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第一章 王国編第一部(初等部)
エピソード97 夏を越えて、冒険者見習いを超えて
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本日は晴天なり……と言うべきなのか暑熱により、ジリジリと地面が灼熱のように感じる……
このままでは熱中症になるのではと思うぐらいの異常気象が王都では起こっている。
幸いにも今は学院は夏休みで、日差しの弱い午前中にオレ達は採取依頼の薬草採取をこなしている。
さすがにオレも暑さには勝てず、森での採取に全員一致で決定した。
そして現在採取中なんだが、どうやらフィーネの様子がおかしい…………
何かこちらをチラチラと見て話すタイミングを見計らっているようだった。
オレも周囲に注意を払いながらフィーネの元に行き、フィーネに話しかけた。
「フィーネ? やっぱりいるか?」
オレは森の中に獣がいるのかどうかを短い言葉でフィーネに聞いた。
「ヒャイ! クライヴ、アタシもちょっと気になっていて……」
フィーネは少し驚き、伏し目がちに言葉を濁した。
(やはりか、しかしフィーネでも、まだハッキリしない相手とは? 獣? いや人の場合もあるな)
オレはモーガン達にも今すぐ伝えるべきかフィーネに確認した。
「どうする? モーガン達にも伝えるか?」
「えっ? 何言ってるのよクライヴ、まだ早いわよ」
するとフィーネは驚きながらもオレにしか聞こえないよう小声で言った。
(なるほど確証が得られていないため仲間達を不安にさせたくないという事か……チームでの行動では必要な事だな。
フィーネに学ばされるなんてオレもまだまだ未熟だな……)
オレは薬草を採取するよりも、みんながどこにいるのか確認してから物音が聞こえないか集中した。
すると奥の方からか何かの鳴き声が聞こえてきた
そしてオレはフィーネに、もし敵ならどのタイミングで確認するのか短い言葉で聞いた。
「いつ行くんだ」
フィーネは眉間に皺を寄せて考え込み、縋るようにオレに言った。
「クライヴも一緒に来てくれる」
(オレなんかで力になれるのか? 確かにみんなオレ達より五十メートルぐらい後方にいる……確認するだけならフィーネがベストだが、一人で行かすのは男として情けない)
「わかった! いつでも行けるようにしとく」
オレはフィーネにそう言うとフィーネはやっと安心した顔をした。
(そうだよな、まだ十一歳の女の子なんだから普通は怖いよな…………オレの方が精神年齢は大人なのに、オレが頑張らないといけないよな)
「実は私一人じゃ不安でクライヴに言おうか迷ってたの……」
いつもはアンタと言ってくる強気なフィーネが今日はごく普通の女の子に見えて、こんなに怖い思いをさせていた事にオレは自分の情け無さとフィーネへの申し訳ない思いで自分自身への怒りが湧いてきた。
「フィーネ一人で悩むなよ。遠慮しなくていいから、ちゃんとオレも行くよ」
「あ…………あり……がと……う」
フィーネは涙を堪えながら何とか声を振り絞りオレに感謝を伝えた。
(そんなに抱え込んでいたのか……ハーフエルフならではの悩みとかあるんだろう……それでオレにしか言えなかったのか…………………………
あれ? そもそも物音を確認する事なんて一旦みんなに伝えて、みんなで行動してたよな……二人で確認しに行く方がリスクは高いし…………
それに、フィーネってこんなにしおらしかったっけ? どちらかと言えば芯の通った強さがあるだろ…………何だこの違和感は?)
オレは何かフィーネと噛み合ってないような気がしてきた。まるでボタンを掛け違えたような一つ一つの会話に違和感を感じてきた。
「あ、あの~確認なんだけど……フィーネの悩みはもう大丈夫なのか? 解決できた?」
オレは何か違うような気がしてきた。
そしてオレはフィーネを怒らせない為にも、自分は知っていますというニュアンスをかもしながら恐る恐るフィーネに確認した。
「うん! クライヴのおかげでアタシも頑張れるよ! 夏休みが始まる前にお母様から連絡があって、今年はクライヴと一緒に帰ってきなさいって言われてて、理由を聞いてみたらお姉様達にクライヴの事を言ったのよ! そしたらお姉様達も連れてこいって言ってるのよ! ア、ア、アタシのか、か、彼氏を…………」
(ん? ちょっと待てよ……状況を整理しよう。
今年の夏休みはイルーラ女王に言われてフィーネは帰省予定だと…………ここまでは間違ってないぞ。どうやらイルーラ女王は、フィーネのお姉様達にオレの事をペラペラと誇張して話したらしく、フィーネの彼氏を連れてこいとなっているらしい……………………誰だいその彼氏は?)
