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第一章 はじまり
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しおりを挟む「へえ~、仲良くなったんだ。」
「…席も隣だし、あっちも私のことすごく警戒したっぽくて、いっそのこと友達になっちゃいましょって。…ちょっと強引だったけど。」
その日の放課後、メグはレンをテレパシーで呼び出した。事情を説明すると、レンは納得したように頷いてくれた。
「まあ、いいんじゃねえの?能力者って、単体でいると危険っていうしね。みんな、誰かと連んでるんだよ、オレとメグみたいに。あの子は元々一匹狼みたいな感じで、周囲には相当警戒してるっぽかったしね。」
「へえ。そうなんだ。」
ヒナコが同じことを言っていたのを思い出す。メグが人の心を勝手に読めるように、彼女にも、レンにも人とは違うなにかを持っている。メグがヒナコの存在を能力者ながら、未知だと思ったように、ヒナコにもメグが異端だと思われ、今回のことが引き起こされた。能力者同士の序盤は、そんなことも多いよ、そうレンはいった。
その日から一週間後の放課後、佐々木家に意外な面子が集まっていた。
和解をし、徐々に会話を重ね仲良くなったメグとヒナコ、レン、そして…
「この子も能力者なの、まだ一回もいったことないらしいから、一緒に連れてこうと思って。」
「お、大倉 守です。レンの連れです。よろしく。」
レンが連れてきたマモル。
「…すごい、まだいたんだ、能力者。」
メグがキラキラした目でそう告げるとマモルはにんまり微笑んでくれた。
「僕も、自分一人だけこんなおかしな魔法つかえるから…ずっと一人で悩んでたんだ。レンが声をかけてくれて、最初はびっくりしたんだけど…本当によかった。」
ニコニコとレンのほうを向いて胸の内を語ってくれたマモルに、レンも満足そう。
「それで、今日は何をするの?」
用意されたお菓子を片手に、メグは横に座るヒナコへ質問をする。ヒナコは得意そうに笑ってこう言った。
「いい?…現実の世界で、能力者が揃って集まる機会なんてさらさらないの、こういう日にテレパシーのすごさを探すの。超能力者があつまってこそなせる技なのよ!」
「わ、わざ・・・??」
ヒナコの勢いに若干引いてしまうメグとマモル。レンは苦笑。
「レンくん!なに知らん顔してるのよ!貴方もでしょ!」
「その通りでございます。」
「?!」
レンがお菓子に手を伸ばそうとしたときにふいにどこからか声がした。
まわりをみても誰もいない。
しかし、皆よりいち早くその存在に気がづいたレンがその方向をみた。ヒナコも、話をすればと同じ方向を向いた。
ドアの方向である、残る二人も恐る恐る「そっち」を向く。
そこに、いたのだ。
「悪魔」が。
「きゃあああああああああああ!?」
メグがのけぞる。マモルは唖然。
「そんなに怖がることはありませんよ。」
「い、いや、だって…その、玄関。」
「はい?」
「その、どうやってはいってきた、ん?です…
か?」
正確には「悪魔」の格好をした男の人だ。
30代後半、だろうか。
立派な服装にド派手なマント、大きな黒い悪魔の羽。
それはまさしく、不審者極まりない。
メグの質問にその「悪魔」は告げる。
「超能力で。…ですかね。」
「ほら、貴女方もつかえるじゃないですか、超能力。」
「いや、でも、なぜここに。」
「迎えに来ました。」
「「へ!?」」
唖然とする2人と、ヒナコ、1人で呆れ返っていたレンが淡々と告げる。
「その人、神様だから。」
「え?」
「超能力作り出した人だから。お偉いさんなわけよ。わかる?」
「…なんでレンが知ってるの?」
「はーい!私も知ってまーす!」
完全に固まってしまったマモルの横で嬉々として手を挙げるヒナコ。ちょっと黙りなさいとメグに叱られてしょげる。
「まぁまぁ、ラズ様、エレス様、この方々初めてですし初対面ですし、ね?」
「初めてと初対面て意味同じじゃないすか。」
相当会話慣れしているようで、偉い人と言っておきながら、レンは少々タメ口混じりに話している。ヒナコも久しぶりの再会、といった感じでメグに叱られてしょんぼりするも、すぐにニコニコと微笑んだ。悪魔はヒナコの方を向いた。
「ではラズ様、本題を。」
「…ラズ?そういえば、あのときもそうやっていってたよね、風を操るlv.3?って。」
メグは一週間前の出来事を思い出す。ヒナコと対決させられそうになったときのことである。メグがヒナコに聞くと、嬉しそうな顔をして微笑む。
「そうそれが、あっちでの私の名前なの。」
「あっち?」
「そう、いまから私たちは、超能力世界に行くのよ。」
神様やらラズやら”超能力世界”やら、わけのわからない言葉が沢山。頭の中が混乱する。そこに、レンがいっていた「神様」の「悪魔」が口を挟んだ。
「まぁまぁ、それは移動中に話すとして、今はとりあえずご準備だけお済ませください。」
「準備?」
ぽかんと口をあけるメグとマモルはなんのことやらさっぱりだ。
「いえいえ、道具など必要ありません。貴方様がご準備して頂くものは、踏み出す勇気、ただそれだけ。」
にっこりと微笑んだ神様は、そういうと、両手を高く挙げた。
「さあ、それでは参りましょう、超能力の支配する世界へ!」
―…すると辺りが白い光に包まれた。
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