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17:行くアテが無いんで保護して貰えないですか
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「実はオレ、たぶんだけど、こことは違う世界から来たんだ。」
異世界から来たって話した方が面倒が少ないかも知れない。
そう考えてからカミングアウトするまでの時間は、たっぷり2秒間くらい。
「ちょっと信じられないような話だろ? でも事実なんだ。自宅で風呂に入ってたはずなのに、ふと気付いたら森の中にいたんだ。」
話し始めてから気付いた。
証拠も何も無いから、信憑性も信頼性もゼロだっつ~悲劇。
話す前に気付きたかった。
もう遅い。思い付くままに勢いで押すしかない。
どうにか信じて貰わないと、話が進まん。
「……そうか。異世界からの……。」
嘘ぉ~っ、ディル、信じてるぅ~っ。
「つまり、界渡り(かいわたり)ってことですかね、部隊長。」
嘘ぉ~っ、美形の人たちも信じてるぅ~っ。
言い出したオレでもちょっと、逆の立場だったら絶対たぶん信じないってのに。
コチラの方って皆さん、そんなアッサリ信じちゃうんですか~。
もしかして案外、異世界人の来訪ってメジャーなイベントだったりするのか? 意外と現地の方々は慣れてらっしゃる感じか?
さすがは異世界ファンタジー。話が早くて助かった。
助かったん、だけど……。
あんまりにも理解が早いっつ~か、スムーズに物事が進み過ぎると。
疑わしい気がしてくるのが人間、ってものでな。
「おい、いいのか? オレが異世界から来たとか、そんなの簡単に信じたりして。」
「この世界の者がそんな嘘を吐いたところで、何の得にもならない。自分は地位も権力も、後ろ盾やコネもカネも持っていないと、高らかに宣言するようなものだからな。」
「はぁ、そんなもんかねぇ。」
「それにキミ……こほん。ヒロ…は出会った直後ぐらいに、何か喋っていただろう。この辺りでは聞いた事の無い言葉だったぞ。」
「へぇ~え。独り言でも喋っておくもんだなぁ。」
不思議な言語を話す全裸男、って実績が。オレの異世界人認定を速めてくれたのか。
人生、何がどう幸いするか分からんもんだなぁ。とりあえず全裸は関係無かったな。
「それはそうと、コッチ来た異世界人ってさ。……えぇと……。」
「ぅん? どうした?」
「……周囲からの扱いとか、どんな感じかなぁ……っと、気になってみたり。」
ぶっちゃけ言うと、国で異世界人の保護とかやってないかな~って。
勇者様だの神のナントカだの、そこまでチヤホヤしてくれとは言わんから。
自立した生活が軌道に乗るまで面倒みてくれないかな~って。
言おうとして、寸でのところで止めて、言い換えた。
異世界人を詐称しても何も得しないって、ディルが言ったから。
まさかとは思うけど、扱いが酷かったりしないだろな。
奴隷扱いとか。家畜扱いとか。
愛玩動物扱い……は望むところだぞ。誰か金持ちの、アラブの石油王とかマネーキングとか、オレを愛でてくれ。
「本当に界渡りなら珍しがられる。」
「気持ち悪がられたり、虐げられたり、忌み嫌われたりとかはっ?」
「見た目が恐ろしい異形であったり、悪事を働かなければそんな事は無い。」
思ったより、どうってことなさそうだ。
だけどこれじゃ駄目だ。
弱腰になったオレがふんわり聞いた所為で、ふんわりした答えしか返って来ない。
ハッキリと聞かないと。
「オレの場合はどうだ? どうなる? 何か決まりとかあるのか?」
「事例があまり多くはないから画一的な決まりはないんだが……。ひとまずは砦に到着次第、上と相談して、国か教会に報告をする。」
「やべぇ。大事になりそうな予感。」
上、って上層部って意味だよな。
部隊長って肩書だけどディルが一番偉い人なんじゃないのか。
そりゃそうか。一番トップが砦の外にホイホイ出ちゃイカンよな。
にしても、上層部と相談とか、国に報告とか。
危険人物視されそうな可能性にドキドキものだな。
「今後どうなるかは、ヒロがどうしたいか、にもよる。もしも行く当てが無いという事で、ヒロが希望するのであれば、国か教会で保護をする事になる可能性が高いだ…」
「行くアテが無いんで面倒みてくれ。」
保護して貰えるって聞いたら、そりゃお願いするだろ。台詞も食い気味になるだろ。
全力でニート発言だ、恥ずかしくなんかないぜ。
「判断が早いな。まだ先の話だからゆっくり考えれば良い。……着いたぞ。」
苦笑するディルと美形たちが足を止めた。
モチャモチャしてる間に到着したらしい。
異世界から来たって話した方が面倒が少ないかも知れない。
そう考えてからカミングアウトするまでの時間は、たっぷり2秒間くらい。
「ちょっと信じられないような話だろ? でも事実なんだ。自宅で風呂に入ってたはずなのに、ふと気付いたら森の中にいたんだ。」
話し始めてから気付いた。
証拠も何も無いから、信憑性も信頼性もゼロだっつ~悲劇。
話す前に気付きたかった。
もう遅い。思い付くままに勢いで押すしかない。
どうにか信じて貰わないと、話が進まん。
「……そうか。異世界からの……。」
嘘ぉ~っ、ディル、信じてるぅ~っ。
「つまり、界渡り(かいわたり)ってことですかね、部隊長。」
嘘ぉ~っ、美形の人たちも信じてるぅ~っ。
言い出したオレでもちょっと、逆の立場だったら絶対たぶん信じないってのに。
コチラの方って皆さん、そんなアッサリ信じちゃうんですか~。
もしかして案外、異世界人の来訪ってメジャーなイベントだったりするのか? 意外と現地の方々は慣れてらっしゃる感じか?
