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11:「良い子だね、廉太郎」
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「は? で、電話で? 何言ってるんだ。できるわけないだろう」
しかし、廉太郎は大芽の言葉を本気にしていないようだった。電話でセックスすると言われても想像がつかないのだろう。
「そ、電話で。廉太郎、今どこにいる?」
「どこって……部屋にいる、けど」
「じゃ、ベッドに横になって目閉じて」
「なんでそんなこと」
「嫌?」
「当たり前」
「じゃあ、今すぐ電話を切ればいい」
廉太郎が言い終わらないうちに、大芽は選択を迫る。
「……それは」
「できない?」
廉太郎は答えられなかった。
拒絶するのは簡単なはずなのに、大芽の声に安心感を覚えている自分がいる。今電話を切ってしまえば、また母との記憶に飲み込まれる――その恐怖に、大芽を拒絶することができない。
大芽は廉太郎が答えを出すのを待ちながらも、誘うように小さく笑った。
「いいよ、じゃあそのまま聞いてな」
「は……?」
意味深な声の後に、受話器の向こうからファスナーを下ろす音と衣擦れの音が聞こえてきた。
「廉太郎の恥ずかしい格好想像して、俺のチンコすげぇ勃ってるよ」
「っ、大芽……何を」
「あー、はは。いいね。もっと名前呼んで」
吐息混じりに催促され、廉太郎は言葉を飲み込んだ。わざとなのか、大芽が性器を擦る摩擦音が聞こえてくる。
「んっ、ほら……聞こえるだろ? 廉太郎のこと想像しながら扱いてる音」
「や、やめろ……」
「なんで? 興奮、するから?」
「してない……ッ」
はぁ、と熱くて濡れた呼吸が廉太郎の鼓膜に響く。その声に、廉太郎の背中がぞくぞくと震えた。
痺れるような快感から逃れるように、廉太郎は首を振って大芽の言葉を否定する。
「嘘。廉太郎のチンコだってもう硬くなってきてる」
だが、大芽の声は全てを見透かしているようだった。
そんなはずない。
そう答えようとしたのに、廉太郎の性器は大芽の言う通りジーンズの中で膨らみ始めている。
「ぁ、……っ」
「先っぽからカウパー滲んで、パンツ濡らしちゃった?」
大芽の言葉に、下着の中で廉太郎の性器がびくっと震えた。
「して、ない……」
じゅわっと尿道を通る濡れた感触をごまかすように、廉太郎は唇を噛み締める。
「へぇ、ホントかな。じゃあ脱いで確認しないと」
「な、なに……言って」
「大人なのに、パンツ汚しちゃ恥ずかしいだろ。それとも、精液でびしょびしょに濡らすのが好きなの?」
「ちが、違う……っ」
「じゃあ、どうしたらいいかわかるよな」
大芽の言葉に誘導されて、廉太郎は後に引けなくなってしまった。通話を切るタイミングも逃し、受話器の向こうでは催促するような大芽の息遣いが聞こえる。
「……っふ、ぅ」
廉太郎は両目をきつく閉じ、ジーンズのホックに指をかけた。
下着が濡れているから。汚しちゃいけないから。大芽に、求められたから。
これは自分の意思ではないと言い訳を重ねながら、廉太郎はゆっくりとファスナーまでも下ろしていく。
「良い子だね、廉太郎」
「ふぁ、あ……っ」
不意に耳元で優しく褒められ、廉太郎は思わず声を漏らしてしまった。同時に、勃起した性器がぶるっと震えて下着のゴムを押し上げた。
「はは、我慢汁だらだら」
見てもいないはずなのに、大芽は的確に廉太郎の様子を言い当てる。大芽の言葉に煽られてか、廉太郎の尿道からは透明な我慢汁が染み出して竿を濡らす。
「触って」
「っ、う……ぁっ」
「廉太郎」
大芽の声は暗示のようだ。耳元で低く囁かれると、名前を呼ばれると、抵抗も拒絶も薄れていってしまう。
