11 / 20
11:「良い子だね、廉太郎」
しおりを挟む
「は? で、電話で? 何言ってるんだ。できるわけないだろう」
しかし、廉太郎は大芽の言葉を本気にしていないようだった。電話でセックスすると言われても想像がつかないのだろう。
「そ、電話で。廉太郎、今どこにいる?」
「どこって……部屋にいる、けど」
「じゃ、ベッドに横になって目閉じて」
「なんでそんなこと」
「嫌?」
「当たり前」
「じゃあ、今すぐ電話を切ればいい」
廉太郎が言い終わらないうちに、大芽は選択を迫る。
「……それは」
「できない?」
廉太郎は答えられなかった。
拒絶するのは簡単なはずなのに、大芽の声に安心感を覚えている自分がいる。今電話を切ってしまえば、また母との記憶に飲み込まれる――その恐怖に、大芽を拒絶することができない。
大芽は廉太郎が答えを出すのを待ちながらも、誘うように小さく笑った。
「いいよ、じゃあそのまま聞いてな」
「は……?」
意味深な声の後に、受話器の向こうからファスナーを下ろす音と衣擦れの音が聞こえてきた。
「廉太郎の恥ずかしい格好想像して、俺のチンコすげぇ勃ってるよ」
「っ、大芽……何を」
「あー、はは。いいね。もっと名前呼んで」
吐息混じりに催促され、廉太郎は言葉を飲み込んだ。わざとなのか、大芽が性器を擦る摩擦音が聞こえてくる。
「んっ、ほら……聞こえるだろ? 廉太郎のこと想像しながら扱いてる音」
「や、やめろ……」
「なんで? 興奮、するから?」
「してない……ッ」
はぁ、と熱くて濡れた呼吸が廉太郎の鼓膜に響く。その声に、廉太郎の背中がぞくぞくと震えた。
痺れるような快感から逃れるように、廉太郎は首を振って大芽の言葉を否定する。
「嘘。廉太郎のチンコだってもう硬くなってきてる」
だが、大芽の声は全てを見透かしているようだった。
そんなはずない。
そう答えようとしたのに、廉太郎の性器は大芽の言う通りジーンズの中で膨らみ始めている。
「ぁ、……っ」
「先っぽからカウパー滲んで、パンツ濡らしちゃった?」
大芽の言葉に、下着の中で廉太郎の性器がびくっと震えた。
「して、ない……」
じゅわっと尿道を通る濡れた感触をごまかすように、廉太郎は唇を噛み締める。
「へぇ、ホントかな。じゃあ脱いで確認しないと」
「な、なに……言って」
「大人なのに、パンツ汚しちゃ恥ずかしいだろ。それとも、精液でびしょびしょに濡らすのが好きなの?」
「ちが、違う……っ」
「じゃあ、どうしたらいいかわかるよな」
大芽の言葉に誘導されて、廉太郎は後に引けなくなってしまった。通話を切るタイミングも逃し、受話器の向こうでは催促するような大芽の息遣いが聞こえる。
「……っふ、ぅ」
廉太郎は両目をきつく閉じ、ジーンズのホックに指をかけた。
下着が濡れているから。汚しちゃいけないから。大芽に、求められたから。
これは自分の意思ではないと言い訳を重ねながら、廉太郎はゆっくりとファスナーまでも下ろしていく。
「良い子だね、廉太郎」
「ふぁ、あ……っ」
不意に耳元で優しく褒められ、廉太郎は思わず声を漏らしてしまった。同時に、勃起した性器がぶるっと震えて下着のゴムを押し上げた。
「はは、我慢汁だらだら」
見てもいないはずなのに、大芽は的確に廉太郎の様子を言い当てる。大芽の言葉に煽られてか、廉太郎の尿道からは透明な我慢汁が染み出して竿を濡らす。
「触って」
「っ、う……ぁっ」
「廉太郎」
大芽の声は暗示のようだ。耳元で低く囁かれると、名前を呼ばれると、抵抗も拒絶も薄れていってしまう。
「触れ」
冷ややか命じられて、ついに廉太郎の手は自らの性器を握り込んだ。
「ぁ、あ……ッんぁあ、あぅ……っ!」
上下に数度動かしただけで、廉太郎は身体を震わせて手の中に精液を吐き出した。強烈な快感と、抗えなかったという自己嫌悪に廉太郎の瞳に涙が滲む。
「触っただけでイッちゃった? 俺も、今の声で……イき、そ……ッん、ぐ……っ」
