最愛の夫に、運命の番が現れた!

竜也りく

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初々しいキス

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「はは、学生の頃のような初々しいキスもいいものだね」

ほんのり頬を赤らめて、照れくさそうにラルフが笑う。ラルフの言葉で、オレも思い出した。

「そう言えば、オレがプロポーズした後は、時々こんなキスしてたっけ」

小鳥みたいな可愛いキス。

結婚してからは食い尽くされるようなキスが多かったし、たまに啄むようなバードキスをくれても、すぐに深い深いキスに移行してたから、こんな可愛らしいキスは本当に久しぶりだ。

「ビスチェからキスしてくれるのも、すごく嬉しい」

そう言って本当に幸せそうに笑うから、オレは胸がきゅうんと切なくなった。

「これまで、ごめん。これからはオレからたくさんキスするからね」

その言葉を証明するように、オレは伸び上がってラルフの唇にキスを落とす。

その途端。

唇が離れる間もなく食いつかれた。

ばくっと音が立ちそうな勢いで唇を塞がれて、一瞬で捻じ込まれたラルフの舌が、オレの口内をあっという間に蹂躙していく。

口蓋を舐め上げ、歯列を辿り、あまりの勢いに縮こまった舌を捉えてあやすように舐められた。

僅かに緊張が解けたら、ラルフは舌をじゅうじゅうと音を立てて吸い始める。

あまりにもきつく吸われて、身体中の水分がなくなってしまいそう。

ついにはオレの舌を吸い上げて口内に引き込んだかと思うとやわやわと唇で食んで、甘噛みして、何度も何度も肉厚な舌で捏ねるように愛撫する。

吸ってはふにふにと柔く噛まれ、舌先でちろちろと舐められてはねっとりと絡みつかれる。

さっきまでの可愛らしいキスが夢だったかと思うような濃厚な口付けに、もはや息をする事すら覚束ない。

ようやく解放された時には、オレはすっかりふにゃふにゃで、身体に力が入らなくなっていた。

「ああ……堪らないな」

ラルフが小さく呟く。

呆然と見上げたら、ラルフの頬は紅潮し唇は赤く熱を持って、てらてらと淫靡に光っていた。

唇から目が離せない。

薄く息をつきながら呆然とラルフの濡れた唇を眺めていたら、その唇のあわいからちろりと赤い舌が覗く。肉厚な舌がべろりと唇を舐めあげる所草に、思わず息を飲んだ。

あの唇が、舌が、さっきまでオレの舌を蹂躙していたんだと思うと、身体の奥が熱くなる。

「ビスチェも僕を求めてくれるんだと思うと、堪らないよ……!」

そんな事を言いつつ、ラルフがオレの服をくつろげていく。オレをひざに横抱きにしたままなのに、なんて器用な。

「ああもう、服なんて着せなければ良かった。脱がす暇さえもどかしい……!」
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