テレ×2テレパシー

すばる♪

文字の大きさ
上 下
7 / 10

真実

しおりを挟む






「ずっと見えてたよね。」



 ふと、レンの声が響き渡る。
なにかに押し潰されているような感覚がする頭を上げ、声のする方を探すが見当たらない。もう一度前を向いてみるとさっきまで縛られていたレンが、こっちを向いて喋っていた。制服は千切られて身体はボロボロだ。

「…あなたの、過去なのね。」

 すべてが一致したメグはその声に向かって冷静に答えた。

「私が毎日頻繁にみる悪夢は、あなたのものなのね。」



「そう。オレもお前とおなじ超能力者だ。だからこうやって、テレパシーで脳内からお前の脳内に伝達できる。」

「それを知っていたから、私のこと。」

目の前のレンは笑った
酷く儚い顔で笑った。

「…同じ能力者だ、分かり合えるかなって少し希望をもってた。でも、お前もみんなと同じだ。初心者アマチュアだった。他の奴らと一緒。他人事だもん。お前もどうせオレのこと裏切るんでしょ。
………もうオレに友達なんていらない。この力も、自分のためだけに使う。噂になろうがなんになろうが構わない。」

それだけいって、レンは立ち去ってしまった。いつの間にか、通学路に戻ってきていた。





 いつもみていた悪夢はレンのものだった。レンは自分の過去をおなじ能力者であるメグの脳内に介入させていた。どういう意図があったのかはわからない。
次の日メグは病院へ出向いてソウタに相談することにしたのだった。






「え、話したの?レンと??」

「はい。でも、怒らせちゃったみたいで……。」
超能力のことは伏せながら、メグはソウタに昨日のことを話した。それでもソウタはなんだか嬉しそうだ。

「いいよいいよ、話が出来ただけ上出来!すごいなーメグちゃんは。話が早い!」

 そういってソウタは昨日の夜のことを話してくれた。昨日のレンはちょっといつもと違っていたこと。一緒にごはんを食べてくれたこと、自分ともちょっとだけ会話が続いたこと。もしかして、メグと喋ったからかわってきてるのかもしれない。そんな様子で嬉々と話した。

「あいつ、ああみえて構ってちゃんなとこあるからさ!酷いこというかもしれないけど、それも気を引きたいからだってことで、これからも喋ってやってくんねーかな。話し相手とかでいいからさ。」





 その日からメグがみていたレンの悪夢はキレイさっぱり見なくなった。レンがメグの脳内に介入することをやめたからだろうか。頭痛も収まったし、ソウタに相談したことで不安な気持ちは減ったものの、レンの言葉が胸に突っかかったままであった。



"お前もどうせオレのこと裏切るんでしょ"


友達なんていらない。そう彼はそういっていた。隣吏小の人達がみな、レンと友達に戻る気がない今、レン自身もそのことをよくわかっているようだった。そんな状況下で、どんな風に接したら、レンと仲良くなれるのだろうか。必死に頭をまわすが答えが得られないまま、朝を迎えたメグであった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【完結】仰る通り、貴方の子ではありません

ユユ
恋愛
辛い悪阻と難産を経て産まれたのは 私に似た待望の男児だった。 なのに認められず、 不貞の濡れ衣を着せられ、 追い出されてしまった。 実家からも勘当され 息子と2人で生きていくことにした。 * 作り話です * 暇つぶしにどうぞ * 4万文字未満 * 完結保証付き * 少し大人表現あり

セレナの居場所 ~下賜された側妃~

緑谷めい
恋愛
 後宮が廃され、国王エドガルドの側妃だったセレナは、ルーベン・アルファーロ侯爵に下賜された。自らの新たな居場所を作ろうと努力するセレナだったが、夫ルーベンの幼馴染だという伯爵家令嬢クラーラが頻繁に屋敷を訪れることに違和感を覚える。

いっとう愚かで、惨めで、哀れな末路を辿るはずだった令嬢の矜持

空月
ファンタジー
古くからの名家、貴き血を継ぐローゼンベルグ家――その末子、一人娘として生まれたカトレア・ローゼンベルグは、幼い頃からの婚約者に婚約破棄され、遠方の別荘へと療養の名目で送られた。 その道中に惨めに死ぬはずだった未来を、突然現れた『バグ』によって回避して、ただの『カトレア』として生きていく話。 ※悪役令嬢で婚約破棄物ですが、ざまぁもスッキリもありません。 ※以前投稿していた「いっとう愚かで惨めで哀れだった令嬢の果て」改稿版です。文章量が1.5倍くらいに増えています。

私は心を捨てました 〜「お前なんかどうでもいい」と言ったあなた、どうして今更なのですか?〜

月橋りら
恋愛
私に婚約の打診をしてきたのは、ルイス・フォン・ラグリー侯爵子息。 だが、彼には幼い頃から大切に想う少女がいたーー。 「お前なんかどうでもいい」 そうあなたが言ったから。 私は心を捨てたのに。 あなたはいきなり許しを乞うてきた。 そして優しくしてくるようになった。 ーー私が想いを捨てた後で。 どうして今更なのですかーー。 *この小説はカクヨム様、エブリスタ様でも連載しております。

淫らに、咲き乱れる

あるまん
恋愛
軽蔑してた、筈なのに。

悪意のパーティー《完結》

アーエル
ファンタジー
私が目を覚ましたのは王城で行われたパーティーで毒を盛られてから1年になろうかという時期でした。 ある意味でダークな内容です ‪☆他社でも公開

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?

みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。 ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる 色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く

処理中です...