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36:植物の芽に父性を感じるべきですか
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エルフ族の里ってトコに着くまで、3日も掛かるって話だ。
しかも、途中にある村には立ち寄らないっつ~制限付き。
2泊も野宿するんだとさ。……嘘だろ? まぁいいけど。
あ~あっ、せめて村か小さな町で、宿に泊まりたかったなぁ。
宿の看板娘……ならぬ、看板息子を口説きたかったぜ。
とりあえず今は馬に乗ってるけど、正直オレには何もすることが無い。
周囲への警戒とか、素人なオレがどんだけ頑張ろうが無駄でしかないからな。
恐らくオレの存在をなるべく秘密にするためだろうけど、森の中を誰かと出くわさないように気を付けながら移動するの、本当にダルイ。
「カミラぁ~、ヒマだよぉ~。」
「も~ちょっと我慢っ、して、ください、ってば。」
馬に乗れないオレだから、カミラに背中を預けるようにして、一緒に乗ってる。
いや、もしかしたら頑張れば乗れるのかも知れんけど、誰かと一緒に乗れるんだったら頑張る気は1ミリたりとも無いからな。
ディルやイリヤ、他にも妊娠したメンバーはお腹を圧迫する危険性があるから、オレを一緒に乗せてくれるのは駄目らしい。
手綱を握るカミラの指の関節を撫でる。ヒマだから。
カミラがオレを宥める。
この遣り取り、もう何度もやってるぞ。ヒマだから。
もういい加減に飽きるのにも飽きてきた頃、夕方くらいかな。
本日の野宿ポイントに到着したっぽい。
ようやく馬から降りたら、オレの膝も太腿もガックガクだ。
尻が痛くなるのが嫌で、ずっと太腿で乗るようにしてたからな。
……って、オレの太腿の持久力、凄過ぎじゃね?
みんなは慣れた様子で色々と準備を始めてる。
てっきりテントで寝るのかと思ってたら、もっと骨組みのシッカリした大きなヤツを組み立ててるのを見て、オレはちょっと安心した。
エッチなことするのに、小さなテントだと狭苦しいもんな。
どうせ手伝えそうなことも無いし、手伝いを期待もされてない。
オレは邪魔にならないよう、ちょっと離れた場所で身体の緊張を解してた。
「……ぅん? なんだ?」
ギクシャクしながらストレッチしてるオレの、エロセンサーに何か反応があった。
分かりやすく言うと、ちょうど正面の木々の合間に、美しい人影が見えたような。
よ~く目を凝らす……前に。
ササッと周囲の様子を窺った。
誰もコッチに注意を向けてないことを確認。
「おっ……。」
改めて、目を凝らしてよく見たら。
木の幹に半分くらい同化した感じで、見覚えのある美青年がいた。
オレが異世界に来て初めてセックスした、ツタ系の植物モンスターな彼だ。
久し振りだな、おい。
相変わらず美青年だし、上半身は裸なんだな、眼福だぞ。
美青年は、オレが気付いたことを理解したようだ。
自分の顔の近くで人差し指をクイクイッて、オレを呼び付けるポーズをした。
そんな挑発的に女王様チックな仕草なんかされたら。
ついて行くしかないだろっ。
……あ、でも、急にいなくなったって心配させるのも悪いな。
「ちょっとトイレ行ってくる。すぐ戻るから。」
適当な感じで言って、止められる前にそそくさと足早にその場を離れた。
笑っちゃうほどガクガクだったオレの足は、完全に復活してた。
野宿ポイントが目で見て確認できる程度の距離。
茂みの向こう側で、美青年が待ってた。
こっち、こっち。って手招きしてる。
「よっ、久し振り。こんなとこで会うなんて奇遇だな。」
下心丸出しでヘラヘラ近付くオレに、美青年は艶やかな笑みを浮かべた。
心なしか、あのときより穏やかな雰囲気になってるような。
「うんっ、あのね? 赤ちゃん、見せに来た。」
「早っ! もう産まれたのか。」
えっ、早過ぎじゃね? あれから何日だ?
1週間は経ってるけど、まだ2週間はいってないだろ。
……あぁ、モンスターだからか。
それに異世界ファンタジーだしな……自重しろ、ファンタジー。
「まだ産まれてないけど。見えるよ、ほら。」
そう言いながら、美青年はオレに、ツタの先端を見せ付ける。
ウニョウニョしてて、他のツタとどう違うのか全く分からん。
「出産前なのに肉眼で見えるのか、さすがは異世界ファンタジー。……っていうか、せっかく見せてくれてるのに悪いんだけどさ。……どの部分が赤ちゃん?」
「ココ、先っぽ。もうすぐ産まれるよ。触ってみて。」
「出産前なのに触れるんだ、さすがは異世界ファンタジー。」
「優しくね?」
もうオレは、この件に関する事柄に限り、異世界ファンタジーに驚かない。
美青年は微笑みながら、オレにツタの先端を触らせようとする。
言われてみたら、確かに先端に、極小の芽が生えてる。
……まさか、これか?