廉太郎の泣き声すら楽しむように、受話器の向こうで大芽が息を押し殺した。自分の泣き声で大芽が達したのだとわかり、廉太郎の顔が熱くなる。
「あ、俺……」
「ははっ、いっぱい出たなぁ? 廉太郎」
揶揄する声に、廉太郎は寸前までの自分の痴態を思い出してしまった。冷静になった頭で、自分が何をしていたのか気付いたらしい。
手のひらにべったりとついた精液は、これを夢や幻にはしてくれない。迫り上がってくる羞恥心に、廉太郎は「うう~」と喉の奥で唸り声を上げた。
「ふ、かわい」
「かっ……!? ~~っ、も、もういいだろう!? 電話切るからな! おやすみ!」
聞こえてきた大芽の言葉に、廉太郎は思わず立ち上がっていた。かわいいなどと、言われる要素がどこにある。
動揺したまま叫び声を上げ、廉太郎はようやく大芽との通話を切ることができた。
最初から相手にせず通話を切ってしまえば良かった。後悔が押し寄せるが、零れた水は元には戻らない。
「はぁ、くそ……」
汚れた手のひらを見下ろして、廉太郎は溜め息を吐く。早く洗い流して忘れてしまおうと、重い足取りで浴室へ向かう。
その背中を引き留めるように、スマホが通知音を鳴らした。ベッドの上で淡く光るディスプレイに目を向けると、大芽からのメッセージが届いていた。
『ゆっくり寝ろよ、おやすみ』
廉太郎を気遣うような文字に、足が止まってしまう。膝から力が抜けて、その場にへたり込んでしまった。
電話では、あんなに意地悪だったというのに。こんなのは、
「ずるいだろ……」
廉太郎の心臓が、再びどくどくと音を立て始めた。
しかし、廉太郎は大芽の言葉を本気にしていないようだった。電話でセックスすると言われても想像がつかないのだろう。
「そ、電話で。廉太郎、今どこにいる?」
「どこって……部屋にいる、けど」
「じゃ、ベッドに横になって目閉じて」
「なんでそんなこと」
「嫌?」
「当たり前」
「じゃあ、今すぐ電話を切ればいい」
廉太郎が言い終わらないうちに、大芽は選択を迫る。
「……それは」
「できない?」
廉太郎は答えられなかった。
拒絶するのは簡単なはずなのに、大芽の声に安心感を覚えている自分がいる。今電話を切ってしまえば、また母との記憶に飲み込まれる――その恐怖に、大芽を拒絶することができない。
大芽は廉太郎が答えを出すのを待ちながらも、誘うように小さく笑った。
「いいよ、じゃあそのまま聞いてな」
「は……?」
意味深な声の後に、受話器の向こうからファスナーを下ろす音と衣擦れの音が聞こえてきた。
「廉太郎の恥ずかしい格好想像して、俺のチンコすげぇ勃ってるよ」
「っ、大芽……何を」
「あー、はは。いいね。もっと名前呼んで」
吐息混じりに催促され、廉太郎は言葉を飲み込んだ。わざとなのか、大芽が性器を擦る摩擦音が聞こえてくる。
「んっ、ほら……聞こえるだろ? 廉太郎のこと想像しながら扱いてる音」
「や、やめろ……」
「なんで? 興奮、するから?」
「してない……ッ」
はぁ、と熱くて濡れた呼吸が廉太郎の鼓膜に響く。その声に、廉太郎の背中がぞくぞくと震えた。
痺れるような快感から逃れるように、廉太郎は首を振って大芽の言葉を否定する。
「嘘。廉太郎のチンコだってもう硬くなってきてる」
だが、大芽の声は全てを見透かしているようだった。
そんなはずない。
そう答えようとしたのに、廉太郎の性器は大芽の言う通りジーンズの中で膨らみ始めている。
「ぁ、……っ」
「先っぽからカウパー滲んで、パンツ濡らしちゃった?」
大芽の言葉に、下着の中で廉太郎の性器がびくっと震えた。
「して、ない……」
じゅわっと尿道を通る濡れた感触をごまかすように、廉太郎は唇を噛み締める。
「へぇ、ホントかな。じゃあ脱いで確認しないと」
「な、なに……言って」
「大人なのに、パンツ汚しちゃ恥ずかしいだろ。それとも、精液でびしょびしょに濡らすのが好きなの?」
「ちが、違う……っ」
「じゃあ、どうしたらいいかわかるよな」
大芽の言葉に誘導されて、廉太郎は後に引けなくなってしまった。通話を切るタイミングも逃し、受話器の向こうでは催促するような大芽の息遣いが聞こえる。
「……っふ、ぅ」
廉太郎は両目をきつく閉じ、ジーンズのホックに指をかけた。
下着が濡れているから。汚しちゃいけないから。大芽に、求められたから。
これは自分の意思ではないと言い訳を重ねながら、廉太郎はゆっくりとファスナーまでも下ろしていく。
「良い子だね、廉太郎」
「ふぁ、あ……っ」
不意に耳元で優しく褒められ、廉太郎は思わず声を漏らしてしまった。同時に、勃起した性器がぶるっと震えて下着のゴムを押し上げた。
「はは、我慢汁だらだら」
見てもいないはずなのに、大芽は的確に廉太郎の様子を言い当てる。大芽の言葉に煽られてか、廉太郎の尿道からは透明な我慢汁が染み出して竿を濡らす。
「触って」
「っ、う……ぁっ」
「廉太郎」
大芽の声は暗示のようだ。耳元で低く囁かれると、名前を呼ばれると、抵抗も拒絶も薄れていってしまう。
「触れ」
冷ややか命じられて、ついに廉太郎の手は自らの性器を握り込んだ。
「ぁ、あ……ッんぁあ、あぅ……っ!」
上下に数度動かしただけで、廉太郎は身体を震わせて手の中に精液を吐き出した。強烈な快感と、抗えなかったという自己嫌悪に廉太郎の瞳に涙が滲む。
「触っただけでイッちゃった? 俺も、今の声で……イき、そ……ッん、ぐ……っ」
廉太郎の泣き声すら楽しむように、受話器の向こうで大芽が息を押し殺した。自分の泣き声で大芽が達したのだとわかり、廉太郎の顔が熱くなる。
「あ、俺……」
「ははっ、いっぱい出たなぁ? 廉太郎」
揶揄する声に、廉太郎は寸前までの自分の痴態を思い出してしまった。冷静になった頭で、自分が何をしていたのか気付いたらしい。
手のひらにべったりとついた精液は、これを夢や幻にはしてくれない。迫り上がってくる羞恥心に、廉太郎は「うう~」と喉の奥で唸り声を上げた。
「ふ、かわい」
「かっ……!? ~~っ、も、もういいだろう!? 電話切るからな! おやすみ!」
聞こえてきた大芽の言葉に、廉太郎は思わず立ち上がっていた。かわいいなどと、言われる要素がどこにある。
動揺したまま叫び声を上げ、廉太郎はようやく大芽との通話を切ることができた。
最初から相手にせず通話を切ってしまえば良かった。後悔が押し寄せるが、零れた水は元には戻らない。
「はぁ、くそ……」
汚れた手のひらを見下ろして、廉太郎は溜め息を吐く。早く洗い流して忘れてしまおうと、重い足取りで浴室へ向かう。
その背中を引き留めるように、スマホが通知音を鳴らした。ベッドの上で淡く光るディスプレイに目を向けると、大芽からのメッセージが届いていた。
『ゆっくり寝ろよ、おやすみ』
廉太郎を気遣うような文字に、足が止まってしまう。膝から力が抜けて、その場にへたり込んでしまった。
電話では、あんなに意地悪だったというのに。こんなのは、
「ずるいだろ……」
廉太郎の心臓が、再びどくどくと音を立て始めた。
7
お気に入りに追加
34
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/essay.png?id=5ada788558fa89228aea)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/youth.png?id=ad9871afe441980cc37c)
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
今日の授業は保健体育
にのみや朱乃
恋愛
(性的描写あり)
僕は家庭教師として、高校三年生のユキの家に行った。
その日はちょうどユキ以外には誰もいなかった。
ユキは勉強したくない、科目を変えようと言う。ユキが提案した科目とは。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる