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本編●主人公、獲物を物色する
ぼくの対面は眼福だらけ
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ぼくがどうにか、王子様二人の姿を視界の端で捉え、……アルフォンソさんの姿を認識出来るぐらい視界に入れるのは無理だった……自分の心を慰めていると。
若い世代がじっと注目している事に、王妃様が気付いた。
王妃様は、茶会が始まって早々に話し込んでしまった事を詫びて、気軽に食事とお茶を楽しむよう言ってくれた。
これを待っていたよ、有り難いね。
胃袋に入れる食事も楽しみだが、目で見るご馳走も楽しみたいからな。
ぼくはのんびりと食事を摂る振りをしながら、テーブルに着いている面々を遠慮なく眺める事にした。
しばらくの間は、王妃様や母から話し掛けられる事も無いはずだ。
サトル的な感覚で見応えのある美形がこれだけ揃うのも、恐らく珍しいだろうから。
王妃様も、王子様二人も、顔面偏差値が極めて低いんだ。
もしかするとアルフォンソさんのように、偏差値ナシかも知れないと思うぐらいだ。
これには、サトル的なボクの欲望も大満足。
口調はゆったり穏やかに話している王妃様は、明るい栗色の巻き毛を後ろで緩く纏めていて、両サイドは顔の輪郭に沿うように一房ずつ下ろしている。
目は凄く大きいわけじゃないのに、パッチリとしていて。
ぼくの母より少し年上だろうが、この年齢でも可愛い印象だ。
余りにも目のパッチリ具合が気を引くから、顔面タイプがどれなのか判別が出来ない。
王子様は二人とも若くて、ぼくや兄とも然程は離れていない。
王妃様と一番近い席に、王妃様の息子のアリアノール王子。十九歳だと聞いた。
綺麗に真っ直ぐな赤茶色の髪を首元付近で結び、背中へと流している。
高い鼻や小さめな唇の可愛らしさは王妃様に似てるが、細面の顔立ちで、知的な美少年がそのまま大人になったような風貌だ。
王妃様から「気軽に」と言われても、やや緊張しているようで、時折、唇をきゅっとするのが可愛く見える。
これはいい、眼福である。
真ん中の席にいるアンドリュー王子も、王妃様の息子。ぼくより一つ下、十四歳。
焦げ茶色の髪は王妃様譲りの巻き毛で、纏めるには長さが少々足りないのか、縛らずに肩の上に下ろされている。
垂れ目だが、はっきりした目鼻立ちをしているので、それでも恐らく『エロエロしい』の低ランクに滑り込めるかどうかという所だろう。
髪が頬に掛かるのを時折、耳に掛ける仕草が堪らなく色っぽい。
『エロエロしい』じゃなくて、この年齢で、普通に色っぽい。
けしからん、眼福である。
だが……王子様二人がこんなに美形でも。
顔面偏差値が低い・無いタイプの美形の中では、アルフォンソさんの顔立ちが、一番好きだ。
目元大きめ、高い鼻に、程好い厚さの唇……ぼくには彼が、まるで王子様のように見える。
サトル的な感覚で言う方の、格好良いも麗しいも凛々しいも。
アルフォンソさんは、それら全部を持っていて、その上で仄かな色気も。
ぼくを殺す気か、眼福である。
「……。」
「……。」
「……。」
二人の王子様も、アルフォンソさんも、無言だ。
ぼくを含む、この四人は、静けさを保っていた。
サンドイッチを取りながら、アンドリュー王子に目をやる。
目が合うから、ぼくは好印象を与えようと頑張って微笑む。
紅茶に手を伸ばしつつ、アリアノール王子に視線を向ける。
視線が絡んだような気がして、ぼくは眼差しで挨拶をする。
ジャムが入った小皿のスプーンを摘んで、アルフォンソさんを見詰める。
ちらちらと窺うような瞳に嬉しくなって、ぼくは思わず、口元を緩める。
無言だが、ぼくはちっとも苦痛じゃない。
現状、彼等の目には、ぼくは『格好良い』に見えているはずだ。
そしてぼくはまだ、彼等を幻滅させるような迂闊な言動はしていないはず。
もう少しだけ、ぼくを『格好良い』だと感じていて欲しい。
ぼくはその間に思い切り、美形達を眺め回すから。
