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第一章 王国編第一部(初等部)
エピソード96 デコボコな連携
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「「リアナ!」」
オレとフィーネは、偽ブタが右前足を大きく振りかぶった時に同時に叫んだ。
(無茶し過ぎだリアナ! それにショーンも!)
オレは内心焦りながらも、右手に意識を集中させて、【身体強化】で先程フィーネが狙った左前足目掛けて思いっきりナイフを投げつけた!
偽ブタの左前足の深くまでナイフが刺さり、偽ブタはたまらずよろけてリアナから離れた所に右前足を振り下ろしていた。
「フィーネ!」
そしてフィーネの最後の四本目の矢は、両足とも下ろして隙だらけの眉間を目掛けて放った…………
(さすがフィーネ! バッチリだ)
「【クロノス】」
オレだけの百分の一秒の緩やかな刻の流れの世界。この限られた一秒半で、オレの後方から飛んでくる矢を掴み、【身体強化】が切れないうちに投げ槍の要領で走りながら偽ブタの眉間を目掛けて勢いよく投げつけた。
「プギャャャャァァア!」
オレが投げた矢は、偽ブタの眉間を深く突き刺さり大きな悲鳴をあげて大きくバランスを崩して倒れそうになっている。
「みんな離れて! 氷の地面」
モーガンは魔法を唱えると偽ブタの立っている地面が氷に変化して、偽ブタは大きく転倒をした!
「モーガン、ナイス! リアナ頼む!」
オレは【クロノス】と【身体強化】の反動で全身に強い疲労感が襲って来た……
「任せてくれ!」
リアナは長剣で偽ブタの首の根本を目掛けて体重を乗せた横斬りを放ち、深傷を負わす事ができた。
「ギイイイイ!」
偽ブタは悲鳴をあげ首を防ぐように顎をひいて立ち上がろうとするが……リアナは既に次の攻撃に移っていた。
横斬りの勢いを殺さずそのまま回転してガラ空きになった偽ブタの顔に回転斬りを放ち、偽ブタの右目を深くえぐった。
「プギァア!」
「これで終わりだ!」
悲鳴をあげる偽ブタはまた倒れ込み、リアナはその隙を逃す事なく細剣に持ち替えて偽ブタの胸の中心部の少し横を思いっきり突き刺した。
「プッ……ギィ…………」
偽ブタは血を吐きながらピクピクとしたが、しばらくすると動かなくなった。
オレ達は無事に偽ブタの退治して、フィーネが解体している間、毒草を集めを再開した。
「解体終わったわよ」
フィーネがオレ達に偽ブタの解体を終えた事を伝えると、オレ達は王都に戻る事にした。
昼頃には冒険者協会に戻る事ができ、依頼があった毒草の納品と、偽ブタの皮と肉も納品した。
「偽ブタ三匹もお前達のような若造で怪我も無く良く頑張ったなぁ」
協会の人は驚きながらオレ達に声をかけてくれた。報酬と追加で納品した偽豚の報酬の計算にしばらく時間がかかるらしい。
オレ達は計算が終わるまで反対側にある打ち合わせスペースで身体を休めた。机を囲むように三脚のイスと一つのソファーが置いてあった。
オレは疲労感と筋肉痛が残っておりソファーに座らせてもらい、隣には当たり前のようにフィーネが座ったが、こちらをチラチラと見てきて目が合うとフィーネは顔を赤くして俯いた…………
(何で堂々と座ったのに恥ずかしがってんのフィーネさん? なんかほら、モーガン達がニマニマしてこっち見てるだろ!)
変な雰囲気と沈黙が暫く流れたが、その空気を打ち破ったのはモーガンだった。
「今回の偽ブタの追加報酬で初級冒険者になれるかも知れないね。ショーンはもう少し依頼を達成しないと難しいかもしれないけど……」
そのモーガンの言葉に反応したのがリアナだった。
「ぼくの今年の目標だからね、初級冒険者になるのが……討伐依頼が出来るとより多くの人を助ける事が出来るから、まさにぼくの目指す騎士道精神ではないだろうか?」
リアナは力強く拳を握り熱く語っているが……
(そんなこと言っても、リアナの騎士道精神なんて知らんがな)
「羨ましいのぉ…………ワシも必ず冒険者になるんじゃ! リアナには負けとうないないんじゃ!」
リアナに感化されてショーンもキラキラした目で熱く語っていた。
「まあまあ二人とも落ち着いてね。ボクの予想なんだから、まだ初級冒険者へのランクアップが決まったわけではないからね。
クライヴはどう思う?」
モーガンはオレに話を振ってきたが、オレは今まで通りで変わらない。
「オレはランクアップしても、ずっと採取依頼しか受けたくないよ」
「フフッ……クライヴらしいね」
モーガンは笑いを堪えて涙目になっていた。
リアナとショーンからは溜息をつかれた…………
(何で息ぴったりなんだよ。そして残念な奴を見る目で溜息をつくんだよ)
そしてオレ達の報酬の計算が終わったようで、正面カウンターの職員さんから呼び出された。
「お待たせいたしました。依頼の納品も不備なく行えておりました。また追加分の偽ブタの素材の納品も合わせて、小金貨一枚になります」
まさかの小金貨にオレ達は驚きを隠せなかった。
(依頼の報酬が銀貨二枚で、偽ブタが確か銀貨四枚だったはずだから、子どもの偽ブタは二匹で銀貨四枚か…………オレの小盾以外大きな破損も無さそうだし儲かったほうか?)
