美醜感覚が歪な世界でも二つの価値観を持つ僕に死角はない。

左側

文字の大きさ
上 下
97 / 101
本編●主人公、外の世界に出て色々衝撃を受けたりしながら遊ぶ

ぼくはここで中断してはいけないと思う

しおりを挟む
「アドルの意地悪……。」

涙声のアルフォンソは自分の腕で顔を隠した。
両足の間にぼくが居るから身体の向きは変えられないが、肩と顔を横に背けられてしまう。


「ごっ、御免っ。アルフォンソ、……御免、許してっ。」

ぼくは咄嗟にアルフォンソに縋り付いた。
全裸で圧し掛かる姿勢になる事には疑問はあるが、許しを請うのに必死だった。
アルフォンソは顔を覆って俯き、時折いやいやと首を振る。

「本当に……御免。」

少し躊躇ったが、アルフォンソの髪に触れた。
一瞬びくりと震えたものの、嫌がる仕草が無かった事を確認して、頭を撫でる。

「痛くするつもりは無かったんだ、本当だよ。」


そう言えば……自家発電も碌にしていなかったアドルとしての知識には無いが、サトル的なボクは知っていたはずじゃないか。
ペニスを擦り過ぎると痛みが生じる。事があるんだと。
そこまで強く握った覚えは無いんだが、自分のを触るのとは感覚が違っていても不思議じゃない。
きっとぼくが思うよりもずっと痛かったんだろう。


それからしばらくの間、ぼくはアルフォンソを撫でながら「御免ね」と繰り返した。
アルフォンソは段々と落ち着いて来たようで、小さく途切れ途切れに聞こえていた涙声が治まって来る。
ゆっくりと腕を外して、顔を見せてくれた。


「痛かった、のは。……少し、だけだ。」

目を合わせてくれたのが嬉しくてホッとする。
例え表情が不満そうでも、口の両端がやや下がっていて機嫌が悪そうでも。

もしアルフォンソに嫌われたら、もう会えなくなったらと思うと。
ぼくはきっと落ち込むどころじゃ済まないだろうから。


「だがもう、あぁいうのは…」
「分かっているよ、もうしない……。痛くして御免なさい。」

ぼくの言葉にアルフォンソは、首を横に振った。
潤んだ瞳が揺れる。

「違うっ。痛いよりも……、怖かった……。」
「……そっか。そうだね、……御免。」

項垂れたぼくの頬にアルフォンソが両手を伸ばして来た。
優しく包まれて、ほんのりと暖かくなる。

「誤解しないでくれ、怒っているわけじゃないんだ。……俺はけ、経験豊富なネコじゃないん、だから……。あんな風に焦らされた後で…急に、責め立てられると……、……どうしたら良いか分からなくて。」
「御免。アルフォンソが可愛くて、興奮して、我慢が出来なかった……御免。」
「アドル、もう謝らないでくれ。本当に、少し怖かっただけだから。寧ろ、こんな俺が……こんな見た目の癖に怯えるなんて、済ま……っ、ん……。」

話の途中だが、アルフォンソに覆い被さってぎゅっと抱き締めた。
肌同士の触れ合いで感じたようにアルフォンソが声を漏らす。



ぼくは反省した。
大いに反省したから。
アルフォンソが怒っていなければ、嫌じゃなければ、続きをする気でいる。
だって、今ここで止めたら。
そっちの方がアルフォンソは傷付く。ぼくも絶対に後悔するだろう。



蜂蜜みたいな金髪に鼻を埋めて、ぼくは耳元に口を寄せた。

「アルフォンソ。怒っていない?」
「怒ってなんか……。」
「ぼくの事、嫌いにならないで。」
「なるわけが無いっ。アドルの方こそ、俺みたいな……こんな面倒臭い男なんて、嫌になっただろう……?」
「ならないよ。」

さっきとは恐らく違う意味でアルフォンソは怯えている。
安心させる為にも、音を立てて耳たぶに口付けた。
少し挟んでから、顎の骨格に沿って唇を滑らせて行く。

昂っていた熱が一旦冷めてしまったからこそ。
今度は焦らないように。


「もう一度、ぼくにチャンスをくれない? さっきみたいな独りよがりな真似は、もうしない。約束するから。」
「アドル……。」

アルフォンソが頷いてくれたのを確認して、ぼくは彼の顔中にキスを落とす。
頬、鼻先、額、目蓋……。


何度もちゅっちゅする内に、アルフォンソの表情が和らいで行く。
深いキスを欲しがるように少し開いた唇に、ぼくの唇も自然と吸い寄せられた。
貪りたい気持ちを堪えて舌を舐めている内にアルフォンソもおずおずと応えてくれる。
お互いに絡め合い、吸って、室内に淫らな水音が響く頃にはアルフォンソの身体も柔らかく開いていた。

徐々に熱を取り戻す身体に手を這わせ、乳首を指の腹で転がして、直接的に快感を与える。
気持ち良さはさっきよりも少ないし、ずっと単純な愛撫だが、アルフォンソは気持ち良さそうに声を上げた。

「あっ、……あぁ、っ…あっん……!」

慣れていないのに急な強過ぎる快楽は怖がらせる。
いくら上手に弄っても、身体や心の準備が出来ていなければ楽しめない。
置いてけぼりにしないよう、相手の反応を見る。

ぼくはそれを学習した。


「アルフォンソ……気持ち良く、なろう?」
「ん、あぁ…、あッ、や……、だめぇ! ぁドル、……アドルっ!」
「でも、気持ち良くなって解れないと……入れられないよ?」

ぼくは愛撫の手を一旦緩めた。
アルフォンソは頬を染めて口を小さく尖らす。

「俺だけ、なのは……もぉ、ヤだ……。アドルも…」
「ぼくはアルフォンソが気持ち良くなってくれるのが一番だよ? もっと見たいぐらいなんだが……駄目?」
「だ……だめ。俺はもう…、に、二回も……出したから。そんなに何度も、なんて……無理だからぁ。」

訴える瞳をぼくに向けて。
アルフォンソは自分の足を大きく開いた。

「もう怖くないから。だから……早く、ナカ…来てくれ……。」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

もしかしてこの世界美醜逆転?………はっ、勝った!妹よ、そのブサメン第2王子は喜んで差し上げますわ!

結ノ葉
ファンタジー
目が冷めたらめ~っちゃくちゃ美少女!って言うわけではないけど色々ケアしまくってそこそこの美少女になった昨日と同じ顔の私が!(それどころか若返ってる分ほっぺ何て、ぷにっぷにだよぷにっぷに…)  でもちょっと小さい?ってことは…私の唯一自慢のわがままぼでぃーがない! 何てこと‼まぁ…成長を願いましょう…きっときっと大丈夫よ………… ……で何コレ……もしや転生?よっしゃこれテンプレで何回も見た、人生勝ち組!って思ってたら…何で周りの人たち布被ってんの!?宗教?宗教なの?え…親もお兄ちゃまも?この家で布被ってないのが私と妹だけ? え?イケメンは?新聞見ても外に出てもブサメンばっか……イヤ無理無理無理外出たく無い… え?何で俺イケメンだろみたいな顔して外歩いてんの?絶対にケア何もしてない…まじで無理清潔感皆無じゃん…清潔感…com…back… ってん?あれは………うちのバカ(妹)と第2王子? 無理…清潔感皆無×清潔感皆無…うぇ…せめて布してよ、布! って、こっち来ないでよ!マジで来ないで!恥ずかしいとかじゃないから!やだ!匂い移るじゃない! イヤー!!!!!助けてお兄ー様!

旦那様が多すぎて困っています!? 〜逆ハー異世界ラブコメ〜

ことりとりとん
恋愛
男女比8:1の逆ハーレム異世界に転移してしまった女子大生・大森泉 転移早々旦那さんが6人もできて、しかも魔力無限チートがあると教えられて!? のんびりまったり暮らしたいのにいつの間にか国を救うハメになりました…… イケメン山盛りの逆ハーです 前半はラブラブまったりの予定。後半で主人公が頑張ります 小説家になろう、カクヨムに転載しています

異世界の美醜と私の認識について

佐藤 ちな
恋愛
 ある日気づくと、美玲は異世界に落ちた。  そこまでならラノベなら良くある話だが、更にその世界は女性が少ない上に、美醜感覚が美玲とは激しく異なるという不思議な世界だった。  そんな世界で稀人として特別扱いされる醜女(この世界では超美人)の美玲と、咎人として忌み嫌われる醜男(美玲がいた世界では超美青年)のルークが出会う。  不遇の扱いを受けるルークを、幸せにしてあげたい!そして出来ることなら、私も幸せに!  美醜逆転・一妻多夫の異世界で、美玲の迷走が始まる。 * 話の展開に伴い、あらすじを変更させて頂きました。

転生したら、6人の最強旦那様に溺愛されてます!?~6人の愛が重すぎて困ってます!~

恋愛
ある日、女子高生だった白川凛(しらかわりん) は学校の帰り道、バイトに遅刻しそうになったのでスピードを上げすぎ、そのまま階段から落ちて死亡した。 しかし、目が覚めるとそこは異世界だった!? (もしかして、私、転生してる!!?) そして、なんと凛が転生した世界は女性が少なく、一妻多夫制だった!!! そんな世界に転生した凛と、将来の旦那様は一体誰!?

二度目の勇者の美醜逆転世界ハーレムルート

猫丸
恋愛
全人類の悲願である魔王討伐を果たした地球の勇者。 彼を待っていたのは富でも名誉でもなく、ただ使い捨てられたという現実と別の次元への強制転移だった。 地球でもなく、勇者として召喚された世界でもない世界。 そこは美醜の価値観が逆転した歪な世界だった。 そうして少年と少女は出会い―――物語は始まる。 他のサイトでも投稿しているものに手を加えたものになります。

とある美醜逆転世界の王子様

狼蝶
BL
とある美醜逆転世界には一風変わった王子がいた。容姿が悪くとも誰でも可愛がる様子にB専だという認識を持たれていた彼だが、実際のところは――??

転生したら美醜逆転世界だったので、人生イージーモードです

狼蝶
恋愛
 転生したらそこは、美醜が逆転していて顔が良ければ待遇最高の世界だった!?侯爵令嬢と婚約し人生イージーモードじゃんと思っていたら、人生はそれほど甘くはない・・・・?  学校に入ったら、ここはまさかの美醜逆転世界の乙女ゲームの中だということがわかり、さらに自分の婚約者はなんとそのゲームの悪役令嬢で!!!?

処理中です...