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本編●主人公、獲物を物色する
ぼくの興奮の成れの果て
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「はぁ……はぁ…っ。……ん。」
「ぁふ……っ。ん……っふぅ。」
誰かの手で達するという初めての経験に、なかなか呼吸が整わない。
お互いに息を弾ませながら、ぼくとアレックは余韻を引き摺らせるように、相手の肌へと手を滑らせる。
「アドル……ベッドに行くか? それとも、もう……ここで、しちゃおうか?」
ぼくの鎖骨を擽って、アレックが誘う。
彼は流石に『エロエロしい』なだけはあって、何事も慣れているんだろう。
湯の浮力を利用して楽しむというのも、とても魅力的だが……ぼくの方は初めてだからな。
ここは初心者らしく、素直にベッドでお世話になりたい。
あぁそれにはまず、ぼくはアレックに言わなければならないな。
「あの、アレック……。恥ずかしいんだが……実はぼく、初めてなんだ。」
「え? ……ほんとに?」
「うん……。だからベッドが、いいな。」
どうにか告白を終えたぼくに、アレックが嬉しそうな笑みを向けた。
かと思うと、勢い良く抱き付いて来る。
「じゃ、アドルは俺が、初めてなんだな……。どうしよう、すっっっごい嬉しい。」
「そ、そんなに喜ばないでよ。だから……あんまり良くなくても、怒らないでよ?」
「怒るわけないだろ、もうっ。可愛いなぁ~。」
ぼくにくっ付いたままのアレックが、よっぽど嬉しいのか、身体をじたばたとくねらせる。
波立った湯が肩や胸に掛かり、ぼくは少々微妙な、擽ったい気分になった。
恐らくこれまでアレックが相手をして来た者は、色々な人を抱き散らかして来たような……、良く言えばベテラン、悪く言えばスレていたに違いない。
それを考えれば、ぼくのようなランクの高い童貞食いが出来るのは嬉しいのかな。
「アレックの方が可愛いよ?」
心からそう思うぼくは、目を細めるアレックの頬を指で突いた。
ぼくからの悪戯にお返するみたいに、アレックはぼくの指を『エロエロしい』唇で口付ける。
……ねぇ。早く。ベッドに行こうよ。
だが。盛り上がりに上がっているぼくの気分に、アレックの言葉が待ったを掛けた。
「優しくするからな。アドルは全部、俺に任せてくれればいい。」
……んんっ? い、一回、待とうか。
「アレック……? それは、どういう…」
「大丈夫だ。俺は慣れてるから。痛い思いはさせない、安心しろ。」
非常に頼もしい発言なんだが、アレック、それは……。
ぼくは信じられない予感に、そっとアレックの顔を見る。
そんなぼくを、小首を傾げて見詰めるアレックは、確かに『エロエロしい』なのに。
……い、いやいや、待て。
慣れていないと、挿入した方が痛い思いをする、という事かも知れないぞ。
もしくは、アレックの後ろの孔がとても締め付けが強い……とか。
無理があるか。
「アレック、まさか……。」
「……え? アドル……?」
恐らくアレックの目からも、ぼくの様子は激変したんだろう。
アレックが、窺うようにぼくの名を呼ぶ。
ぼくは恐る恐る、確認の言葉を少しづつ口に出す。
「アレック? ぼくが、痛い思いをすると……いうの、は…」
「……ぷっ。 あ、アドルって……何にも知らないんだな。」
ぼくがこれから行おうとしている行為の詳細を知らないと思ったんだろう。
ホッとしたように噴き出したアレックは、ぼくの髪を撫でた。
それからその手をぼくの背中へ、その下へと、どんどん滑らせる。
アレックの掌で、ぼくの尻が握られた。
「アドルは、ココを、使うんだぞ?」
「いや、使わないよ?」
「……えっ?」
ぼくが冷静に言い返すと、アレックは驚きの余り、ぼくの尻を揉むのを止めた。
彼よりほんの僅かにだが、先に気が付いたぼくはゆっくりと身体を離す。
さて……最終確認をしようか。いや、最初に確認しておくべきだった。
「ねぇ、アレック。ぼくを……アレックのお尻で抱いてくれる気じゃ、無いの?」
「はあぁぁっっ?」
……確認、終了。アレックは、まさかの……タチだ。
「え、嘘だろ? アドル……ネコ、だよな? 処女なんだろ?」
アレックにも、互いに誤解していたという状況が分かったんだろう。
だが、これまでの盛り上がりもあって、俄かには信じられないでいる。
狼狽えるアレックの横に、ぼくはすっかり脱力して腰を下ろす。
あぁ……この座面、低くてちょうど良いね。冷えた心が暖まるよ。
「認めよう、アレック……現実を。」
「今更、それか……。アドルは、そんなに『格好良い』なのに……あんな気持ち、良さそうな反応して……。ネコ、だろ……あれ絶対、ネコだったじゃないか。」
ぶつぶつ言うな、アレック。ぼくだって同じ気持ちだぞ。
世野悟はタチでもネコでも良かったし、ぼくもどっちかだと決まったわけじゃないが。
だが、この『エロエロしい』なアレックとは……ぼくがタチ、の気分だったんだ。
「俺の興奮を返してくれぇ~。」
「その言葉、そのまま返すよ。」
『エロエロしい』はネコ。
……という、ぼくの偏見も、意外と根深かったんだな。
「ぁふ……っ。ん……っふぅ。」
誰かの手で達するという初めての経験に、なかなか呼吸が整わない。
お互いに息を弾ませながら、ぼくとアレックは余韻を引き摺らせるように、相手の肌へと手を滑らせる。
「アドル……ベッドに行くか? それとも、もう……ここで、しちゃおうか?」
ぼくの鎖骨を擽って、アレックが誘う。
彼は流石に『エロエロしい』なだけはあって、何事も慣れているんだろう。
湯の浮力を利用して楽しむというのも、とても魅力的だが……ぼくの方は初めてだからな。
ここは初心者らしく、素直にベッドでお世話になりたい。
あぁそれにはまず、ぼくはアレックに言わなければならないな。
「あの、アレック……。恥ずかしいんだが……実はぼく、初めてなんだ。」
「え? ……ほんとに?」
「うん……。だからベッドが、いいな。」
どうにか告白を終えたぼくに、アレックが嬉しそうな笑みを向けた。
かと思うと、勢い良く抱き付いて来る。
「じゃ、アドルは俺が、初めてなんだな……。どうしよう、すっっっごい嬉しい。」
「そ、そんなに喜ばないでよ。だから……あんまり良くなくても、怒らないでよ?」
「怒るわけないだろ、もうっ。可愛いなぁ~。」
ぼくにくっ付いたままのアレックが、よっぽど嬉しいのか、身体をじたばたとくねらせる。
波立った湯が肩や胸に掛かり、ぼくは少々微妙な、擽ったい気分になった。
恐らくこれまでアレックが相手をして来た者は、色々な人を抱き散らかして来たような……、良く言えばベテラン、悪く言えばスレていたに違いない。
それを考えれば、ぼくのようなランクの高い童貞食いが出来るのは嬉しいのかな。
「アレックの方が可愛いよ?」
心からそう思うぼくは、目を細めるアレックの頬を指で突いた。
ぼくからの悪戯にお返するみたいに、アレックはぼくの指を『エロエロしい』唇で口付ける。
……ねぇ。早く。ベッドに行こうよ。
だが。盛り上がりに上がっているぼくの気分に、アレックの言葉が待ったを掛けた。
「優しくするからな。アドルは全部、俺に任せてくれればいい。」
……んんっ? い、一回、待とうか。
「アレック……? それは、どういう…」
「大丈夫だ。俺は慣れてるから。痛い思いはさせない、安心しろ。」
非常に頼もしい発言なんだが、アレック、それは……。
ぼくは信じられない予感に、そっとアレックの顔を見る。
そんなぼくを、小首を傾げて見詰めるアレックは、確かに『エロエロしい』なのに。
……い、いやいや、待て。
慣れていないと、挿入した方が痛い思いをする、という事かも知れないぞ。
もしくは、アレックの後ろの孔がとても締め付けが強い……とか。
無理があるか。
「アレック、まさか……。」
「……え? アドル……?」
恐らくアレックの目からも、ぼくの様子は激変したんだろう。
アレックが、窺うようにぼくの名を呼ぶ。
ぼくは恐る恐る、確認の言葉を少しづつ口に出す。
「アレック? ぼくが、痛い思いをすると……いうの、は…」
「……ぷっ。 あ、アドルって……何にも知らないんだな。」
ぼくがこれから行おうとしている行為の詳細を知らないと思ったんだろう。
ホッとしたように噴き出したアレックは、ぼくの髪を撫でた。
それからその手をぼくの背中へ、その下へと、どんどん滑らせる。
アレックの掌で、ぼくの尻が握られた。
「アドルは、ココを、使うんだぞ?」
「いや、使わないよ?」
「……えっ?」
ぼくが冷静に言い返すと、アレックは驚きの余り、ぼくの尻を揉むのを止めた。
彼よりほんの僅かにだが、先に気が付いたぼくはゆっくりと身体を離す。
さて……最終確認をしようか。いや、最初に確認しておくべきだった。
「ねぇ、アレック。ぼくを……アレックのお尻で抱いてくれる気じゃ、無いの?」
「はあぁぁっっ?」
……確認、終了。アレックは、まさかの……タチだ。
「え、嘘だろ? アドル……ネコ、だよな? 処女なんだろ?」
アレックにも、互いに誤解していたという状況が分かったんだろう。
だが、これまでの盛り上がりもあって、俄かには信じられないでいる。
狼狽えるアレックの横に、ぼくはすっかり脱力して腰を下ろす。
あぁ……この座面、低くてちょうど良いね。冷えた心が暖まるよ。
「認めよう、アレック……現実を。」
「今更、それか……。アドルは、そんなに『格好良い』なのに……あんな気持ち、良さそうな反応して……。ネコ、だろ……あれ絶対、ネコだったじゃないか。」
ぶつぶつ言うな、アレック。ぼくだって同じ気持ちだぞ。
世野悟はタチでもネコでも良かったし、ぼくもどっちかだと決まったわけじゃないが。
だが、この『エロエロしい』なアレックとは……ぼくがタチ、の気分だったんだ。
「俺の興奮を返してくれぇ~。」
「その言葉、そのまま返すよ。」
『エロエロしい』はネコ。
……という、ぼくの偏見も、意外と根深かったんだな。
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