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第一章 王国編第二部(中等部)
エピソード158 逃げるか否か
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「モーガン、フィーネと夕食の待ち合わせをしていて、遅刻したから一緒に謝ってくれないか?」
「えっ? 嫌だよ」
「頼む! モーガン! 親友だろ」
「……もう! 今回だけだよ」
オレのジャパニーズスタイルの土下座により、モーガンは諦めた表情で一緒にフィーネに謝る事を了承してくれた。
そして…………
「遅いわよ! それに卑怯よ」
「まぁまぁフィーネ、少しは落ち着いて。クライヴも謝っているんだしさ」
「それが卑怯なのよ!」
「何が卑怯なんだよモーガンがいないと怒り出すだろ!」
「もう怒ってるわよ」
「まぁまぁ二人とも落ち着きなよ」
こうなる事は予想できたが、案の定食堂でオレとフィーネが口喧嘩を繰り広げていた……
オレ達の口喧嘩の様子に周りのギャラリーがザワザワとしていて、流石にモーガンも呆れた表情を浮かべて口喧嘩の仲裁に入る。
「モーガンはオレの味方だよな」
「モーガンはアタシの味方でしょ」
「どっちの味方でもないけど……」
口喧嘩の火の粉に巻き込まれないようにモーガンはオレ達の呼びかけを華麗に躱した。
そんな時にギャラリーの中からオレ達の元へ近づく足音が聞こえてくる。
「フッ……相変わらずだね。二人の夫婦漫才は」
「「リアナ」」
オレとフィーネはハモりながら声のする方向へ振り向くと、そこにはリアナともう一人女性が立っていた。
その女性はリアナと同じ髪と目の色の外はねミディアムヘアーで、モーガンの話から察するとこの人がリアナのお姉さんのレベッカ様と思われる。
「初めまして。リアナの姉のレベッカ・ヘンダーソンと申します」
「は、はじめまして。フィーネと言います」
「はじめまして。クライヴです」
「モーガンと申します。以後お見知りおき下さい」
オレ達は三者三様の挨拶をするとレベッカ様は笑顔で話しかけてくれた。
「フフッ……リアナがいつもお世話になってます。良かったわねリアナ。こんな素敵なお友達と出会えて。ところでショーン君はいないのかしら?」
「ちょっ! レベッカお姉様! 今ショーンは関係ないでしょう!」
「あらあら、同じ師を持つ同志なのでしょう。そんなに仲良くしている子がいるなんて私も一度お会いしたいわ」
「クッ!」
レベッカ様の意地悪な質問にリアナは耳を赤くしていた。
そしてオレとフィーネ(特にフィーネが)は、そんなリアナを見てニマニマと笑みを浮かべていた。
(おっ! ショーンとリアナってそんな感じなの? お互い稽古に励みいつしか友情を超えた的なやつなのか? 今度それとなくショーンに聞いてみようかなぁ?)
「クライヴ。悪い顔になってるよ」
「ほう……ぼくに何か言いたいようだなクライヴ」
呆れるモーガンと対照的にリアナは眉間に皺を寄せてオレを睨んでいた。
(いやいや! オレだけじゃなくてフィーネも同罪だろ!)
「クライヴ! 身体も鈍っているだろう。明日ザック先生とヒューゴ師匠に共に鍛えてもらおう」
「えっ……いや、遠慮します……」
「ぼくの誘いを断るんだね」
「…………すみませんでした! 本当にごめんなさい!」
「クッ! まあいい、今日はレベッカお姉様もいるのでこの辺で許してあげよう」
オレはリアナの方をチラ見するとレベッカ様が真剣な表情でリアナに何か言いたそうにしていて、リアナもそれに気づいて、オレを許してくれた。
「リアナ! ダメよ、お友達にそんな事言ったら!」
(あぁ女神様ありがとうございます。リアナも冒険者協会の依頼を受けれずフラストレーションが溜まっているなぁ、ショーンが来たらみんなで採取依頼でも受けに行こうかな? それか獣の駆除とか)
そんな事を頭の片隅に置き、オレ達はレベッカ様も交えて夕食を取る事になり、食事の際に世間話でハッピースマイルポテイトンの話をしたら、レベッカ様はすごく驚いた表情をしていた。
「えっ! そうなんだ。貴方達があのポテト屋さんで働いていたの! 私達高等部でもあのポテトは人気よ! 買う事を恥ずかしがっている貴族の学生なんか、わざわざ使用人に買いに行かせたりしているわよ」
「そんなに人気なんですか?」
「そうなのよ! クライヴ君が思っている以上に学生達には人気なのよ。特にレモネードというシュワシュワする飲み物は革命的だわ」
(ただの炭酸飲料です。しかも重曹の魔道具で実は大量に作れますが、価格が下げない為に制限しているんです)
「私も作物の品質改善や魔道具による農作業の効率化等の農業に関する研究をしているのだけど、ジャガイモの新たな調理方法や道具も凄いアイデアだわ。クライヴ君の発想力を分けて欲しいわ」
「いや、レベッカお姉様。天才と変人は紙一重ですから」
「そうなんです。アタシも驚いたんですけどクライヴは変なんです」
(どこが変なんだよ! おまえの方がおかしいだろ!)