「やったあ! リアナ、今度大通りにあるカフェのスイーツが有名なんだけど行ってみない? ちょっと高いらしいけど今のアタシ達なら問題ないわ!」
フィーネは思っていた以上の収入を得てホクホク顔でリアナを誘っていた。
リアナも有名なスイーツと言う魔法の言葉に唆されていた。
「フィーネ、ぼくが憧れる騎士は、甘いものを食べている暇があるなら鍛錬を行なっているんだ」
リアナはそんな言葉を言っているが、既に手帳にフィーネと予定を合わせている。
(おーい騎士道精神とやらはどこに行った? リアナ? 最近よく見失っているよ自分の思い描く騎士像を…………)
「フィーネとリアナは相変わらずだね。クライヴ取り敢えず武器屋に行くんだよね。ボクもついて行くよ」
モーガンはオレの心を読み取ったかのように、今一番行きたい武器屋に一緒についてきてくれると言った。
「ワシも武器屋のおっちゃんに用があるけえ、一緒じゃな」
オレはフィーネとリアナに声をかけて武器屋に行こうと伝えて、モーガンの方へ振り向きニヤリと笑みを浮かべた。モーガンは不思議そうな顔をしていた。
「モーガン、まだオレ達は初級冒険者になれないようだよ。暫くは採取依頼だな」
先程カウンターの職員さんからランクアップの事を言われなかった。その事をモーガンに言うと、モーガンもオレに笑みを浮かべて、ヤレヤレと言いたそうなジェスチャーをした。
「クライヴ、だからあれはただの予想だよ。当たるとは言ってないよ」
そんなやり取りをしているうちにフィーネ達はオレ達に追いついた。
「ワシはいつ初級冒険者になれるんじゃ!」
ショーンはランクアップを少し期待していたのだろうか、肩を落として一人落ち込んでいた。
(まぁ、何というか……純粋と言うか…………ドンマイ)
オレとフィーネは、偽ブタが右前足を大きく振りかぶった時に同時に叫んだ。
(無茶し過ぎだリアナ! それにショーンも!)
オレは内心焦りながらも、右手に意識を集中させて、【身体強化】で先程フィーネが狙った左前足目掛けて思いっきりナイフを投げつけた!
偽ブタの左前足の深くまでナイフが刺さり、偽ブタはたまらずよろけてリアナから離れた所に右前足を振り下ろしていた。
「フィーネ!」
そしてフィーネの最後の四本目の矢は、両足とも下ろして隙だらけの眉間を目掛けて放った…………
(さすがフィーネ! バッチリだ)
「【クロノス】」
オレだけの百分の一秒の緩やかな刻の流れの世界。この限られた一秒半で、オレの後方から飛んでくる矢を掴み、【身体強化】が切れないうちに投げ槍の要領で走りながら偽ブタの眉間を目掛けて勢いよく投げつけた。
「プギャャャャァァア!」
オレが投げた矢は、偽ブタの眉間を深く突き刺さり大きな悲鳴をあげて大きくバランスを崩して倒れそうになっている。
「みんな離れて! 氷の地面」
モーガンは魔法を唱えると偽ブタの立っている地面が氷に変化して、偽ブタは大きく転倒をした!
「モーガン、ナイス! リアナ頼む!」
オレは【クロノス】と【身体強化】の反動で全身に強い疲労感が襲って来た……
「任せてくれ!」
リアナは長剣で偽ブタの首の根本を目掛けて体重を乗せた横斬りを放ち、深傷を負わす事ができた。
「ギイイイイ!」
偽ブタは悲鳴をあげ首を防ぐように顎をひいて立ち上がろうとするが……リアナは既に次の攻撃に移っていた。
横斬りの勢いを殺さずそのまま回転してガラ空きになった偽ブタの顔に回転斬りを放ち、偽ブタの右目を深くえぐった。
「プギァア!」
「これで終わりだ!」
悲鳴をあげる偽ブタはまた倒れ込み、リアナはその隙を逃す事なく細剣に持ち替えて偽ブタの胸の中心部の少し横を思いっきり突き刺した。
「プッ……ギィ…………」
偽ブタは血を吐きながらピクピクとしたが、しばらくすると動かなくなった。
オレ達は無事に偽ブタの退治して、フィーネが解体している間、毒草を集めを再開した。
「解体終わったわよ」
フィーネがオレ達に偽ブタの解体を終えた事を伝えると、オレ達は王都に戻る事にした。
昼頃には冒険者協会に戻る事ができ、依頼があった毒草の納品と、偽ブタの皮と肉も納品した。
「偽ブタ三匹もお前達のような若造で怪我も無く良く頑張ったなぁ」
協会の人は驚きながらオレ達に声をかけてくれた。報酬と追加で納品した偽豚の報酬の計算にしばらく時間がかかるらしい。
オレ達は計算が終わるまで反対側にある打ち合わせスペースで身体を休めた。机を囲むように三脚のイスと一つのソファーが置いてあった。
オレは疲労感と筋肉痛が残っておりソファーに座らせてもらい、隣には当たり前のようにフィーネが座ったが、こちらをチラチラと見てきて目が合うとフィーネは顔を赤くして俯いた…………
(何で堂々と座ったのに恥ずかしがってんのフィーネさん? なんかほら、モーガン達がニマニマしてこっち見てるだろ!)
