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第一章 王国編第一部(初等部)
エピソード? リアナサイド 後編その二
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ウィンゲート侯爵家での晩餐会では思わぬ収穫があった。
何とオーク戦で一緒に闘ってくれた護衛兵のザック様が休日に稽古をつけてくれる事になった。
クライヴの提案やぼくの騎士を目指すきっかけ等の話をザック様に話をしたら快く引き受けてくれた。
これでショーンが目指すべき理想の人物からの訓練によってショーンもレベルアップするだろう。
そしてぼく達にも稽古をつけてくれるとの事だった。
とても光栄な事だ。
それから夏休みに入るまでは平日ポテト業務、休日はたまにザック様の稽古の日々が続いた。
ザック様、いやザック先生との稽古はとても有意義な時間で、あのショーンが素直にザック先生の教えを聞いていた。
それもそのはず、初めての稽古の時にぼく達五人対ザック先生一人の試合をしたが見事ぼく達は完敗した…………それからショーンの稽古に対する心構えが変化した。
お調子者でなく汗を流しながら真剣な表情で稽古を受けるショーンのその姿に不覚にも一瞬目が離せなくなった…………
何と言うのか胸の奥の心拍数が上がったというか…………動悸? この感情? は一体なんだろう…………
そして夏休みに入るとクライヴが思い出作りにバーベキューに行こうと提案した。
なるほど気分転換に採取依頼を受けつつ森でザック先生に稽古をつけてもらうと言う事か、ショーンもザック先生の稽古を楽しみにしているようだ。
ショーン。君の気持ちはよくわかるよ。
ザック先生との稽古はとても厳しいが、その経験は自分の糧となり強くなるのが実感できる。
それが嬉しいんだね。ぼくも一緒だ。
そしてクライヴの提案した思い出作りのバーベキューは、なんと偽ブタを狩る事だったとは……あのクライヴからは予想できなかった……だが腕がなる。
今のぼく達でどこまで闘えるのか? ザック先生も今こそ稽古の成果だと太鼓判を押してくれた!
みんな大怪我はしなかったが、防具が壊れたり、軽傷を負ったりとはした。
しかし以前に比べると短時間で偽ブタを倒すことができた。やはりザック先生のおかげでみんな格段にレベルが上がってきている。
これなら来年には初級冒険者も夢ではないのでは!
勿論この後偽ブタのバーベキューで腹ごしらえをした。
そして午後からもザック先生に稽古をつけてもらった。
この夏休みはハッピースマイルポテイトンとザック先生の稽古で楽しい夏休みとなりそうだ。
ぼくは楽しそうにしていたが、クライヴの表情は曇っていた…………
そして夏休みが明けるとポテトポテトポテトポテト…………
クライヴがショッパーニ商会からショパンさんと言うショッパーニ商会長の息子さんを連れて来てからハッピースマイルポテイトンは激しさを増した。
気付けば秋が過ぎていつの間にか冬休みに突入していた…………
冬休みか…………
ぼくは帰省する事はない……フィーネは悩んでいるようだが、どうやらクライヴと何処かに行ったらしい。一緒に帰省したのだろうか? フフッ相変わらず仲慎ましいな。
モーガンも学生寮にはおらず、帰省したのだろう……
ぼくは冬休みの初日こそ、出かけて色々とショッピングを楽しんだりしていたが、学生寮に帰ると一人で過ごす事になり寂しさを感じた。
家を出た時には一人で生きていけると思っていたが……こんなにもぼくはみんなに会いたいと願っているのか……
本当に良い友に恵まれたんだな…………
そして、剣の腕を鈍らせないよう次の日からは公園で走り込みや剣の素振りや型の確認を一人黙々と行っていた。
周りの人からは好奇な目で見られるがぼくは気にしない!
騎士になるためには一日たりとも鍛錬を怠らないようにしないと…………
そして冬休み三日目にショーンが学生寮の玄関で立っていた。
「おめぇ一人でコソコソと剣の訓練をしよるらしいのぉ」
急にどうしたんだ? 生憎ぼくはショーンに絡んでいる暇はないんだ。
「ショーン何が言いたいんだい? ぼくはすぐに公園に行って自分を鍛えたいのだが」
「……も……んじゃ」
ショーンはボソボソと呟いている。
ぼくは聞き返す事なく公園に向かおうとした。
ショーンには申し訳ないがこの冬休みの間に自分自身を鍛えたいんだ。時間を無駄にしたくない。
「無視するんじゃねぇ! おめぇだけには負けたくねえんじゃ! ワシも訓練するんじゃー!」
「威勢だけは一人前じゃないか。ぼくについて来れるかな?」
ぼくはショーンの言葉が少し嬉しかった。
こんなに一人でいる事が寂し過ぎたのだろうか?