「クライヴは奇想天外で考え方だけでなく、変な物を集めたりしますし、冒険者稼業でも不思議な事が出来る……とにかく変なけど良い人なんですよ」
(おいぃぃ! モーガンまで何言ってんの? みんなオレの事を変な奴だと思っていたの? そうなの?)
そんなこんなで会話が弾む中、夕食も終わってレベッカ様がオレ達の方を見て微笑んだ。
「フフフ……みんな仲が良いのね。これからもリアナと仲良くしてちょうだいね」
「「「はい」」」
そしてオレ達は食堂を後にしてそれぞれの寮へ帰ろうとした…………時、フィーネがオレの袖を引っ張ったきた。その顔に笑顔はなく切羽詰まっている表情をしていた。
「どうしたんだフィーネ?」
「明日時間あるわよね。話したいんだけど……」
「あぁ大丈夫だけど、ちなみに何の話なんだ?」
「アンタが馬車で言ってた事よ」
「えっ…………」
(何が物凄く嫌な予感がしたきたぞ……何の事だ? 馬車? いつフィーネと馬車で話したんだそんな深刻そうな話を?)
「ちゃんと教えなさいよ!」
「お、おう……」
(教える? 一体何の事だ?)
オレはフィーネの言葉の意味が分からず呆然と立ち尽くし、只々フィーネの背中を見続けていた……
「えっ? 嫌だよ」
「頼む! モーガン! 親友だろ」
「……もう! 今回だけだよ」
オレのジャパニーズスタイルの土下座により、モーガンは諦めた表情で一緒にフィーネに謝る事を了承してくれた。
そして…………
「遅いわよ! それに卑怯よ」
「まぁまぁフィーネ、少しは落ち着いて。クライヴも謝っているんだしさ」
「それが卑怯なのよ!」
「何が卑怯なんだよモーガンがいないと怒り出すだろ!」
「もう怒ってるわよ」
「まぁまぁ二人とも落ち着きなよ」
こうなる事は予想できたが、案の定食堂でオレとフィーネが口喧嘩を繰り広げていた……
オレ達の口喧嘩の様子に周りのギャラリーがザワザワとしていて、流石にモーガンも呆れた表情を浮かべて口喧嘩の仲裁に入る。
「モーガンはオレの味方だよな」
「モーガンはアタシの味方でしょ」
「どっちの味方でもないけど……」
口喧嘩の火の粉に巻き込まれないようにモーガンはオレ達の呼びかけを華麗に躱した。
そんな時にギャラリーの中からオレ達の元へ近づく足音が聞こえてくる。
「フッ……相変わらずだね。二人の夫婦漫才は」
「「リアナ」」
オレとフィーネはハモりながら声のする方向へ振り向くと、そこにはリアナともう一人女性が立っていた。
その女性はリアナと同じ髪と目の色の外はねミディアムヘアーで、モーガンの話から察するとこの人がリアナのお姉さんのレベッカ様と思われる。
「初めまして。リアナの姉のレベッカ・ヘンダーソンと申します」
「は、はじめまして。フィーネと言います」
「はじめまして。クライヴです」
「モーガンと申します。以後お見知りおき下さい」
オレ達は三者三様の挨拶をするとレベッカ様は笑顔で話しかけてくれた。
「フフッ……リアナがいつもお世話になってます。良かったわねリアナ。こんな素敵なお友達と出会えて。ところでショーン君はいないのかしら?」
「ちょっ! レベッカお姉様! 今ショーンは関係ないでしょう!」
「あらあら、同じ師を持つ同志なのでしょう。そんなに仲良くしている子がいるなんて私も一度お会いしたいわ」
「クッ!」
レベッカ様の意地悪な質問にリアナは耳を赤くしていた。
そしてオレとフィーネ(特にフィーネが)は、そんなリアナを見てニマニマと笑みを浮かべていた。
(おっ! ショーンとリアナってそんな感じなの? お互い稽古に励みいつしか友情を超えた的なやつなのか? 今度それとなくショーンに聞いてみようかなぁ?)