もちろん、ぼくだってこのまま無言で終わらせる気は無い。
だが……この美形達を相手に、雑談を始めた時に。
ぼくの、サトル的なボクが暴走しないという保証が、無い。
若い世代がじっと注目している事に、王妃様が気付いた。
王妃様は、茶会が始まって早々に話し込んでしまった事を詫びて、気軽に食事とお茶を楽しむよう言ってくれた。
これを待っていたよ、有り難いね。
胃袋に入れる食事も楽しみだが、目で見るご馳走も楽しみたいからな。
ぼくはのんびりと食事を摂る振りをしながら、テーブルに着いている面々を遠慮なく眺める事にした。
しばらくの間は、王妃様や母から話し掛けられる事も無いはずだ。
サトル的な感覚で見応えのある美形がこれだけ揃うのも、恐らく珍しいだろうから。
王妃様も、王子様二人も、顔面偏差値が極めて低いんだ。
もしかするとアルフォンソさんのように、偏差値ナシかも知れないと思うぐらいだ。
これには、サトル的なボクの欲望も大満足。
口調はゆったり穏やかに話している王妃様は、明るい栗色の巻き毛を後ろで緩く纏めていて、両サイドは顔の輪郭に沿うように一房ずつ下ろしている。
目は凄く大きいわけじゃないのに、パッチリとしていて。
ぼくの母より少し年上だろうが、この年齢でも可愛い印象だ。
余りにも目のパッチリ具合が気を引くから、顔面タイプがどれなのか判別が出来ない。
王子様は二人とも若くて、ぼくや兄とも然程は離れていない。
王妃様と一番近い席に、王妃様の息子のアリアノール王子。十九歳だと聞いた。
綺麗に真っ直ぐな赤茶色の髪を首元付近で結び、背中へと流している。
高い鼻や小さめな唇の可愛らしさは王妃様に似てるが、細面の顔立ちで、知的な美少年がそのまま大人になったような風貌だ。
王妃様から「気軽に」と言われても、やや緊張しているようで、時折、唇をきゅっとするのが可愛く見える。
これはいい、眼福である。
真ん中の席にいるアンドリュー王子も、王妃様の息子。ぼくより一つ下、十四歳。
焦げ茶色の髪は王妃様譲りの巻き毛で、纏めるには長さが少々足りないのか、縛らずに肩の上に下ろされている。
垂れ目だが、はっきりした目鼻立ちをしているので、それでも恐らく『エロエロしい』の低ランクに滑り込めるかどうかという所だろう。
髪が頬に掛かるのを時折、耳に掛ける仕草が堪らなく色っぽい。
『エロエロしい』じゃなくて、この年齢で、普通に色っぽい。
けしからん、眼福である。
だが……王子様二人がこんなに美形でも。
顔面偏差値が低い・無いタイプの美形の中では、アルフォンソさんの顔立ちが、一番好きだ。
目元大きめ、高い鼻に、程好い厚さの唇……ぼくには彼が、まるで王子様のように見える。
サトル的な感覚で言う方の、格好良いも麗しいも凛々しいも。
アルフォンソさんは、それら全部を持っていて、その上で仄かな色気も。
ぼくを殺す気か、眼福である。
「……。」
「……。」
「……。」
二人の王子様も、アルフォンソさんも、無言だ。
ぼくを含む、この四人は、静けさを保っていた。
サンドイッチを取りながら、アンドリュー王子に目をやる。
目が合うから、ぼくは好印象を与えようと頑張って微笑む。
紅茶に手を伸ばしつつ、アリアノール王子に視線を向ける。
視線が絡んだような気がして、ぼくは眼差しで挨拶をする。
ジャムが入った小皿のスプーンを摘んで、アルフォンソさんを見詰める。
ちらちらと窺うような瞳に嬉しくなって、ぼくは思わず、口元を緩める。
無言だが、ぼくはちっとも苦痛じゃない。
現状、彼等の目には、ぼくは『格好良い』に見えているはずだ。
そしてぼくはまだ、彼等を幻滅させるような迂闊な言動はしていないはず。
もう少しだけ、ぼくを『格好良い』だと感じていて欲しい。
ぼくはその間に思い切り、美形達を眺め回すから。
もちろん、ぼくだってこのまま無言で終わらせる気は無い。
だが……この美形達を相手に、雑談を始めた時に。
ぼくの、サトル的なボクが暴走しないという保証が、無い。
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