最愛の夫に、運命の番が現れた!

竜也りく

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オレのアルファ

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「匂いだって濃くなるさ。ビスチェがついにチョーカーを外してくれたんだ。興奮しないわけがないだろう? さぁ、口を開けて」

請われるままにうっすらと口を開けると、すぐにラルフの顔が近づいてきて、肉厚な舌が潜り込んできた。

さっきも散々嬲られて、今もまたオレの感覚を高めるように丹念になされている口付けも、いつもと同じ筈なのにもっとずっと幸せだ。

これまでは与えられる濃厚な口付けを享受するだけだったけれど、今日は歯列を舐め上顎を優しく舐めてくる舌の動きがもどかしくて、オレは初めて自分から舌を絡めた。

「……!!!」

驚いたようにラルフの舌の動きが固まったから、オレはちょっと伸び上がってラルフの舌を吸ってみる。

いつもオレを気持ち良くしてくれるこの厚くて熱い舌が愛しくて、ちゅくちゅくと吸って、ラルフがしてくれるみたいに舌を絡めてコスコスと擦りつけてみた。

やんわりと反応を返してくれるけれど、いつもは激しく責め立ててくるラルフの舌があまりにも穏やかな反応だから、不思議になってオレはそっと唇を離す。

「ラルフ……?」

ラルフの唇を解放しておずおずと見上げたら、ラルフはなんだか感動したような顔でオレをじっと見つめてきた。

「ビスチェから……僕を求めて……っ」

「改めてそう言われると恥ずかしいんだけど」

「嬉しいよビスチェ……愛してる。愛してる。愛してる」

いつもは落ち着いたトーンのラルフの声が、切羽詰まったように語りかけてくる。

以前は、「愛してる」って言われても、心の底から信じるなんて出来なかった。『運命の番』が現れるまでの期間限定。それはきっと、そんな気持ちがオレの中にあったからだ。

でも、今は違う。

ラルフのくれる言葉も行動も、すべてを信じていいんだって分かったから。

「ビスチェ……! 本当に、愛しているんだ……!」

ラルフの絞り出すような声に、オレも身体の奥からラルフへの愛しさが引きずり出されるような気持ちになった。

オレだって、ラルフが好きで。

ラルフが大切で。

ラルフを誰よりも愛してる。

オレのアルファ。

この雄の、全てを受け入れてしまいたい。

「ラルフ……愛してる」

身体が熱い。ラルフの熱い怒張を身体の奥の奥に受け入れたくて仕方ない。ラルフの熱い精子を、オレの中に放って欲しい。そんな原始的な欲望がふつふつと体内を満たす。

「抱いて。ラルフをぜんぶ、ちょうだい……!」

「ビスチェ……!」

ラルフの手が性急にオレの服を剥ぎ取り、オレの肌が晒された。
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