美醜感覚が歪な世界でも二つの価値観を持つ僕に死角はない。

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本編●主人公、外の世界に出て色々衝撃を受けたりしながら遊ぶ

ぼくは真面目に身体を洗う気でいたはずだが

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身に纏っていた衣服の全てを取り去ったアルフォンソの身体は、正に芸術家が手掛けた彫刻のように均整の取れた美しさだった。

細身だがしっかりと胸筋や腹筋が分割しており、肌もきめ細かくて綺麗だ。
胸部の隆起具合、首筋から鎖骨への流れ、腕や足の長さ、全てが素晴らしい。
腰の両側から下腹部、もっと下へと繋がる筋肉のラインが色っぽくて堪らない。
何ならもう、乳首の位置や色合い、ペニスの大きさや形に至るまで、全てが計算され尽くしているかのようだ。
下生えも蜂蜜みたいな金髪だという所がお洒落だよね。

ぼくより一歳年上だから、アルフォンソはまだ十六歳。
つまり、大人になりきる前の、少年をこれから卒業しようという身体。
今後の成長が楽しみで仕方ないよね。
……感想がオヤジ臭いのは自分でも理解しているから指摘は不要だよ。


「あんまり、見ないでくれ……。」

余りにもじっくりと見過ぎたようだね。
アルフォンソが手で隠してしまった。

「アルフォンソ、隠しちゃ駄目だよ?」
「あっ、アドル……っ、……意地悪、しないでくれ。」

手を退かせたぼくを、アルフォンソは恨めしそうに睨む。
そんな表情を作った所で可愛らしいだけだから、ぼくはつい楽しくなってしまう。

可愛がってたっぷり甘やかしたいのに、それと同じぐらい、意地悪して困らせたくなっちゃうんだよね。
色んな顔を見たくなるんだから、仕方ない仕方ない。

「俺だけ……裸なんて、恥ずかしい……。」
「クスっ、それもそうだね。じゃあ……アルフォンソが、脱がせてくれる?」
「えっ……。」

思いもよらぬ事を言われた、という反応のアルフォンソ。
薄ら笑いを浮かべて両腕を広げるぼく。

動揺した様子のアルフォンソは、ぼくの顔とシャツのボタンを交互に見比べて。
やがて、おずおずと手を伸ばして、ボタンへと指を絡めた。

クイっ……。クイっ……。

まるで従順な妻のように、まずはジャケットを脱がしてくれる。
それから恐る恐る、一つずつ外されて行くシャツのボタン。
完全に前が開くとぼくの肌が外気に晒された。
ぼくは長い息を吐いて、アルフォンソに微笑みを向けた。


だが順調だったのはここまで。
上半身が脱がせた所で、アルフォンソの手は止まってしまう。


「アドル……。…ん、うぅ~……。」
「御免、御免ね。ここから先は自分で脱ぐから……ね?」
「……ん。」

何かを言おうとしてアルフォンソは口を開いたが、結局は言えず、もごもごさせただけに終わる。
下衣を脱ぐために少し距離を空けるぼくを、上目遣いでアルフォンソが見詰めていた。

「全部脱がせて貰うのは、また今度のお楽しみに取っておくよ。」
「……っ!」

任務を遂行出来なかったアルフォンソが気に病まないよう、ぼくは少々巫山戯て言ってみた。
息を呑むアルフォンソは、恐らく揶揄われたと感じただろうが、この程度は許して欲しい。
勿論、言った内容に嘘は無いからね。



「お待たせ。行こうか。」
「あ、あぁ……。」

全裸になったぼくは片手を差し出して、アルフォンソを誘った。
ぎこちなく重ねられたのを、逃がさないように握る。

「ぼくが綺麗に洗ってあげる。自分でするよりも、ずっと……ね。」
「んっ……んぅ~。」

スネたような声で唸るアルフォンソだが、決して嫌がってはいない。
少しだけ期待するような視線で、ぎゅっと握り返して来たから。



   *   *   *



「あ、ドル……、っそこ、駄目……!」

浴室内ではキスしない。舐めない。

ぼくは密かにそう決めている。
そうしておかないと、ベッドに行かずに終わってしまいそうだから。


「あっ、やぁ……っ、そっちも……、駄目っ。」

アレックとの時は湯船の中で弄り合ったが、アルフォンソとはそれをしない。
身体を綺麗にしてから、という希望を聞いたからね。
例えどんなに色っぽくても、途中で手を出しちゃ駄目だろう。
出来ればぼくも、今度こそはベッドに行きたいと思っているんだ。


「駄目、じゃないよ? ここは特に綺麗にしておかないと、でしょ?」
「ほ……っ、本当にそこ、は……! 自分で……! んぁ…、はッ……んん!」
「ぼくが洗ってあげる、と言っただろう? ……ほら、凄く綺麗になったよ? 汚いから駄目、とは言わせないからね?」
「っはぁ、……んっ、や……汚れるっ、……汚れぅ、からぁ……!」

アナルの襞を一つ一つ指先でなぞる。
陰茎も陰嚢も会陰部分も、程好い強さで指の腹や掌で擦る。
纏わらせた泡が潰れるのがなかなか気持ち良いが、アルフォンソはもっと気持ち良いようだ。
声を上擦らせて、ぼくに縋り付いている。


「綺麗だよ、アルフォンソ。」
「……っ! み、見ないで…」
「どうして?」
「は……恥ずかしい、からぁ……っ。」
「アルフォンソだって、ぼくを見たじゃないか。脱いでいる時……全部、見たでしょ? ドキドキした?」
「~~~~~っ!」

絶句したアルフォンソは両手で顔を隠してしまった。
上気した肌が震えて、石鹸の香と淫靡な香が混じり合った匂いに、ぼくもかなり興奮してしまっている。
アルフォンソの身体を『洗う』手が休まりそうにもない。


これはもう前戯と呼んでも良いんじゃないだろうか。
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