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序章

エピソード?

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「痛ってぇー」
 後頭部を押さえながら徐々に意識がハッキリしてきた。
 周りを見渡すと、そこはジメジメした暗い部屋の閉じ込めらていた。
 少し奥の方に進むと、扉が見える。
 どうやら扉の奥には壁掛けの蝋燭が灯されており、僅かに扉と床の隙間からボンヤリと灯りが漏れていた。
 とりあえずダメ元で扉を開けてみるか...うん、ビクともしない。
 これって監禁状態?
 行先は奴隷商人か秘密裏に処理されるのでは?
 全くあの王妃が考えそうな事だ。
 おかげで膝がどえらい事にガクブルしてるよ!
 現在進行形で!

「誰かいませんか! お願いします! 命と奴隷以外の事なら何でもしますので!」

 何とか看守と交渉できないか、震える声で何度も叫んだ。
 その時、後ろの壁の端から……

「落ち着いてくれない」

 冷静だが、幼さのあるトーンの声が聞こえた。

「ひぇっ」

 まさか同じ部屋に人が居るとは思っていなかった為、驚きのあまり声が裏返ってしまった。
 いやいや、今そんな事は如何でもいい。
 とりあえず、膝の震えを両手で鎮めて。

「良かったぁ 一人じゃなくて」

 と精一杯の強がりな笑顔で返事をして、その子に向かって歩き出した。
 その子は一歩だけ後退り、何故か不審がられた。
 二人はお互い壁に凭れ掛かり少し離れて扉の奥に揺らめく蝋燭を無言で眺めていた。
 重たい雰囲気の中、沈黙を破ったのは、その子だった。

「君は、この場所がどこかわかるの?」

「検討もつかないけど、狙われている理由なら思い当たる事がいくつかはあるんだ……   
君はどうしてここに閉じ込められたの?」

「わからない……
家族と一緒に旅行に来たんだけど……
さっき目を覚まして、今の状況に少し混乱している」

 どうやら黒髪だからオレと間違えられ誘拐された可能性がある。

「この世界に転生するんなら、何か役に立つ能力が欲しかったよ」

 そんな泣き言をオレは呟き、間違えて誘拐された子の為にもなんとしてもここから脱出しなければと考える。
 でもやっぱり、暗くて怖いよ……
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