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定例の交流会にて
定例の交流会にて・15 ◇第一皇子クリスティ視点
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「はぁ~っ……。私は今、クリスティ殿下と話しているのだが?」
「お困りだろぉが。もう止せ。」
流石はレイ。すぐさま、俺を庇ってくれてる。
レオの方はなんだか、居心地が悪そうな表情になってた。
怒ったり呆れたりしてる、って事じゃないみたい。
言葉をそのまま鵜呑みにしても良かったら。
レオにはオレが困ってる、ように見えてるのか。
だったら、なんだろ?
あ、もしかして……。
俺の油断した顔を見ちゃって「コレはマズイ」とか思ってるのかもな。
「あぁ、レオナルド様? どうか、気にしないでください。私は全く困ってなど、いませんからね……ふふっ。」
大丈夫だよ~、マズくないよ~。
困ってたんじゃなくって、浮かれてただけだから。
レオは是非、気にしないでくれ。
つ・ま・り。
オレも気にしないから、レオも早く。一刻も早く忘れて、ってアピール。
「ご覧のとおり、私は気分を害してなどいません。楽しんでいますよ。」
ちょっとジェフから不穏な雰囲気がしてるのが怖いんだけど。
だってもう、笑っちゃったんだからさ、仕方ないでしょ。
「宰相閣下のご自慢の御子息方と、こうして会話が出来る貴重な機会ですから。私はいつも楽しみにしているんです。………」
ジェフとの約束を破っちゃった事については俺が悪いと認めよう。
その上で、その事についてはもう諦めよう。
考えてみたらさぁ、今、俺が相手してるのって、レオとレイの二人だろ。
今更そんな、気取らなくたって良い相手じゃないか?
レオだってさ。俺がちょっとやそっと、実に締まりの無い顔をした所でどうって事もないよな?
「特に……レイモンド様には毎回、私の下らない戯れ言に根気よく付き合って貰っていますから。有難い事だと思っていますよ。」
あ……でもちょっとだけ。レイに「間抜けな顔だ」って思われるのは嫌だなぁ。
レイにだけは見栄を張りたいって気持ち、俺にもちょっとはあるんだから。
「でん…、クリスティ殿下が構わないなら、オレは……、まぁ………。」
それはそれとして、さ。
今日のレオは割かし良く喋るなぁ。
待てよ? 今まで俺、レオはあんまり喋らないって思ってたけど、もしかしてそれって俺の勝手な思い込みだったのか?
ただ単に、俺やレイよりもレオのテンポが遅いだけで。本当はレオも結構、お喋り好きだったりしたのかも。
それなら今まで、ちょっと悪い事しちゃってたな。
怒ってるかな? 謝っておいた方が良いか?
うぅ~ん……分からないな。だったら素直に聞いてみようか?
「レオナルド様もご存知でしょうけど、私はお喋り好きなので。…クスッ……、ついつい気安さからレイモンド様と話し込んでしまって。私達ばかりが話していて退屈でしょう?」
「い、いや、決してそんな意味では…」
「それは良かった。楽しい晩餐の邪魔をしているのではないかと、……そうであれば少しは反省をせねばと、思った所ですから、……ねぇ?」
良かったあ~っ、レオ、怒ってるんじゃなかった。
今までも別に、我慢して黙ってくれてたってワケじゃないんだよな?
ちょっとドキドキしちゃった。良くない意味で。
これまでの食事会じゃずっと、俺とレイばっかりが喋ってる感じだからさ。
もし今までの食事会の全部で我慢させてたんだったら、俺とレイは、レオにメチャクチャ謝らなきゃいけなかったもんな。
俺達、二人揃ってレオから叱られなくて良かったな!
……って気持ちで、俺はレイを見た。
あぁ、そうだな。
……って雰囲気で、レイが小さく頷いてくれた。
なんだか苦笑してるっぽいのは、きっと、たぶん、レイも俺と同じように、微妙に『てへぺろ』を感じてるからなんだろう。
俺とレイって結構、気が合うんだよなぁ。
そうだ。珍しくレオがいつもより喋ってるんだから、ジェフだって頑張れるかも。
冷静で自信ありそな見た目の割に、緊張屋さんのジェフだけど、勇気を出すんだ!
「…ですから、今日は四人で話しましょうか。……ねぇ? ジェフ?」
「ぶぇ……っ!」
そんなツモリは無かったのに、ジェフが何か、咽喉詰まりしたような声を出した。
ジェフは俯いて、自分の口元を手で押さえてる。
あぁっ! ……ゴメン。なんか俺、またタイミングが悪かったみたいだよ。
さっきはレオをむせさせちゃったし、いや、本当にゴメンな。ワザとじゃないだ。
すぐに治まるかと思ったのに、ちっともジェフが顔を上げない。
軽く考えてた俺でも、流石に心配になって来た。
「ジェフ……? どうしたんだ?」
「……失礼します。」
俺がジェフの顔を覗き込もうとした時。
それを避けるように、ジェフはいきなり立ち上がる。
凄くギクシャクした動きで皆へ会釈をすると、そのまま食堂から出て行った。
「すみません、私も少々、失礼しますね。」
立ち去るジェフの後を、俺はすぐに追い掛けた。
食事の途中で立ち上がるのは恥ずかしかったから、ちょっと我慢してたんだ。
せっかくジェフが作ってくれたチャンスを、俺は遠慮なく利用する。
ナイス! ナイス・タイミングだ、ありがとう、ジェフっ! 助かったぞ!
