13 / 60
定例の交流会にて
定例の交流会にて・12 ◇第一皇子クリスティ視点
しおりを挟む
俺の名はクリスティ。リーヴェルト帝国の第一皇子であ~るっ。
……って。第一王子だけど、皇帝陛下の後継者ってワケじゃないんだよねぇ~。
後を継ぐのは、第一皇女である姉のディアーネに決まっちゃってるんだ。
側妃の子なのに凄いよな。……あぁ、それは俺もだけど。
弟のジェフ……ジェフリーは王妃様の子で、年齢は俺と同じだ。
たった二ヶ月程度、俺が先に生まれたからって、俺が第一皇子でジェフが第二皇子ってワケ。
そこら辺の事情とか考えたら難しい話なんだけど、俺としては、自分が皇帝位に着くとか考えられないから。小さい頃から姉が背負ってくれてるのは凄く感謝だ。
ジェフとは、お互いの立場を考えたら「相手の事を良く思ってないのでは…」なんて噂をされたり、してたみたいだけどさ。
実はそんな事、全然、無いんだぞっ?
お城の使用人や騎士達の前でも、それなりに気を遣いながらだけど、ちゃんと会話もしてるし。ジェフは結構、俺の事をフォローしてくれたりもするし。
あっ、気を遣いながらって言っても、イヤラシイ計算とか足を引っ張られないようにってのじゃなくて。
本当に、あの……皇子としての威厳を損なわないように、さ。
お互いに気を付けて、注意し合おうって感じなんだ。
むしろ、比較的、俺とジェフは仲が良い方だって、俺は思ってる。
日頃からお互いの事をちゃんと見てるからな。
だから今も……。
ダディ、こと皇帝陛下が主催の『交流食事会』で。
今回もジェフが凄ぉ~く緊張してる事、俺はバリバリ分かってる。
あぁ、そうだ。そもそも、さ。
幼い頃から立派な皇子としての教育を施されてる俺とジェフが。何を今更そんなに気を付けて、お互いを注意し合うんだって話をすると、さ。
今ちょうどヒマだから、サラッと話しちゃうけど。
……そんな事を話してて大丈夫なのか、って? 大丈夫、大丈夫。
もうしばらくは、ダディと宰相閣下の雑談が続くから。
そんな話は執務室で済ませてくれればいいのに、って話を延々と垂れ流すだけなんで、別にちゃんと聞いてあげる必要は無いんだってば。
何の話だっけ? そうだ、ジェフと注意し合ってる、って話だったな。
俺達は二人とも、別に、礼儀作法とか外交上で必要になる知識とか、そんなのは特に問題無いんだ。
物凄く素晴らしい、完璧な麗人って程じゃなくても、そこそこイケてるからな。
それよりもっ! 俺達の問題は、お互いに、顔だっ!
不細工とかじゃない、表情筋の問題なんだ。
俺もジェフも、どっちかって言うと……ゴメン、言葉を選ばないで表現すると。
…………笑顔に難がある。
ジェフの笑顔は、ゼロから百への両極端だ。
全く感情の無い表情が笑うと一転、……まるで二歳児のような満面の笑い顔になる。
擬態語で表現すると、ニパアァーッとか。口がパカァーンっって感じ。
正直、第二皇子じゃなくても、それなりに成長した男としてどうなんだって笑顔。
それが……その笑顔が。
とある人に関する事に限っては、途端に『コワイ』表情になるんだけど。
……そう。そうそう。
宰相閣下の長男であるレオナルド、……レオに関わる事、ね。
すっごい怖いぞ? ホント。
見開ききった目で。瞳孔が開いてるようで。虚ろな感じに俺を見てるのに目が合わない。本人の焦点も合ってないような瞳なんだ。
口元だけが弧を描いた形で固まってる。微動だにしない。
その顔を見るたびにいつも、俺は何か口封じの為に殺されるのか、って思うもん。
喋ったら喋ったで、ジェフは割と嫌味な言い方をしちゃうクセがあるからなぁ。
顔の造形自体は結構良いんだけどなぁ、ジェフって。ダディに似てるし。
でも丁度良い微笑が作れないから、黙って真顔でいるのが一番可愛いんだよな。
かく言う俺の方は、表情筋が緩いみたいでさ。
自分でも知らない内にヘラヘラ、ニヤニヤしてるっぽい。
自分ではちょっと唇に笑みを浮かべてみたツモリでも、ジェフにはすぐ「口元がだらしない」って言われるんだよなぁ。
おかしいぞ? これでも俺、コッソリ『人形皇子』って呼ばれてるのに。
人形って表現には悪口の意図も含まれてるのは、俺だって一応、分かってる。でも悪意部分だけ、気にしない事にしてるんだ。人形自体は綺麗な物だし、つまり俺も綺麗に整ってる、って事だろ?
だから俺も整った微笑を作れるハズなのに……、……え? あ、そう? 人形状態なのは真顔の時だけ、かぁ。
あ、ダディ達の話が一区切り付きそうだ。
じゃあそろそろ、俺も。
