57 / 73
気がついたら
しおりを挟む
「とお……か……?」
朦朧とした頭がその言葉をゆっくりと咀嚼して、戦慄した。
「愛してるよ、ビスチェ……! 永遠に……!」
そんなに長期間、この勢いで貪られたら。
「む、ムリ……! 死んじゃう……!」
「大丈夫、ちゃんと大切に抱くからね」
優しくなだめるように言われ、噛まれたばかりのうなじを大切そうに撫でられると、多幸感でいっぱいになって身を委ねる事しか考えられなくなってしまう。
ほんの子供の頃から抱いていた不安が解消されて、最愛の夫と真の番になれたその日、まるで天国と地獄を同時に味わっていると感じるくらい、オレはめちゃくちゃに抱き潰された。
それはこれから生涯続いていく、最高に幸せで、淫らな日々の始まりだった。
***
次に意識がはっきりしたのは、それから四日目の朝だった。
「……」
うっすらと目を開けると、ラルフの幸せそうな笑顔が見える。
「おはよう、ビスチェ」
「ラルフ……」
「うん、声も出るな。この補給水は合格だ」
「何……?」
「ああ、ヒート熱に浮かされているビスチェも最高に淫らで美しいが、このあどけない表情もそそられる……! 僕のビスチェは最高だな」
恥ずかしい事を言いながらラルフが顔中に口付けを降らせてくる。くすぐったくてふんわり温かい気持ちになった。
「今までの補給水と違うのか……? 確かに声も出るし、体もいつもより楽な気がする」
「ああ。ヒートの時に愛し合いすぎて脱水症状になったり声が出なくなったり、満身創痍なオメガは多いからね。以前から開発が進められていた特別な補給水でね。治癒効果がかなり高いものなんだ」
そう言いながら、ラルフがオレを抱き起こしてくれる。その優しい手つきが嬉しい。
「いつもよりも夢中になって抱いてしまったからね。まる二日ほどは僕も記憶が無い」
「珍しいね……」
「ビスチェと本当の番になれたのが嬉しすぎて、昨日も補給水を持ってくる以外はずっとベッドでビスチェを愛でてしまった」
ふふ、と幸せそうに笑われると、オレも嬉しくて思わず笑みが零れる。
『特別な補給水』だと言われたその薄い桃色の水を口に含むと、ラルフは口移しで呑ませてくれる。きっとこうやって、オレの意識がない間もこの水を呑ませてくれていたんだろう。
ああ、確かに力が漲ってくるような気がする。
「んぅ……」
水を呑ませて離れるかと思ったラルフの唇は、そのままオレの唇をやわやわと食んでくれた。その仕草はけして強引ではなく、オレの気持ちをうかがうかのように慎重だ。
朦朧とした頭がその言葉をゆっくりと咀嚼して、戦慄した。
「愛してるよ、ビスチェ……! 永遠に……!」
そんなに長期間、この勢いで貪られたら。
「む、ムリ……! 死んじゃう……!」
「大丈夫、ちゃんと大切に抱くからね」
優しくなだめるように言われ、噛まれたばかりのうなじを大切そうに撫でられると、多幸感でいっぱいになって身を委ねる事しか考えられなくなってしまう。
ほんの子供の頃から抱いていた不安が解消されて、最愛の夫と真の番になれたその日、まるで天国と地獄を同時に味わっていると感じるくらい、オレはめちゃくちゃに抱き潰された。
それはこれから生涯続いていく、最高に幸せで、淫らな日々の始まりだった。
***
次に意識がはっきりしたのは、それから四日目の朝だった。
「……」
うっすらと目を開けると、ラルフの幸せそうな笑顔が見える。
「おはよう、ビスチェ」
「ラルフ……」
「うん、声も出るな。この補給水は合格だ」
「何……?」
「ああ、ヒート熱に浮かされているビスチェも最高に淫らで美しいが、このあどけない表情もそそられる……! 僕のビスチェは最高だな」
恥ずかしい事を言いながらラルフが顔中に口付けを降らせてくる。くすぐったくてふんわり温かい気持ちになった。
「今までの補給水と違うのか……? 確かに声も出るし、体もいつもより楽な気がする」
「ああ。ヒートの時に愛し合いすぎて脱水症状になったり声が出なくなったり、満身創痍なオメガは多いからね。以前から開発が進められていた特別な補給水でね。治癒効果がかなり高いものなんだ」
そう言いながら、ラルフがオレを抱き起こしてくれる。その優しい手つきが嬉しい。
「いつもよりも夢中になって抱いてしまったからね。まる二日ほどは僕も記憶が無い」
「珍しいね……」
「ビスチェと本当の番になれたのが嬉しすぎて、昨日も補給水を持ってくる以外はずっとベッドでビスチェを愛でてしまった」
ふふ、と幸せそうに笑われると、オレも嬉しくて思わず笑みが零れる。
『特別な補給水』だと言われたその薄い桃色の水を口に含むと、ラルフは口移しで呑ませてくれる。きっとこうやって、オレの意識がない間もこの水を呑ませてくれていたんだろう。
ああ、確かに力が漲ってくるような気がする。
「んぅ……」
水を呑ませて離れるかと思ったラルフの唇は、そのままオレの唇をやわやわと食んでくれた。その仕草はけして強引ではなく、オレの気持ちをうかがうかのように慎重だ。
114
お気に入りに追加
1,221
あなたにおすすめの小説

