最愛の夫に、運命の番が現れた!

竜也りく

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何言ってんの!!!???

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「でもそうすれば僕もアリアナ嬢も、お互いに惑わされる可能性がゼロになる訳だから物理的に解決できるだろう? アリアナ嬢とダニエルは互いにこれほど強く思い合っているわけだし、一番いいと思ったんだが」

当然、という顔をしないで欲しい。

しかもラルフは、なんてこと無い顔でさらに特大の爆弾を落としてきた。

「ちなみにアリアナ嬢の生家も二人の仲を応援するそうだし、そういう意味でもなんら問題ないと思うが」

「え!?」

「い、今、何と……!?」

二人が驚愕の表情でラルフを見る。それに応えてラルフがニヤリと悪い笑いを見せた。

「今回のミクス男爵の件は重大な罪だ。自分で言うのも何だが相手も悪い。僕が騒げば家が取り潰されてもおかしくはないからね」

それは間違いないと思う。家が取り潰される、という言葉にアリアナ嬢は身を硬くした。ラルフはそんな様子を見ながらも、淡々と言葉を続ける。

「……しかしそれでは僕も寝覚めが悪い。それで先ほど、君の兄さんに交渉させてもらったんだよ」

「アルフォンス兄様に……?」

いつの間に。そう言えばラルフはさっき出発前に執事のローグと話してたけど……でもそんな短時間で? と疑問が残る。

そんな僕の疑問など知らないラルフは終始穏やかな笑顔のまま、アリアナ嬢にとっては厳しい現実を並べていた。

「そう。さすがに今回のような事があると無傷ではいられない。ミクス男爵には退陣いただいてアルフォンスが家督を継ぐことになる。アルフォンスにも事情を説明してね、事を荒立てない条件として君達の婚姻を認める事を了承して貰ったんだよ」

「本当に……?」

「無論、本当だ」

「ああ、信じられない……! なんとお礼を言ったらいいか……!」

「ありがとうございます! なんと寛大なお方だ……!」

二人が感涙に咽ぶ様を見て、オレもすごく嬉しくなってしまった。やっぱりオレのラルフは世界一かっこいい!!!

「ラルフ……お前、いい仕事するじゃないか!」

思わず全力で褒めたら、ラルフは満面の笑みを向けてくれる。

「ビスチェが喜んでくれたなら頑張った甲斐があったよ。さあ、おいとましよう。彼らも僕らも、ようやく心おきなく番えるのだから」

「お、お前なぁ……」

「ああ、真っ赤になってるビスチェも可愛い」

さっきまでマジですっごく頼りになって、オレがおたおたしてる間にどんどん問題を解決してくれるのがカッコいいなと思ってたのに、途端にコレだよ……。

ふふふ、と笑うラルフに脱力する。
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