俺達『息子同士』も、喋り始めて良い時間だよな?
……って。第一王子だけど、皇帝陛下の後継者ってワケじゃないんだよねぇ~。
後を継ぐのは、第一皇女である姉のディアーネに決まっちゃってるんだ。
側妃の子なのに凄いよな。……あぁ、それは俺もだけど。
弟のジェフ……ジェフリーは王妃様の子で、年齢は俺と同じだ。
たった二ヶ月程度、俺が先に生まれたからって、俺が第一皇子でジェフが第二皇子ってワケ。
そこら辺の事情とか考えたら難しい話なんだけど、俺としては、自分が皇帝位に着くとか考えられないから。小さい頃から姉が背負ってくれてるのは凄く感謝だ。
ジェフとは、お互いの立場を考えたら「相手の事を良く思ってないのでは…」なんて噂をされたり、してたみたいだけどさ。
実はそんな事、全然、無いんだぞっ?
お城の使用人や騎士達の前でも、それなりに気を遣いながらだけど、ちゃんと会話もしてるし。ジェフは結構、俺の事をフォローしてくれたりもするし。
あっ、気を遣いながらって言っても、イヤラシイ計算とか足を引っ張られないようにってのじゃなくて。
本当に、あの……皇子としての威厳を損なわないように、さ。
お互いに気を付けて、注意し合おうって感じなんだ。
むしろ、比較的、俺とジェフは仲が良い方だって、俺は思ってる。
日頃からお互いの事をちゃんと見てるからな。
だから今も……。
ダディ、こと皇帝陛下が主催の『交流食事会』で。
今回もジェフが凄ぉ~く緊張してる事、俺はバリバリ分かってる。
あぁ、そうだ。そもそも、さ。
幼い頃から立派な皇子としての教育を施されてる俺とジェフが。何を今更そんなに気を付けて、お互いを注意し合うんだって話をすると、さ。
今ちょうどヒマだから、サラッと話しちゃうけど。
……そんな事を話してて大丈夫なのか、って? 大丈夫、大丈夫。
もうしばらくは、ダディと宰相閣下の雑談が続くから。
そんな話は執務室で済ませてくれればいいのに、って話を延々と垂れ流すだけなんで、別にちゃんと聞いてあげる必要は無いんだってば。
何の話だっけ? そうだ、ジェフと注意し合ってる、って話だったな。
俺達は二人とも、別に、礼儀作法とか外交上で必要になる知識とか、そんなのは特に問題無いんだ。
物凄く素晴らしい、完璧な麗人って程じゃなくても、そこそこイケてるからな。
それよりもっ! 俺達の問題は、お互いに、顔だっ!
不細工とかじゃない、表情筋の問題なんだ。
俺もジェフも、どっちかって言うと……ゴメン、言葉を選ばないで表現すると。
…………笑顔に難がある。
ジェフの笑顔は、ゼロから百への両極端だ。
全く感情の無い表情が笑うと一転、……まるで二歳児のような満面の笑い顔になる。
擬態語で表現すると、ニパアァーッとか。口がパカァーンっって感じ。
正直、第二皇子じゃなくても、それなりに成長した男としてどうなんだって笑顔。
それが……その笑顔が。
とある人に関する事に限っては、途端に『コワイ』表情になるんだけど。
……そう。そうそう。
宰相閣下の長男であるレオナルド、……レオに関わる事、ね。
すっごい怖いぞ? ホント。
見開ききった目で。瞳孔が開いてるようで。虚ろな感じに俺を見てるのに目が合わない。本人の焦点も合ってないような瞳なんだ。
口元だけが弧を描いた形で固まってる。微動だにしない。
その顔を見るたびにいつも、俺は何か口封じの為に殺されるのか、って思うもん。
喋ったら喋ったで、ジェフは割と嫌味な言い方をしちゃうクセがあるからなぁ。
顔の造形自体は結構良いんだけどなぁ、ジェフって。ダディに似てるし。
でも丁度良い微笑が作れないから、黙って真顔でいるのが一番可愛いんだよな。
かく言う俺の方は、表情筋が緩いみたいでさ。
自分でも知らない内にヘラヘラ、ニヤニヤしてるっぽい。
自分ではちょっと唇に笑みを浮かべてみたツモリでも、ジェフにはすぐ「口元がだらしない」って言われるんだよなぁ。
おかしいぞ? これでも俺、コッソリ『人形皇子』って呼ばれてるのに。
人形って表現には悪口の意図も含まれてるのは、俺だって一応、分かってる。でも悪意部分だけ、気にしない事にしてるんだ。人形自体は綺麗な物だし、つまり俺も綺麗に整ってる、って事だろ?
だから俺も整った微笑を作れるハズなのに……、……え? あ、そう? 人形状態なのは真顔の時だけ、かぁ。
あ、ダディ達の話が一区切り付きそうだ。
じゃあそろそろ、俺も。
俺達『息子同士』も、喋り始めて良い時間だよな?
10
お気に入りに追加
60
あなたにおすすめの小説