ショーンと一緒に公園で訓練をするだけなのに、少し心がワクワクしていた。
ショーンは最初の走り込みでバテていて、ぼくが苦言を言うと常に噛み付いてくるが……一人で素振りをするよりも二人で素振りをする方が楽しかった。
そして次の日クライヴが帰って来たのをショーンから聞き、クライヴの部屋に向かうと、クライヴは冒険者用の衣装に着替えていた。
やはり君もか!
クライヴも身体が鈍ってウズウズしているのだな!
「クライヴ。君の熱意に負けたよ……午後からは冒険者協会に行ってぼく達でも出来る依頼を探そう!」
「そうじゃ! たまには顔をださないけんと思うんじゃ!」
ぼくとショーンは珍しく同じ意見で、クライヴも服装から見て分かるようにやる気に満ち溢れているのだろう。
ショーンのやる気は最高潮だ。
「すまんクライヴ! ワシ少し身体を温めとくけぇ」
ショーンはそう言って目の前に敵がいるとイメージしているのかその場でパンチやキックやステップ等を行い身体を温めていた。
ぼくも負けていられないな……
ぼくは急いで部屋から木剣を持ってきて、クライヴの部屋で素振りを始めた。
クライヴも街に散策と言う名目でどうやら公園で手合わせをしたいようだ。
よし! 楽しくなりそうだ。
そしてぼく達は朝食後にクライヴを引きずって公園に向かった。途中でショーンは気を効かせて武器屋から訓練用の武器を取ってくると言っていた。
だが、ショーンにとっては忘れない日となったらしい。
五分間の一本勝負で余った一人が審判のルールで試合をしたのだが…………ぼくはクライヴとの対戦で不思議な体験をした。確かにぼくは一本を取って勝ったのだが…………その直後にクライヴの見た事のない体術で、ぼくは気付けば空を見上げて仰向けに倒れていた……
人間相手に致命傷を与えない技?
そんな技は聞いた事ないが…………
やはりクライヴは予想外の攻撃を見せてくれて飽きないな。
ぼくはつい興奮してしまい、その後のショーンとの対戦で十三本叩き込んでしまった。
期待を込めてショーンに厳しい言葉をかけて、ぼくは溢れる想いが止まらなかった。
早くショーンも強くなるんだ!
ぼく達は君が強くなるのを待っているよ!
しかしショーンの様子が徐々におかしくなっていった…………
そしてショーンが急に敬語で話し出してその場を去ってしまった。
ぼくが不思議に思っていると、クライヴから男の子の自尊心について説明されて、ぼくはショーンの心をへし折った事に気づいた………………
それからぼくはショーンに謝罪の手紙を送ったのだが返信は来なかった…………
どう謝るべきか冬休みが終わりそうになっても答えは見つからなかった…………
そして冬休みが終わろうとしてもショーンは学生寮には戻らなかった。
ぼく達はザック先生の力を借りてショーンを呼び戻す事にした。
しかしショーンはみんなの足手纏いになるので冒険者を諦めようとしていた……あれだけ頑張っていたショーンが、ぼくとの手合わせで……
ぼくは悔しさが込み上げてきた。ショーンの冒険者になるという夢を追いかける姿を見るとぼくも騎士を目指す気持ちの再確認ができる。
だからショーンの事は認めている。今は実力差があるが、彼なら努力で補うはずだと……
ぼくは涙が込み上げてきた。
「ショーン、君の夢は冒険者じゃなかったのかい? 今ここで諦めるのかい! ぼくは君がどれだけ努力をしているか知っている。仲間を想い自分が盾役として頑張らないといけないと素人からここまで努力して来たのを……ぼくはショーンが……諦めるのが……辛い…………悔しいよ…………」
悔しい? 寂しい? 分からない……ただショーンが冒険者になる夢を諦めてほしくなかった……
それからはいつものショーンに戻り、ぼく達は平和な学生生活を送っていた。
そして春休み、生誕祭の時期がやってきた。
クライヴは春休み前にハッピースマイルポテイトンを改築したと言っていて、みんなで見に行く事になった。
もう驚きを通り越して呆れて声が出ない…………
庭に噴水? 温度調節? ベンチ? 夏は涼しく、冬は暖かい?
もうぼくの頭はパンクしそうだ………………
そして王国中の人々が祝う生誕祭がやってきた。
初めての生誕祭に戸惑うクライヴとフィーネをみんなで色々な店を案内した。
二人はとても楽しそうな表情をしており、何だかぼくも楽しくなった。
その後はフィーネと一緒にショッピングやスイーツ巡りを楽しんだ。
「フィーネ。一つ聞きたい事があったのだが……クライヴとはどういった関係なんだ? ずっと気になっていて聞けなかったのだが……二人は婚約者なのか?」
ぼくはストレートにフィーネに聞くと、フィーネは真っ赤な顔をして否定をした。
「ち、ち、違うよ? そ、そ、そんなのじゃなくて、確かにお母様からは…………じゃなくて、その、なな、な、なんて言うか、ア、ア、アタシが……アタシの一方通行なんだ…………」
そうだったのか! 周りから見たらそうは思わなかったが……二人の仲は複雑なんだな…………
「フィーネの想いがクライヴに届くように、ぼくはフィーネを応援するよ」
「ありがとうリアナ」
そして、クライヴからの提案でハッピースマイルポテイトンをみんなに知ってもらう為に生誕祭でも営業する事になった。
ポテトポテトポテトポテトポテト………………飛ぶように売れるフライポテ……じゃなくてフライドポテトにカウンターは大忙しだ。
すると突然クライヴが何か急ぐように飛び出していった……一瞬の出来事で驚いたが、すぐに冷静になり、みんなでなんとかクライヴが抜けた穴を埋めた。
それからも生誕祭の間ポテトを売る日々が続き、最終日はショーンに誘われてみんなで公園の池で行われる名物競技を観戦する事になった。
参加者みんなのアイデアに感心して、驚いたり、笑ったりと本当に楽しかった。
そして最終日の夜の花火を見るのこんなに大勢の人だかりでは、ぼく達のような子どもは見えないだろう。
ぼくはふとハッピースマイルポテイトンの二階で見るのはどうかと閃き、クライヴに聞くと屋根なら見えると思うと言葉が返ってきた……屋根? 上がる? 何を言っているんだいクライヴは?
しかし、クライヴの言う通り本当に屋根に上がれて屋根の一部分に座れるようなスペースができていた…………もうクライヴのアイデアの事では考えるのを放棄していた。
そんな初等部一年生を終えて、ぼく達は二年生に進級した。
相変わらずのポテト営業をしているが、今日は休日だ。
さっそくクライヴ達と休日の過ごし方で、ぼくとショーンで冒険者協会の依頼を受けようと提案して冒険者協会へやってきた。
「よし! クライヴ、この採取依頼はどうだ。道具屋さんからの依頼で毒消しに使う薬草の採取依頼だ! 補足情報だが採取場所の森はごく稀に偽ブタが出るらしい………………」
これなら採取依頼をしつつ偽ブタと遭遇してぼく達の力や連携を再確認できる。
しかし返ってきた言葉は却下だった。
だが、ショーンが他の採取依頼を持ってきて依頼を受ける事となった。
森の近くの平地か…………まぁ初級冒険者になる方を優先しないと……安全な依頼をこなすことも大切な事だ。
しかし何故かぼく達には獣や害獣に遭遇しやすいのか?
何かがやってくる………………
モーガンの指揮で陣形を整えて待ち構えていると、どうやら偽ブタ二匹が向かってきているようだ。
まずはフィーネが弓で先制攻撃を仕掛ける事になったのだが…………呆気なく偽ブタは悲鳴を上げて息絶えた。
おかしい! フィーネの腕を認めていないわけではないが手応えが無さすぎる!
どうやら偽ブタの子を仕留めたらしい。
奥から親の偽ブタが雄叫びを上げながら突進してくる。
ショーンが盾で防ごうとしたが吹き飛ばされてしまった。
ショーン……見違えるようになったではないか。君の盾役が様になっていたよ。
後はぼく達任せてくれ!
ぼくは偽ブタの攻撃を躱しながら攻撃するが前足の表面が硬くダメージは与えられない……
やはりここはモーガンの魔法が必要だ……
その時フィーネの矢が偽ブタの眉間に突き刺さり、フィーネが狙われるが何とかクライヴがカバーに入り、クライヴの盾が使い物にならなくなった程度で済んだ……
流石クライヴ!
やはり君はぼくの目指すべき騎士道精神の持ち主だ!
先程もクライヴがいなければフィーネは…………
そして体制を整えて、元気一杯なショーンが槍で突撃をしたが案の定吹き飛ばされた。
だが隙ができた。
ありがとうショーン。君の活躍は無駄にしない!
そしてぼくの攻撃は深く傷つける事ができたが、偽ブタはクライヴに襲いかかろうとした。
させない!
「ショーン! 肩を貸してくれ!」
「なんじゃ! え、おお」
ぼくはショーンを引っ張って、ショーンの盾に足を乗せてジャンプした。
狙いは偽ブタの首に突き刺す!
だが偽ブタの筋肉に弾かれて、ぼくは地面に足をつけた…………その時! 影がぼくの頭を覆った…………見上げるとそこには偽ブタの足が振り下ろされようとしていた。
し、しまった! 防ぐものがない! 今から避けれるのか……いや無理だろうな…………
そしてクライヴが偽ブタの軸足にナイフを投げつけてぼくは助かった……
ぼくの爪の甘さだ…………
そしてモーガンの魔法で形勢逆転して偽ブタを倒す事ができたが、ぼくの心は晴れなかった…………
こうやって実戦になると、どうしてもクライヴとの差が埋まらない……彼の勇気、自分を顧みず仲間を助ける姿、そして大事な場面で状況をひっくり返す力…………ぼくにはできない事だ…………
やはりまだまだ騎士の道は遥か彼方にあるように感じるな…………
そして冒険者協会へ依頼品と偽ブタの納品をしたのだが、まさか宝珠が小金貨一枚もあるとは!
「やったあ! リアナ、今度大通りにあるカフェのスイーツが有名なんだけど行ってみない? ちょっと高いらしいけど今のアタシ達なら問題ないわ!」
フィーネは満面の笑顔で魅惑の言葉でぼくを惑わせる。
クッ……スイーツが有名なカフェだと! 少し高いカフェと言えばあそこのカフェの三十数種類あるショートケーキではないだろうか……
しかしここは何としてもみんなに甘い物好きだとバレるわけにはいかない!
「フィーネ、ぼくが憧れる騎士は、甘いものを食べている暇があるなら鍛錬を行なっているんだ! 念のためにフィーネの予定を聞いておこう」
「良いよ。アタシはリアナに合わせれるから」
フィーネと話をしているとクライヴ達が武器屋に行こうと声をかけてくれた。
そうだ今日の武具の修理と新しい掘り出し物がないかチェックをしないと…………危ないところだったもう少しで今日の報酬の全額をカフェ代に注ぎ込むところだった…………
そして夏を迎えるとショーンを除いてぼく達は初級冒険者に昇格した。
ついに目標だった初級冒険者…………これで討伐依頼など受けれて多くの人を助ける事ができる。
早く討伐依頼を受けたい気持ちを抑えていると夏休みを迎えた。
そこに学生寮のぼく宛にレベッカお姉様から手紙が一通届いていた。
【親愛なるリアナへ
リアナが居なくなって一年。最近ようやくお父様がリアナを勘当した事で罪悪感を感じているようです。
この前の社交会でお父様はウィンゲート侯爵様から話しかけられたようで、それからリアナの身を案じるようになったわ。
まぁお父様もリアナもお互い決心した事は中々折れないから、本当に騎士になるまで戻ってこないようなので手紙を書きました。
明日からお父様は領地に戻るから、王都の屋敷に戻って来てくれない? 使用人のみんなも心配しているわよ。勿論! 私も心配で心配で平民が多い初等部でリアナが上手く馴染めているのか何度見に行こうとしてお父様に止められたことか……
私はこの夏休みは王都の屋敷に居るので少しだけでも良いので顔が見たいわ。
騎士を目指す可愛い妹を想うお姉ちゃんより】
そうか……………………
ウィンゲート侯爵家の晩餐会以降に色々とあったのだろう。
もしお父様が謝ってもぼくはもうヘンダーソン家のリアナではなく、ただのリアナだ!
しかしレベッカお姉様や使用人達を心配させるのも心苦しい…………
二、三日ぐらい戻ってみよう………………
そして二、三日程度なら戻りますと返事を書くと、次の日に我が家の紋章入りの馬車がやってきた。
「この日をお待ちしておりましたリアナ様……
さぁこちらへ。レベッカ様がお待ちでございます」
そしてぼくは一年数ヵ月振りに屋敷に戻ってきた。馬車から降りるとレベッカお姉様が駆け寄りぼくを抱きしめた。
「あぁ……リアナ……良かった。元気そうでなりよりだわ。あなたが家を飛び出した時、もう戻ってこないと思いヘンダーソン家の家紋入りの剣をあなたの荷物に忍ばせたのよ。お父様が何を言おうと私はいつでもあなたの味方よ」
「レベッカお姉様苦しいです。ぼくは騎士になるまではお父様とは会いたくありません。いや会えないです。今戻るとぼくは騎士の真似事で終わってしまいますから……」
「本当はね……危険な事をして欲しくないし……可愛いあなたの顔や身体に傷がついたらと思うと辛いのよ…………でも……それもリアナが決めた道だから夢を叶えるまで頑張りなさい」
「はい……レベッカお姉様がいつも守ってくれていて感謝しています……」
「でも淑女としてのマナーはこれからも気をつけるようにしなさい。平民として生きていくと考えていても……あなたにはヘンダーソン家の名前が付き纏うから……」
「はい、心得ております」
久しぶりの再会だがぼく達はいつも話しているような雰囲気で会話をしている。そしてレベッカお姉様にこうやって子ども扱いするされるのがなんだか懐かしくも恥ずかしい。
「それとリアナ。来年王立学院で会いましょう。私は一年間で卒業するけど……それを逃すとリアナと会うのは騎士になってからでしょう? 当分会えなくなるわ」
レベッカお姉様はそう言うが悲しそうな顔はしておらず、ぼくが騎士になるのを楽しみにしているようだった。
「はい、レベッカお姉様に早く会えるよう精進します」
その後、家を出てから今までの話をして、レベッカお姉様はとても楽しそうな顔でぼくの話を聞いてくれた。