「これが赤ちゃんなのかぁ~。」
しみじみした感じで言ってはみたけど、さ。
こんな若芽がオレの子だって、言われた事実が衝撃的過ぎて、もう……ね。
ヤヴァイ、全っ然、父性を刺激されないんだけどっ。
しかも、途中にある村には立ち寄らないっつ~制限付き。
2泊も野宿するんだとさ。……嘘だろ? まぁいいけど。
あ~あっ、せめて村か小さな町で、宿に泊まりたかったなぁ。
宿の看板娘……ならぬ、看板息子を口説きたかったぜ。
とりあえず今は馬に乗ってるけど、正直オレには何もすることが無い。
周囲への警戒とか、素人なオレがどんだけ頑張ろうが無駄でしかないからな。
恐らくオレの存在をなるべく秘密にするためだろうけど、森の中を誰かと出くわさないように気を付けながら移動するの、本当にダルイ。
「カミラぁ~、ヒマだよぉ~。」
「も~ちょっと我慢っ、して、ください、ってば。」
馬に乗れないオレだから、カミラに背中を預けるようにして、一緒に乗ってる。
いや、もしかしたら頑張れば乗れるのかも知れんけど、誰かと一緒に乗れるんだったら頑張る気は1ミリたりとも無いからな。
ディルやイリヤ、他にも妊娠したメンバーはお腹を圧迫する危険性があるから、オレを一緒に乗せてくれるのは駄目らしい。
手綱を握るカミラの指の関節を撫でる。ヒマだから。
カミラがオレを宥める。
この遣り取り、もう何度もやってるぞ。ヒマだから。
もういい加減に飽きるのにも飽きてきた頃、夕方くらいかな。
本日の野宿ポイントに到着したっぽい。
ようやく馬から降りたら、オレの膝も太腿もガックガクだ。
尻が痛くなるのが嫌で、ずっと太腿で乗るようにしてたからな。
……って、オレの太腿の持久力、凄過ぎじゃね?
みんなは慣れた様子で色々と準備を始めてる。
てっきりテントで寝るのかと思ってたら、もっと骨組みのシッカリした大きなヤツを組み立ててるのを見て、オレはちょっと安心した。
エッチなことするのに、小さなテントだと狭苦しいもんな。
どうせ手伝えそうなことも無いし、手伝いを期待もされてない。
オレは邪魔にならないよう、ちょっと離れた場所で身体の緊張を解してた。
「……ぅん? なんだ?」
ギクシャクしながらストレッチしてるオレの、エロセンサーに何か反応があった。
分かりやすく言うと、ちょうど正面の木々の合間に、美しい人影が見えたような。
よ~く目を凝らす……前に。
ササッと周囲の様子を窺った。
誰もコッチに注意を向けてないことを確認。
「おっ……。」
改めて、目を凝らしてよく見たら。
木の幹に半分くらい同化した感じで、見覚えのある美青年がいた。
オレが異世界に来て初めてセックスした、ツタ系の植物モンスターな彼だ。
久し振りだな、おい。
相変わらず美青年だし、上半身は裸なんだな、眼福だぞ。
美青年は、オレが気付いたことを理解したようだ。
自分の顔の近くで人差し指をクイクイッて、オレを呼び付けるポーズをした。
そんな挑発的に女王様チックな仕草なんかされたら。
ついて行くしかないだろっ。
……あ、でも、急にいなくなったって心配させるのも悪いな。
「ちょっとトイレ行ってくる。すぐ戻るから。」
適当な感じで言って、止められる前にそそくさと足早にその場を離れた。
笑っちゃうほどガクガクだったオレの足は、完全に復活してた。
野宿ポイントが目で見て確認できる程度の距離。
茂みの向こう側で、美青年が待ってた。
こっち、こっち。って手招きしてる。
「よっ、久し振り。こんなとこで会うなんて奇遇だな。」
下心丸出しでヘラヘラ近付くオレに、美青年は艶やかな笑みを浮かべた。
心なしか、あのときより穏やかな雰囲気になってるような。
「うんっ、あのね? 赤ちゃん、見せに来た。」
「早っ! もう産まれたのか。」
えっ、早過ぎじゃね? あれから何日だ?
1週間は経ってるけど、まだ2週間はいってないだろ。
……あぁ、モンスターだからか。
それに異世界ファンタジーだしな……自重しろ、ファンタジー。
「まだ産まれてないけど。見えるよ、ほら。」
そう言いながら、美青年はオレに、ツタの先端を見せ付ける。
ウニョウニョしてて、他のツタとどう違うのか全く分からん。
「出産前なのに肉眼で見えるのか、さすがは異世界ファンタジー。……っていうか、せっかく見せてくれてるのに悪いんだけどさ。……どの部分が赤ちゃん?」
「ココ、先っぽ。もうすぐ産まれるよ。触ってみて。」
「出産前なのに触れるんだ、さすがは異世界ファンタジー。」
「優しくね?」
もうオレは、この件に関する事柄に限り、異世界ファンタジーに驚かない。
美青年は微笑みながら、オレにツタの先端を触らせようとする。
言われてみたら、確かに先端に、極小の芽が生えてる。
……まさか、これか?
「これが赤ちゃんなのかぁ~。」
しみじみした感じで言ってはみたけど、さ。
こんな若芽がオレの子だって、言われた事実が衝撃的過ぎて、もう……ね。
ヤヴァイ、全っ然、父性を刺激されないんだけどっ。
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