さすがは異世界ファンタジー。話が早くて助かった。
助かったん、だけど……。
あんまりにも理解が早いっつ~か、スムーズに物事が進み過ぎると。
疑わしい気がしてくるのが人間、ってものでな。
「おい、いいのか? オレが異世界から来たとか、そんなの簡単に信じたりして。」
「この世界の者がそんな嘘を吐いたところで、何の得にもならない。自分は地位も権力も、後ろ盾やコネもカネも持っていないと、高らかに宣言するようなものだからな。」
「はぁ、そんなもんかねぇ。」
「それにキミ……こほん。ヒロ…は出会った直後ぐらいに、何か喋っていただろう。この辺りでは聞いた事の無い言葉だったぞ。」
「へぇ~え。独り言でも喋っておくもんだなぁ。」
不思議な言語を話す全裸男、って実績が。オレの異世界人認定を速めてくれたのか。
人生、何がどう幸いするか分からんもんだなぁ。とりあえず全裸は関係無かったな。
「それはそうと、コッチ来た異世界人ってさ。……えぇと……。」
「ぅん? どうした?」
「……周囲からの扱いとか、どんな感じかなぁ……っと、気になってみたり。」
ぶっちゃけ言うと、国で異世界人の保護とかやってないかな~って。
勇者様だの神のナントカだの、そこまでチヤホヤしてくれとは言わんから。
自立した生活が軌道に乗るまで面倒みてくれないかな~って。
言おうとして、寸でのところで止めて、言い換えた。
異世界人を詐称しても何も得しないって、ディルが言ったから。
まさかとは思うけど、扱いが酷かったりしないだろな。
奴隷扱いとか。家畜扱いとか。
愛玩動物扱い……は望むところだぞ。誰か金持ちの、アラブの石油王とかマネーキングとか、オレを愛でてくれ。
「本当に界渡りなら珍しがられる。」
「気持ち悪がられたり、虐げられたり、忌み嫌われたりとかはっ?」
「見た目が恐ろしい異形であったり、悪事を働かなければそんな事は無い。」
思ったより、どうってことなさそうだ。
だけどこれじゃ駄目だ。
弱腰になったオレがふんわり聞いた所為で、ふんわりした答えしか返って来ない。
ハッキリと聞かないと。
「オレの場合はどうだ? どうなる? 何か決まりとかあるのか?」
「事例があまり多くはないから画一的な決まりはないんだが……。ひとまずは砦に到着次第、上と相談して、国か教会に報告をする。」
「やべぇ。大事になりそうな予感。」
上、って上層部って意味だよな。
部隊長って肩書だけどディルが一番偉い人なんじゃないのか。
そりゃそうか。一番トップが砦の外にホイホイ出ちゃイカンよな。
にしても、上層部と相談とか、国に報告とか。
危険人物視されそうな可能性にドキドキものだな。
「今後どうなるかは、ヒロがどうしたいか、にもよる。もしも行く当てが無いという事で、ヒロが希望するのであれば、国か教会で保護をする事になる可能性が高いだ…」
「行くアテが無いんで面倒みてくれ。」
保護して貰えるって聞いたら、そりゃお願いするだろ。台詞も食い気味になるだろ。
全力でニート発言だ、恥ずかしくなんかないぜ。
「判断が早いな。まだ先の話だからゆっくり考えれば良い。……着いたぞ。」
苦笑するディルと美形たちが足を止めた。
モチャモチャしてる間に到着したらしい。
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