変な雰囲気と沈黙が暫く流れたが、その空気を打ち破ったのはモーガンだった。
「今回の偽ブタの追加報酬で初級冒険者になれるかも知れないね。ショーンはもう少し依頼を達成しないと難しいかもしれないけど……」
そのモーガンの言葉に反応したのがリアナだった。
「ぼくの今年の目標だからね、初級冒険者になるのが……討伐依頼が出来るとより多くの人を助ける事が出来るから、まさにぼくの目指す騎士道精神ではないだろうか?」
リアナは力強く拳を握り熱く語っているが……
(そんなこと言っても、リアナの騎士道精神なんて知らんがな)
「羨ましいのぉ…………ワシも必ず冒険者になるんじゃ! リアナには負けとうないないんじゃ!」
リアナに感化されてショーンもキラキラした目で熱く語っていた。
「まあまあ二人とも落ち着いてね。ボクの予想なんだから、まだ初級冒険者へのランクアップが決まったわけではないからね。
クライヴはどう思う?」
モーガンはオレに話を振ってきたが、オレは今まで通りで変わらない。
「オレはランクアップしても、ずっと採取依頼しか受けたくないよ」
「フフッ……クライヴらしいね」
モーガンは笑いを堪えて涙目になっていた。
リアナとショーンからは溜息をつかれた…………
(何で息ぴったりなんだよ。そして残念な奴を見る目で溜息をつくんだよ)
そしてオレ達の報酬の計算が終わったようで、正面カウンターの職員さんから呼び出された。
「お待たせいたしました。依頼の納品も不備なく行えておりました。また追加分の偽ブタの素材の納品も合わせて、小金貨一枚になります」
まさかの小金貨にオレ達は驚きを隠せなかった。
(依頼の報酬が銀貨二枚で、偽ブタが確か銀貨四枚だったはずだから、子どもの偽ブタは二匹で銀貨四枚か…………オレの小盾以外大きな破損も無さそうだし儲かったほうか?)
「やったあ! リアナ、今度大通りにあるカフェのスイーツが有名なんだけど行ってみない? ちょっと高いらしいけど今のアタシ達なら問題ないわ!」
フィーネは思っていた以上の収入を得てホクホク顔でリアナを誘っていた。
リアナも有名なスイーツと言う魔法の言葉に唆されていた。
「フィーネ、ぼくが憧れる騎士は、甘いものを食べている暇があるなら鍛錬を行なっているんだ」
リアナはそんな言葉を言っているが、既に手帳にフィーネと予定を合わせている。
(おーい騎士道精神とやらはどこに行った? リアナ? 最近よく見失っているよ自分の思い描く騎士像を…………)
「フィーネとリアナは相変わらずだね。クライヴ取り敢えず武器屋に行くんだよね。ボクもついて行くよ」
モーガンはオレの心を読み取ったかのように、今一番行きたい武器屋に一緒についてきてくれると言った。
「ワシも武器屋のおっちゃんに用があるけえ、一緒じゃな」
オレはフィーネとリアナに声をかけて武器屋に行こうと伝えて、モーガンの方へ振り向きニヤリと笑みを浮かべた。モーガンは不思議そうな顔をしていた。
「モーガン、まだオレ達は初級冒険者になれないようだよ。暫くは採取依頼だな」
先程カウンターの職員さんからランクアップの事を言われなかった。その事をモーガンに言うと、モーガンもオレに笑みを浮かべて、ヤレヤレと言いたそうなジェスチャーをした。
「クライヴ、だからあれはただの予想だよ。当たるとは言ってないよ」
そんなやり取りをしているうちにフィーネ達はオレ達に追いついた。
「ワシはいつ初級冒険者になれるんじゃ!」
ショーンはランクアップを少し期待していたのだろうか、肩を落として一人落ち込んでいた。
(まぁ、何というか……純粋と言うか…………ドンマイ)
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