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第十四話 許せない、許さない。
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「エドガルト様……どうしてここに?」
ファーナは呆然と呟いた。
が、次の瞬間、自分が素顔を晒していることに気づき、慌ててフードを被りなおした。
片手を魔物に拘束されたままなので、少しもたついてしまったが。
――エドガルト様に見られていないといいけれど……
ヒリヒリとした焦りが胸の奥を締め付ける。
あっさりと見つかってしまったことも、素顔を見られてしまったかもしれないことも、彼女にとっては目の前の魔物を忘れるくらいの一大事だ。
「どうもこうも、君を助けに来たんだよ。前に約束しただろう? もう忘れちゃった?」
覚えている。忘れてなんていない。エドガルトとの思い出は全部。
でも、婚約解消を申し出たくせに、正直にそんなことを答えていいはずがない。
「そんなことは……」
言葉を濁し、エドガルトの視線から逃げるように顔を背けた。
助けに来てもらえて嬉しいと、そう素直に言えたらよかったのに。
「そっか。覚えていてくれたのなら嬉しいな。――さぁて。まずはこの粗悪な結界を張ったチャチな魔物をどうにかしよう。話はその後だ」
エドガルトは爽やかな笑顔をファーナに向け、それから魔物へと向き直った。
途端、爽やかな笑みは不気味なそれに変わる。
「おいこら、金髪! なにが粗悪だ! 誰がチャチだ!」
不愉快そうに魔物が怒鳴るが、エドガルトはどこ吹く風だ。
飛びかかられたらひとたまりもないであろう距離まで、無防備な歩調で歩み寄る。
「君は小さな道化かな? 初めて見たなぁ。いやぁ、今日は運がいい。さっきは臆病な木に会えたし、今度は君だ」
「なに言ってんだ、おまえは馬鹿か? おっ、俺は人間だ! 見たらわかるだろ、ケケケケ!」
魔物はいまだに自分の正体がばれていないと思っているらしい。
木こりのふりをしている時にはなんとか取り繕っていたはずの言葉遣いすら、今では片言になっている。それでも人間だと言い張るのは自分の擬態に自信があるのか、己の優位を疑っていないからだろう。
エドガルドは罵りの言葉を受けても、顔色ひとつ変えない。
それどころか心の底から楽しそうだ。
「へぇ……君は人間なの? おかしいなぁ。人間にしては……」
「俺は人間だぞ。おかしいところなんてない!」
「ほう……そうなのか。変だなぁ、人間にはそんなに大きな牙はないんだけどなぁ」
エドガルトが首をひねって不思議がると、魔物は両手で口元をおさえ、なにやらもごもごと口を動かした。
「ほら! 牙なんてないぞ!」
「ああ、本当だ。君に牙はないね。じゃあ、人間なのかな? でも人間にしてはちょっと爪が長いねぇ」
「爪!? 爪なんて長くないぞ!」
魔物は両手を後ろに隠し、しばらくもぞもぞすると「ほら!」と両手を差し出した。
爪が短くなるどころか、完全になくなっているが、エドガルトはあえて指摘はしなかった。「なるほど、本当に爪は長くないね」と笑う。
「でも、おかしいなぁ。普通の人間なら結界なんて張れないのになぁ」
「俺は魔法使いなんだ! 魔法使いの木こりなんだ!」
「えー? それなら尻尾を見せてよ」
「は?」
魔物はぽかんと口を開けた。
「人間の魔法使いならあるでしょ、尻尾。ほら、魔法を使うときは出すやつ。魔法使いは尻尾に魔力を集中させているから、出さないと魔法使えないんだよね」
その場にいた魔物とエドガルト以外の人間は、一体なにを言い出したのかと彼を凝視している。
そんなけったいな嘘に騙される者がいるか! ――と内心で突っ込む。
「あ、ちなみに僕も魔法使いなんだ。だから、尻尾あるよ。ちょっと変わった形なんだけどね」
エドガルトが言うなり、腰のあたりから長いものがひょこりと顔を出した。
長さはエドガルトの腕より少し短いくらい。茶色くてごつごつしていて、まるで枯れ木のようなものがゆらゆらとそよいでいる。
