最愛の夫に、運命の番が現れた!

竜也りく

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安心して乱れていいからね

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本当にもどかしそうに、ラルフがオレの服を剥ぎ取った。

「あ……っ」

「ああ、思い出のこの場所でビスチェを抱けるなんて、嬉しいよ」

ちゅく、と音を立ててラルフがオレの乳首に口づける。そのまま舌先でねっとりと舐られて、オレの性感は急速に高まっていった。

けれど、のけぞった拍子に燦々とふりそそぐ陽光に気がついて、自分達が窓辺に居た事を思い出してしまった。

さすがにこれは恥ずかしい。

「ま、待ってラルフ、こんな窓際で……!」

「誰もいないから大丈夫。開放的なこの場所で、好きなだけビスチェと交わりたい」

窓の外からは眩い光が差して、小鳥の声が騒がしい。見下ろせば湖面がキラキラと輝いて、子どもの頃の夏の日を思い出させる。

そんな場所で、淫靡な交わりを交わそうなんて。

「どれだけ声を上げても誰に聞かれる心配も無いからね。安心して乱れていいんだよ」

「あ……っ、待って、待ってラルフ」

「ここと、湖と、どっちで犯されたい?」

オレの乳首を楽しそうに虐めながら、期待に満ちた目でラルフがオレを見つめてくる。

でも、いくら誰も来ないと言われても、湖でだなんてオレにはハードルが高すぎる。ラルフにそんな趣味があったとは。

「湖でだなんて、ムリ……!」

「じゃあ、このままここで楽しもう。いつもよりもきっとずっと刺激的だよ」

「ラルフ、ベッドがいい。お願い、ベッドに連れてって」

「今はダメ。意識がはっきりしてるビスチェと、朝の清々しいこの瞬間を一緒に味わいたいんだよ。やっと番になれたんだ、僕のわがままをきいてくれないか?」

「うう……」

それを言われると弱い。オレは小さく唸って覚悟を決めた。

なんせ今までずっとラルフの気持ちを疑っていたという負い目があるから、強く拒否できないんだ。

それを分かっててお願いしてくるんだからまったくタチが悪い。

隠れる所すらない湖で抱かれるよりはマシ。そう思うしかない。

「心配しなくても大丈夫だよ。僕がビスチェの肌を他のヤツに見せるわけがないだろう? もし盗み見るようなヤツがいたら責任もって抹殺するから安心して」

これっぽっちも安心できない物騒な事を口にするラルフ。でも多分本気だ。

「分かった……ちょっとは手加減してね」

「努力する」

ふ、と微笑んだラルフがオレの耳に唇を寄せる。

「僕の愛しい半身……ねぇ、このタイピンを外してくれるかい?」

どくん、と心臓が跳ねた。

いつもはオレが先に脱がされて、ラルフに気持ちよくされている間に気がつけば逞しい裸体が晒されていた。
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