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第一章 王国編第二部(中等部)
エピソード? ダリアサイド
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「ダリア様! 馬車からは出ず隠れていて下さい!」
突然の魔獣の出現だった。
わたしが他の街も観光しようと言わなければこんな事にならなかった……
オークの他にも獣が出現にしたようで、わたしは死を覚悟していた。
その時わたしは後悔の念に駆られていたスノウとヴァネッサ様の事を考えていた。
(あぁ、こういう感情だったのかなぁスノウも……いや……わたし達を恨んで逝ったのかなぁ……)
私は走馬灯のように幼かった頃の思い出が蘇る……
「ダリア姉様…………助けに参りました…………」
「な、何でスノウが…………」
わたしは突然聞こえてきた声に反応するとスノウに良く似た人物がそこに居た……
(あぁ、幻聴が聞こえるわ……それともついにそっちの世界に足を踏み入れたのかしら……)
「なっ……ス……スノウ……ここは死後の世界なの……やっぱりわたしは命を落としたのね…………最後にイーサンお兄様に会いたかった…………嫌だよ……ふぇ~~~ん……」
わたしは立ち上がる気力さえなくなり、只々項垂れていた。
―――今から四年前―――
社交パーティーでの爆破事件により、多数の貴族が関わっていた事が判明した。
そしてその代償は…………ヴァネッサ様、スノウ、その護衛のヒュンメルの三名の命だった……
あの事件以降お父様は家族と過ごす時間を減らしてベイグランド宰相とこの帝国の悪き貴族達を見つけ出そうとしているらしく、それはスノウ達の仇打ちのように感じた…………
わたしは、イーサンお兄様と過ごす時間が増えてイーサンお兄様が私に皇族に必要な知識やマナーを教えてくれた。
その事が嬉しくて勉強なんか上の空だったわ。
……でも、イーサンお兄様の言葉でわたしは目が覚めたわ。
「ダリア? ちゃんと集中しようね。今日はこの帝国での皇族としての役割について話をしようか?」
「はい! イーサンお兄様!」
「ダリアはマキシム兄さんや母上の事をどう思っている?」
(何故そんな事を聞くのだろうか?)
わたしは疑問に思いながら思った事を言った。
「大変なのかなあと思います。それにわたしはお母様の言う通りにしてお利口さんですから」
わたしは笑顔でそう答えたが、イーサンお兄様は笑う事なく、困ったような顔でわたしに話しかけた。
「ダリアはスノウの事はどう思う?」
何故わたしにそんな事聞くのか分からないが、少し考えて亡くなった憐れみとイーサンお兄様を独り占めしていた苛立ちが胸の中で渦巻いた。
「スノウは嫌いですの! だってマキシムお兄様を蹴落として自分が次期帝王になるつもりでしたから当然の報いです! お母様も一安心したと言ってました」
わたしの言葉にイーサンお兄様は悲しそうな表情をしていた。
「スノウはそんな事望んでいないよ……ボクと同じでマキシム兄さんを支えるつもりだったよ……あれだけの仕打ちをされてでもね。
母上達の考えがおかしいと思わないかい?
社交パーティー事件で捕まったのは全て母上を支持する貴族達……ボクから見れば王妃が何故そんな奇行をするのか? 本当に帝国の未来は大丈夫かと……思うけどね」
わたしは……お母様から伝えられていない真実を初めて知った……
「え……わたしは出席していないのでわかりませんが、お母様やマキシム兄様は、スノウの仕業と言ってたので……わかりません……どういう事ですか?」
「この前の社交パーティーで父上とベイグランド宰相は次々と犯行に関わった貴族を裁いている。その貴族は全て母上を支持する貴族で、中には母上に指示されたと言う貴族もいたようだよ。そしてタイミングが良すぎるヴァネッサ様達の死……不自然に思わないかい?」
(イーサンお兄様は嘘をつかないわ……
という事は……わたしには真実が届かないようにお母様に操られていた?)
わたしは……今まで自分がしてきた愚かな事に気づけた。
「ずっとお母様に言われていたの……スノウは駄々をこねてイーサンお兄様を困らせているって……それに…………」
わたしは先程の苛立ちや憐れみの感情が消え失せて、どうしようと言う戸惑いが押し寄せてくる。
「駄々はこねていないし、ボクは困っていないよ。ボクはマキシム兄さんの戦争で帝国が繁栄するという浅はかな考えには賛同できないよ。それよりもスノウと帝国の未来について話をする方が何倍も楽しかったんだよ。スノウは優しい子だから民の事を思い、父上が作り上げたこの平和な帝国を継続できるようにと日々考えていたんだよ」
(え……どうしよう……わたしは今までスノウに嫌がらせばかりしていたわ……)
「そんなの……わたし知らなかった……」
愕然としてショックを受けるわたしにイーサンお兄様は優しい笑みを浮かべた。
「だから……ダリアはちゃんと自分で考えて行動や言動に気をつけるんだよ。それじゃあ勉強を始めるからしっかり学ぼうね」
「……はい」
「大丈夫、大丈夫。ダリアは間違いに気が付ける子だからね。皇女として色々と学ぶ事はあるから覚悟するんだよ」
そう言ってイーサンお兄様はわたしの頭を優しく撫でてくれた。
それからわたしはイーサンお兄様と一緒に帝国の歴史、貴族達の思惑、皇女としてのマナー等色々と学びを深めた。
そして十四歳の夏。
最近のわたしは外交、主に他国への関心が強くなり、お母様に無理言って近隣国のマクウィリアズ王国へ護衛とともに旅行に行く事を許してもらった。
お父様がマクウィリアズ王へわたしが旅行に行くと手紙を出してくれたようで、帝国から一番近いサンダース辺境伯領の街に旅行する事となった。
色々と旅行に行きたかったが、一番近くのサンダース辺境伯領しか旅行は許してくれなかった。
(お父様とお母様め! わたしはもう子どもじゃないんだから!)
まず初日は大きな街に二日間滞在して観光した。
何も無いところから水を出す魔法という不思議な現象に感動して、ハンティングという伝統行事等、帝国には無い事だらけで、とても刺激的な二日間だった。
(こんなに近くてこうも文化が違うとは……他の街にも行ってみたいわ)
そして次の日他の街にも行くと護衛達に伝えて馬車を走らせた。
これが大きな間違いだったのね…………
―――そして現在、馬車内にて―――
「ハァー…………ダリア姉様、単刀直入に言いますね。助けようと思い仲間達と来ました。
オレはこの国で静かに暮らしてますので……オレと姉さんは初対面って事にして下さい。それと帝国の人達には伝えないようにして下さい。そこの使用人も! それが助ける条件です」
「えっ……げ、現実…………」
目の前にいるスノウは幼少期の面影が少しあるが、髪型がクルクルとなっていて少し別人のように見えた。
(何よ! 生きているなら言いなさいよ! わたしの後悔はなんだったのよ!)
するとスノウはわたしの手を取り優しく起こしてくれた。スノウは冷静さを取り戻せていないわたしの手を取り、そのままスノウの胸に手を置いた。
確かに鼓動が聞こえる。
「ほら、生きているでしょ。どうしますか先程の条件をのみますか?」
「ハ……ス、スノウ………… そ、しょうがないでしゅっ! しょうがないです! 助けていただきますわ!」
(ちょっと殿方の胸を触るなんて……破廉恥ですわ! 驚いたから噛んだのよ! 決してスノウがカッコイイとかじゃないわよ!)
その後スノウの事をクライヴと言うスノウの友達? がぞろぞろと馬車に入ってきて、わたし達を助ける為に急いで駆けつけてくれたとの事だった。
そしてスノウ達が援護に向かった後、わたしは護衛やスノウ達の無事を祈り続けた。
(神様! せっかくスノウに会えたので必ずお助け下さい! わたしに謝る機会を与えて下さい!)
数十分後にスノウは馬車に戻ってきた。
見た感じでは大きな怪我など無さそうだった。
しかし驚いた事があった……スノウ自らが前線で戦っていた事にわたしは気恥ずかしさと何故か胸が苦しくなった……
(何でそこまで頑張れるの? ましてや憎い相手でしょ? わたしなんか……)
「ダリア姉様、姉様達を助けましたので、くれぐれも帝国で私が生きていた事は話さないで下さいね。また、使用人や護衛にも同様に伝えて下さい」
(何故なの? わたし達に怒りはないの?)
わたしはスノウの言葉が理解できなかった。
「ス、スノウ……貴方はそれで良いのですか! お母様とマキシムお兄様に追い出されて悔しくないのですか? 貴方のお母様がお亡くなりになり恨みなどないのですか!」
わたしはスノウの本心をを聞き出そうとしていたが、スノウはヴァネッサ様の遺言通り、第二の人生を楽しく平穏に過ごしたいだけのようだった。
わたしは意地を張りながらもスノウに謝罪する事ができ、またスノウもそんなわたしを許してくれた。
(イーサンお兄様の言う通り……スノウはとても優しい子です。どうして今まで見ようとしなかったのだろう……お母様の話だけ鵜呑みにしていたのだろう…………これからはわたしもイーサンお兄様のようにスノウを守るわ!)
スノウに気づかれないようにそんな決意をしたわたしだった。
突然の魔獣の出現だった。
わたしが他の街も観光しようと言わなければこんな事にならなかった……
オークの他にも獣が出現にしたようで、わたしは死を覚悟していた。
その時わたしは後悔の念に駆られていたスノウとヴァネッサ様の事を考えていた。
(あぁ、こういう感情だったのかなぁスノウも……いや……わたし達を恨んで逝ったのかなぁ……)
私は走馬灯のように幼かった頃の思い出が蘇る……
「ダリア姉様…………助けに参りました…………」
「な、何でスノウが…………」
わたしは突然聞こえてきた声に反応するとスノウに良く似た人物がそこに居た……
(あぁ、幻聴が聞こえるわ……それともついにそっちの世界に足を踏み入れたのかしら……)
「なっ……ス……スノウ……ここは死後の世界なの……やっぱりわたしは命を落としたのね…………最後にイーサンお兄様に会いたかった…………嫌だよ……ふぇ~~~ん……」
わたしは立ち上がる気力さえなくなり、只々項垂れていた。
―――今から四年前―――
社交パーティーでの爆破事件により、多数の貴族が関わっていた事が判明した。
そしてその代償は…………ヴァネッサ様、スノウ、その護衛のヒュンメルの三名の命だった……
あの事件以降お父様は家族と過ごす時間を減らしてベイグランド宰相とこの帝国の悪き貴族達を見つけ出そうとしているらしく、それはスノウ達の仇打ちのように感じた…………
わたしは、イーサンお兄様と過ごす時間が増えてイーサンお兄様が私に皇族に必要な知識やマナーを教えてくれた。
その事が嬉しくて勉強なんか上の空だったわ。
……でも、イーサンお兄様の言葉でわたしは目が覚めたわ。
「ダリア? ちゃんと集中しようね。今日はこの帝国での皇族としての役割について話をしようか?」
「はい! イーサンお兄様!」
「ダリアはマキシム兄さんや母上の事をどう思っている?」
(何故そんな事を聞くのだろうか?)
わたしは疑問に思いながら思った事を言った。
「大変なのかなあと思います。それにわたしはお母様の言う通りにしてお利口さんですから」
わたしは笑顔でそう答えたが、イーサンお兄様は笑う事なく、困ったような顔でわたしに話しかけた。
「ダリアはスノウの事はどう思う?」
何故わたしにそんな事聞くのか分からないが、少し考えて亡くなった憐れみとイーサンお兄様を独り占めしていた苛立ちが胸の中で渦巻いた。
「スノウは嫌いですの! だってマキシムお兄様を蹴落として自分が次期帝王になるつもりでしたから当然の報いです! お母様も一安心したと言ってました」
わたしの言葉にイーサンお兄様は悲しそうな表情をしていた。
「スノウはそんな事望んでいないよ……ボクと同じでマキシム兄さんを支えるつもりだったよ……あれだけの仕打ちをされてでもね。
母上達の考えがおかしいと思わないかい?
社交パーティー事件で捕まったのは全て母上を支持する貴族達……ボクから見れば王妃が何故そんな奇行をするのか? 本当に帝国の未来は大丈夫かと……思うけどね」
わたしは……お母様から伝えられていない真実を初めて知った……
「え……わたしは出席していないのでわかりませんが、お母様やマキシム兄様は、スノウの仕業と言ってたので……わかりません……どういう事ですか?」
「この前の社交パーティーで父上とベイグランド宰相は次々と犯行に関わった貴族を裁いている。その貴族は全て母上を支持する貴族で、中には母上に指示されたと言う貴族もいたようだよ。そしてタイミングが良すぎるヴァネッサ様達の死……不自然に思わないかい?」
(イーサンお兄様は嘘をつかないわ……
という事は……わたしには真実が届かないようにお母様に操られていた?)
わたしは……今まで自分がしてきた愚かな事に気づけた。
「ずっとお母様に言われていたの……スノウは駄々をこねてイーサンお兄様を困らせているって……それに…………」
わたしは先程の苛立ちや憐れみの感情が消え失せて、どうしようと言う戸惑いが押し寄せてくる。
「駄々はこねていないし、ボクは困っていないよ。ボクはマキシム兄さんの戦争で帝国が繁栄するという浅はかな考えには賛同できないよ。それよりもスノウと帝国の未来について話をする方が何倍も楽しかったんだよ。スノウは優しい子だから民の事を思い、父上が作り上げたこの平和な帝国を継続できるようにと日々考えていたんだよ」
(え……どうしよう……わたしは今までスノウに嫌がらせばかりしていたわ……)
「そんなの……わたし知らなかった……」
愕然としてショックを受けるわたしにイーサンお兄様は優しい笑みを浮かべた。
「だから……ダリアはちゃんと自分で考えて行動や言動に気をつけるんだよ。それじゃあ勉強を始めるからしっかり学ぼうね」
「……はい」
「大丈夫、大丈夫。ダリアは間違いに気が付ける子だからね。皇女として色々と学ぶ事はあるから覚悟するんだよ」
そう言ってイーサンお兄様はわたしの頭を優しく撫でてくれた。
それからわたしはイーサンお兄様と一緒に帝国の歴史、貴族達の思惑、皇女としてのマナー等色々と学びを深めた。
そして十四歳の夏。
最近のわたしは外交、主に他国への関心が強くなり、お母様に無理言って近隣国のマクウィリアズ王国へ護衛とともに旅行に行く事を許してもらった。
お父様がマクウィリアズ王へわたしが旅行に行くと手紙を出してくれたようで、帝国から一番近いサンダース辺境伯領の街に旅行する事となった。
色々と旅行に行きたかったが、一番近くのサンダース辺境伯領しか旅行は許してくれなかった。
(お父様とお母様め! わたしはもう子どもじゃないんだから!)
まず初日は大きな街に二日間滞在して観光した。
何も無いところから水を出す魔法という不思議な現象に感動して、ハンティングという伝統行事等、帝国には無い事だらけで、とても刺激的な二日間だった。
(こんなに近くてこうも文化が違うとは……他の街にも行ってみたいわ)
そして次の日他の街にも行くと護衛達に伝えて馬車を走らせた。
これが大きな間違いだったのね…………
―――そして現在、馬車内にて―――
「ハァー…………ダリア姉様、単刀直入に言いますね。助けようと思い仲間達と来ました。
オレはこの国で静かに暮らしてますので……オレと姉さんは初対面って事にして下さい。それと帝国の人達には伝えないようにして下さい。そこの使用人も! それが助ける条件です」
「えっ……げ、現実…………」
目の前にいるスノウは幼少期の面影が少しあるが、髪型がクルクルとなっていて少し別人のように見えた。
(何よ! 生きているなら言いなさいよ! わたしの後悔はなんだったのよ!)
するとスノウはわたしの手を取り優しく起こしてくれた。スノウは冷静さを取り戻せていないわたしの手を取り、そのままスノウの胸に手を置いた。
確かに鼓動が聞こえる。
「ほら、生きているでしょ。どうしますか先程の条件をのみますか?」
「ハ……ス、スノウ………… そ、しょうがないでしゅっ! しょうがないです! 助けていただきますわ!」
(ちょっと殿方の胸を触るなんて……破廉恥ですわ! 驚いたから噛んだのよ! 決してスノウがカッコイイとかじゃないわよ!)
その後スノウの事をクライヴと言うスノウの友達? がぞろぞろと馬車に入ってきて、わたし達を助ける為に急いで駆けつけてくれたとの事だった。
そしてスノウ達が援護に向かった後、わたしは護衛やスノウ達の無事を祈り続けた。
(神様! せっかくスノウに会えたので必ずお助け下さい! わたしに謝る機会を与えて下さい!)
数十分後にスノウは馬車に戻ってきた。
見た感じでは大きな怪我など無さそうだった。
しかし驚いた事があった……スノウ自らが前線で戦っていた事にわたしは気恥ずかしさと何故か胸が苦しくなった……
(何でそこまで頑張れるの? ましてや憎い相手でしょ? わたしなんか……)
「ダリア姉様、姉様達を助けましたので、くれぐれも帝国で私が生きていた事は話さないで下さいね。また、使用人や護衛にも同様に伝えて下さい」
(何故なの? わたし達に怒りはないの?)
わたしはスノウの言葉が理解できなかった。
「ス、スノウ……貴方はそれで良いのですか! お母様とマキシムお兄様に追い出されて悔しくないのですか? 貴方のお母様がお亡くなりになり恨みなどないのですか!」
わたしはスノウの本心をを聞き出そうとしていたが、スノウはヴァネッサ様の遺言通り、第二の人生を楽しく平穏に過ごしたいだけのようだった。
わたしは意地を張りながらもスノウに謝罪する事ができ、またスノウもそんなわたしを許してくれた。
(イーサンお兄様の言う通り……スノウはとても優しい子です。どうして今まで見ようとしなかったのだろう……お母様の話だけ鵜呑みにしていたのだろう…………これからはわたしもイーサンお兄様のようにスノウを守るわ!)
スノウに気づかれないようにそんな決意をしたわたしだった。
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