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14:「あ、パンツは洗濯しておいたから」
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「どうも、すみません。ありがとうございました」
廉太郎を引きずるようにしてタクシーから下りて、大芽はようやくひと心地ついた気分だった。
エレベーター付きのマンションにしておいて良かったと、今日ほど過去の自分に感謝した日はない。
「廉太郎、しっかり歩け~。もうちょっとだから」
「ん~……うん、うん」
夢見心地で曖昧に頷く廉太郎に呆れながら、大芽はどうにか玄関まで辿り着く。廉太郎を支えて苦戦しながら鍵を開け、自宅に入った頃には汗だくになっていた。
「っはぁ! つっかれた……」
大きく息を吐いて廉太郎を見下ろすが、当の本人は気持ち良さそうに眠っている。
人が大変な思いをして運んでやったってのに。
「スーツ、皺になるぞ」
廉太郎の靴とジャケットを脱がせて、大芽はぐっすり眠る大きな子どもを仕方なく自分のベッドまで運んだ。
廉太郎の身体をベッドに放り投げるように寝かせると、その衝撃でうっすらと廉太郎の瞼が開く。
やっと起きたかと思い大芽は廉太郎の顔を覗き込むが、しかし廉太郎の目の焦点はぼやけたままだ。目を開けただけで、まだ覚醒していないのだろう。
「たぃ、が……?」
大芽の名前を呼ぶ声もふにゃふにゃと舌足らずで緩んでいる。
「起きたかよ」
「ぅ、う~……おき、た……」
そう言ってまた、廉太郎は瞼を閉じてしまった。「寝てんじゃねえか」と笑いながら、大芽は廉太郎のネクタイを外しワイシャツのボタンを緩めてやる。
「……はは、生意気」
ワイシャツの下に、廉太郎はインナーシャツを着ていた。大芽がからかったことを気にしたのだろうか。そんなことを考えると、廉太郎の健気さに唇が緩む。
可愛いことをしてくれる。これじゃあ、イタズラしたくなるだろ。
人のベッドで寝息を立てる廉太郎を見ていると、少しくらいイタズラをしても罰は当たらないだろうと思えてくる。
大芽はにやりと口角を上げると、インナーシャツの上から廉太郎の胸に手を置いた。どく、どく、と心臓が動いている。
大芽は心臓の音を手のひらで聞き、ゆっくりと手を動かす。
「……ぅ」
手のひらで押し上げるように廉太郎の胸を揉むと、廉太郎は小さな声を上げて身じろいだ。大芽は廉太郎の反応を楽しみながら、更に大胆に手を動かしていく。
親指で乳首の表面を撫でてやると、廉太郎の身体がびくっと痙攣した。繰り返す度に廉太郎の身体が震え、勃起した乳首がインナーシャツの布地を押し上げていた。
指先で左右に弾くと、薄く開いた唇から濡れた吐息が漏れ始める。
「……んぁ、あ!」
もっと喘がせたくなり、大芽は乳首をきつく摘まんだ。突然与えられた強い快感に、廉太郎は高い声を上げて腰を浮かせた。
散々乳首を弄られたせいか、廉太郎の性器はスラックス越しでもわかるほど膨らんでいる。大芽は小さく笑うと、ベルトを外してファスナーを開けてやった。
「楽になっただろ?」
廉太郎の耳元に囁きかけながら、大芽は膨らんだ性器を下着の上からそうっと撫でる。くすぐったさを与えるだけの動きに、廉太郎の身体は物足りないと言いたげに身悶える。
「ぁ、はぁ……んぁ、ぅう」
不意に廉太郎の顔が横を向き、大芽は息を止めた。強い快感を求める廉太郎の顔が目に入り、心臓が大きく鳴った。
興奮して乱れる廉太郎の呼吸が大芽の唇に触れ、唾液に濡れた舌が唇の隙間からちろちろと見え隠れする。
