最愛の夫に、運命の番が現れた!

竜也りく

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全世界に知らしめたい

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「うん、それはすごく嬉しかった。ビスチェが僕の妻になるために努力してくれるなんて夢みたいだって。……でも魔術に比べたら僕なんて、ビスチェの中でちっぽけな存在なんじゃ無いかって、そう思っていたんだ」

「そんなわけねぇよ……」

ちっぽけな存在だなんて。

ラルフの事が好きすぎて、ラルフに『運命の番』が現れたら身を引こうって思うくらいなのに。けれどラルフが本当にそう思っていたことは、オレを抱きしめる力の強さが証明している。

きっと、ラルフがどんなに真剣に思いを伝えてくれても、オレが信じ切れなくて中途半端な態度をとったせいだ。

「ごめんな。今まであんまりオレ、こういう事言わなかったよな。……オレ、本当に何よりも誰よりも、ラルフが好きだよ」

「ビスチェ……!」

「今まで素直になれなくてごめん。ラルフが伝えてくれてたみたいに、オレもこれからはちゃんとラルフに好きだって伝えるから」

「ほんと!?」 ほんとに!!!???」

「う、うん」

バッと顔を上げてオレの顔を真正面から見つめてきたラルフの勢いに、若干ビビる。

「今言って!!!」

「す、好き。ラルフ、好き……」

「僕も好き!!!!」

またぎゅうっと抱きしめられた。

照れくさいと思いつつ、オレもぎゅうっと抱きしめ返す。

「ああもう、大好き!!! 僕の番だと全世界に知らしめたい!!!!!」

「おおげさだな」

「おおげさなものか! これまでは僕が色々な場面でビスチェへの愛を公言しても、恥ずかしそうに俯くだけだったビスチェが、これからは愛を返してくれると思うと楽しみでしかない……! 夜会にでるのが楽しみだ」

「ちょ、公衆の面前で何しようとしてるの!? 恥ずかしいよ」

「もちろん夜会で品性のないことなんてしないさ。僕が愛を囁いたら、見つめ返して微笑んでくれるだけで僕らの仲睦まじさは充分に伝わるからね。日々心から愛し合っていれば、空気感は伝わるものだよ」

「そ、それくらいでいいなら」

ホッとしたオレに、ラルフは雨のように口付けを振らせる。

「僕の瞳の色のチョーカーを身につけて、愛情たっぷりに僕らが見つめ合ってたら、今回みたいに僕らの愛を侮って別なオメガを仕掛けてくるようなバカは現れないだろう。ビスチェを守るためにも必要なことだよ」

「ラルフ……そうか、ありがとう」

「ああビスチェ可愛い。君のその素直なところも大好きだよ。ちなみにここがどこか分かるかい?」

「へ? どこって……普通にオレ達の邸じゃないのか?」
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