美醜感覚が歪な世界でも二つの価値観を持つ僕に死角はない。

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本編●主人公、獲物を物色する

ぼくは明日に向けて気力・体力を温存する

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その日の夕方から夜にかけて。
食事会という名の、国王陛下との顔合わせ及び打ち合わせは無事に終了した。

これも一大イベントだから、本来ならば其処でどんな遣り取りがされたかをしっかり描写するべきなんだろうが。
内容としては、翌日に行われる儀式の進行及びぼくがやるべき行動の確認と、ぼくが取るべき王族への態度についての擦り合わせだから。
食事会での詳細は割愛して、その結果だけを簡単に並べておくよ。



ぼくの顔面偏差値認定の儀式に関する予定は、ざっと以下の通りだ。

 1.朝食前。神殿の偉い人に、ぼくの顔面偏差値について改めて確認して貰う。
   そもそも通常の顔面偏差値測定は既に済ませているという前提だ。
   『神殿側が公式認定』する為の、形式上の測定だから簡単に済む。
 2.午前中の早い時間に。謁見の間で国王陛下に報告する。
   神殿側からのお墨付きを添えられて、国王陛下からの正式認定を貰う。
 3.午後から王城で、貴族達を招集してのお披露目会。
 4.その後、神殿に移動して、大礼拝堂でぼくの顔面を奉納する。
   奉納式には、国王陛下を含む王族も参列する。
 5.夕方から夜にかけて。奇跡ランク認定のお祝いパーティが開かれる。
   これはぼくのデビューではない。単なる御目出度い宴だ。
   ぼくのデビューはあと五ヶ月ぐらい先の話だから。


……パーティとか、聞いてないよ。

ぼくはまだデビュー前だから、デビューなさった方々のように挨拶回りだの何だのは無いだろうとは思うが。
それでも、お披露目後の初の夜会だから、ぼくが丸っきり壁の花になる事は難しいじゃないか。下手すると夜会が始まる際に、何らかの挨拶を求められるかも知れない。
打ち合わせの時には出なかったが、その場の空気というか、出席者からのニーズが高まって雰囲気的に断り切れなくなるという可能性は、大いにあるよね。




あ、いけない。忘れる所だった。
王族と対面した時にぼくが取るべき態度に関しても、一応、話しが付いたんだよ。


結果。
国王陛下や王妃殿下に対しては、ぼくは年下の友人、あるいは甥っ子のように振る舞う。イメージとしては、部活の優しい先輩と、それに懐いている後輩……だと、ぼくは考えた。
だから、ぼくから敬語で話し掛けても良い事になった。
国王陛下や王妃殿下は、ぼくに敬語を使わなくても不敬として扱わない。とした。もちろん使っても構わない。

王子達との関係では、対等な事になった。敬語を使うも使わないも自由。
ただ、ぼくが望む限り、出来るだけ親しく振る舞うよう……ぼくはお願いした。
何故なら。
アリーはやっぱり堅苦しいというか、ぼくの方が上位なような丁寧さだったし。アンディはアリー程じゃないが、ぼくにさん付けしたままで丁寧語だし。
このままじゃ、ぼくと気軽に話してくれるのはアレックのみ。という悲しさマックス状態だからだ。


ところで……奇跡ランクであるぼくの取扱いは、前にも話したと思うが、成人する前と後で異なるんだが。
そう。成人したぼくは、それまでよりも更に敬われなくてはならないという……例のアレ。

だがぼくは、そんな面倒な事は望んでいない。
そもそも成人と言っても所詮は十六歳。サトル的な感覚もあるぼくには、まだまだ子供と言ってもいい年齢。
だから成人後もしばらくは、前述した結果のように対応する事を約束しておいた。
何か特段の事情が生じた場合にまた、改めて検討するという事で。




……そうそう。
食事会にはアリー、アンディ。それにアレックと側妃様も参加していた。

側妃様とアレックは、ご機嫌麗しくぼくに挨拶をしてくれて。
アンディと、それと王妃様も……恐らくはアンディとの約束を聞いたからだろう……そこはかとなく嬉しそうな様子で声を掛けてくれた。
だがアリーとは、殆ど言葉を交わせなかったのだけ、ぼくの気に掛かっている。






用意されたぼく用の部屋、ぼく用のベッドで横になり、ぼくは目を閉じる。
出来れば王城の中を色々と見て回りたい。と思っていたぼくだが、食事会ですっかり疲れてしまったんだ。


食事会の間にベッドメイクされたんだろう。寝具からは清潔な石鹸の香しかしない。
余計な残り香が無くなり、これで落ち着けるはずなのに。
何処かで勿体ないと感じるのは、アレックがタチの癖して無駄に『エロエロしい』からだろう。



明日は、いよいよ。


ぼくの顔面が正式に『格好良い』になる。
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