廉太郎の唇は快感を求めて大芽の名前を音もなく紡ぎ、そして大芽は
「……っ」
廉太郎の唇を勢いよく塞いでいた。
身体を押さえつけるようにのし掛かり、大芽は廉太郎の舌を乱暴に吸い上げる。
「んっ、んぅ……~~っ!」
たったそれだけで、廉太郎はくぐもった声を上げて腰を浮かせた。大芽の腿に、ぐっちょりと濡れた感触が広がる。
「ぁ、……イッた?」
大芽の腕の中で、廉太郎は射精した余韻でびくびくと震えている。唇を離すと、廉太郎の目尻に涙が浮かんでいた。生理的な涙ということはわかっていたが、一瞬どきっとしてしまう。
「はー、なにやってんだ俺」
廉太郎の目尻を拭いながら、大芽は大きく溜め息をついた。どうして、キスなんてしてしまったんだと考える。
言い訳ならいくらでも思いつくのに、それらが全て言い訳でしかないことに大芽は絶望的な感情を覚える。
「……ひでぇ格好」
ベッドから下りて廉太郎を見下ろすと、まるで犯されたような乱れ方をしていた。大芽は自分の感情から目を逸らすように、バスルームへ向かいタオルを持ってくる。
射精してびちょびちょに濡れた下着を脱がせて、汚れた性器と脚をタオルで拭い、適当に用意したスウェットを履かせてやる。
またこんなにも甲斐甲斐しく世話をしている自分に気付き、大芽は溜め息を吐いた。
スマホのアラームが鳴り響いていた。廉太郎はベッドサイドに手を伸ばすが、なぜか定位置に置いているはずのスマホが見付からない。
しかも昨日は飲み過ぎたせいか、身体も重いし頭も痛かった。
「んん……うるっせぇな……」
しかも大芽の幻聴まで聞こえる。
「は!?」
その瞬間、廉太郎はベッドから飛び起きて――またすぐに倒れた。自分で出した大声が頭に響いたのか、額に手を当てて呻いている。
「だから、声デカいって」
真正面から聞こえてきた大芽の声に、廉太郎は閉じていた両目を開ける。うっすらと無精髭の生えた大芽の顔が目の前にあった。
今度は幻聴でもなければ幻覚を見ているのでもない。
「た、大芽……? なんで、というかここはどこだ?」
「どこって、俺ン家」
「俺ン家って、大芽の家か……?」
「それ以外何だって言うの」
混乱する廉太郎を笑いながら、大芽は両腕を伸ばして起き上がった。廉太郎もつられて起き上がり、ようやくここが自分の家ではないことに気が付いたらしい。
「えっ!? ここ……どこだ!?」
「ふっ、あはは! 寝ぼけてんのかよ。だから、俺ン家だって」
二度も驚く廉太郎に、大芽はついに堪えきれず噴き出してしまった。ここが大芽の自宅だと言われても、廉太郎にはまだ実感が湧かないようだ。落ち着きなくきょろきょろと周囲を見回している。
「昨日酔い潰れてるところを見つけて、俺が運んできたの。覚えてる?」
「……覚えてない」
「だろうな。で、廉太郎が俺のベッドで寝ちゃったから俺も一緒に寝たってわけ」
「なるほど。なる……ほど? ん?」
さらりと語られた事実に、廉太郎は頷きながらも固まった。一緒に寝た、という言葉で自分が大芽のベッドを占領してしまったのだと知り、慌ててベッドから飛び降りる。
「うわ、悪い……! 大芽のベッドなのに」
「別に? ちょうどいい抱き枕があって寝心地は悪くなかったし」
「抱き……っ! 何もしてないよな!?」
「さぁ~? ……どっちだと思う?」
意地の悪い大芽の笑みに、廉太郎はぐっと喉を鳴らす。何もされていないと思いたいが、どうにも尻回りがすーすーしているような気がしなくもない。
「あ、パンツは洗濯しておいたから」
