深刻にならないのが取り柄なオレが異世界をちょっとだけ救う物語

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25:異世界で初めてのラッキースケベですか

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その日の夜。
さっそくオレは衣服に身を包み、自室を抜け出した。
目的地はもちろん、ディルから聞き出したリヴィの部屋。


裸族である設定のオレに配慮して、ディルが用意してくれた衣服はバスローブのような、金持ちが着るガウンみたいな、そんな感じのやつ。長さは膝まである。
下半身には脱ぎ着しやすい半ズボンを履いてる。
ガウンの下は素肌だから殆ど全裸マント状態に近いのは、気の所為か?

……気の所為だな。
半ズボンの中に下着も履いてるんだから、全然違うな、余裕余裕。



さてさて、と……。
リヴィの部屋までのルートは、ディルにしっかり確認したから問題ない、として。
時間的にも、仕事は終わりつつ、まだ就寝する時間じゃないから大丈夫、として。
考えなきゃならないのは……。
今日、初めて会ったリヴィをその気にさせるような、口説き文句だ。

かなり偏見だけど。
オレの願望だけど。
リヴィってかなり好きモノっぽいんだよなぁ。
あの顔はスケベ。あの顔はエロい。あの顔は気持ちイイこと大好きだ。



「やっぱり、ズバッと誘うのが無難か……?」

一生懸命に考えながら、一旦足を止める。
考え事に気が取られてて誰かとぶつかったりしたらマズい。

誰もいない廊下。
休憩がてら、適当な壁に凭れ掛かった。


「初めて顔を、見た瞬間から。すげぇエロくて魅力的だなって思ってたんだ。」

言葉に出してみると、自分で思ってたよりも回りくどいな。
これは却下だ。


「ヤりたい。……ヤラせてくれ。」

野獣すぎだ。それになんつ~か、強引なんだか卑屈なんだかも微妙だ。
これも却下だ。


「なぁ……異世界から来た男の…チンコ、興味無いか?」

こりゃナシだな。言ってる途中から気付いてたわ。
これも却下だ。

よし……シンプル・イズ・ベスト。シンプル・イズ・チンコで行こう。


「セックスしたい。オレとセックスしよう。答えを聞かせてくれ。」
「えっ……、は、……ハイ……。」
「おおっ?」

返事が聞こえた。
しかもイエスだ。


声の主を探そうとしたら、速攻で見付かった。
割と目の前だ。

壁に凭れ掛かってるオレのすぐ近く。部屋のドアが薄く開いてる。
その隙間からちょっとだけ顔を覗かせて、オレを窺ってるのは知的美人だ。

え? 誰だ、って?
ほらアレだよ、アレ。
森の中で大人のドリンクバーやったときの、最後の1人になった、あの知的美人。


「今の返事は……。」
「あっ。」

ドアの隙間に、オレはズズイっと足を踏み入れる。
しっかりドア枠も手で掴んで、絶対に閉めさせないスタイル。

「オレと、セックスする、って答えなのか?」

聞き違いが起こらないよう、オレは改めて確認した。
知的美人は長い耳まで赤く染めて、それでも確かに頷いた。

「それじゃ分からないぞ。オレも無理矢理はしたくないからな。誤解するのも嫌だ。……オレと、セックスする? したい?」
「し……しま、す。……したい、です。」
「よし、じゃあ部屋に入れてくれ。」
「はい。」

知的美人は恥ずかしそうにドアを大きく開けて、オレを招いた。
こんな感じで足も大きく開いてくれる期待が、俄然、膨らんでくる。


涼しい顔で部屋に入り込みながら、オレは心の中で拍手喝采。
全裸で走り回りたいくらいだ。



……おいいっ! なんか知らんけど、美人とヤレそうだぞ!

これって、ラッキースケベだよな。
地球だったらせいぜい、ウッカリ身体に触っちゃう程度だろ。
さすがは異世界ファンタジー。
同じラッキースケベでもレベルが違うぜ。やったぜラッキー。

実はハプニングだけど、これはこれで、運命って感じでいいな。



「あ、……あの。……どうしよ……。」

オレをベッドまで案内してくれた知的美人は、急にオタオタする。
目の前で脱ぎ出したオレの裸体にドキドキして、じゃなさそうだ。

「どうしたんだ?」
「ゃ、あの……お風呂に……まだ、入ってなくて。」
「あ、そうなんだ。」
「ご免なさい、ぁの、寝る前に入ろう…って……。まさか、こんな…」
「あ~、そうだよな。オレが急に来るなんて分からないもんな。」

これからセックスするのに身体を洗ってない、って気付いたのか。
今から風呂に入りたいとも言い出せず、困ってたんだな。

くっそ、可愛いな。


「それなら、今から一緒に入ろうぜ。オレが身体洗ってやるから。」
「えっ、そんな…」
「遠慮すんなって。これからセックスする仲だぞ? 身体にも触るんだぞ?」
「あっ……んっ。」

手を伸ばして、知的美人の長い耳を擽った。
ピクンとして、片目を薄く閉じる知的美人。

触ってみた感じ、反応は悪くないな。


それともう1つ、確認すべき事柄を思い付いたぞ。

「じゃあ、風呂行くから脱げ。それと…」
「はい。」
「名前、教えてくれ。」

危ない危ない。名前も聞かずに抱くとこだったわ~。

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