「フィーネ……その……一応聞くけど……彼氏っていうのは………………」
フィーネはオレの言葉を遮り、真っ赤な顔でいつもの口調で怒った。
「アンタの事よ! お母様が大げさに言うからお姉様達が勘違いしてるのよ! だから一人で帰りたくなかったの! アンタを連れて来ないと何言われるかわからないから怖かったのよ! なにか文句あるの?」
(うん! 出だしから間違っているよ! オレは彼氏になってないぞ……ゆっくりゆっくり大人になっていく過程で決心したいんですよ。イルーラ女王には冷やかされるだろうし、フィーネのお姉様達は初対面だからなに言われるか分からないし…………フィーネも泣いて安心してたし、もう今から断る勇気は無いぞ…………うん! フィーネなら分かるだろうとか、こう考えてるんだなとか、最初の確認を怠ったオレが悪いんだな! みんな報告と連絡と相談は大事だよ)
オレはフィーネ一族対策を考えようとしたがこの暑さではアイデアは浮かんでこない…………
まずはこの炎天下の中で採取依頼を終える事に力を注ぎ、学生寮に戻ってから考えることにした。
そして無事に午前中に採取が終わり、冒険者協会へ依頼のあった薬草の納品を行った。
するとカウンターの職員さんが納品の計算を目の前で行う中、別の職員さんが奥のデスクで台帳のような物をペラペラと捲ってから、カウンターの職員さんに耳打ちした。
「おめでとうございます。クライヴ様、フィーネ様、モーガン様、リアナ様は初級冒険者にランクアップです」
カウンターの職員さんはそう言って、新しい冒険者証明証を渡してくれた。
今までと同じで木の素材で出来た証明証だが、一箇所だけ違っていた。
名前の上の見習いという文字が初級に変わっていた。
「ついに……目標だった初級冒険者だよ!」
「なんでじゃ! ワシも初級冒険者になりたいんじゃ!」
「まあまあ二人とも落ち着いて、もう少しでショーンも初級冒険者になれるよ。みんなが初級冒険者になったら新しく受けれるようになった依頼も見てみようよ」
モーガンがリアナとショーンを宥めるが、オレはそんな出来事よりも、先程採取依頼中には聞けなかったフィーネの帰省の日が気になっていた。
「フィーネ? さっき聞くのを忘れていたんだけど、いつ帰省する予定なんだ?」
フィーネはキョトンとした顔をして、さも当然のように答えた。
「えっ明日だけど」
オレはフィーネの言葉に背筋が凍りつき、今夜は徹夜でフィーネ一族対策を考える事が確定した…………
このままでは熱中症になるのではと思うぐらいの異常気象が王都では起こっている。
幸いにも今は学院は夏休みで、日差しの弱い午前中にオレ達は採取依頼の薬草採取をこなしている。
さすがにオレも暑さには勝てず、森での採取に全員一致で決定した。
そして現在採取中なんだが、どうやらフィーネの様子がおかしい…………
何かこちらをチラチラと見て話すタイミングを見計らっているようだった。
オレも周囲に注意を払いながらフィーネの元に行き、フィーネに話しかけた。
「フィーネ? やっぱりいるか?」
オレは森の中に獣がいるのかどうかを短い言葉でフィーネに聞いた。
「ヒャイ! クライヴ、アタシもちょっと気になっていて……」
フィーネは少し驚き、伏し目がちに言葉を濁した。
(やはりか、しかしフィーネでも、まだハッキリしない相手とは? 獣? いや人の場合もあるな)
オレはモーガン達にも今すぐ伝えるべきかフィーネに確認した。
「どうする? モーガン達にも伝えるか?」
「えっ? 何言ってるのよクライヴ、まだ早いわよ」
するとフィーネは驚きながらもオレにしか聞こえないよう小声で言った。
(なるほど確証が得られていないため仲間達を不安にさせたくないという事か……チームでの行動では必要な事だな。
フィーネに学ばされるなんてオレもまだまだ未熟だな……)
オレは薬草を採取するよりも、みんながどこにいるのか確認してから物音が聞こえないか集中した。
すると奥の方からか何かの鳴き声が聞こえてきた
そしてオレはフィーネに、もし敵ならどのタイミングで確認するのか短い言葉で聞いた。
「いつ行くんだ」
フィーネは眉間に皺を寄せて考え込み、縋るようにオレに言った。
「クライヴも一緒に来てくれる」
(オレなんかで力になれるのか? 確かにみんなオレ達より五十メートルぐらい後方にいる……確認するだけならフィーネがベストだが、一人で行かすのは男として情けない)
「わかった! いつでも行けるようにしとく」
オレはフィーネにそう言うとフィーネはやっと安心した顔をした。
(そうだよな、まだ十一歳の女の子なんだから普通は怖いよな…………オレの方が精神年齢は大人なのに、オレが頑張らないといけないよな)
「実は私一人じゃ不安でクライヴに言おうか迷ってたの……」
いつもはアンタと言ってくる強気なフィーネが今日はごく普通の女の子に見えて、こんなに怖い思いをさせていた事にオレは自分の情け無さとフィーネへの申し訳ない思いで自分自身への怒りが湧いてきた。
「フィーネ一人で悩むなよ。遠慮しなくていいから、ちゃんとオレも行くよ」
「あ…………あり……がと……う」
フィーネは涙を堪えながら何とか声を振り絞りオレに感謝を伝えた。
(そんなに抱え込んでいたのか……ハーフエルフならではの悩みとかあるんだろう……それでオレにしか言えなかったのか…………………………
あれ? そもそも物音を確認する事なんて一旦みんなに伝えて、みんなで行動してたよな……二人で確認しに行く方がリスクは高いし…………
それに、フィーネってこんなにしおらしかったっけ? どちらかと言えば芯の通った強さがあるだろ…………何だこの違和感は?)
オレは何かフィーネと噛み合ってないような気がしてきた。まるでボタンを掛け違えたような一つ一つの会話に違和感を感じてきた。
「あ、あの~確認なんだけど……フィーネの悩みはもう大丈夫なのか? 解決できた?」
オレは何か違うような気がしてきた。
そしてオレはフィーネを怒らせない為にも、自分は知っていますというニュアンスをかもしながら恐る恐るフィーネに確認した。
「うん! クライヴのおかげでアタシも頑張れるよ! 夏休みが始まる前にお母様から連絡があって、今年はクライヴと一緒に帰ってきなさいって言われてて、理由を聞いてみたらお姉様達にクライヴの事を言ったのよ! そしたらお姉様達も連れてこいって言ってるのよ! ア、ア、アタシのか、か、彼氏を…………」
(ん? ちょっと待てよ……状況を整理しよう。
今年の夏休みはイルーラ女王に言われてフィーネは帰省予定だと…………ここまでは間違ってないぞ。どうやらイルーラ女王は、フィーネのお姉様達にオレの事をペラペラと誇張して話したらしく、フィーネの彼氏を連れてこいとなっているらしい……………………誰だいその彼氏は?)
「フィーネ……その……一応聞くけど……彼氏っていうのは………………」
フィーネはオレの言葉を遮り、真っ赤な顔でいつもの口調で怒った。
「アンタの事よ! お母様が大げさに言うからお姉様達が勘違いしてるのよ! だから一人で帰りたくなかったの! アンタを連れて来ないと何言われるかわからないから怖かったのよ! なにか文句あるの?」
(うん! 出だしから間違っているよ! オレは彼氏になってないぞ……ゆっくりゆっくり大人になっていく過程で決心したいんですよ。イルーラ女王には冷やかされるだろうし、フィーネのお姉様達は初対面だからなに言われるか分からないし…………フィーネも泣いて安心してたし、もう今から断る勇気は無いぞ…………うん! フィーネなら分かるだろうとか、こう考えてるんだなとか、最初の確認を怠ったオレが悪いんだな! みんな報告と連絡と相談は大事だよ)
オレはフィーネ一族対策を考えようとしたがこの暑さではアイデアは浮かんでこない…………
まずはこの炎天下の中で採取依頼を終える事に力を注ぎ、学生寮に戻ってから考えることにした。
そして無事に午前中に採取が終わり、冒険者協会へ依頼のあった薬草の納品を行った。
するとカウンターの職員さんが納品の計算を目の前で行う中、別の職員さんが奥のデスクで台帳のような物をペラペラと捲ってから、カウンターの職員さんに耳打ちした。
「おめでとうございます。クライヴ様、フィーネ様、モーガン様、リアナ様は初級冒険者にランクアップです」
カウンターの職員さんはそう言って、新しい冒険者証明証を渡してくれた。
今までと同じで木の素材で出来た証明証だが、一箇所だけ違っていた。
名前の上の見習いという文字が初級に変わっていた。
「ついに……目標だった初級冒険者だよ!」
「なんでじゃ! ワシも初級冒険者になりたいんじゃ!」
「まあまあ二人とも落ち着いて、もう少しでショーンも初級冒険者になれるよ。みんなが初級冒険者になったら新しく受けれるようになった依頼も見てみようよ」
モーガンがリアナとショーンを宥めるが、オレはそんな出来事よりも、先程採取依頼中には聞けなかったフィーネの帰省の日が気になっていた。
「フィーネ? さっき聞くのを忘れていたんだけど、いつ帰省する予定なんだ?」
フィーネはキョトンとした顔をして、さも当然のように答えた。
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オレはフィーネの言葉に背筋が凍りつき、今夜は徹夜でフィーネ一族対策を考える事が確定した…………
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