俺もトイレに行きたかったんだよなぁ~。
「お困りだろぉが。もう止せ。」
流石はレイ。すぐさま、俺を庇ってくれてる。
レオの方はなんだか、居心地が悪そうな表情になってた。
怒ったり呆れたりしてる、って事じゃないみたい。
言葉をそのまま鵜呑みにしても良かったら。
レオにはオレが困ってる、ように見えてるのか。
だったら、なんだろ?
あ、もしかして……。
俺の油断した顔を見ちゃって「コレはマズイ」とか思ってるのかもな。
「あぁ、レオナルド様? どうか、気にしないでください。私は全く困ってなど、いませんからね……ふふっ。」
大丈夫だよ~、マズくないよ~。
困ってたんじゃなくって、浮かれてただけだから。
レオは是非、気にしないでくれ。
つ・ま・り。
オレも気にしないから、レオも早く。一刻も早く忘れて、ってアピール。
「ご覧のとおり、私は気分を害してなどいません。楽しんでいますよ。」
ちょっとジェフから不穏な雰囲気がしてるのが怖いんだけど。
だってもう、笑っちゃったんだからさ、仕方ないでしょ。
「宰相閣下のご自慢の御子息方と、こうして会話が出来る貴重な機会ですから。私はいつも楽しみにしているんです。………」
ジェフとの約束を破っちゃった事については俺が悪いと認めよう。
その上で、その事についてはもう諦めよう。
考えてみたらさぁ、今、俺が相手してるのって、レオとレイの二人だろ。
今更そんな、気取らなくたって良い相手じゃないか?
レオだってさ。俺がちょっとやそっと、実に締まりの無い顔をした所でどうって事もないよな?
「特に……レイモンド様には毎回、私の下らない戯れ言に根気よく付き合って貰っていますから。有難い事だと思っていますよ。」
あ……でもちょっとだけ。レイに「間抜けな顔だ」って思われるのは嫌だなぁ。
レイにだけは見栄を張りたいって気持ち、俺にもちょっとはあるんだから。
「でん…、クリスティ殿下が構わないなら、オレは……、まぁ………。」
それはそれとして、さ。
今日のレオは割かし良く喋るなぁ。
待てよ? 今まで俺、レオはあんまり喋らないって思ってたけど、もしかしてそれって俺の勝手な思い込みだったのか?
ただ単に、俺やレイよりもレオのテンポが遅いだけで。本当はレオも結構、お喋り好きだったりしたのかも。
それなら今まで、ちょっと悪い事しちゃってたな。
怒ってるかな? 謝っておいた方が良いか?
うぅ~ん……分からないな。だったら素直に聞いてみようか?
「レオナルド様もご存知でしょうけど、私はお喋り好きなので。…クスッ……、ついつい気安さからレイモンド様と話し込んでしまって。私達ばかりが話していて退屈でしょう?」
「い、いや、決してそんな意味では…」
「それは良かった。楽しい晩餐の邪魔をしているのではないかと、……そうであれば少しは反省をせねばと、思った所ですから、……ねぇ?」
良かったあ~っ、レオ、怒ってるんじゃなかった。
今までも別に、我慢して黙ってくれてたってワケじゃないんだよな?
ちょっとドキドキしちゃった。良くない意味で。
これまでの食事会じゃずっと、俺とレイばっかりが喋ってる感じだからさ。
もし今までの食事会の全部で我慢させてたんだったら、俺とレイは、レオにメチャクチャ謝らなきゃいけなかったもんな。
俺達、二人揃ってレオから叱られなくて良かったな!
……って気持ちで、俺はレイを見た。
あぁ、そうだな。
……って雰囲気で、レイが小さく頷いてくれた。
なんだか苦笑してるっぽいのは、きっと、たぶん、レイも俺と同じように、微妙に『てへぺろ』を感じてるからなんだろう。
俺とレイって結構、気が合うんだよなぁ。
そうだ。珍しくレオがいつもより喋ってるんだから、ジェフだって頑張れるかも。
冷静で自信ありそな見た目の割に、緊張屋さんのジェフだけど、勇気を出すんだ!
「…ですから、今日は四人で話しましょうか。……ねぇ? ジェフ?」
「ぶぇ……っ!」
そんなツモリは無かったのに、ジェフが何か、咽喉詰まりしたような声を出した。
ジェフは俯いて、自分の口元を手で押さえてる。
あぁっ! ……ゴメン。なんか俺、またタイミングが悪かったみたいだよ。
さっきはレオをむせさせちゃったし、いや、本当にゴメンな。ワザとじゃないだ。
すぐに治まるかと思ったのに、ちっともジェフが顔を上げない。
軽く考えてた俺でも、流石に心配になって来た。
「ジェフ……? どうしたんだ?」
「……失礼します。」
俺がジェフの顔を覗き込もうとした時。
それを避けるように、ジェフはいきなり立ち上がる。
凄くギクシャクした動きで皆へ会釈をすると、そのまま食堂から出て行った。
「すみません、私も少々、失礼しますね。」
立ち去るジェフの後を、俺はすぐに追い掛けた。
食事の途中で立ち上がるのは恥ずかしかったから、ちょっと我慢してたんだ。
せっかくジェフが作ってくれたチャンスを、俺は遠慮なく利用する。
ナイス! ナイス・タイミングだ、ありがとう、ジェフっ! 助かったぞ!
俺もトイレに行きたかったんだよなぁ~。
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