アイツが女装やめたら世界が滅びるんだってさ

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6 クマチャン☆パンチ!

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股間を押さえて七転八倒なクソ王子を再び放置。
オレは廊下に繋がる扉の向こうへ飛び出した。

部屋の外には、扉の近くに若い近衛が立っていた。
ソイツに掴み掛かる、同じぐらい若いオレ。
ビクッと身体を震わせる近衛。


おいおい、肩を掴まれたぐらいで動揺するんじゃないよ。
それともナニか? オレの顔がよっぽどアレだったか?


「…おいっ! クマチャンはまだかっ!」
「ま、まだだ。そろそろだと思うんだけど。」
「チッ! ……クマチャンだけにしておけば良かったか。」

リスクンとオサルサンも一緒に持って来させる弊害が出たな。
一人一個ずつなら楽勝だと思ったんだが見通しが甘かったようだ。



話し掛けて来るな、って感じのイライラオーラを漂わせながら、待つこと数分。

廊下の向こうから近衛兵長と近衛二人が小走りに戻って来た。
見慣れた茶色のモフモフと、茶色のフサフサと、茶色のモコモコ……茶色ばっかりだな、おい……を、それぞれに抱えている。
オレは部屋の扉を薄っすら開けて、ぬいぐるみを受け取れるよう、両手を広げた。


「やっと来たか……! よし、まずはリスクンからだ! 寄越せっ!」
「分かった、ほらよっ!」

ガシっ! リスクンを受け取る。

ポイっ! 扉の隙間から部屋の中に投げ込む。


「次はオサルサンだ! 来いっ!」
「そりゃっ!」

ガシっ! ポイっ! 同じように受け取ったオサルサンを、室内に投げ込む。


「よし、クマチャン、確かに受け取ったぞ。」

最後にクマチャンをしっかり抱き締めた。
これがオレにとって、リーサルウェポンになるからだ。


「オレが呼ぶまで、悪いがもうしばらくここで待機してくれ。」

さっきも言ったが念の為だ。
もう一度シッカリ伝えて、オレはクマチャンと一緒に部屋へ戻る。


今度こそクソ王子を落ち着かせねぇと。




部屋に入ると、余りにも静かで何だか嫌な予感がする。
さっき戻った時と違って、クソ王子がもんどり打って苦しんでる気配を感じねぇ。


オレは大急ぎで寝室に駆け込んだ。
侍従の制服を着た襲撃者が相変わらず床に座らされている。

それはいい。今はどうでもいい。


問題は。
天蓋付きのベッド。

クソ王子はそこにいた。


毛布を剥いで。
そこに下半身を剥き出し状態で寝かされている、近衛の足を掴んで広げさせ。
その近衛の……、露わにした近衛のアナルに。
ギンギンなペニスで狙いを付けている、クソ王子。


「うぅわあああぁぁぁっっ!」


クソ王子の昂ぶりに昂ぶりきったは、今にも近衛を貫こうとしている。
今から、ここから駆け寄っても間に合わない。


オレは咄嗟の判断で、クマチャンを振りかぶった。
クソ王子の。整った顔面目掛けて。



「クマチャン☆パンチいいぃぃっ!」


力一杯、手加減無しに、クマチャンを投げ付けた。
パンチじゃねぇとか、知った事か!

声を聞いて振り返ったクソ王子は、それを顔面で受け止める。
クソ王子は、モコモコの魅力たっぷりなクマチャンを選び、掴んでいた近衛の足を放り出した。
クマチャンを抱えたまま、ぶつけられた勢いそのままに、クソ王子は大きなベッドに転がる。


「お前っ…! ナニしてんだっ、この……クソ王子いぃっ!」

本当にナニをやろうとしているんだ、コイツは。
さっき、生ペニスをもっと、遠慮なく握っておけば良かった。


「お前の所為でダメージを負った俺のペニスを慰めようとしただけじゃねぇか。そんなカリカリすんなって。」
「慰めるなら自分でやれ、近衛を巻き込むな! 食うなって言っただろう!」
「食わねぇよ、抱くだけだって。ケチくせぇな。」
「諦めてぬいぐるみでも抱いてろ、チッ……。」

ぎゅぎゅっとクマチャンを抱いている癖に、クソ王子はまだクソ発言をする。
オレは凄くイライラした。


「……くっそ。俺がいつまでも、こんなモンでナントカなると思うなよ?」

つい舌打ちしちまったのは悪手だったかも知れねぇな。
大人しくなり掛けたクソ王子がオレにぬいぐるみを投げ付ける。


せっかく、持って来させたのに……。
本当にこれは、いよいよ最終手段を使わなきゃ駄目か。
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