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第一章 王国編第二部(中等部)
エピソード152 まずは作戦を
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「なっ……ス……スノウ……ここは死後の世界なの……やっぱりわたしは命を落としたのね…………最後にイーサンお兄様に会いたかった…………嫌だよ……ふぇ~~~ん……」
帝国の紋章の刺繍入りの宝石が散りばめられたワンピースを着たダリアが、オレの前でアヒル座りをしていて項垂れていた。
ガクリと今にも顔面から倒れそうな様子で……
(何でオレの顔を見て自分が死んだと思い込んでんだよ! 馬車の中で隠れているだけで死ぬわけないだろ!)
オレはそんな事を思って少しだけムカついたが、ダリアの隣の使用人もオレの顔を見て顔面蒼白になっている。
「許して下さい! 成仏して下さいスノウ様! ダリア様を連れて行かないで下さい!」
両手を擦り合わせる二十代そこそこの使用人……
(ダリアの身の回りの世話係と思うが…………何でだよ! オレが生きていたとは一ミリも考えないのかお前達は?)
「ハァー…………ダリア姉様、単刀直入に言いますね。助けようと思い仲間達と来ました。
オレはこの国で静かに暮らしてますので……オレと姉さんは初対面って事にして下さい。それと帝国の人達には伝えないようにして下さい。そこの使用人も! それが助ける条件です」
オレはしゃがみ込みダリアに向かって淡々と告げた。本当はどうであれ助けるつもりだが、面倒ごととオレの身の危険を避けたかったのでワザとそう言った。
「えっ……げ、現実…………」
「ダリア様お気を確かに! 悪霊はわたくしが成仏させてみます。アーメン」
使用人の方が現実逃避していて話が進まない。
オレはダリアの手を取りダリアを起こした。
「えっ? 本当? スノウなの……」
まだプチパニックなダリアを落ち着かせる為にオレは、ダリアの手を取り心臓の音を聞かせた。
「ほら、生きているでしょ。どうしますか先程の条件をのみますか?」
「ハ……ス、スノウ………… そ、しょうがないでしゅっ! しょうがないです! 助けていただきますわ!」
少し驚き、次に恥ずかしがり、その次に完全回復したダリアは高圧的な物言いでお願いをしてきた。
(あっ噛んだな……まだ状況理解出来てないのに相変わらず凄いなぁ……助けてもらう身でマウントを取りにくるなんて……)
そしてオレとダリアの密約が交わされた時に、タイミング良くジェイミー様がやってきた。
「クライヴ! 一人で突っ走ってんじゃねぇ」
ジェイミー様は怒っている様子だが、ダリアの姿が視界に入った時、見に纏う衣装から皇族だと気づいたらしく、すぐに片膝をついていた。
「失礼いたしました。マクウィリアズ王国のランパード辺境伯家次男のジェイミー・ランパードと申します。このクライヴがご迷惑をかけたと思いますが、平民ゆえ分からぬ事が多々ありまして今回だけはお許しいただければと存じます」
ジェイミー様はオレを庇ってくれて、とても意外な一面にオレは少し嬉しかった。
……が! すぐにジェイミー様はオレの頭を掴み地面に座らせるようにした。
そしてオレも片膝をついて頭を下げている……
(仕方ない、仕方ないけど……やるせないこの思い……オレも皇子なんですよ…………言えないけどね……)
その後、フィーネ達も馬車の中に入ってきて、同じようにダリアにお辞儀をしていた…………
「皆様! お顔を上げて下さい! わたくしはアレクサンダー帝国の皇女ダリア・デア・アレクサンダーと申します。このような状況でなので挨拶は省略させていただきますが、助太刀に感謝いたします」
「「「「「ダリア皇女様」」」」」
何故かみんなはダリアに対して尊い存在を見ているような……そんな目をしていた…………
オレ以外のみんながダリアを勘違いしていた。
(みんな騙されてるぞ! そいつはじゃじゃ馬じゃなくて暴れ馬だからな! 流石に今は皇女としての教育を受けて矯正されたと思うけど……)
「グワァーーッ」
そうしている間に外にいる護衛の叫び声が聞こえた。
「護衛五人に偽ブタ二匹とオークが一体出現……確かお兄様の馬車が襲われた時にもゴブリン十匹とオーク三体で十九名は戦闘不能になったはずだから……状況はまずいわね」
アリア様は冷静に状況判断し次の行動に移そうとしていた。そしてオレが補足説明をする。
「はい……あの時は傷ついたオーク一体に、アリア様の護衛の皆さんも傷を負っていたが四名もやられたので、今それに似た状況かと思います」
「私の領土でこんな事件が起こるなんて……許せないわ!」
エルザ様は今にも一人で突撃しそうな程の怒りを見せていた。
その時!
「みんな、ダリア皇女様を守っていて下さい。ジェイミーと一緒に護衛の方のフォローに入ります」
ルーシー様は力強い眼差しと口調でオレ達を馬車に残して二人で戦うと言っている。
だがすぐに異議を唱える者が一人……
「偽ブタ二匹を五人で退治しましょう。エルザとジェイミー先輩が前衛をお願いします。私とフィーネでルーシー先輩を守りますので、ルーシー先輩の魔法で退治しましょう。オークの方はクライヴ君に任せましょう」
アリア様は状況を分析して適材適所の案を瞬時に伝えたが…………オレは納得できなかった。
「あのぉ……アリア様、オークはとてつもなく強くて、ぼくも危険があり過ぎるかとおも」
「クライヴ君はオークを倒した事があるので大丈夫でしょ」
アリア様はオレが身の危険性について訴えている途中で論破してきた…………
「はい……」
オレは頷くしかなかった……
「……だい……ぶ……私がぜっ……助……から……」
アリア様は真剣な表情で何か呟くがオレには聞き取る事ができなかった
そしてアリア様の作戦で戦う事となり、みんながオレの心配をしてくれた。
「クライヴ……気をつけなさいよ! 後で色々と聞きたい事あるから死んだら許さないわよ!」
フィーネはいつものツン百パーセントで緊張と恐怖を感じているオレの気を紛らわせようとしてくれた。
「あぁ~冒険者のクライヴ君の腕前が見れず残念……」
「エルザ! 今はそんな事を言っている時ではないでしょう! クライヴ、いつでもお姉ちゃんの所に逃げてきていいからね。クライヴをイジメるオークは私が焼き尽くしてあげるから」
落ち込むエルザ様と割と強めに怒るルーシー様のやりとりが何だがおかしくオレは少し緊張が解れた。
「ちっ! オレだってその気になれば……」
ジェイミー様は苛立っていた…………
「………………」
何も言わないが、あのダリアでさえ心配そうにオレを見ていた。
「はぁ…………がんばります」
オレは色々と言いたい事を全て飲み込んで、なんとか頑張ると返事をした。
(っていうか何でダリアがオレの心配してんだよ。何だか気味が悪いと言うか不思議というか……)
こうしてオレ達は作戦を決行する事となり、オレ達は馬車の外に出てアリア様達は偽ブタと戦っている二人の護衛の元へ、オレはオークと戦っている三人の護衛の元へ駆けつけた。
だがそのうちの一人がオークにやられて重傷を負っていた…………
(さっそくピンチ!?)
帝国の紋章の刺繍入りの宝石が散りばめられたワンピースを着たダリアが、オレの前でアヒル座りをしていて項垂れていた。
ガクリと今にも顔面から倒れそうな様子で……
(何でオレの顔を見て自分が死んだと思い込んでんだよ! 馬車の中で隠れているだけで死ぬわけないだろ!)
オレはそんな事を思って少しだけムカついたが、ダリアの隣の使用人もオレの顔を見て顔面蒼白になっている。
「許して下さい! 成仏して下さいスノウ様! ダリア様を連れて行かないで下さい!」
両手を擦り合わせる二十代そこそこの使用人……
(ダリアの身の回りの世話係と思うが…………何でだよ! オレが生きていたとは一ミリも考えないのかお前達は?)
「ハァー…………ダリア姉様、単刀直入に言いますね。助けようと思い仲間達と来ました。
オレはこの国で静かに暮らしてますので……オレと姉さんは初対面って事にして下さい。それと帝国の人達には伝えないようにして下さい。そこの使用人も! それが助ける条件です」
オレはしゃがみ込みダリアに向かって淡々と告げた。本当はどうであれ助けるつもりだが、面倒ごととオレの身の危険を避けたかったのでワザとそう言った。
「えっ……げ、現実…………」
「ダリア様お気を確かに! 悪霊はわたくしが成仏させてみます。アーメン」
使用人の方が現実逃避していて話が進まない。
オレはダリアの手を取りダリアを起こした。
「えっ? 本当? スノウなの……」
まだプチパニックなダリアを落ち着かせる為にオレは、ダリアの手を取り心臓の音を聞かせた。
「ほら、生きているでしょ。どうしますか先程の条件をのみますか?」
「ハ……ス、スノウ………… そ、しょうがないでしゅっ! しょうがないです! 助けていただきますわ!」
少し驚き、次に恥ずかしがり、その次に完全回復したダリアは高圧的な物言いでお願いをしてきた。
(あっ噛んだな……まだ状況理解出来てないのに相変わらず凄いなぁ……助けてもらう身でマウントを取りにくるなんて……)
そしてオレとダリアの密約が交わされた時に、タイミング良くジェイミー様がやってきた。
「クライヴ! 一人で突っ走ってんじゃねぇ」
ジェイミー様は怒っている様子だが、ダリアの姿が視界に入った時、見に纏う衣装から皇族だと気づいたらしく、すぐに片膝をついていた。
「失礼いたしました。マクウィリアズ王国のランパード辺境伯家次男のジェイミー・ランパードと申します。このクライヴがご迷惑をかけたと思いますが、平民ゆえ分からぬ事が多々ありまして今回だけはお許しいただければと存じます」
ジェイミー様はオレを庇ってくれて、とても意外な一面にオレは少し嬉しかった。
……が! すぐにジェイミー様はオレの頭を掴み地面に座らせるようにした。
そしてオレも片膝をついて頭を下げている……
(仕方ない、仕方ないけど……やるせないこの思い……オレも皇子なんですよ…………言えないけどね……)
その後、フィーネ達も馬車の中に入ってきて、同じようにダリアにお辞儀をしていた…………
「皆様! お顔を上げて下さい! わたくしはアレクサンダー帝国の皇女ダリア・デア・アレクサンダーと申します。このような状況でなので挨拶は省略させていただきますが、助太刀に感謝いたします」
「「「「「ダリア皇女様」」」」」
何故かみんなはダリアに対して尊い存在を見ているような……そんな目をしていた…………
オレ以外のみんながダリアを勘違いしていた。
(みんな騙されてるぞ! そいつはじゃじゃ馬じゃなくて暴れ馬だからな! 流石に今は皇女としての教育を受けて矯正されたと思うけど……)
「グワァーーッ」
そうしている間に外にいる護衛の叫び声が聞こえた。
「護衛五人に偽ブタ二匹とオークが一体出現……確かお兄様の馬車が襲われた時にもゴブリン十匹とオーク三体で十九名は戦闘不能になったはずだから……状況はまずいわね」
アリア様は冷静に状況判断し次の行動に移そうとしていた。そしてオレが補足説明をする。
「はい……あの時は傷ついたオーク一体に、アリア様の護衛の皆さんも傷を負っていたが四名もやられたので、今それに似た状況かと思います」
「私の領土でこんな事件が起こるなんて……許せないわ!」
エルザ様は今にも一人で突撃しそうな程の怒りを見せていた。
その時!
「みんな、ダリア皇女様を守っていて下さい。ジェイミーと一緒に護衛の方のフォローに入ります」
ルーシー様は力強い眼差しと口調でオレ達を馬車に残して二人で戦うと言っている。
だがすぐに異議を唱える者が一人……
「偽ブタ二匹を五人で退治しましょう。エルザとジェイミー先輩が前衛をお願いします。私とフィーネでルーシー先輩を守りますので、ルーシー先輩の魔法で退治しましょう。オークの方はクライヴ君に任せましょう」
アリア様は状況を分析して適材適所の案を瞬時に伝えたが…………オレは納得できなかった。
「あのぉ……アリア様、オークはとてつもなく強くて、ぼくも危険があり過ぎるかとおも」
「クライヴ君はオークを倒した事があるので大丈夫でしょ」
アリア様はオレが身の危険性について訴えている途中で論破してきた…………
「はい……」
オレは頷くしかなかった……
「……だい……ぶ……私がぜっ……助……から……」
アリア様は真剣な表情で何か呟くがオレには聞き取る事ができなかった
そしてアリア様の作戦で戦う事となり、みんながオレの心配をしてくれた。
「クライヴ……気をつけなさいよ! 後で色々と聞きたい事あるから死んだら許さないわよ!」
フィーネはいつものツン百パーセントで緊張と恐怖を感じているオレの気を紛らわせようとしてくれた。
「あぁ~冒険者のクライヴ君の腕前が見れず残念……」
「エルザ! 今はそんな事を言っている時ではないでしょう! クライヴ、いつでもお姉ちゃんの所に逃げてきていいからね。クライヴをイジメるオークは私が焼き尽くしてあげるから」
落ち込むエルザ様と割と強めに怒るルーシー様のやりとりが何だがおかしくオレは少し緊張が解れた。
「ちっ! オレだってその気になれば……」
ジェイミー様は苛立っていた…………
「………………」
何も言わないが、あのダリアでさえ心配そうにオレを見ていた。
「はぁ…………がんばります」
オレは色々と言いたい事を全て飲み込んで、なんとか頑張ると返事をした。
(っていうか何でダリアがオレの心配してんだよ。何だか気味が悪いと言うか不思議というか……)
こうしてオレ達は作戦を決行する事となり、オレ達は馬車の外に出てアリア様達は偽ブタと戦っている二人の護衛の元へ、オレはオークと戦っている三人の護衛の元へ駆けつけた。
だがそのうちの一人がオークにやられて重傷を負っていた…………
(さっそくピンチ!?)
応援ありがとうございます!
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