深刻にならないのが取り柄なオレが異世界をちょっとだけ救う物語

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とりあえず美青年に付けてやる名前を、オレは全裸で考え中。
さっきフェラしてもらうタイミングで脱いでから、ずっとヌードのままだ。

そろそろ身体がちょっと冷えてきたぞ。
せめて上のシャツだけでも羽織ろうかな。
いや待てよ。
そんなことしたら、今日はもうセックスしないんだって誤解されないか?
仕方ない、ちょっとくらい涼しくても我慢すっか。


「♪~~~♪~~」

オレが一生懸命考えてやってるっつ~のに、当の本人は興味ナッシングだ。
今も自分の触手の先っぽをクルンってまとめて詰まんで、枝毛を探してる。

つ~か、また何やってんだよ。
お前の名前だぞ、もっと真剣になれよ。
モンスターが枝毛チェックなんかして何になるんだよ。
そもそもツタだろ、全部が枝毛だろよ。


「お~い? ……ったく、もぉ~。適当に決めちゃうぞ?」

美青年に声を掛けたオレは、振り向いた表情を見て悟った。

あ~、あれはダメだ。何にも考えちゃいない。
一緒に考えようぜって、誘っても無駄だろな。


ってなわけで、改めて名前を考えるんだけど。
これがなかなか、良さそうなのが浮かばない。
外国人の名前で今、パッと思い付くのなんか、マイケルとトムとジョンくらいだ。
どれも……ちょっと、違うなぁ……。

よし、早々に諦めよう。
別な観点から考えるとすっか。

美青年はドライドって種族の植物系モンスターだから、そこから取って……。
ライド。……ダメだな。元のモンスター名とあんまり変わらん。
ドライ。……ダメだな。以下同文。それに、考えようによっては下ネタだ。
ライ。……ダメだな。可愛いけど、なんか嘘つきみたいな感じで萎える。

……もういっそ、違うモンスター名から考えてみるか。
マンドラゴラ……う~ん……、アルラウネ……う~ん、なんか違うな~。
ドライドってつまり、ゲームに出るドライアードだろ?
ドライアード……むぅ、……ドリアード……ふむぅ、ドリア……リア……リーア。
おっ、なんかいい感じじゃね?


「おい……お~い。お前の名前、決めたぞ。」
「ふ~ん?」
「めっちゃ興味ないな、まぁいいや。お前の名前は、アーリだ。」
「うん、分かった。」

全然興味なさそうだった割にはすんなり受け入れたな。
どうでもいいから反対しないだけか。
この調子でオレのチンコも受け入れてもらおう。
リーアをうっかり言い間違えたけど、アーリでも別にいいや。
ちゃっちゃと子供の名前も決めるとすっか。


難題を解決すべく、オレは再び思案を始める。
そんな矢先に、のほほんとした調子で美青年、改めリーア……じゃなくて、アーリが口を開いた。

「あっ、忘れてた。今日ね、トモダチ連れて来たんだよ。」
「友だち、だと……?」

おいおい、連れがいたのかよ。
そりゃセックスしづらいわな。
そういうことはもっと早く言ってくれよ。
知ってたらオレだってあんまりしつこくしなかったさ。たぶんな。
つ~か、何処に友だちいるんだよ。
影も形もカケラも見当たらないぞ。
もう帰っちゃったんじゃないのか?
だってお前、オレと会ってから、赤ちゃん見せたり出産したり生フェラしたり……どう考えても待たせ過ぎだろ。

っつ~かよ……モンスターでも友だちっているんだな。
名前を付ける慣習が無いのに、友だちを紹介するって発想はあるんだな。
友だちってのも、やっぱりモンスターなんだろな。
できればヤりたいから人型モンスターだといいな。

「お前、友だちいたのか。」

気になるところは色々あったものの、とりあえずそれだけ言った。
いきなり激しくツッコまない、オレの優しさだ。


アーリはオレの優しい言葉に頷いてから、おもむろにその場でしゃがみ込む。
下半身が生い茂ったツタだから、しゃがむってよりは縮んだって言うべきか。

今、気付いたんだけど、アーリの足元に1つだけ水溜まりがある。
アーリは何故か、にっこり笑顔で水溜まりを覗き込んだ。

「アーリダね、名前決まったよ。アーリダだよ。」
「………!」

ツッコミどころがまた増えた。

なんで水溜まりに話し掛けてんだよ。
連れて来た友だちはどうしたんだよ。
自分のこと名前で呼ぶとか、女子中学生かよ。
お前の名前、アーリダじゃなくてアーリだよ。
アーリダの名前が決まった、って言い方に疑問は無いのかよ。

「お前……誰と話してるんだ?」

ツッコミどころ満載だ。
しかしオレは無闇にツッコまない。
ツッコむところはヒトツだけ。
それが今のオレのポリシー。

「トモダチだよ?」

水溜まりに人差し指を向けてアーリが答える。
念のためアーリの隣に立って、オレも水溜まりを見下ろしてみた。
ギラギラ光る水面にオレとアーリの姿がくっきり映ってる。

これが友だち、か?
どう見ても、単なる水溜まり……いや待て。

「なんで光ってんだ……?」

しっかり見たら水面はかなりギラ付いてる。
透明感が中途半端だ。
綺麗な水じゃないし、地面の土砂で汚れてるんでもない。

何だ、これ? 見たこと無いけど水銀とかか? 分からん。


もっと良く見ようと、オレもしゃがんだ。
その途端に。

「ぅおっ、動いた!」

うっすらピンク色に変わった水溜まりが、アーリの背後に回り込んだ。
地べたを這いずってる割には動きが速い。

アーリは水溜まりの移動を顔だけで追ってから、オレに振り返る。
気の所為か、ちょっぴり怒ってるような……違うな、あれは。
あのワザとらしく口唇をキュッてする表情は、あんまり怒ってないのに怒ってるポーズを作ってるヤツだ。

「黙ってフェラチオさせようとしちゃダメだよ?」
「……ぁん?」
「ちゃんと言わないと。いきなり顔にちんちん近付けるから、トモダチがビックリしちゃったでしょ。」
「ぉ、おぅ……。」

なんでオレ、叱られてるんだよ。
オレはただしゃがんだだけだぞ。
全裸だからチンコ近付いても仕方ないだろ。
つか、何処が顔なのかも分からんっつ~の。
そもそも剥き身チンコくらいで逃げんなよ。

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