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学園の感謝祭にて
学園の感謝祭にて・13 ◇第一皇子クリスティ視点
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あのさ……? うん……。ジェフが怒る気持ちは分かるんだよ?
でもさ……? あれ……あの絡まれ方は、不可抗力って事にしてくれないかなぁ。
だってさ、ホラ……あんな所で、カードゲームで爆勝ちしてるのがまさか、ね。連合の議員で連合参加国の王子様だなんて、さ。
思わないだろ、普通はっ……!
「………。」
なぁ~んてね。
心の中ではジェフに沢山の返事をしてるんだけど、声には一切、出せてない。
「………。」
俯いてた視線を上げて。チラッとジェフを見たら。
ジェフは俺じゃない方向を見てた。サロンの奥の方だ。
あれっ……? ジェフ、俺に怒ってるんじゃ、ない?
「何をしているのかと、私は聞きましたが……?」
何でか分からないし、ジェフの声は相変わらず怖いけど、その矛先が向けられてるのは俺じゃないって分かったら。
一気に、強張った俺の身体から無駄な緊張感が抜けた。
それと一緒に、必要だった緊張感も消え失せた。
たぶん俺の顔は、もし今これをジェフに見られたら、絶対に怒られるのが間違いないってぐらいに緩み切った表情をしてるだろう。
でもいいじゃないか。安心したんだから。
さっきだって、嫌な思いしたんだぞ? ……ゴメン、嘘。あの時はそうでもない。
逆に今。思い出してる今が一番、嫌な気持ちになってるかも。
まぁいいや、アレは忘れよう。
とりあえず今の、ジェフの気を引いてくれてるのが誰なのか、と。
それを確認しようとして、俺はだらしない表情筋をぶら下げたまま、ジェフからちょっと後ろ気味の隣に並んだ。
ちょっと下がってるのはもちろん、俺の顔をジェフに見られないように、だ。
コッソリとジェフの視線を辿って行くと、その先にあるソファー。
その上で抱き締めるような体勢になってる二人を見て、俺は顔を覆いたくなった。
……れっ! レオっ、何を……!
思わず大きな声を出しちゃう所だった。
明らかに露出の高い、特に下半身のスカートが大きなスリットで太腿まで見えるような衣装を着た人に、あの、レオが。覆い被さってたからだ。
ここは何人もの利用者がいるサロンだから、流石に今から性行為をしようって可能性は無い……って信じたいんだけど。今にも何かが始まってもおかしくないような、淫靡な雰囲気が漂ってる。
きっとジェフは、あれを見てご立腹なんだろう。
ジェフはお堅いし、まだまだお子様だから、さぞや破廉恥な行為に見え……いやいや、俺の目から見ても充分以上に破廉恥だぞっ。ジェフの気持ち、今は俺、ちょっと分かるもん。
レオにはある意味、俺の身代わりをありがとうって気持ちはあるけどさ。
悪いんだけど……レオ、俺は庇ってあげられないよ?
「こっ、……これは、転倒した…」
「行きましょう、クリス。不愉快です。」
内心はちょっとだけ面白がって、ジェフがどんな説教をするのか待ってたのに。
たったそれだけ言ったジェフはさっさと、廊下の先へ歩き出した。
余りの破廉恥さでジェフの心が折れちゃったみたいだな。
仕方ないかぁ……。
ここは一つ、第一皇子である俺がレオに一言、説教してあげようかな。
「ま、待て……、違うっ…、……っ! 」
ふふふふっ、なぁにが『違う』のかなぁ、レオぉ~?
その言い訳をする奴は、大体が百パーセント、『黒』なんだよなぁ。
普段は厳しい顔ばっかりなレオが慌ててるのも面白くて、俺は唇が吊り上がる。
もしジェフがいたら怒られそうな表情も、今はジェフが遠くにいるから大丈夫だ。
レオに向かって口を開こうとした時。
俺はふと、本当になんとなく気になって。
露出が高い衣装の人の顔を、覗き込んだ。
顔を見て……。
見た事を深く後悔……する余裕も瞬時に吹き飛んだ。
本気で「ぶふぅっ」って吹き出し掛けたけど、必死に唇を引き結んだ。
だって……!
レイ、だったんだもん……!
「オ似合イデスヨ? …オゥ、二人…トモ……。ト…テモ…。」
自分でもワケの分からない言葉を垂れ流して、俺はその場を逃げた。
俺の中で……込み上げて来る、笑いの衝撃……っ!
あっ、…あハっ、ぅ……嘘だろ、レイっ? なんで、そんな……えっ?
ちょ、嘘ぉ! あんなに……えっ、……普段はあんなに美形じゃ…ん、レイって!
なんであん……ァハっ、……っとに、似合わないのかなあっ? もっと美人になれる、だろうに……っ、もっと何か他にっ、……っふ、……無かったのかなあっ?
し……っ、ィヒっ……しかも、あの…っ、レイの……ドヤ顔ぉ~~~っ!
ヤバいって俺、早く、一刻も早く。何処か人の少ない場所に行かなくちゃ。
大爆笑しちゃう、五秒前、だからぁ~っ!
でもさ……? あれ……あの絡まれ方は、不可抗力って事にしてくれないかなぁ。
だってさ、ホラ……あんな所で、カードゲームで爆勝ちしてるのがまさか、ね。連合の議員で連合参加国の王子様だなんて、さ。
思わないだろ、普通はっ……!
「………。」
なぁ~んてね。
心の中ではジェフに沢山の返事をしてるんだけど、声には一切、出せてない。
「………。」
俯いてた視線を上げて。チラッとジェフを見たら。
ジェフは俺じゃない方向を見てた。サロンの奥の方だ。
あれっ……? ジェフ、俺に怒ってるんじゃ、ない?
「何をしているのかと、私は聞きましたが……?」
何でか分からないし、ジェフの声は相変わらず怖いけど、その矛先が向けられてるのは俺じゃないって分かったら。
一気に、強張った俺の身体から無駄な緊張感が抜けた。
それと一緒に、必要だった緊張感も消え失せた。
たぶん俺の顔は、もし今これをジェフに見られたら、絶対に怒られるのが間違いないってぐらいに緩み切った表情をしてるだろう。
でもいいじゃないか。安心したんだから。
さっきだって、嫌な思いしたんだぞ? ……ゴメン、嘘。あの時はそうでもない。
逆に今。思い出してる今が一番、嫌な気持ちになってるかも。
まぁいいや、アレは忘れよう。
とりあえず今の、ジェフの気を引いてくれてるのが誰なのか、と。
それを確認しようとして、俺はだらしない表情筋をぶら下げたまま、ジェフからちょっと後ろ気味の隣に並んだ。
ちょっと下がってるのはもちろん、俺の顔をジェフに見られないように、だ。
コッソリとジェフの視線を辿って行くと、その先にあるソファー。
その上で抱き締めるような体勢になってる二人を見て、俺は顔を覆いたくなった。
……れっ! レオっ、何を……!
思わず大きな声を出しちゃう所だった。
明らかに露出の高い、特に下半身のスカートが大きなスリットで太腿まで見えるような衣装を着た人に、あの、レオが。覆い被さってたからだ。
ここは何人もの利用者がいるサロンだから、流石に今から性行為をしようって可能性は無い……って信じたいんだけど。今にも何かが始まってもおかしくないような、淫靡な雰囲気が漂ってる。
きっとジェフは、あれを見てご立腹なんだろう。
ジェフはお堅いし、まだまだお子様だから、さぞや破廉恥な行為に見え……いやいや、俺の目から見ても充分以上に破廉恥だぞっ。ジェフの気持ち、今は俺、ちょっと分かるもん。
レオにはある意味、俺の身代わりをありがとうって気持ちはあるけどさ。
悪いんだけど……レオ、俺は庇ってあげられないよ?
「こっ、……これは、転倒した…」
「行きましょう、クリス。不愉快です。」
内心はちょっとだけ面白がって、ジェフがどんな説教をするのか待ってたのに。
たったそれだけ言ったジェフはさっさと、廊下の先へ歩き出した。
余りの破廉恥さでジェフの心が折れちゃったみたいだな。
仕方ないかぁ……。
ここは一つ、第一皇子である俺がレオに一言、説教してあげようかな。
「ま、待て……、違うっ…、……っ! 」
ふふふふっ、なぁにが『違う』のかなぁ、レオぉ~?
その言い訳をする奴は、大体が百パーセント、『黒』なんだよなぁ。
普段は厳しい顔ばっかりなレオが慌ててるのも面白くて、俺は唇が吊り上がる。
もしジェフがいたら怒られそうな表情も、今はジェフが遠くにいるから大丈夫だ。
レオに向かって口を開こうとした時。
俺はふと、本当になんとなく気になって。
露出が高い衣装の人の顔を、覗き込んだ。
顔を見て……。
見た事を深く後悔……する余裕も瞬時に吹き飛んだ。
本気で「ぶふぅっ」って吹き出し掛けたけど、必死に唇を引き結んだ。
だって……!
レイ、だったんだもん……!
「オ似合イデスヨ? …オゥ、二人…トモ……。ト…テモ…。」
自分でもワケの分からない言葉を垂れ流して、俺はその場を逃げた。
俺の中で……込み上げて来る、笑いの衝撃……っ!
あっ、…あハっ、ぅ……嘘だろ、レイっ? なんで、そんな……えっ?
ちょ、嘘ぉ! あんなに……えっ、……普段はあんなに美形じゃ…ん、レイって!
なんであん……ァハっ、……っとに、似合わないのかなあっ? もっと美人になれる、だろうに……っ、もっと何か他にっ、……っふ、……無かったのかなあっ?
し……っ、ィヒっ……しかも、あの…っ、レイの……ドヤ顔ぉ~~~っ!
ヤバいって俺、早く、一刻も早く。何処か人の少ない場所に行かなくちゃ。
大爆笑しちゃう、五秒前、だからぁ~っ!
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