何とオーク戦で一緒に闘ってくれた護衛兵のザック様が休日に稽古をつけてくれる事になった。
クライヴの提案やぼくの騎士を目指すきっかけ等の話をザック様に話をしたら快く引き受けてくれた。
これでショーンが目指すべき理想の人物からの訓練によってショーンもレベルアップするだろう。
そしてぼく達にも稽古をつけてくれるとの事だった。
とても光栄な事だ。
それから夏休みに入るまでは平日ポテト業務、休日はたまにザック様の稽古の日々が続いた。
ザック様、いやザック先生との稽古はとても有意義な時間で、あのショーンが素直にザック先生の教えを聞いていた。
それもそのはず、初めての稽古の時にぼく達五人対ザック先生一人の試合をしたが見事ぼく達は完敗した…………それからショーンの稽古に対する心構えが変化した。
お調子者でなく汗を流しながら真剣な表情で稽古を受けるショーンのその姿に不覚にも一瞬目が離せなくなった…………
何と言うのか胸の奥の心拍数が上がったというか…………動悸? この感情? は一体なんだろう…………
そして夏休みに入るとクライヴが思い出作りにバーベキューに行こうと提案した。
なるほど気分転換に採取依頼を受けつつ森でザック先生に稽古をつけてもらうと言う事か、ショーンもザック先生の稽古を楽しみにしているようだ。
ショーン。君の気持ちはよくわかるよ。
ザック先生との稽古はとても厳しいが、その経験は自分の糧となり強くなるのが実感できる。
それが嬉しいんだね。ぼくも一緒だ。
そしてクライヴの提案した思い出作りのバーベキューは、なんと偽ブタを狩る事だったとは……あのクライヴからは予想できなかった……だが腕がなる。
今のぼく達でどこまで闘えるのか? ザック先生も今こそ稽古の成果だと太鼓判を押してくれた!
みんな大怪我はしなかったが、防具が壊れたり、軽傷を負ったりとはした。
しかし以前に比べると短時間で偽ブタを倒すことができた。やはりザック先生のおかげでみんな格段にレベルが上がってきている。
これなら来年には初級冒険者も夢ではないのでは!
勿論この後偽ブタのバーベキューで腹ごしらえをした。
そして午後からもザック先生に稽古をつけてもらった。
この夏休みはハッピースマイルポテイトンとザック先生の稽古で楽しい夏休みとなりそうだ。
ぼくは楽しそうにしていたが、クライヴの表情は曇っていた…………
そして夏休みが明けるとポテトポテトポテトポテト…………
クライヴがショッパーニ商会からショパンさんと言うショッパーニ商会長の息子さんを連れて来てからハッピースマイルポテイトンは激しさを増した。
気付けば秋が過ぎていつの間にか冬休みに突入していた…………
冬休みか…………
ぼくは帰省する事はない……フィーネは悩んでいるようだが、どうやらクライヴと何処かに行ったらしい。一緒に帰省したのだろうか? フフッ相変わらず仲慎ましいな。
モーガンも学生寮にはおらず、帰省したのだろう……
ぼくは冬休みの初日こそ、出かけて色々とショッピングを楽しんだりしていたが、学生寮に帰ると一人で過ごす事になり寂しさを感じた。
家を出た時には一人で生きていけると思っていたが……こんなにもぼくはみんなに会いたいと願っているのか……
本当に良い友に恵まれたんだな…………
そして、剣の腕を鈍らせないよう次の日からは公園で走り込みや剣の素振りや型の確認を一人黙々と行っていた。
周りの人からは好奇な目で見られるがぼくは気にしない!
騎士になるためには一日たりとも鍛錬を怠らないようにしないと…………
そして冬休み三日目にショーンが学生寮の玄関で立っていた。
「おめぇ一人でコソコソと剣の訓練をしよるらしいのぉ」
急にどうしたんだ? 生憎ぼくはショーンに絡んでいる暇はないんだ。
「ショーン何が言いたいんだい? ぼくはすぐに公園に行って自分を鍛えたいのだが」
「……も……んじゃ」
ショーンはボソボソと呟いている。
ぼくは聞き返す事なく公園に向かおうとした。
ショーンには申し訳ないがこの冬休みの間に自分自身を鍛えたいんだ。時間を無駄にしたくない。
「無視するんじゃねぇ! おめぇだけには負けたくねえんじゃ! ワシも訓練するんじゃー!」
「威勢だけは一人前じゃないか。ぼくについて来れるかな?」
ぼくはショーンの言葉が少し嬉しかった。
こんなに一人でいる事が寂し過ぎたのだろうか?
ショーンと一緒に公園で訓練をするだけなのに、少し心がワクワクしていた。
ショーンは最初の走り込みでバテていて、ぼくが苦言を言うと常に噛み付いてくるが……一人で素振りをするよりも二人で素振りをする方が楽しかった。
そして次の日クライヴが帰って来たのをショーンから聞き、クライヴの部屋に向かうと、クライヴは冒険者用の衣装に着替えていた。
やはり君もか!
クライヴも身体が鈍ってウズウズしているのだな!
「クライヴ。君の熱意に負けたよ……午後からは冒険者協会に行ってぼく達でも出来る依頼を探そう!」
「そうじゃ! たまには顔をださないけんと思うんじゃ!」
ぼくとショーンは珍しく同じ意見で、クライヴも服装から見て分かるようにやる気に満ち溢れているのだろう。
ショーンのやる気は最高潮だ。
「すまんクライヴ! ワシ少し身体を温めとくけぇ」
ショーンはそう言って目の前に敵がいるとイメージしているのかその場でパンチやキックやステップ等を行い身体を温めていた。
ぼくも負けていられないな……
ぼくは急いで部屋から木剣を持ってきて、クライヴの部屋で素振りを始めた。
クライヴも街に散策と言う名目でどうやら公園で手合わせをしたいようだ。
よし! 楽しくなりそうだ。
そしてぼく達は朝食後にクライヴを引きずって公園に向かった。途中でショーンは気を効かせて武器屋から訓練用の武器を取ってくると言っていた。
だが、ショーンにとっては忘れない日となったらしい。
五分間の一本勝負で余った一人が審判のルールで試合をしたのだが…………ぼくはクライヴとの対戦で不思議な体験をした。確かにぼくは一本を取って勝ったのだが…………その直後にクライヴの見た事のない体術で、ぼくは気付けば空を見上げて仰向けに倒れていた……
人間相手に致命傷を与えない技?
そんな技は聞いた事ないが…………
やはりクライヴは予想外の攻撃を見せてくれて飽きないな。
ぼくはつい興奮してしまい、その後のショーンとの対戦で十三本叩き込んでしまった。
期待を込めてショーンに厳しい言葉をかけて、ぼくは溢れる想いが止まらなかった。
早くショーンも強くなるんだ!
ぼく達は君が強くなるのを待っているよ!
しかしショーンの様子が徐々におかしくなっていった…………
そしてショーンが急に敬語で話し出してその場を去ってしまった。
ぼくが不思議に思っていると、クライヴから男の子の自尊心について説明されて、ぼくはショーンの心をへし折った事に気づいた………………
それからぼくはショーンに謝罪の手紙を送ったのだが返信は来なかった…………
どう謝るべきか冬休みが終わりそうになっても答えは見つからなかった…………
そして冬休みが終わろうとしてもショーンは学生寮には戻らなかった。
ぼく達はザック先生の力を借りてショーンを呼び戻す事にした。
しかしショーンはみんなの足手纏いになるので冒険者を諦めようとしていた……あれだけ頑張っていたショーンが、ぼくとの手合わせで……
ぼくは悔しさが込み上げてきた。ショーンの冒険者になるという夢を追いかける姿を見るとぼくも騎士を目指す気持ちの再確認ができる。
だからショーンの事は認めている。今は実力差があるが、彼なら努力で補うはずだと……
ぼくは涙が込み上げてきた。
「ショーン、君の夢は冒険者じゃなかったのかい? 今ここで諦めるのかい! ぼくは君がどれだけ努力をしているか知っている。仲間を想い自分が盾役として頑張らないといけないと素人からここまで努力して来たのを……ぼくはショーンが……諦めるのが……辛い…………悔しいよ…………」
悔しい? 寂しい? 分からない……ただショーンが冒険者になる夢を諦めてほしくなかった……
それからはいつものショーンに戻り、ぼく達は平和な学生生活を送っていた。
そして春休み、生誕祭の時期がやってきた。
クライヴは春休み前にハッピースマイルポテイトンを改築したと言っていて、みんなで見に行く事になった。
もう驚きを通り越して呆れて声が出ない…………
庭に噴水? 温度調節? ベンチ? 夏は涼しく、冬は暖かい?