「クライヴ。悪い顔になってるよ」
「ほう……ぼくに何か言いたいようだなクライヴ」
呆れるモーガンと対照的にリアナは眉間に皺を寄せてオレを睨んでいた。
(いやいや! オレだけじゃなくてフィーネも同罪だろ!)
「クライヴ! 身体も鈍っているだろう。明日ザック先生とヒューゴ師匠に共に鍛えてもらおう」
「えっ……いや、遠慮します……」
「ぼくの誘いを断るんだね」
「…………すみませんでした! 本当にごめんなさい!」
「クッ! まあいい、今日はレベッカお姉様もいるのでこの辺で許してあげよう」
オレはリアナの方をチラ見するとレベッカ様が真剣な表情でリアナに何か言いたそうにしていて、リアナもそれに気づいて、オレを許してくれた。
「リアナ! ダメよ、お友達にそんな事言ったら!」
(あぁ女神様ありがとうございます。リアナも冒険者協会の依頼を受けれずフラストレーションが溜まっているなぁ、ショーンが来たらみんなで採取依頼でも受けに行こうかな? それか獣の駆除とか)
そんな事を頭の片隅に置き、オレ達はレベッカ様も交えて夕食を取る事になり、食事の際に世間話でハッピースマイルポテイトンの話をしたら、レベッカ様はすごく驚いた表情をしていた。
「えっ! そうなんだ。貴方達があのポテト屋さんで働いていたの! 私達高等部でもあのポテトは人気よ! 買う事を恥ずかしがっている貴族の学生なんか、わざわざ使用人に買いに行かせたりしているわよ」
「そんなに人気なんですか?」
「そうなのよ! クライヴ君が思っている以上に学生達には人気なのよ。特にレモネードというシュワシュワする飲み物は革命的だわ」
(ただの炭酸飲料です。しかも重曹の魔道具で実は大量に作れますが、価格が下げない為に制限しているんです)
「私も作物の品質改善や魔道具による農作業の効率化等の農業に関する研究をしているのだけど、ジャガイモの新たな調理方法や道具も凄いアイデアだわ。クライヴ君の発想力を分けて欲しいわ」
「いや、レベッカお姉様。天才と変人は紙一重ですから」
「そうなんです。アタシも驚いたんですけどクライヴは変なんです」
(どこが変なんだよ! おまえの方がおかしいだろ!)
「クライヴは奇想天外で考え方だけでなく、変な物を集めたりしますし、冒険者稼業でも不思議な事が出来る……とにかく変なけど良い人なんですよ」
(おいぃぃ! モーガンまで何言ってんの? みんなオレの事を変な奴だと思っていたの? そうなの?)
そんなこんなで会話が弾む中、夕食も終わってレベッカ様がオレ達の方を見て微笑んだ。
「フフフ……みんな仲が良いのね。これからもリアナと仲良くしてちょうだいね」
「「「はい」」」
そしてオレ達は食堂を後にしてそれぞれの寮へ帰ろうとした…………時、フィーネがオレの袖を引っ張ったきた。その顔に笑顔はなく切羽詰まっている表情をしていた。
「どうしたんだフィーネ?」
「明日時間あるわよね。話したいんだけど……」
「あぁ大丈夫だけど、ちなみに何の話なんだ?」
「アンタが馬車で言ってた事よ」
「えっ…………」
(何が物凄く嫌な予感がしたきたぞ……何の事だ? 馬車? いつフィーネと馬車で話したんだそんな深刻そうな話を?)
「ちゃんと教えなさいよ!」
「お、おう……」
(教える? 一体何の事だ?)
オレはフィーネの言葉の意味が分からず呆然と立ち尽くし、只々フィーネの背中を見続けていた……
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