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第1話
犬の恩返し
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これは「鶴の恩返し」をアレンジしたオリジナル作品です。
昔々ある所に、テツジロウという貧乏人がいた。テツジロウは若い頃、いろいろな仕事をやるもすべて失敗に終わり、「あーおれの人生っていったい何だったんだろう」と後悔していた。
テツジロウは働くこともせず、家に閉じこもりの生活をしていたが、たまたま買い物に行った際、一人で懸命に歌を歌っている女性の姿に遭遇した。誰ひとり立ち止まって聞いている通行人はいなかったが、テツジロウは立ち止まってじっと女性の歌を聴いていた。一人懸命に歌を歌っている女性の姿を見たテツジロウはこのまま閉じこもっているわけにはいかないと思った。
それ以来、テツジロウは毎日、近所のゴミ拾いをするようになった。毎朝、早起きをして1時間懸命にゴミを拾い続けていた。テツジロウのおかげで近所のゴミはほぼなくなり街はどんどんきれいになっていった。そんなテツジロウは周辺のゴミがなくなったらさらにエリアの範囲を拡げてゴミを拾い続けた。
ある日、いつものようにゴミを拾っていたテツジロウは小さな段ボールを見つけて中をあけてみたら、そこには小さな小さな子犬が捨てられていた。
テツジロウは子犬を抱き上げると「可愛いな」といって家に持ち帰った。
ずっと一人だったテツジロウだったが、子犬がやってきて楽しくて仕方なかった。テツジロウは1日の大半を子犬と過ごした。年金の少ないテツジロウだったが、子犬と一緒にいられることは何よりも幸せだった。
大切に育てられた子犬はすくすく成長していった。子犬は立派な成犬へと成長したが、たくさん食べるようになったので、少ない年金のテツジロウにとって成犬のエサ代がかかって生活していくのも大変だった。だから、自分の食事を少し節約してどうにかやりくりしていた。
いつものように成犬を散歩に連れていったテツジロウだったが、散歩中に成犬が突然「ワンワン」と叫んで地面を掘りおこした。地面の中から小さな小さなカバンが出てきた。
「これは何だろう」と思ったテツジロウはカバンを開けてみるとカバンからはなんとテツジロウもみたことのないような「札束」が入っていたのだ。テツジロウは一瞬、「これだけあれば一生贅沢な暮しができる」と思ったが、まずは「警察に届けなければ」と思い、すぐに警察に届けた。警察からは期限を過ぎても持ち主が現れなければテツジロウのものになるといわれた。
その後、持ち主が現れなかったためテツジロウは大金を手にすることができ、「これは子犬を助けた犬の恩返しに違いない」とテツジロウは思った(完)
昔々ある所に、テツジロウという貧乏人がいた。テツジロウは若い頃、いろいろな仕事をやるもすべて失敗に終わり、「あーおれの人生っていったい何だったんだろう」と後悔していた。
テツジロウは働くこともせず、家に閉じこもりの生活をしていたが、たまたま買い物に行った際、一人で懸命に歌を歌っている女性の姿に遭遇した。誰ひとり立ち止まって聞いている通行人はいなかったが、テツジロウは立ち止まってじっと女性の歌を聴いていた。一人懸命に歌を歌っている女性の姿を見たテツジロウはこのまま閉じこもっているわけにはいかないと思った。
それ以来、テツジロウは毎日、近所のゴミ拾いをするようになった。毎朝、早起きをして1時間懸命にゴミを拾い続けていた。テツジロウのおかげで近所のゴミはほぼなくなり街はどんどんきれいになっていった。そんなテツジロウは周辺のゴミがなくなったらさらにエリアの範囲を拡げてゴミを拾い続けた。
ある日、いつものようにゴミを拾っていたテツジロウは小さな段ボールを見つけて中をあけてみたら、そこには小さな小さな子犬が捨てられていた。
テツジロウは子犬を抱き上げると「可愛いな」といって家に持ち帰った。
ずっと一人だったテツジロウだったが、子犬がやってきて楽しくて仕方なかった。テツジロウは1日の大半を子犬と過ごした。年金の少ないテツジロウだったが、子犬と一緒にいられることは何よりも幸せだった。
大切に育てられた子犬はすくすく成長していった。子犬は立派な成犬へと成長したが、たくさん食べるようになったので、少ない年金のテツジロウにとって成犬のエサ代がかかって生活していくのも大変だった。だから、自分の食事を少し節約してどうにかやりくりしていた。
いつものように成犬を散歩に連れていったテツジロウだったが、散歩中に成犬が突然「ワンワン」と叫んで地面を掘りおこした。地面の中から小さな小さなカバンが出てきた。
「これは何だろう」と思ったテツジロウはカバンを開けてみるとカバンからはなんとテツジロウもみたことのないような「札束」が入っていたのだ。テツジロウは一瞬、「これだけあれば一生贅沢な暮しができる」と思ったが、まずは「警察に届けなければ」と思い、すぐに警察に届けた。警察からは期限を過ぎても持ち主が現れなければテツジロウのものになるといわれた。
その後、持ち主が現れなかったためテツジロウは大金を手にすることができ、「これは子犬を助けた犬の恩返しに違いない」とテツジロウは思った(完)
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