もうぼくの頭はパンクしそうだ………………
そして王国中の人々が祝う生誕祭がやってきた。
初めての生誕祭に戸惑うクライヴとフィーネをみんなで色々な店を案内した。
二人はとても楽しそうな表情をしており、何だかぼくも楽しくなった。
その後はフィーネと一緒にショッピングやスイーツ巡りを楽しんだ。
「フィーネ。一つ聞きたい事があったのだが……クライヴとはどういった関係なんだ? ずっと気になっていて聞けなかったのだが……二人は婚約者なのか?」
ぼくはストレートにフィーネに聞くと、フィーネは真っ赤な顔をして否定をした。
「ち、ち、違うよ? そ、そ、そんなのじゃなくて、確かにお母様からは…………じゃなくて、その、なな、な、なんて言うか、ア、ア、アタシが……アタシの一方通行なんだ…………」
そうだったのか! 周りから見たらそうは思わなかったが……二人の仲は複雑なんだな…………
「フィーネの想いがクライヴに届くように、ぼくはフィーネを応援するよ」
「ありがとうリアナ」
そして、クライヴからの提案でハッピースマイルポテイトンをみんなに知ってもらう為に生誕祭でも営業する事になった。
ポテトポテトポテトポテトポテト………………飛ぶように売れるフライポテ……じゃなくてフライドポテトにカウンターは大忙しだ。
すると突然クライヴが何か急ぐように飛び出していった……一瞬の出来事で驚いたが、すぐに冷静になり、みんなでなんとかクライヴが抜けた穴を埋めた。
それからも生誕祭の間ポテトを売る日々が続き、最終日はショーンに誘われてみんなで公園の池で行われる名物競技を観戦する事になった。
参加者みんなのアイデアに感心して、驚いたり、笑ったりと本当に楽しかった。
そして最終日の夜の花火を見るのこんなに大勢の人だかりでは、ぼく達のような子どもは見えないだろう。
ぼくはふとハッピースマイルポテイトンの二階で見るのはどうかと閃き、クライヴに聞くと屋根なら見えると思うと言葉が返ってきた……屋根? 上がる? 何を言っているんだいクライヴは?
しかし、クライヴの言う通り本当に屋根に上がれて屋根の一部分に座れるようなスペースができていた…………もうクライヴのアイデアの事では考えるのを放棄していた。
そんな初等部一年生を終えて、ぼく達は二年生に進級した。
相変わらずのポテト営業をしているが、今日は休日だ。
さっそくクライヴ達と休日の過ごし方で、ぼくとショーンで冒険者協会の依頼を受けようと提案して冒険者協会へやってきた。
「よし! クライヴ、この採取依頼はどうだ。道具屋さんからの依頼で毒消しに使う薬草の採取依頼だ! 補足情報だが採取場所の森はごく稀に偽ブタが出るらしい………………」
これなら採取依頼をしつつ偽ブタと遭遇してぼく達の力や連携を再確認できる。
しかし返ってきた言葉は却下だった。
だが、ショーンが他の採取依頼を持ってきて依頼を受ける事となった。
森の近くの平地か…………まぁ初級冒険者になる方を優先しないと……安全な依頼をこなすことも大切な事だ。
しかし何故かぼく達には獣や害獣に遭遇しやすいのか?
何かがやってくる………………
モーガンの指揮で陣形を整えて待ち構えていると、どうやら偽ブタ二匹が向かってきているようだ。
まずはフィーネが弓で先制攻撃を仕掛ける事になったのだが…………呆気なく偽ブタは悲鳴を上げて息絶えた。
おかしい! フィーネの腕を認めていないわけではないが手応えが無さすぎる!
どうやら偽ブタの子を仕留めたらしい。
奥から親の偽ブタが雄叫びを上げながら突進してくる。
ショーンが盾で防ごうとしたが吹き飛ばされてしまった。
ショーン……見違えるようになったではないか。君の盾役が様になっていたよ。
後はぼく達任せてくれ!
ぼくは偽ブタの攻撃を躱しながら攻撃するが前足の表面が硬くダメージは与えられない……
やはりここはモーガンの魔法が必要だ……
その時フィーネの矢が偽ブタの眉間に突き刺さり、フィーネが狙われるが何とかクライヴがカバーに入り、クライヴの盾が使い物にならなくなった程度で済んだ……
流石クライヴ!
やはり君はぼくの目指すべき騎士道精神の持ち主だ!
先程もクライヴがいなければフィーネは…………
そして体制を整えて、元気一杯なショーンが槍で突撃をしたが案の定吹き飛ばされた。
だが隙ができた。
ありがとうショーン。君の活躍は無駄にしない!
そしてぼくの攻撃は深く傷つける事ができたが、偽ブタはクライヴに襲いかかろうとした。
させない!
「ショーン! 肩を貸してくれ!」
「なんじゃ! え、おお」
ぼくはショーンを引っ張って、ショーンの盾に足を乗せてジャンプした。
狙いは偽ブタの首に突き刺す!
だが偽ブタの筋肉に弾かれて、ぼくは地面に足をつけた…………その時! 影がぼくの頭を覆った…………見上げるとそこには偽ブタの足が振り下ろされようとしていた。
し、しまった! 防ぐものがない! 今から避けれるのか……いや無理だろうな…………
そしてクライヴが偽ブタの軸足にナイフを投げつけてぼくは助かった……
ぼくの爪の甘さだ…………
そしてモーガンの魔法で形勢逆転して偽ブタを倒す事ができたが、ぼくの心は晴れなかった…………
こうやって実戦になると、どうしてもクライヴとの差が埋まらない……彼の勇気、自分を顧みず仲間を助ける姿、そして大事な場面で状況をひっくり返す力…………ぼくにはできない事だ…………
やはりまだまだ騎士の道は遥か彼方にあるように感じるな…………
そして冒険者協会へ依頼品と偽ブタの納品をしたのだが、まさか宝珠が小金貨一枚もあるとは!
「やったあ! リアナ、今度大通りにあるカフェのスイーツが有名なんだけど行ってみない? ちょっと高いらしいけど今のアタシ達なら問題ないわ!」
フィーネは満面の笑顔で魅惑の言葉でぼくを惑わせる。
クッ……スイーツが有名なカフェだと! 少し高いカフェと言えばあそこのカフェの三十数種類あるショートケーキではないだろうか……
しかしここは何としてもみんなに甘い物好きだとバレるわけにはいかない!
「フィーネ、ぼくが憧れる騎士は、甘いものを食べている暇があるなら鍛錬を行なっているんだ! 念のためにフィーネの予定を聞いておこう」
「良いよ。アタシはリアナに合わせれるから」
フィーネと話をしているとクライヴ達が武器屋に行こうと声をかけてくれた。
そうだ今日の武具の修理と新しい掘り出し物がないかチェックをしないと…………危ないところだったもう少しで今日の報酬の全額をカフェ代に注ぎ込むところだった…………
そして夏を迎えるとショーンを除いてぼく達は初級冒険者に昇格した。
ついに目標だった初級冒険者…………これで討伐依頼など受けれて多くの人を助ける事ができる。
早く討伐依頼を受けたい気持ちを抑えていると夏休みを迎えた。
そこに学生寮のぼく宛にレベッカお姉様から手紙が一通届いていた。
【親愛なるリアナへ
リアナが居なくなって一年。最近ようやくお父様がリアナを勘当した事で罪悪感を感じているようです。
この前の社交会でお父様はウィンゲート侯爵様から話しかけられたようで、それからリアナの身を案じるようになったわ。
まぁお父様もリアナもお互い決心した事は中々折れないから、本当に騎士になるまで戻ってこないようなので手紙を書きました。
明日からお父様は領地に戻るから、王都の屋敷に戻って来てくれない? 使用人のみんなも心配しているわよ。勿論! 私も心配で心配で平民が多い初等部でリアナが上手く馴染めているのか何度見に行こうとしてお父様に止められたことか……
私はこの夏休みは王都の屋敷に居るので少しだけでも良いので顔が見たいわ。
騎士を目指す可愛い妹を想うお姉ちゃんより】
そうか……………………
ウィンゲート侯爵家の晩餐会以降に色々とあったのだろう。
もしお父様が謝ってもぼくはもうヘンダーソン家のリアナではなく、ただのリアナだ!
しかしレベッカお姉様や使用人達を心配させるのも心苦しい…………
二、三日ぐらい戻ってみよう………………
そして二、三日程度なら戻りますと返事を書くと、次の日に我が家の紋章入りの馬車がやってきた。
「この日をお待ちしておりましたリアナ様……
さぁこちらへ。レベッカ様がお待ちでございます」
そしてぼくは一年数ヵ月振りに屋敷に戻ってきた。馬車から降りるとレベッカお姉様が駆け寄りぼくを抱きしめた。
「あぁ……リアナ……良かった。元気そうでなりよりだわ。あなたが家を飛び出した時、もう戻ってこないと思いヘンダーソン家の家紋入りの剣をあなたの荷物に忍ばせたのよ。お父様が何を言おうと私はいつでもあなたの味方よ」
「レベッカお姉様苦しいです。ぼくは騎士になるまではお父様とは会いたくありません。いや会えないです。今戻るとぼくは騎士の真似事で終わってしまいますから……」
「本当はね……危険な事をして欲しくないし……可愛いあなたの顔や身体に傷がついたらと思うと辛いのよ…………でも……それもリアナが決めた道だから夢を叶えるまで頑張りなさい」
「はい……レベッカお姉様がいつも守ってくれていて感謝しています……」
「でも淑女としてのマナーはこれからも気をつけるようにしなさい。平民として生きていくと考えていても……あなたにはヘンダーソン家の名前が付き纏うから……」
「はい、心得ております」
久しぶりの再会だがぼく達はいつも話しているような雰囲気で会話をしている。そしてレベッカお姉様にこうやって子ども扱いするされるのがなんだか懐かしくも恥ずかしい。
「それとリアナ。来年王立学院で会いましょう。私は一年間で卒業するけど……それを逃すとリアナと会うのは騎士になってからでしょう? 当分会えなくなるわ」
レベッカお姉様はそう言うが悲しそうな顔はしておらず、ぼくが騎士になるのを楽しみにしているようだった。
「はい、レベッカお姉様に早く会えるよう精進します」
その後、家を出てから今までの話をして、レベッカお姉様はとても楽しそうな顔でぼくの話を聞いてくれた。
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