62 / 73
全世界に知らしめたい
しおりを挟む
「うん、それはすごく嬉しかった。ビスチェが僕の妻になるために努力してくれるなんて夢みたいだって。……でも魔術に比べたら僕なんて、ビスチェの中でちっぽけな存在なんじゃ無いかって、そう思っていたんだ」
「そんなわけねぇよ……」
ちっぽけな存在だなんて。
ラルフの事が好きすぎて、ラルフに『運命の番』が現れたら身を引こうって思うくらいなのに。けれどラルフが本当にそう思っていたことは、オレを抱きしめる力の強さが証明している。
きっと、ラルフがどんなに真剣に思いを伝えてくれても、オレが信じ切れなくて中途半端な態度をとったせいだ。
「ごめんな。今まであんまりオレ、こういう事言わなかったよな。……オレ、本当に何よりも誰よりも、ラルフが好きだよ」
「ビスチェ……!」
「今まで素直になれなくてごめん。ラルフが伝えてくれてたみたいに、オレもこれからはちゃんとラルフに好きだって伝えるから」
「ほんと!?」 ほんとに!!!???」
「う、うん」
バッと顔を上げてオレの顔を真正面から見つめてきたラルフの勢いに、若干ビビる。
「今言って!!!」
「す、好き。ラルフ、好き……」
「僕も好き!!!!」
またぎゅうっと抱きしめられた。
照れくさいと思いつつ、オレもぎゅうっと抱きしめ返す。
「ああもう、大好き!!! 僕の番だと全世界に知らしめたい!!!!!」
「おおげさだな」
「おおげさなものか! これまでは僕が色々な場面でビスチェへの愛を公言しても、恥ずかしそうに俯くだけだったビスチェが、これからは愛を返してくれると思うと楽しみでしかない……! 夜会にでるのが楽しみだ」
「ちょ、公衆の面前で何しようとしてるの!? 恥ずかしいよ」
「もちろん夜会で品性のないことなんてしないさ。僕が愛を囁いたら、見つめ返して微笑んでくれるだけで僕らの仲睦まじさは充分に伝わるからね。日々心から愛し合っていれば、空気感は伝わるものだよ」
「そ、それくらいでいいなら」
ホッとしたオレに、ラルフは雨のように口付けを振らせる。
「僕の瞳の色のチョーカーを身につけて、愛情たっぷりに僕らが見つめ合ってたら、今回みたいに僕らの愛を侮って別なオメガを仕掛けてくるようなバカは現れないだろう。ビスチェを守るためにも必要なことだよ」
「ラルフ……そうか、ありがとう」
「ああビスチェ可愛い。君のその素直なところも大好きだよ。ちなみにここがどこか分かるかい?」
「へ? どこって……普通にオレ達の邸じゃないのか?」
「そんなわけねぇよ……」
ちっぽけな存在だなんて。
ラルフの事が好きすぎて、ラルフに『運命の番』が現れたら身を引こうって思うくらいなのに。けれどラルフが本当にそう思っていたことは、オレを抱きしめる力の強さが証明している。
きっと、ラルフがどんなに真剣に思いを伝えてくれても、オレが信じ切れなくて中途半端な態度をとったせいだ。
「ごめんな。今まであんまりオレ、こういう事言わなかったよな。……オレ、本当に何よりも誰よりも、ラルフが好きだよ」
「ビスチェ……!」
「今まで素直になれなくてごめん。ラルフが伝えてくれてたみたいに、オレもこれからはちゃんとラルフに好きだって伝えるから」
「ほんと!?」 ほんとに!!!???」
「う、うん」
バッと顔を上げてオレの顔を真正面から見つめてきたラルフの勢いに、若干ビビる。
「今言って!!!」
「す、好き。ラルフ、好き……」
「僕も好き!!!!」
またぎゅうっと抱きしめられた。
照れくさいと思いつつ、オレもぎゅうっと抱きしめ返す。
「ああもう、大好き!!! 僕の番だと全世界に知らしめたい!!!!!」
「おおげさだな」
「おおげさなものか! これまでは僕が色々な場面でビスチェへの愛を公言しても、恥ずかしそうに俯くだけだったビスチェが、これからは愛を返してくれると思うと楽しみでしかない……! 夜会にでるのが楽しみだ」
「ちょ、公衆の面前で何しようとしてるの!? 恥ずかしいよ」
「もちろん夜会で品性のないことなんてしないさ。僕が愛を囁いたら、見つめ返して微笑んでくれるだけで僕らの仲睦まじさは充分に伝わるからね。日々心から愛し合っていれば、空気感は伝わるものだよ」
「そ、それくらいでいいなら」
ホッとしたオレに、ラルフは雨のように口付けを振らせる。
「僕の瞳の色のチョーカーを身につけて、愛情たっぷりに僕らが見つめ合ってたら、今回みたいに僕らの愛を侮って別なオメガを仕掛けてくるようなバカは現れないだろう。ビスチェを守るためにも必要なことだよ」
「ラルフ……そうか、ありがとう」
「ああビスチェ可愛い。君のその素直なところも大好きだよ。ちなみにここがどこか分かるかい?」
「へ? どこって……普通にオレ達の邸じゃないのか?」
112
お気に入りに追加
1,235
あなたにおすすめの小説

【完結】愛してるから。今日も俺は、お前を忘れたふりをする
葵井瑞貴
BL
『好きだからこそ、いつか手放さなきゃいけない日が来るーー今がその時だ』
騎士団でバディを組むリオンとユーリは、恋人同士。しかし、付き合っていることは周囲に隠している。
平民のリオンは、貴族であるユーリの幸せな結婚と未来を願い、記憶喪失を装って身を引くことを決意する。
しかし、リオンを深く愛するユーリは「何度君に忘れられても、また好きになってもらえるように頑張る」と一途に言いーー。
ほんわか包容力溺愛攻め×トラウマ持ち強気受け

嫌われ変異番の俺が幸せになるまで
深凪雪花
BL
候爵令息フィルリート・ザエノスは、王太子から婚約破棄されたことをきっかけに前世(お花屋で働いていた椿山香介)としての記憶を思い出す。そしてそれが原因なのか、義兄ユージスの『運命の番』に変異してしまった。
即結婚することになるが、記憶を取り戻す前のフィルリートはユージスのことを散々見下していたため、ユージスからの好感度はマイナススタート。冷たくされるが、子どもが欲しいだけのフィルリートは気にせず自由気ままに過ごす。
しかし人格の代わったフィルリートをユージスは次第に溺愛するようになり……?
※★は性描写ありです。

もう人気者とは付き合っていられません
花果唯
BL
僕の恋人は頭も良くて、顔も良くておまけに優しい。
モテるのは当然だ。でも――。
『たまには二人だけで過ごしたい』
そう願うのは、贅沢なのだろうか。
いや、そんな人を好きになった僕の方が間違っていたのだ。
「好きなのは君だ」なんて言葉に縋って耐えてきたけど、それが間違いだったってことに、ようやく気がついた。さようなら。
ちょうど生徒会の補佐をしないかと誘われたし、そっちの方に専念します。
生徒会長が格好いいから見ていて癒やされるし、一石二鳥です。
※ライトBL学園モノ ※2024再公開・改稿中

祝福という名の厄介なモノがあるんですけど
野犬 猫兄
BL
魔導研究員のディルカには悩みがあった。
愛し愛される二人の証しとして、同じ場所に同じアザが発現するという『花祝紋』が独り身のディルカの身体にいつの間にか現れていたのだ。
それは女神の祝福とまでいわれるアザで、そんな大層なもの誰にも見せられるわけがない。
ディルカは、そんなアザがあるものだから、誰とも恋愛できずにいた。
イチャイチャ……イチャイチャしたいんですけど?!
□■
少しでも楽しんでいただけたら嬉しいです!
完結しました。
応援していただきありがとうございます!
□■
第11回BL大賞では、ポイントを入れてくださった皆様、またお読みくださった皆様、どうもありがとうございましたm(__)m

当たり前の幸せ
ヒイロ
BL
結婚4年目で別れを決意する。長い間愛があると思っていた結婚だったが嫌われてるとは気付かずいたから。すれ違いからのハッピーエンド。オメガバース。よくある話。
初投稿なので色々矛盾などご容赦を。
ゆっくり更新します。
すみません名前変えました。

歳上公爵さまは、子供っぽい僕には興味がないようです
チョロケロ
BL
《公爵×男爵令息》
歳上の公爵様に求婚されたセルビット。最初はおじさんだから嫌だと思っていたのだが、公爵の優しさに段々心を開いてゆく。無事結婚をして、初夜を迎えることになった。だが、そこで公爵は驚くべき行動にでたのだった。
ほのぼのです。よろしくお願いします。
※ムーンライトノベルズ様でも投稿しています。

愛しいアルファが擬態をやめたら。
フジミサヤ
BL
「樹を傷物にしたの俺だし。責任とらせて」
「その言い方ヤメロ」
黒川樹の幼馴染みである九條蓮は、『運命の番』に憧れるハイスペック完璧人間のアルファである。蓮の元恋人が原因の事故で、樹は蓮に項を噛まれてしまう。樹は「番になっていないので責任をとる必要はない」と告げるが蓮は納得しない。しかし、樹は蓮に伝えていない秘密を抱えていた。
◇同級生の幼馴染みがお互いの本性曝すまでの話です。小学生→中学生→高校生→大学生までサクサク進みます。ハッピーエンド。
◇オメガバースの設定を一応借りてますが、あまりそれっぽい描写はありません。ムーンライトノベルズにも投稿しています。

【完結】悪妻オメガの俺、離縁されたいんだけど旦那様が溺愛してくる
古井重箱
BL
【あらすじ】劣等感が強いオメガ、レムートは父から南域に嫁ぐよう命じられる。結婚相手はヴァイゼンなる偉丈夫。見知らぬ土地で、見知らぬ男と結婚するなんて嫌だ。悪妻になろう。そして離縁されて、修道士として生きていこう。そう決意したレムートは、悪妻になるべくワガママを口にするのだが、ヴァイゼンにかえって可愛らがれる事態に。「どうすれば悪妻になれるんだ!?」レムートの試練が始まる。【注記】海のように心が広い攻(25)×気難しい美人受(18)。ラブシーンありの回には*をつけます。オメガバースの一般的な解釈から外れたところがあったらごめんなさい。更新は気まぐれです。アルファポリスとムーンライトノベルズ、pixivに投稿。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる