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責任をとって貰わないとね

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「ラルフ様、きっと招き入れてくださると信じておりましたぞ……!」

ラルフと一緒に応接室に入った途端、ミクス男爵が興奮した様子で叫ぶ。ラルフの隣にいるオレはもはや眼中にないようで、一瞥すらない。

貴族社会ではなかなかにありえない、かなり失礼な男だ。

邸から追い出されても、ラルフから退去するよう言伝を預かっていると伝えても、頑なに邸の前から動かなかっただけの事はある。

ヒートのまま付き合わされている娘さんが本当に可哀想だ。

こんな親、地獄に堕ちればいいのに。

「このようなご縁ができるとは恐悦至極……」

ミクス男爵が満面の笑顔でにじり寄ろうとするのを、ラルフの護衛であるヒロがしっかりと押し留める。ミクス男爵は分かりやすく激昂した。

「無礼な!」

「無礼なのは貴方だ」

いきりたつミクス男爵に、ラルフは冷たく言い放つ。

「ミクス男爵、かような夜中にこちらの了承も得ずに押しかけるとはどういう了見だ」

「分かっておいででしょう! 貴方の『運命の番』をお連れしたのですよ」

「僕には最愛の伴侶がいる。もはや周知の事実だと思っていたんだが、それを知った上でそんな戯言を言いに来たのかね。何度も帰るようにと伝えた筈だが」

ラルフがオレを片腕で強く引き寄せる。オレ達の仲睦まじさを誇示するような仕草だった。

けれど、娘を発情させてまでラルフと引き合わせようと企むような男にはまるで効果がなかったらしい。

ミクス男爵はむしろオレを見て嘲るような表情を浮かべた。

本当に失礼なヤツだな。

「ラルフ様が愛妻家である事は無論噂では聞き及んでおりますが……こう言ってはなんですが、『運命の番』に勝るものはありますまい。『運命』と出会えるなど、滅多にない幸運ですぞ。その幸運をみすみす逃す阿呆はおりますまい」

「運命の番などではない」

「ご冗談を。娘につけていた護衛から報告は受けております。いやぁ、将来は最年少での宰相も狙えるのではと呼び声高いラルフ様の『運命の番』だったとは僥倖でした。我が娘アリアナも喜んでおります」

喜色満面のミクス男爵とは逆に、ラルフはこっちまで凍りついてしまいそうに冷たい侮蔑の表情を浮かべている。

「どうだか。貴殿が娘に薬をもってヒートを誘発させたと聞いたが?」

「使用人如きが主人の『運命の番』を信じず、追い返そうと浅はかで不敬な真似をするもので、ラルフ様に直接訪いを知らしめた方が良いと判断したまでです」

「つまり娘を発情させて、匂いで僕を前後不覚にさせようと企んだ訳だな?」
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