眉間に皺を寄せる廉太郎に、大芽はあっさりと答え合わせをした。
「っ、大芽!」
廉太郎は顔を赤くしながら、大芽に向かって抗議の声を上げた。
廉太郎を引きずるようにしてタクシーから下りて、大芽はようやくひと心地ついた気分だった。
エレベーター付きのマンションにしておいて良かったと、今日ほど過去の自分に感謝した日はない。
「廉太郎、しっかり歩け~。もうちょっとだから」
「ん~……うん、うん」
夢見心地で曖昧に頷く廉太郎に呆れながら、大芽はどうにか玄関まで辿り着く。廉太郎を支えて苦戦しながら鍵を開け、自宅に入った頃には汗だくになっていた。
「っはぁ! つっかれた……」
大きく息を吐いて廉太郎を見下ろすが、当の本人は気持ち良さそうに眠っている。
人が大変な思いをして運んでやったってのに。
「スーツ、皺になるぞ」
廉太郎の靴とジャケットを脱がせて、大芽はぐっすり眠る大きな子どもを仕方なく自分のベッドまで運んだ。
廉太郎の身体をベッドに放り投げるように寝かせると、その衝撃でうっすらと廉太郎の瞼が開く。
やっと起きたかと思い大芽は廉太郎の顔を覗き込むが、しかし廉太郎の目の焦点はぼやけたままだ。目を開けただけで、まだ覚醒していないのだろう。
「たぃ、が……?」
大芽の名前を呼ぶ声もふにゃふにゃと舌足らずで緩んでいる。
「起きたかよ」
「ぅ、う~……おき、た……」
そう言ってまた、廉太郎は瞼を閉じてしまった。「寝てんじゃねえか」と笑いながら、大芽は廉太郎のネクタイを外しワイシャツのボタンを緩めてやる。
「……はは、生意気」
ワイシャツの下に、廉太郎はインナーシャツを着ていた。大芽がからかったことを気にしたのだろうか。そんなことを考えると、廉太郎の健気さに唇が緩む。
可愛いことをしてくれる。これじゃあ、イタズラしたくなるだろ。
人のベッドで寝息を立てる廉太郎を見ていると、少しくらいイタズラをしても罰は当たらないだろうと思えてくる。
大芽はにやりと口角を上げると、インナーシャツの上から廉太郎の胸に手を置いた。どく、どく、と心臓が動いている。
大芽は心臓の音を手のひらで聞き、ゆっくりと手を動かす。
「……ぅ」
手のひらで押し上げるように廉太郎の胸を揉むと、廉太郎は小さな声を上げて身じろいだ。大芽は廉太郎の反応を楽しみながら、更に大胆に手を動かしていく。
親指で乳首の表面を撫でてやると、廉太郎の身体がびくっと痙攣した。繰り返す度に廉太郎の身体が震え、勃起した乳首がインナーシャツの布地を押し上げていた。
指先で左右に弾くと、薄く開いた唇から濡れた吐息が漏れ始める。
「……んぁ、あ!」
もっと喘がせたくなり、大芽は乳首をきつく摘まんだ。突然与えられた強い快感に、廉太郎は高い声を上げて腰を浮かせた。
散々乳首を弄られたせいか、廉太郎の性器はスラックス越しでもわかるほど膨らんでいる。大芽は小さく笑うと、ベルトを外してファスナーを開けてやった。
「楽になっただろ?」
廉太郎の耳元に囁きかけながら、大芽は膨らんだ性器を下着の上からそうっと撫でる。くすぐったさを与えるだけの動きに、廉太郎の身体は物足りないと言いたげに身悶える。
「ぁ、はぁ……んぁ、ぅう」
不意に廉太郎の顔が横を向き、大芽は息を止めた。強い快感を求める廉太郎の顔が目に入り、心臓が大きく鳴った。
興奮して乱れる廉太郎の呼吸が大芽の唇に触れ、唾液に濡れた舌が唇の隙間からちろちろと見え隠れする。
廉太郎の唇は快感を求めて大芽の名前を音もなく紡ぎ、そして大芽は
「……っ」
廉太郎の唇を勢いよく塞いでいた。
身体を押さえつけるようにのし掛かり、大芽は廉太郎の舌を乱暴に吸い上げる。
「んっ、んぅ……~~っ!」
たったそれだけで、廉太郎はくぐもった声を上げて腰を浮かせた。大芽の腿に、ぐっちょりと濡れた感触が広がる。
「ぁ、……イッた?」
大芽の腕の中で、廉太郎は射精した余韻でびくびくと震えている。唇を離すと、廉太郎の目尻に涙が浮かんでいた。生理的な涙ということはわかっていたが、一瞬どきっとしてしまう。
「はー、なにやってんだ俺」
廉太郎の目尻を拭いながら、大芽は大きく溜め息をついた。どうして、キスなんてしてしまったんだと考える。
言い訳ならいくらでも思いつくのに、それらが全て言い訳でしかないことに大芽は絶望的な感情を覚える。
「……ひでぇ格好」
ベッドから下りて廉太郎を見下ろすと、まるで犯されたような乱れ方をしていた。大芽は自分の感情から目を逸らすように、バスルームへ向かいタオルを持ってくる。
射精してびちょびちょに濡れた下着を脱がせて、汚れた性器と脚をタオルで拭い、適当に用意したスウェットを履かせてやる。
またこんなにも甲斐甲斐しく世話をしている自分に気付き、大芽は溜め息を吐いた。
スマホのアラームが鳴り響いていた。廉太郎はベッドサイドに手を伸ばすが、なぜか定位置に置いているはずのスマホが見付からない。
しかも昨日は飲み過ぎたせいか、身体も重いし頭も痛かった。
「んん……うるっせぇな……」
しかも大芽の幻聴まで聞こえる。
「は!?」
その瞬間、廉太郎はベッドから飛び起きて――またすぐに倒れた。自分で出した大声が頭に響いたのか、額に手を当てて呻いている。
「だから、声デカいって」
真正面から聞こえてきた大芽の声に、廉太郎は閉じていた両目を開ける。うっすらと無精髭の生えた大芽の顔が目の前にあった。
今度は幻聴でもなければ幻覚を見ているのでもない。
「た、大芽……? なんで、というかここはどこだ?」
「どこって、俺ン家」
「俺ン家って、大芽の家か……?」
「それ以外何だって言うの」
混乱する廉太郎を笑いながら、大芽は両腕を伸ばして起き上がった。廉太郎もつられて起き上がり、ようやくここが自分の家ではないことに気が付いたらしい。
「えっ!? ここ……どこだ!?」
「ふっ、あはは! 寝ぼけてんのかよ。だから、俺ン家だって」
二度も驚く廉太郎に、大芽はついに堪えきれず噴き出してしまった。ここが大芽の自宅だと言われても、廉太郎にはまだ実感が湧かないようだ。落ち着きなくきょろきょろと周囲を見回している。
「昨日酔い潰れてるところを見つけて、俺が運んできたの。覚えてる?」
「……覚えてない」
「だろうな。で、廉太郎が俺のベッドで寝ちゃったから俺も一緒に寝たってわけ」
「なるほど。なる……ほど? ん?」
さらりと語られた事実に、廉太郎は頷きながらも固まった。一緒に寝た、という言葉で自分が大芽のベッドを占領してしまったのだと知り、慌ててベッドから飛び降りる。
「うわ、悪い……! 大芽のベッドなのに」
「別に? ちょうどいい抱き枕があって寝心地は悪くなかったし」
「抱き……っ! 何もしてないよな!?」
「さぁ~? ……どっちだと思う?」
意地の悪い大芽の笑みに、廉太郎はぐっと喉を鳴らす。何もされていないと思いたいが、どうにも尻回りがすーすーしているような気がしなくもない。
「あ、パンツは洗濯しておいたから」
眉間に皺を寄せる廉太郎に、大芽はあっさりと答え合わせをした。
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