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本編●主人公、外の世界に出て色々衝撃を受けたりしながら遊ぶ
ぼくは世野悟の経験値に感謝する
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「ただ…」
「ただ……? 何? 嫌じゃないなら何が問題? ぼくはどうしたらいい?」
食い気味どころじゃない勢いで急かしてしまう。
一気に余裕が無くなった証拠だね。
「……アドルは、いいのか?」
「いい。問題無い。大丈夫。」
「そんな簡単に言って……。服を着て、ただ話をしている時とは違うんだぞ? 途中で……、……やっぱり気持ち悪い、という事だってあるだろう……。」
アルフォンソの瞳に、さっきとは違った意味での涙が溜まり始める。
ぼくは少し反省した。
こんな不安を感じさせるのは、ぼくのアピール不足が原因だろうからね。
学校で何度も顔を会わせ、一緒に食事をして、親しくなった事で満足していた、ぼくの怠慢が招いた結果だ。
アルフォンソ視点では、ぼくはただ単に『偏差値の無い顔に慣れた』だけのように見えていたんだろう。
ぼくとしては、……サトル的なボクにとっても、いつの間にかアドル的なぼくにとっても……一番好きな顔だから、そういう発想になる可能性を考えていなかったんだ。
「御免ね、アルフォンソ。問題無いとか、大丈夫という発言は良くなかったね。」
ぼくはアルフォンソの顔へと手を伸ばした。頬を掌で包む。
本当は抱き締めてあげたかったが、それだと顔が見えなくなっちゃうからね。
「ぼくはアルフォンソの顔、好きだよ。」
「そっ、そんな……俺なんかの顔、が……?」
なんか。と言ってしまうのは仕方ないか。
自分を卑下する言葉だが、本人が言う分には構わない。と、ぼくは思っている。
でもね……。ぼくの言葉を信じないのは、駄目だよ?
「ぼくの言う事が信じられない?」
「だって俺は、偏差値が……っん、ぅんッ。」
尚も続けようとするアルフォンソの声を唇で閉ざした。
逃げられないよう、彼の後頭部に片手を回し、蜂蜜みたいな金髪に指を埋める。
柔らかさを確かめるように何度も押し当てていると、切ない表情をしていたアルフォンソは瞳を伏せた。
閉ざされた唇の間を舌先で擽る。
アルフォンソが細い睫毛を震わせる。
その瞳がぎゅっと閉じる頃には、代わりに唇が薄っすらと開いていた。
ぼくの中のサトル的なボクよ、世野悟の経験値よ、ありがとう。
アドル的なぼくだけだったら、こんな事はとても出来なかっただろう。
「んぅっ、んっ……っふ。」
緊張をさせた所為か、アルフォンソの咥内にはあまり唾液が無いみたい。
自分のを分け与えるようにして、潤った舌を潜り込ませた。
ざらりと舌の腹を舐め、絡ませている内に、アルフォンソの舌の両端や裏側にもじわりと滲んで来る。
ぼくの舌が口の中で蠢くたびにアルフォンソは、声を漏らして反応した。
悩ましい声が脳内を蕩かすようだった。
散々に舐めしゃぶっているのはぼくの方なのに、気持ちがいい。
「ん……っ、ふ…ぅ……ん。」
アルフォンソの声が甘ったるく鼻に掛かって来た。
もっと奥まで、もっと濃厚に絡ませたい欲をどうにか抑え、ぼくは彼を解放してあげる。
「ふ、はっ……。ぁ、どる…ぅ……。」
潤んだ眼差しをぼくへと向けるアルフォンソ。
少し乱れた息。目元にも赤みが差していて。戸惑うようで、強請るような表情。
あぁ……ぼくは、本当に。アルフォンソの顔が好きだよ。
改めて自覚した内容が軽過ぎだ。
ぼくは思わず半笑いで、アルフォンソを顎クイした。
「アルフォンソが『こんな顔』と言うんなら、その顔が好きなぼくは変態だね?」
鼻の頭が触れ合いそうな至近距離。
アルフォンソが、視線を逸らそうとしないのが地味に嬉しい。
「綺麗だよ、アルフォンソは。本当にそう思っている。……ぼくはアルフォンソの顔にも、身体にも、何処にだってキス出来るよ? もっと深い所にもね。」
「アドル……。」
「証明、しようか……?」
「ん……。……して、欲しい。」
ぼくの問い掛けに、アルフォンソは操られたように首を縦に揺らした。
身体が熱い。ぼくも、アルフォンソも、お互いに。
奥底の何処かに火でも付いたみたいだ。
アルフォンソはぼくを見詰めながら、余韻に浸った恍惚の表情で自分の唇を撫でた。
思い出しているのか。お替わりのキスを催促しているのか。
後者だと判断したぼくは自然な動作で顔を寄せるが。ちょん、と触れた時に、ふと気が付いた。
目と目が合うように、少し顔を引いて距離を取る。
不満そうに唇をやや尖らせるアルフォンソが可愛らしい。
「ねぇ? このままベッドに行く? それともお風呂、使いたい? ……勿論、二人一緒に。」
「えぇっ? あっ、なら……シャワー、を……。……せめて身体くらいは、綺麗にしたいから。」
消え入りそうな恥じらい声で、可愛い要求をされ。ぼくの内心は大興奮だ。
衝動に逆らえないぼくは、その場でアルフォンソの衣服に手を掛ける。
「アドルっ? っだ……、駄目っ。シャワーを…」
「浴びるから、ちゃんと浴びるから。アルフォンソ、脱がせて良い、よねっ?」
後から振り返れば『格好良い』に相応しくないと判断出来るんだが。
慌てて止めようとするアルフォンソの手を振り払い、ぼくは一枚一枚、彼の衣服を剥いで行った。
「ただ……? 何? 嫌じゃないなら何が問題? ぼくはどうしたらいい?」
食い気味どころじゃない勢いで急かしてしまう。
一気に余裕が無くなった証拠だね。
「……アドルは、いいのか?」
「いい。問題無い。大丈夫。」
「そんな簡単に言って……。服を着て、ただ話をしている時とは違うんだぞ? 途中で……、……やっぱり気持ち悪い、という事だってあるだろう……。」
アルフォンソの瞳に、さっきとは違った意味での涙が溜まり始める。
ぼくは少し反省した。
こんな不安を感じさせるのは、ぼくのアピール不足が原因だろうからね。
学校で何度も顔を会わせ、一緒に食事をして、親しくなった事で満足していた、ぼくの怠慢が招いた結果だ。
アルフォンソ視点では、ぼくはただ単に『偏差値の無い顔に慣れた』だけのように見えていたんだろう。
ぼくとしては、……サトル的なボクにとっても、いつの間にかアドル的なぼくにとっても……一番好きな顔だから、そういう発想になる可能性を考えていなかったんだ。
「御免ね、アルフォンソ。問題無いとか、大丈夫という発言は良くなかったね。」
ぼくはアルフォンソの顔へと手を伸ばした。頬を掌で包む。
本当は抱き締めてあげたかったが、それだと顔が見えなくなっちゃうからね。
「ぼくはアルフォンソの顔、好きだよ。」
「そっ、そんな……俺なんかの顔、が……?」
なんか。と言ってしまうのは仕方ないか。
自分を卑下する言葉だが、本人が言う分には構わない。と、ぼくは思っている。
でもね……。ぼくの言葉を信じないのは、駄目だよ?
「ぼくの言う事が信じられない?」
「だって俺は、偏差値が……っん、ぅんッ。」
尚も続けようとするアルフォンソの声を唇で閉ざした。
逃げられないよう、彼の後頭部に片手を回し、蜂蜜みたいな金髪に指を埋める。
柔らかさを確かめるように何度も押し当てていると、切ない表情をしていたアルフォンソは瞳を伏せた。
閉ざされた唇の間を舌先で擽る。
アルフォンソが細い睫毛を震わせる。
その瞳がぎゅっと閉じる頃には、代わりに唇が薄っすらと開いていた。
ぼくの中のサトル的なボクよ、世野悟の経験値よ、ありがとう。
アドル的なぼくだけだったら、こんな事はとても出来なかっただろう。
「んぅっ、んっ……っふ。」
緊張をさせた所為か、アルフォンソの咥内にはあまり唾液が無いみたい。
自分のを分け与えるようにして、潤った舌を潜り込ませた。
ざらりと舌の腹を舐め、絡ませている内に、アルフォンソの舌の両端や裏側にもじわりと滲んで来る。
ぼくの舌が口の中で蠢くたびにアルフォンソは、声を漏らして反応した。
悩ましい声が脳内を蕩かすようだった。
散々に舐めしゃぶっているのはぼくの方なのに、気持ちがいい。
「ん……っ、ふ…ぅ……ん。」
アルフォンソの声が甘ったるく鼻に掛かって来た。
もっと奥まで、もっと濃厚に絡ませたい欲をどうにか抑え、ぼくは彼を解放してあげる。
「ふ、はっ……。ぁ、どる…ぅ……。」
潤んだ眼差しをぼくへと向けるアルフォンソ。
少し乱れた息。目元にも赤みが差していて。戸惑うようで、強請るような表情。
あぁ……ぼくは、本当に。アルフォンソの顔が好きだよ。
改めて自覚した内容が軽過ぎだ。
ぼくは思わず半笑いで、アルフォンソを顎クイした。
「アルフォンソが『こんな顔』と言うんなら、その顔が好きなぼくは変態だね?」
鼻の頭が触れ合いそうな至近距離。
アルフォンソが、視線を逸らそうとしないのが地味に嬉しい。
「綺麗だよ、アルフォンソは。本当にそう思っている。……ぼくはアルフォンソの顔にも、身体にも、何処にだってキス出来るよ? もっと深い所にもね。」
「アドル……。」
「証明、しようか……?」
「ん……。……して、欲しい。」
ぼくの問い掛けに、アルフォンソは操られたように首を縦に揺らした。
身体が熱い。ぼくも、アルフォンソも、お互いに。
奥底の何処かに火でも付いたみたいだ。
アルフォンソはぼくを見詰めながら、余韻に浸った恍惚の表情で自分の唇を撫でた。
思い出しているのか。お替わりのキスを催促しているのか。
後者だと判断したぼくは自然な動作で顔を寄せるが。ちょん、と触れた時に、ふと気が付いた。
目と目が合うように、少し顔を引いて距離を取る。
不満そうに唇をやや尖らせるアルフォンソが可愛らしい。
「ねぇ? このままベッドに行く? それともお風呂、使いたい? ……勿論、二人一緒に。」
「えぇっ? あっ、なら……シャワー、を……。……せめて身体くらいは、綺麗にしたいから。」
消え入りそうな恥じらい声で、可愛い要求をされ。ぼくの内心は大興奮だ。
衝動に逆らえないぼくは、その場でアルフォンソの衣服に手を掛ける。
「アドルっ? っだ……、駄目っ。シャワーを…」
「浴びるから、ちゃんと浴びるから。アルフォンソ、脱がせて良い、よねっ?」
後から振り返れば『格好良い』に相応しくないと判断出来るんだが。
慌てて止めようとするアルフォンソの手を振り払い、ぼくは一枚一枚、彼の衣服を剥いで行った。
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