「触れ」
冷ややか命じられて、ついに廉太郎の手は自らの性器を握り込んだ。
「ぁ、あ……ッんぁあ、あぅ……っ!」
上下に数度動かしただけで、廉太郎は身体を震わせて手の中に精液を吐き出した。強烈な快感と、抗えなかったという自己嫌悪に廉太郎の瞳に涙が滲む。
「触っただけでイッちゃった? 俺も、今の声で……イき、そ……ッん、ぐ……っ」
廉太郎の泣き声すら楽しむように、受話器の向こうで大芽が息を押し殺した。自分の泣き声で大芽が達したのだとわかり、廉太郎の顔が熱くなる。
「あ、俺……」
「ははっ、いっぱい出たなぁ? 廉太郎」
揶揄する声に、廉太郎は寸前までの自分の痴態を思い出してしまった。冷静になった頭で、自分が何をしていたのか気付いたらしい。
手のひらにべったりとついた精液は、これを夢や幻にはしてくれない。迫り上がってくる羞恥心に、廉太郎は「うう~」と喉の奥で唸り声を上げた。
「ふ、かわい」
「かっ……!? ~~っ、も、もういいだろう!? 電話切るからな! おやすみ!」
聞こえてきた大芽の言葉に、廉太郎は思わず立ち上がっていた。かわいいなどと、言われる要素がどこにある。
動揺したまま叫び声を上げ、廉太郎はようやく大芽との通話を切ることができた。
最初から相手にせず通話を切ってしまえば良かった。後悔が押し寄せるが、零れた水は元には戻らない。
「はぁ、くそ……」
汚れた手のひらを見下ろして、廉太郎は溜め息を吐く。早く洗い流して忘れてしまおうと、重い足取りで浴室へ向かう。
その背中を引き留めるように、スマホが通知音を鳴らした。ベッドの上で淡く光るディスプレイに目を向けると、大芽からのメッセージが届いていた。
『ゆっくり寝ろよ、おやすみ』
廉太郎を気遣うような文字に、足が止まってしまう。膝から力が抜けて、その場にへたり込んでしまった。
電話では、あんなに意地悪だったというのに。こんなのは、
「ずるいだろ……」
廉太郎の心臓が、再びどくどくと音を立て始めた。
しかし、廉太郎は大芽の言葉を本気にしていないようだった。電話でセックスすると言われても想像がつかないのだろう。
「そ、電話で。廉太郎、今どこにいる?」
「どこって……部屋にいる、けど」
「じゃ、ベッドに横になって目閉じて」
「なんでそんなこと」
「嫌?」
「当たり前」
「じゃあ、今すぐ電話を切ればいい」
廉太郎が言い終わらないうちに、大芽は選択を迫る。
「……それは」
「できない?」
廉太郎は答えられなかった。
拒絶するのは簡単なはずなのに、大芽の声に安心感を覚えている自分がいる。今電話を切ってしまえば、また母との記憶に飲み込まれる――その恐怖に、大芽を拒絶することができない。
大芽は廉太郎が答えを出すのを待ちながらも、誘うように小さく笑った。
「いいよ、じゃあそのまま聞いてな」
「は……?」
意味深な声の後に、受話器の向こうからファスナーを下ろす音と衣擦れの音が聞こえてきた。
「廉太郎の恥ずかしい格好想像して、俺のチンコすげぇ勃ってるよ」
「っ、大芽……何を」
「あー、はは。いいね。もっと名前呼んで」
吐息混じりに催促され、廉太郎は言葉を飲み込んだ。わざとなのか、大芽が性器を擦る摩擦音が聞こえてくる。
「んっ、ほら……聞こえるだろ? 廉太郎のこと想像しながら扱いてる音」
「や、やめろ……」
「なんで? 興奮、するから?」
「してない……ッ」
はぁ、と熱くて濡れた呼吸が廉太郎の鼓膜に響く。その声に、廉太郎の背中がぞくぞくと震えた。
痺れるような快感から逃れるように、廉太郎は首を振って大芽の言葉を否定する。
「嘘。廉太郎のチンコだってもう硬くなってきてる」
だが、大芽の声は全てを見透かしているようだった。
そんなはずない。
そう答えようとしたのに、廉太郎の性器は大芽の言う通りジーンズの中で膨らみ始めている。
「ぁ、……っ」
「先っぽからカウパー滲んで、パンツ濡らしちゃった?」
大芽の言葉に、下着の中で廉太郎の性器がびくっと震えた。
「して、ない……」
じゅわっと尿道を通る濡れた感触をごまかすように、廉太郎は唇を噛み締める。
「へぇ、ホントかな。じゃあ脱いで確認しないと」
「な、なに……言って」
「大人なのに、パンツ汚しちゃ恥ずかしいだろ。それとも、精液でびしょびしょに濡らすのが好きなの?」
「ちが、違う……っ」
「じゃあ、どうしたらいいかわかるよな」
大芽の言葉に誘導されて、廉太郎は後に引けなくなってしまった。通話を切るタイミングも逃し、受話器の向こうでは催促するような大芽の息遣いが聞こえる。
「……っふ、ぅ」
廉太郎は両目をきつく閉じ、ジーンズのホックに指をかけた。
下着が濡れているから。汚しちゃいけないから。大芽に、求められたから。
これは自分の意思ではないと言い訳を重ねながら、廉太郎はゆっくりとファスナーまでも下ろしていく。
「良い子だね、廉太郎」
「ふぁ、あ……っ」
不意に耳元で優しく褒められ、廉太郎は思わず声を漏らしてしまった。同時に、勃起した性器がぶるっと震えて下着のゴムを押し上げた。
「はは、我慢汁だらだら」
見てもいないはずなのに、大芽は的確に廉太郎の様子を言い当てる。大芽の言葉に煽られてか、廉太郎の尿道からは透明な我慢汁が染み出して竿を濡らす。
「触って」
「っ、う……ぁっ」
「廉太郎」
大芽の声は暗示のようだ。耳元で低く囁かれると、名前を呼ばれると、抵抗も拒絶も薄れていってしまう。
「触れ」
冷ややか命じられて、ついに廉太郎の手は自らの性器を握り込んだ。
「ぁ、あ……ッんぁあ、あぅ……っ!」
上下に数度動かしただけで、廉太郎は身体を震わせて手の中に精液を吐き出した。強烈な快感と、抗えなかったという自己嫌悪に廉太郎の瞳に涙が滲む。
「触っただけでイッちゃった? 俺も、今の声で……イき、そ……ッん、ぐ……っ」
廉太郎の泣き声すら楽しむように、受話器の向こうで大芽が息を押し殺した。自分の泣き声で大芽が達したのだとわかり、廉太郎の顔が熱くなる。
「あ、俺……」
「ははっ、いっぱい出たなぁ? 廉太郎」
揶揄する声に、廉太郎は寸前までの自分の痴態を思い出してしまった。冷静になった頭で、自分が何をしていたのか気付いたらしい。
手のひらにべったりとついた精液は、これを夢や幻にはしてくれない。迫り上がってくる羞恥心に、廉太郎は「うう~」と喉の奥で唸り声を上げた。
「ふ、かわい」
「かっ……!? ~~っ、も、もういいだろう!? 電話切るからな! おやすみ!」
聞こえてきた大芽の言葉に、廉太郎は思わず立ち上がっていた。かわいいなどと、言われる要素がどこにある。
動揺したまま叫び声を上げ、廉太郎はようやく大芽との通話を切ることができた。
最初から相手にせず通話を切ってしまえば良かった。後悔が押し寄せるが、零れた水は元には戻らない。
「はぁ、くそ……」
汚れた手のひらを見下ろして、廉太郎は溜め息を吐く。早く洗い流して忘れてしまおうと、重い足取りで浴室へ向かう。
その背中を引き留めるように、スマホが通知音を鳴らした。ベッドの上で淡く光るディスプレイに目を向けると、大芽からのメッセージが届いていた。
『ゆっくり寝ろよ、おやすみ』
廉太郎を気遣うような文字に、足が止まってしまう。膝から力が抜けて、その場にへたり込んでしまった。
電話では、あんなに意地悪だったというのに。こんなのは、
「ずるいだろ……」
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