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本編●主人公、獲物を物色する
ぼくが常識知らずなのか
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アンディ、だなんて。普段のアレックは呼んだりしていないだろうに。
ぼくがアンディと呼んでいるからか。
アレックはちょくちょく、ぼくの真似をするからな。
ぼくの目の前で、アレックはいきなりアンディの仮面に手を掛けた。
そして突然の事でアンディが反応出来ない内に、さっさと剥ぎ取ってしまう。
驚きとショックとで目を見開くアンディは、とても可愛くて色っぽかった。
だがアレックに感謝はしないぞ。
「なっ、何をするん…」
「今更になって隠すな。こんな物を着けたままで抱かれる気か?」
「……っ!」
抗議の声を上げ掛けたアンディの声を遮り、言い放ったアレックは、取り上げた仮面をテーブルの上に投げた。
言葉を詰まらせたアンディの頬が、羞恥で見る見る赤く染まって行く。
アレックは動けないアンディの顎を掴んだかと思うと、強引にぼくの方へと向かせる。
「アドルは、この顔でも平気なんだろ?」
「……う~ん。平気、と言うより……。寧ろ、好きだよ? 一緒にいる時は顔を隠さないで欲しい、と心から思うぐらいにはね。」
ぼくはアレックの動きに何となく面白くないものを感じ、わざと、彼の言葉に乗る以上の事を言った。
普通に答えるなら「平気だ」と言えば良いのだろうが。
その答えだとまるで、美味しいとは思えないが食べられない程じゃない、みたいじゃないか。
ぼくは別に、アンディの顔に我慢や妥協をしてはいないんだから。
「そう、か……。流石は奇跡ランクだな。」
一瞬だけ、何処か悔しそうな眼差しをぼくに向けたアレック。
だがすぐに表情を戻し、揶揄うような口調になる。
「だけどアドルは、本当に何も知らないんだなぁ?」
また何か、ぼくを馬鹿にする気か。
警戒するぼくの前で、アレックは何故か……アンディの顎を掴んでいた手を離し、彼を背後から抱き締めた。
ええぇっ? ……えっ、えっ? 羨ましいっ! いや、違う、何をしているんだっ?
アンディは悲鳴を上げるように口を開いたが、余りの驚きからか、声すら発せられないようだ。
ぼくも突っ立ったままの姿勢で、アレックをただ見ているしか出来なかった。
「どうやらアドルは、分かってて無視したんじゃなさそうだぞ? ……良かったな、ア ン ディ?」
「そ……なん、ですか?」
こら、そこ! ぼくに分からない会話を止めないか!
アンディ、何故に今! 今そこで恥じらうんだ!
「なぁアドル、この服……。随分と袖口や襟元、裾も広がってるだろ?」
「あぁ、そうだね。」
「それはな、つまり……。」
何かを説明し始めたはずのアレックは、おもむろにアンディの服の中へと片手を突っ込んだ。
アンディが声にならない悲鳴を上げるも、アレックは気にしない。
「こうやって、どっからでも手が入る。抱かれる時には、こういう服を着るもんなんだ。」
袖口から入れた片手がアンディの胸辺りまで入り込み、もう片手がワンピースとキュロットをたくし上げる。
アンディの足が露わになって、ぼくは目を奪われた。
「わざわざ『抱かれる服』を着て来たのに、お前が無反応だから。わざと無視したんだと思って、コイツは勝手に諦めてたとこだ。……せっかく、中途半端な勇気を出して、抱かれに来たのにな?」
「アンディ。……そうなのかな?」
「………。はい……。」
アレックを疑う気持ちは充分にあったが、念の為にアンディに問い掛けてみると。
顔を真っ赤にして、しかも涙目のアンディが。
恥ずかしそうに、小さく肯定した。
……そんな常識、知らないよ。
『友達』の話といい、『抱かれる服』の話といい。王族の常識とやらがオリジナリティに溢れ過ぎじゃないか。
ぼくがアンディと呼んでいるからか。
アレックはちょくちょく、ぼくの真似をするからな。
ぼくの目の前で、アレックはいきなりアンディの仮面に手を掛けた。
そして突然の事でアンディが反応出来ない内に、さっさと剥ぎ取ってしまう。
驚きとショックとで目を見開くアンディは、とても可愛くて色っぽかった。
だがアレックに感謝はしないぞ。
「なっ、何をするん…」
「今更になって隠すな。こんな物を着けたままで抱かれる気か?」
「……っ!」
抗議の声を上げ掛けたアンディの声を遮り、言い放ったアレックは、取り上げた仮面をテーブルの上に投げた。
言葉を詰まらせたアンディの頬が、羞恥で見る見る赤く染まって行く。
アレックは動けないアンディの顎を掴んだかと思うと、強引にぼくの方へと向かせる。
「アドルは、この顔でも平気なんだろ?」
「……う~ん。平気、と言うより……。寧ろ、好きだよ? 一緒にいる時は顔を隠さないで欲しい、と心から思うぐらいにはね。」
ぼくはアレックの動きに何となく面白くないものを感じ、わざと、彼の言葉に乗る以上の事を言った。
普通に答えるなら「平気だ」と言えば良いのだろうが。
その答えだとまるで、美味しいとは思えないが食べられない程じゃない、みたいじゃないか。
ぼくは別に、アンディの顔に我慢や妥協をしてはいないんだから。
「そう、か……。流石は奇跡ランクだな。」
一瞬だけ、何処か悔しそうな眼差しをぼくに向けたアレック。
だがすぐに表情を戻し、揶揄うような口調になる。
「だけどアドルは、本当に何も知らないんだなぁ?」
また何か、ぼくを馬鹿にする気か。
警戒するぼくの前で、アレックは何故か……アンディの顎を掴んでいた手を離し、彼を背後から抱き締めた。
ええぇっ? ……えっ、えっ? 羨ましいっ! いや、違う、何をしているんだっ?
アンディは悲鳴を上げるように口を開いたが、余りの驚きからか、声すら発せられないようだ。
ぼくも突っ立ったままの姿勢で、アレックをただ見ているしか出来なかった。
「どうやらアドルは、分かってて無視したんじゃなさそうだぞ? ……良かったな、ア ン ディ?」
「そ……なん、ですか?」
こら、そこ! ぼくに分からない会話を止めないか!
アンディ、何故に今! 今そこで恥じらうんだ!
「なぁアドル、この服……。随分と袖口や襟元、裾も広がってるだろ?」
「あぁ、そうだね。」
「それはな、つまり……。」
何かを説明し始めたはずのアレックは、おもむろにアンディの服の中へと片手を突っ込んだ。
アンディが声にならない悲鳴を上げるも、アレックは気にしない。
「こうやって、どっからでも手が入る。抱かれる時には、こういう服を着るもんなんだ。」
袖口から入れた片手がアンディの胸辺りまで入り込み、もう片手がワンピースとキュロットをたくし上げる。
アンディの足が露わになって、ぼくは目を奪われた。
「わざわざ『抱かれる服』を着て来たのに、お前が無反応だから。わざと無視したんだと思って、コイツは勝手に諦めてたとこだ。……せっかく、中途半端な勇気を出して、抱かれに来たのにな?」
「アンディ。……そうなのかな?」
「………。はい……。」
アレックを疑う気持ちは充分にあったが、念の為にアンディに問い掛けてみると。
顔を真っ赤にして、しかも涙目のアンディが。
恥ずかしそうに、小さく肯定した。
……そんな常識、知らないよ。
『友達』の話といい、『抱かれる服』の話といい。王族の常識とやらがオリジナリティに溢れ過ぎじゃないか。
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