別れようと彼氏に言ったら泣いて懇願された挙げ句めっちゃ尽くされた
翡翠飾
BL
「い、いやだ、いや……。捨てないでっ、お願いぃ……。な、何でも!何でもするっ!金なら出すしっ、えっと、あ、ぱ、パシリになるから!」
そう言って涙を流しながら足元にすがり付くαである彼氏、霜月慧弥。ノリで告白されノリで了承したこの付き合いに、βである榊原伊織は頃合いかと別れを切り出したが、慧弥は何故か未練があるらしい。
チャライケメンα(尽くし体質)×物静かβ(尽くされ体質)の話。

王道学園の冷徹生徒会長、裏の顔がバレて総受けルート突入しちゃいました!え?逃げ場無しですか?
名無しのナナ氏
BL
王道学園に入学して1ヶ月でトップに君臨した冷徹生徒会長、有栖川 誠(ありすがわ まこと)。常に冷静で無表情、そして無言の誠を生徒達からは尊敬の眼差しで見られていた。
そんな彼のもう1つの姿は… どの企業にも属さないにも関わらず、VTuber界で人気を博した個人VTuber〈〈 アイリス 〉〉!? 本性は寂しがり屋の泣き虫。色々あって周りから誤解されまくってしまった結果アイリスとして素を出していた。そんなある日、生徒会の仕事を1人で黙々とやっている内に疲れてしまい__________
※
・非王道気味
・固定カプ予定は無い
・悲しい過去🐜
・話の流れが遅い
・作者が話の進行悩み過ぎてる

主人公のライバルポジにいるようなので、主人公のカッコ可愛さを特等席で愛でたいと思います。
小鷹けい
BL
以前、なろうサイトさまに途中まであげて、結局書きかけのまま放置していたものになります(アカウントごと削除済み)タイトルさえもうろ覚え。
そのうち続きを書くぞ、の意気込みついでに数話分投稿させていただきます。
先輩×後輩
攻略キャラ×当て馬キャラ
総受けではありません。
嫌われ→からの溺愛。こちらも面倒くさい拗らせ攻めです。
ある日、目が覚めたら大好きだったBLゲームの当て馬キャラになっていた。死んだ覚えはないが、そのキャラクターとして生きてきた期間の記憶もある。
だけど、ここでひとつ問題が……。『おれ』の推し、『僕』が今まで嫌がらせし続けてきた、このゲームの主人公キャラなんだよね……。
え、イジめなきゃダメなの??死ぬほど嫌なんだけど。絶対嫌でしょ……。
でも、主人公が攻略キャラとBLしてるところはなんとしても見たい!!ひっそりと。なんなら近くで見たい!!
……って、なったライバルポジとして生きることになった『おれ(僕)』が、主人公と仲良くしつつ、攻略キャラを巻き込んでひっそり推し活する……みたいな話です。
本来なら当て馬キャラとして冷たくあしらわれ、手酷くフラれるはずの『ハルカ先輩』から、バグなのかなんなのか徐々に距離を詰めてこられて戸惑いまくる当て馬の話。
こちらは、ゆるゆる不定期更新になります。

皇帝の立役者
白鳩 唯斗
BL
実の弟に毒を盛られた。
「全てあなた達が悪いんですよ」
ローウェル皇室第一子、ミハエル・ローウェルが死に際に聞いた言葉だった。
その意味を考える間もなく、意識を手放したミハエルだったが・・・。
目を開けると、数年前に回帰していた。


王道にはしたくないので
八瑠璃
BL
国中殆どの金持ちの子息のみが通う、小中高一貫の超名門マンモス校〈朱鷺学園〉
幼少の頃からそこに通い、能力を高め他を率いてきた生徒会長こと鷹官 仁。前世知識から得た何れ来るとも知れぬ転校生に、平穏な日々と将来を潰されない為に日々努力を怠らず理想の会長となるべく努めてきた仁だったが、少々やり過ぎなせいでいつの間にか大変なことになっていた_____。
これは、やりすぎちまった超絶カリスマ生徒会長とそんな彼の周囲のお話である。

【側妻になった男の僕。】【何故か正妻になった男の僕。】アナザーストーリー
selen
BL
【側妻になった男の僕。】【何故か正妻になった男の僕。】のアナザーストーリーです。
幸せなルイスとウィル、エリカちゃん。(⌒▽⌒)その他大勢の生活なんかが覗けますよ(⌒▽⌒)(⌒▽⌒)

もういいや
senri
BL
急遽、有名で偏差値がバカ高い高校に編入した時雨 薊。兄である柊樹とともに編入したが……
まぁ……巻き込まれるよね!主人公だもん!
しかも男子校かよ………
ーーーーーーーー
亀更新です☆期待しないでください☆
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる