のような物です笑 読みやすくなっているので、 ⭐️して、何度もお読み下さい。 読んだ方も、読んでない方も、 新しい発見があるはず! 是非お楽しみ下さい😄 ⭐︎登録、コメント待ってます。

おっとりドンの童歌

花田 一劫
児童書・童話
いつもおっとりしているドン(道明寺僚) が、通学途中で暴走車に引かれてしまった。 意識を失い気が付くと、この世では見たことのない奇妙な部屋の中。 「どこ。どこ。ここはどこ?」と自問していたら、こっちに雀が近づいて来た。 なんと、その雀は歌をうたい狂ったように踊って(跳ねて)いた。 「チュン。チュン。はあ~。らっせーら。らっせいら。らせらせ、らせーら。」と。 その雀が言うことには、ドンが死んだことを(津軽弁や古いギャグを交えて)伝えに来た者だという。 道明寺が下の世界を覗くと、テレビのドラマで観た昔話の風景のようだった。 その中には、自分と瓜二つのドン助や同級生の瓜二つのハナちゃん、ヤーミ、イート、ヨウカイ、カトッぺがいた。 みんながいる村では、ヌエという妖怪がいた。 ヌエとは、顔は鬼、身体は熊、虎の手や足をもち、何とシッポの先に大蛇の頭がついてあり、人を食べる恐ろしい妖怪のことだった。 ある時、ハナちゃんがヌエに攫われて、ドン助とヤーミがヌエを退治に行くことになるが、天界からドラマを観るように楽しんで鑑賞していた道明寺だったが、道明寺の体は消え、意識はドン助の体と同化していった。 ドン助とヤーミは、ハナちゃんを救出できたのか?恐ろしいヌエは退治できたのか?

処理中です...