もう人気者とは付き合っていられません
花果唯
BL
僕の恋人は頭も良くて、顔も良くておまけに優しい。
モテるのは当然だ。でも――。
『たまには二人だけで過ごしたい』
そう願うのは、贅沢なのだろうか。
いや、そんな人を好きになった僕の方が間違っていたのだ。
「好きなのは君だ」なんて言葉に縋って耐えてきたけど、それが間違いだったってことに、ようやく気がついた。さようなら。
ちょうど生徒会の補佐をしないかと誘われたし、そっちの方に専念します。
生徒会長が格好いいから見ていて癒やされるし、一石二鳥です。
※ライトBL学園モノ ※2024再公開・改稿中

僕の番
結城れい
BL
白石湊(しらいし みなと)は、大学生のΩだ。αの番がいて同棲までしている。最近湊は、番である森颯真(もり そうま)の衣服を集めることがやめられない。気づかれないように少しずつ集めていくが――
※他サイトにも掲載


【完結】愛してるから。今日も俺は、お前を忘れたふりをする
葵井瑞貴
BL
『好きだからこそ、いつか手放さなきゃいけない日が来るーー今がその時だ』
騎士団でバディを組むリオンとユーリは、恋人同士。しかし、付き合っていることは周囲に隠している。
平民のリオンは、貴族であるユーリの幸せな結婚と未来を願い、記憶喪失を装って身を引くことを決意する。
しかし、リオンを深く愛するユーリは「何度君に忘れられても、また好きになってもらえるように頑張る」と一途に言いーー。
ほんわか包容力溺愛攻め×トラウマ持ち強気受け

【完結】何一つ僕のお願いを聞いてくれない彼に、別れてほしいとお願いした結果。
N2O
BL
好きすぎて一部倫理観に反することをしたα × 好きすぎて馬鹿なことしちゃったΩ
※オメガバース設定をお借りしています。
※素人作品です。温かな目でご覧ください。


【完結】乙女ゲーの悪役モブに転生しました〜処刑は嫌なので真面目に生きてたら何故か公爵令息様に溺愛されてます〜
百日紅
BL
目が覚めたら、そこは乙女ゲームの世界でしたーー。
最後は処刑される運命の悪役モブ“サミール”に転生した主人公。
死亡ルートを回避するため学園の隅で日陰者ライフを送っていたのに、何故か攻略キャラの一人“ギルバート”に好意を寄せられる。
※毎日18:30投稿予定

祝福という名の厄介なモノがあるんですけど
野犬 猫兄
BL
魔導研究員のディルカには悩みがあった。
愛し愛される二人の証しとして、同じ場所に同じアザが発現するという『花祝紋』が独り身のディルカの身体にいつの間にか現れていたのだ。
それは女神の祝福とまでいわれるアザで、そんな大層なもの誰にも見せられるわけがない。
ディルカは、そんなアザがあるものだから、誰とも恋愛できずにいた。
イチャイチャ……イチャイチャしたいんですけど?!
□■
少しでも楽しんでいただけたら嬉しいです!
完結しました。
応援していただきありがとうございます!
□■
第11回BL大賞では、ポイントを入れてくださった皆様、またお読みくださった皆様、どうもありがとうございましたm(__)m
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる