1 / 4
おかあさんとおなじ耳
しおりを挟む
「おや? ゆきちゃん、ひとりでおつかいえらいわねえ。」
ぱん屋のおばあちゃんが、ゆきをほめてくれた!
「いつものください! はい、おかねちょうどだよ。
あのね! きょうで5さいになったの!」
ゆきの白いお耳が、ぴん! と立った。
「まあ! おたんじょうび おめでとう!
じゃあ、きょうは、おばあちゃんから、とくべつにオマケしておくわね。」
そういうと、おばあちゃんは、あまーいおかしを3つくれた。
「はい、おとさないように、気をつけてかえるのよ?」
「うん! ありがとう、おばあちゃん!」
うんしょ。と、トビラをあけて、そとに出る。
つめたい風に、白いお耳がぷるぷるする。
ゆきは、うさぎじゅうじん。
おかあさんといっしょなの。
このまちで、お耳があるのは、
ゆきとおかあさんだけ。
でも、さみしくないよ!
だって、おかあさんがいるもん。
お肉やさんのおじさんも、
やおやさんのおばさんも、
もちろん、パンやのおばあちゃんも、
とってもやさしいよ!
たまに、お耳を引っぱる、
いじわるな人もいるけど、
そのときは、おかあさんにぎゅってしてもらうと、げんきになるの!
ゆきは、パンをおとさないように、気をつけてトコトコあるいた。
「ただいまー! おかあさん! おつかいできたよ!」
まっかになったほっぺと、
つめたくなったお耳をぷるぷるさせて、
おうちにかえると、おかあさんが、げんかんで、まっててくれた。
「おかえりなさい! ゆき! がんばったわね。」
そう言って、そっと、にもつをうけとってくれた。
テーブルにパンをのせると、ゆきをぎゅっとだきしめてくれる。
「あのね、パンやのおばあちゃんが、オマケをくれたよ!
ゆきが5さいになったよって言ったら、
おめでとうって言ってくれたの。」
ゆきのほっぺを、おかあさんのあたたかい手で、 あたためてくれる。
うれしくて、白いお耳が、ピルピルうごいちゃう。
「よかったわね! ゆき。
さあ、手をあらってらっしゃい。
すこし早いけど、ごはんにしましょう。 」
「はーい!」
手をあらってイスにすわると、
ゆきのだいすきな、白いシチューと、
ゆきがかってきたパンとサラダがおいてあった。
「おいしそう! 白いシチュー、だいすき!」
「うふふ。よろこんでくれてよかった。
さあ、ごあいさつよ。いただきます。」
「いただきます! うーん! おいしい!」
「きょうは、おかわりもあるわよ。」
ゆきがおかわりをすると、おかあさんはニコニコしてた。
ごちそうさまをすると、おかあさんがプレゼントをくれた。
白いレースのついた、赤いリボンだった。
うれしくて、おかあさんに、つけてっておねだりした。
「かわいいね!」
てかがみでゆきの、リボンをつけたかみを見せてくれた。
「にあってるわよ、ゆき。」
「えへへ。ありがとう! おかあさん。」
「さあ、おなかいっぱいかな? おばあちゃんから、もらったおかしたべられる?」
「たべたい!」
3つもらったあまーいおかし。
「ねえ、おとうさんは、かえってこないの?」
わたしと、おかあさんと、おとうさんのぶん。
「────いつか、かえってくるわ。 このおかしは、ゆきが2つ食べていいのよ。」
おとうさんのはなしをすると、おかあさんはかなしそうにする。
いつもふたつしかない、
ごはん、おさら、こっぷ
ほかにも おかあさんといっしょのものは、たくさんある。
でも、おとうさんといっしょのものは、1つもない。
ゆきはもう5さい。
ひとりでおつかいも、できるようになったもん。
「おかあさん、だいすき! いっしょにあまーいおかしたべよう!」
「うふふ。そうね、1つもらうわね。」
のみものをとりにいった、おかあさんをみて、ゆきは、おもった。
もう、おとうさんのことはきかない。
かおも しらない おとうさん。
会えなくても、さみしくないよ!
ゆきの白いお耳はピルルとうごく。
だって、わたしは、だいすきな おかあさんと
おなじ耳だから!
ぱん屋のおばあちゃんが、ゆきをほめてくれた!
「いつものください! はい、おかねちょうどだよ。
あのね! きょうで5さいになったの!」
ゆきの白いお耳が、ぴん! と立った。
「まあ! おたんじょうび おめでとう!
