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その言葉は禁止だ
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「ビスチェの口から『運命の番』って言葉はもう聞きたくない」
空耳だと思いたかったのに、やっぱりラルフの口から信じられない言葉が漏れ出てる。
「聞こえた? ビスチェはもう『運命の番』って言葉、禁止ね。不愉快だから」
「……!」
ふ、不愉快って……不愉快って、そんなこと初めて言われた。
ふだん絶対にマイナスな言い方をしないラルフの強い口調に、オレはびっくりしてしまって口をぽかんと開けてラルフを凝視することしかできない。
オレと目を合わせたラルフは、意味ありげにニヤリと口角を吊り上げた。
「要らない事ばかり言って僕を悲しませる悪い口は、もう塞いでしまうに限るな」
オレを強く抱き締めて、ラルフは流れるように口づける。
ちゅ、ちゅ、と可愛らしい音を立てて何度も何度も唇を吸われて、いつものように下唇を軽く食まれた。いつもは穏やかな海を思わせるラルフの青の瞳が、今はなにかもどかしいような揺らめきを湛えている。
「ビスチェ……」
ラルフに名を呼ばれると、身体が勝手に歓喜してしまう。ついラルフの青い瞳に見蕩れていたら、その隙にラルフはオレの体を抱きしめたまま身体を躱してオレをベッドへと押し倒した。
ラルフがオレに覆い被さったまま胸元を緩め始める。
オレはハッとして、慌ててラルフを押しとどめようとラルフの胸に手を当てた。
「ラ、ラルフ、待って」
まだ大切な話がひとつもできてない。
これからのことを、ちゃんと話し合わないといけないのに。
ラルフを押し返そうと頑張ってみたけど、文官なのに鍛え上げてるラルフに貧弱なオレが敵うはずもない。ラルフはオレの制止なんてものともせず、片手でオレの服をくつろげていく。
なんとかラルフを止めようと身を捩るオレをうまくいなしながら、ラルフはオレの耳をくちゅくちゅと音を立てて舐め始めた。
ヤバい。ダメだ。
この音を聞くだけで、頭の中までかき回されそうな気分になってしまう。
「そろそろビスチェには分かってもらわないと」
ラルフが囁くと、舐められて敏感になった耳の穴に吐息がかかってくすぐったい。
これはマズい。
これは流されていつの間にか訳が分からなくなっちゃう、いつものパターンだ。
でも今日だけは、そういうわけにはいかないんだって……!
「ラルフ! ダメだ……!」
「どうして? 僕の番はビスチェだ。もう二年も前に結婚して、今日までずっと何度も何度も愛し合ってきたじゃないか」
「だって、『運命の番』が」
「その言葉は禁止だって言っただろう?」
口を塞ぐように、ラルフの肉厚な唇がオレの唇を貪り始めた。
空耳だと思いたかったのに、やっぱりラルフの口から信じられない言葉が漏れ出てる。
「聞こえた? ビスチェはもう『運命の番』って言葉、禁止ね。不愉快だから」
「……!」
ふ、不愉快って……不愉快って、そんなこと初めて言われた。
ふだん絶対にマイナスな言い方をしないラルフの強い口調に、オレはびっくりしてしまって口をぽかんと開けてラルフを凝視することしかできない。
オレと目を合わせたラルフは、意味ありげにニヤリと口角を吊り上げた。
「要らない事ばかり言って僕を悲しませる悪い口は、もう塞いでしまうに限るな」
オレを強く抱き締めて、ラルフは流れるように口づける。
ちゅ、ちゅ、と可愛らしい音を立てて何度も何度も唇を吸われて、いつものように下唇を軽く食まれた。いつもは穏やかな海を思わせるラルフの青の瞳が、今はなにかもどかしいような揺らめきを湛えている。
「ビスチェ……」
ラルフに名を呼ばれると、身体が勝手に歓喜してしまう。ついラルフの青い瞳に見蕩れていたら、その隙にラルフはオレの体を抱きしめたまま身体を躱してオレをベッドへと押し倒した。
ラルフがオレに覆い被さったまま胸元を緩め始める。
オレはハッとして、慌ててラルフを押しとどめようとラルフの胸に手を当てた。
「ラ、ラルフ、待って」
まだ大切な話がひとつもできてない。
これからのことを、ちゃんと話し合わないといけないのに。
ラルフを押し返そうと頑張ってみたけど、文官なのに鍛え上げてるラルフに貧弱なオレが敵うはずもない。ラルフはオレの制止なんてものともせず、片手でオレの服をくつろげていく。
なんとかラルフを止めようと身を捩るオレをうまくいなしながら、ラルフはオレの耳をくちゅくちゅと音を立てて舐め始めた。
ヤバい。ダメだ。
この音を聞くだけで、頭の中までかき回されそうな気分になってしまう。
「そろそろビスチェには分かってもらわないと」
ラルフが囁くと、舐められて敏感になった耳の穴に吐息がかかってくすぐったい。
これはマズい。
これは流されていつの間にか訳が分からなくなっちゃう、いつものパターンだ。
でも今日だけは、そういうわけにはいかないんだって……!
「ラルフ! ダメだ……!」
「どうして? 僕の番はビスチェだ。もう二年も前に結婚して、今日までずっと何度も何度も愛し合ってきたじゃないか」
「だって、『運命の番』が」
「その言葉は禁止だって言っただろう?」
口を塞ぐように、ラルフの肉厚な唇がオレの唇を貪り始めた。
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