エドガルトの後ろに控えているツェラとユリアンが、そこはかとなくげんなりした顔をしている。
「ほら、いいだろう? 尻尾」
煽るようなエドガルトの言葉に合わせたのか、尻尾がさらに大きくゆらゆらと揺れる。ファーナとトーニの耳に「ギー」と木の枝同士がこすれるような音が届いたが、ふたりは周りの木々の枝が軋んだのだと思った。音はエドガルトの腰のあたりからした気がしたが、そんなはずはない。
「へっ! なんだそんな尻尾。俺なんてもっと凄いんだぞ!」
言うなり、魔物の羽織っているローブのお尻あたりが、もこっと膨らんだ。
そして、ローブの裾から茶色と白の尻尾が現れた。柔らかそうな毛で覆われた尻尾は見事なまでにふさふさしている。
貧相にやせ細った腕とは対照的な豊かさだ。
「ほら見ろ、どうだッ!」
魔物は、自慢げに尻尾を持ち上げて揺らした。
「ふさふさ……可愛い……触りたい……尻尾……」
トーニが呆然と呟いた。
隣で聞いていたファーナは、トーニが無類の動物好き、特に猫や犬が好きだったことを思い出す。
あのふさふさで長い尻尾は、猫のものに酷似している。おそらく彼女の好みの尻尾なのだろう。
「おや、君の尻尾は確かに立派だね。ちょっと近くで見ていいかな?」
「おう! 羨ましいか。そうかそうか! ニシシシシシッ」
気をよくしたのか、魔物はくるりと一回転して止まる。どうだ、よく見ろと言わんばかりに尻尾をそよがせた。
「じゃあ、遠慮なく見させてもらうよ。――凍てた時」
「ぐっ!?」
なにか言いかけたまま、魔物は凍り付いたように動きを止めた。
「昔、本で読んだけど、小さな道化の弱点は尻尾なんだろう? 昔、本で読んだよ。本当なのかな? 試していい?」
眼球ひとつ動かせない様子の魔物の顔を覗き込んだ。
にんまりと笑うエドガルトは、完全に悪役のような顔つきをしている。
「沈黙は肯定――だよね? だって嫌だったら嫌だって言うよね? あ、どういう反応するのか見たいから戒めを解こうか! 解放」
エドガルトは言い終わるや否や、躊躇なく魔物の尻尾をむんずと掴んだ。
「う、ぎゃああああああああああ!!」
「わ、すごい悲鳴。マンドラゴラみたいだな」
梢に止まった鳥が一斉に飛び立つくらいの大音声が魔物から発せられる。
一番近くにいるエドガルトは少し顔をしかめた程度で、呑気に構えている。
「やめろおおおおおおおおおおお!」
「と言われてやめるわけないでしょ」
「はなせはなせ――って! だから、そんなに強く掴むなあああああああああ!!」
尻尾を掴まれると動けないのか、魔物は額から冷や汗をダラダラと流して目を白黒させている。
「本当に尻尾が弱点なんだねぇ」
「お、おまえ卑怯だ! 卑怯だぞ、人間ッ」
「だからなに? 僕の大事なファーナを喰うって言ったおまえに遠慮なんてすると思う?」
尻尾を握る手にさらなる力を込めたのか、魔物はひときわ大きな悲鳴を上げた。
途端、ぼぼん! と音がして、魔物の姿が消えた。
いや、消えたのではなく変化したのだ。
「おや、変化する力もなくなっちゃったのかな?」
愉快そうに目を細めるエドガルトの手には、手のひらサイズの子猫が一匹。くりっとした大きな目、愛らしくちょこんとした鼻はピンク色。尻尾同様、茶色と白のとらじま模様の長くつややかな毛が全身を覆っている。
不気味だった人の姿からは想像もつかないような、愛らしい正体だった。
「へ!?」
成り行きを見守っていた一同は、異口同音に驚愕の声を上げた。
エドガルドをいつ諫めようかとオロオロしていたファーナも、心痛を忘れてぽかんと魔物を見る。
「あら、まぁ……これは……」
その隣では、普段、表情が乏しいと言われているトーニが、別人のようにへらりと相好を崩した。
「ぁ……うぁ……か……可愛い……どう、しよう……」
少し離れたところでは、魔物嫌いのツェラが
「魔物のくせにあの姿はずるいわ……。どっちが卑怯よ!」
とこめかみに青筋を立て、隣のユリアンに「まぁまぁ」と宥められている。
「……下手に変身しないほうが、人を騙せるのではないかしら……?」
ファーナのつぶやきは正鵠を射ていた。
ファーナは呆然と呟いた。
が、次の瞬間、自分が素顔を晒していることに気づき、慌ててフードを被りなおした。
片手を魔物に拘束されたままなので、少しもたついてしまったが。
――エドガルト様に見られていないといいけれど……
ヒリヒリとした焦りが胸の奥を締め付ける。
あっさりと見つかってしまったことも、素顔を見られてしまったかもしれないことも、彼女にとっては目の前の魔物を忘れるくらいの一大事だ。
「どうもこうも、君を助けに来たんだよ。前に約束しただろう? もう忘れちゃった?」
覚えている。忘れてなんていない。エドガルトとの思い出は全部。
でも、婚約解消を申し出たくせに、正直にそんなことを答えていいはずがない。
「そんなことは……」
言葉を濁し、エドガルトの視線から逃げるように顔を背けた。
助けに来てもらえて嬉しいと、そう素直に言えたらよかったのに。
「そっか。覚えていてくれたのなら嬉しいな。――さぁて。まずはこの粗悪な結界を張ったチャチな魔物をどうにかしよう。話はその後だ」
エドガルトは爽やかな笑顔をファーナに向け、それから魔物へと向き直った。
途端、爽やかな笑みは不気味なそれに変わる。
「おいこら、金髪! なにが粗悪だ! 誰がチャチだ!」
不愉快そうに魔物が怒鳴るが、エドガルトはどこ吹く風だ。
飛びかかられたらひとたまりもないであろう距離まで、無防備な歩調で歩み寄る。
「君は小さな道化かな? 初めて見たなぁ。いやぁ、今日は運がいい。さっきは臆病な木に会えたし、今度は君だ」
「なに言ってんだ、おまえは馬鹿か? おっ、俺は人間だ! 見たらわかるだろ、ケケケケ!」
魔物はいまだに自分の正体がばれていないと思っているらしい。
木こりのふりをしている時にはなんとか取り繕っていたはずの言葉遣いすら、今では片言になっている。それでも人間だと言い張るのは自分の擬態に自信があるのか、己の優位を疑っていないからだろう。
エドガルドは罵りの言葉を受けても、顔色ひとつ変えない。
それどころか心の底から楽しそうだ。
「へぇ……君は人間なの? おかしいなぁ。人間にしては……」
「俺は人間だぞ。おかしいところなんてない!」
「ほう……そうなのか。変だなぁ、人間にはそんなに大きな牙はないんだけどなぁ」
エドガルトが首をひねって不思議がると、魔物は両手で口元をおさえ、なにやらもごもごと口を動かした。
「ほら! 牙なんてないぞ!」
「ああ、本当だ。君に牙はないね。じゃあ、人間なのかな? でも人間にしてはちょっと爪が長いねぇ」
「爪!? 爪なんて長くないぞ!」
魔物は両手を後ろに隠し、しばらくもぞもぞすると「ほら!」と両手を差し出した。
爪が短くなるどころか、完全になくなっているが、エドガルトはあえて指摘はしなかった。「なるほど、本当に爪は長くないね」と笑う。
「でも、おかしいなぁ。普通の人間なら結界なんて張れないのになぁ」
「俺は魔法使いなんだ! 魔法使いの木こりなんだ!」
「えー? それなら尻尾を見せてよ」
「は?」
魔物はぽかんと口を開けた。
「人間の魔法使いならあるでしょ、尻尾。ほら、魔法を使うときは出すやつ。魔法使いは尻尾に魔力を集中させているから、出さないと魔法使えないんだよね」
その場にいた魔物とエドガルト以外の人間は、一体なにを言い出したのかと彼を凝視している。
そんなけったいな嘘に騙される者がいるか! ――と内心で突っ込む。
「あ、ちなみに僕も魔法使いなんだ。だから、尻尾あるよ。ちょっと変わった形なんだけどね」
エドガルトが言うなり、腰のあたりから長いものがひょこりと顔を出した。
長さはエドガルトの腕より少し短いくらい。茶色くてごつごつしていて、まるで枯れ木のようなものがゆらゆらとそよいでいる。
エドガルトの後ろに控えているツェラとユリアンが、そこはかとなくげんなりした顔をしている。
「ほら、いいだろう? 尻尾」
煽るようなエドガルトの言葉に合わせたのか、尻尾がさらに大きくゆらゆらと揺れる。ファーナとトーニの耳に「ギー」と木の枝同士がこすれるような音が届いたが、ふたりは周りの木々の枝が軋んだのだと思った。音はエドガルトの腰のあたりからした気がしたが、そんなはずはない。
「へっ! なんだそんな尻尾。俺なんてもっと凄いんだぞ!」
言うなり、魔物の羽織っているローブのお尻あたりが、もこっと膨らんだ。
そして、ローブの裾から茶色と白の尻尾が現れた。柔らかそうな毛で覆われた尻尾は見事なまでにふさふさしている。
貧相にやせ細った腕とは対照的な豊かさだ。
「ほら見ろ、どうだッ!」
魔物は、自慢げに尻尾を持ち上げて揺らした。
「ふさふさ……可愛い……触りたい……尻尾……」
トーニが呆然と呟いた。
隣で聞いていたファーナは、トーニが無類の動物好き、特に猫や犬が好きだったことを思い出す。
あのふさふさで長い尻尾は、猫のものに酷似している。おそらく彼女の好みの尻尾なのだろう。
「おや、君の尻尾は確かに立派だね。ちょっと近くで見ていいかな?」
「おう! 羨ましいか。そうかそうか! ニシシシシシッ」
気をよくしたのか、魔物はくるりと一回転して止まる。どうだ、よく見ろと言わんばかりに尻尾をそよがせた。
「じゃあ、遠慮なく見させてもらうよ。――凍てた時」
「ぐっ!?」
なにか言いかけたまま、魔物は凍り付いたように動きを止めた。
「昔、本で読んだけど、小さな道化の弱点は尻尾なんだろう? 昔、本で読んだよ。本当なのかな? 試していい?」
眼球ひとつ動かせない様子の魔物の顔を覗き込んだ。
にんまりと笑うエドガルトは、完全に悪役のような顔つきをしている。
「沈黙は肯定――だよね? だって嫌だったら嫌だって言うよね? あ、どういう反応するのか見たいから戒めを解こうか! 解放」
エドガルトは言い終わるや否や、躊躇なく魔物の尻尾をむんずと掴んだ。
「う、ぎゃああああああああああ!!」
「わ、すごい悲鳴。マンドラゴラみたいだな」
梢に止まった鳥が一斉に飛び立つくらいの大音声が魔物から発せられる。
一番近くにいるエドガルトは少し顔をしかめた程度で、呑気に構えている。
「やめろおおおおおおおおおおお!」
「と言われてやめるわけないでしょ」
「はなせはなせ――って! だから、そんなに強く掴むなあああああああああ!!」
尻尾を掴まれると動けないのか、魔物は額から冷や汗をダラダラと流して目を白黒させている。
「本当に尻尾が弱点なんだねぇ」
「お、おまえ卑怯だ! 卑怯だぞ、人間ッ」
「だからなに? 僕の大事なファーナを喰うって言ったおまえに遠慮なんてすると思う?」
尻尾を握る手にさらなる力を込めたのか、魔物はひときわ大きな悲鳴を上げた。
途端、ぼぼん! と音がして、魔物の姿が消えた。
いや、消えたのではなく変化したのだ。
「おや、変化する力もなくなっちゃったのかな?」
愉快そうに目を細めるエドガルトの手には、手のひらサイズの子猫が一匹。くりっとした大きな目、愛らしくちょこんとした鼻はピンク色。尻尾同様、茶色と白のとらじま模様の長くつややかな毛が全身を覆っている。
不気味だった人の姿からは想像もつかないような、愛らしい正体だった。
「へ!?」
成り行きを見守っていた一同は、異口同音に驚愕の声を上げた。
エドガルドをいつ諫めようかとオロオロしていたファーナも、心痛を忘れてぽかんと魔物を見る。
「あら、まぁ……これは……」
その隣では、普段、表情が乏しいと言われているトーニが、別人のようにへらりと相好を崩した。
「ぁ……うぁ……か……可愛い……どう、しよう……」
少し離れたところでは、魔物嫌いのツェラが
「魔物のくせにあの姿はずるいわ……。どっちが卑怯よ!」
とこめかみに青筋を立て、隣のユリアンに「まぁまぁ」と宥められている。
「……下手に変身しないほうが、人を騙せるのではないかしら……?」
ファーナのつぶやきは正鵠を射ていた。
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