じゃあ、きょうは、おばあちゃんから、とくべつにオマケしておくわね。」
そういうと、おばあちゃんは、あまーいおかしを3つくれた。
「はい、おとさないように、気をつけてかえるのよ?」
「うん! ありがとう、おばあちゃん!」
うんしょ。と、トビラをあけて、そとに出る。
つめたい風に、白いお耳がぷるぷるする。
ゆきは、うさぎじゅうじん。
おかあさんといっしょなの。
このまちで、お耳があるのは、
ゆきとおかあさんだけ。
でも、さみしくないよ!
だって、おかあさんがいるもん。
お肉やさんのおじさんも、
やおやさんのおばさんも、
もちろん、パンやのおばあちゃんも、
とってもやさしいよ!
たまに、お耳を引っぱる、
いじわるな人もいるけど、
そのときは、おかあさんにぎゅってしてもらうと、げんきになるの!
ゆきは、パンをおとさないように、気をつけてトコトコあるいた。
「ただいまー! おかあさん! おつかいできたよ!」
まっかになったほっぺと、
つめたくなったお耳をぷるぷるさせて、
おうちにかえると、おかあさんが、げんかんで、まっててくれた。
「おかえりなさい! ゆき! がんばったわね。」
そう言って、そっと、にもつをうけとってくれた。
テーブルにパンをのせると、ゆきをぎゅっとだきしめてくれる。
「あのね、パンやのおばあちゃんが、オマケをくれたよ!
ゆきが5さいになったよって言ったら、
おめでとうって言ってくれたの。」
ゆきのほっぺを、おかあさんのあたたかい手で、 あたためてくれる。
うれしくて、白いお耳が、ピルピルうごいちゃう。
「よかったわね! ゆき。
さあ、手をあらってらっしゃい。
すこし早いけど、ごはんにしましょう。 」
「はーい!」
手をあらってイスにすわると、
ゆきのだいすきな、白いシチューと、
ゆきがかってきたパンとサラダがおいてあった。
「おいしそう! 白いシチュー、だいすき!」
「うふふ。よろこんでくれてよかった。
さあ、ごあいさつよ。いただきます。」
「いただきます! うーん! おいしい!」
「きょうは、おかわりもあるわよ。」
ゆきがおかわりをすると、おかあさんはニコニコしてた。
ごちそうさまをすると、おかあさんがプレゼントをくれた。
白いレースのついた、赤いリボンだった。
うれしくて、おかあさんに、つけてっておねだりした。
「かわいいね!」
てかがみでゆきの、リボンをつけたかみを見せてくれた。
「にあってるわよ、ゆき。」
「えへへ。ありがとう! おかあさん。」
「さあ、おなかいっぱいかな? おばあちゃんから、もらったおかしたべられる?」
「たべたい!」
3つもらったあまーいおかし。
「ねえ、おとうさんは、かえってこないの?」
わたしと、おかあさんと、おとうさんのぶん。
「────いつか、かえってくるわ。 このおかしは、ゆきが2つ食べていいのよ。」
おとうさんのはなしをすると、おかあさんはかなしそうにする。
いつもふたつしかない、
ごはん、おさら、こっぷ
ほかにも おかあさんといっしょのものは、たくさんある。
でも、おとうさんといっしょのものは、1つもない。
ゆきはもう5さい。
ひとりでおつかいも、できるようになったもん。
「おかあさん、だいすき! いっしょにあまーいおかしたべよう!」
「うふふ。そうね、1つもらうわね。」
のみものをとりにいった、おかあさんをみて、ゆきは、おもった。
もう、おとうさんのことはきかない。
かおも しらない おとうさん。
会えなくても、さみしくないよ!
ゆきの白いお耳はピルルとうごく。
だって、わたしは、だいすきな おかあさんと
おなじ耳だから!
41
お気に入りに追加
5
あなたにおすすめの小説
ありがとうけん
仁科佐和子
絵本
さやちゃんとみっちゃんは同じ保育園のお友達。
マイペースなみっちゃんのことがさやちゃんは気になっています。
みっちゃんのマイブームの遊びは「ありがとうけん」を配ること。
さやちゃんはみっちゃんにたくさんのありがとうけんをもらいます。
みっちゃんが病気で何日も保育園をお休みしました。
さやちゃんはみっちゃんのためにお手紙を書きます。
みっちゃんとさやちゃんのハートウォーミングなストーリー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる