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束縛したいだけじゃない

第二十二話

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「終わった……」
「お疲れ様です、光留君」
 光留は最終チェックをした原稿を担当編集にメールで送信すると、終わった解放感で「う~ん」と伸びをする。
 花月はその後ろからちらっと内容を見ると「ほうほう」と感心したように感想を漏らす。
「今回はファンタジーじゃないんですね」
「う、ん。前からミステリーとかは興味があったから」
 光留は高3の時に夏休みの課題で書いた小説が、文学賞を取って以降いくつかの賞に応募してみると、それなりに評価されたこともあり、作家を生業としている。病弱な体質もあり、在宅で出来る仕事は有り難かったし、生活できるくらいの生計を立てられるようになっていることも光留にとって自信につながっていた。
「ふふ、完成が楽しみですね」
「花月にそう言ってもらえるのは嬉しいよ」
「当然です。僕は光留君の作品のファンですから!」
 月夜と花月にも献本で貰った本を渡しているが、律儀に新刊発売日に本屋で買ってくれる。紙と電子版の両方で。
 そんなことしなくてもいいのに、と光留は思うのだが「光留の子供ともいえる作品を愛して何が悪い」と2人に言われてしまえば何となく恥ずかしいが嬉しくないはずもなく、好きにして、と放置した。
 おかげでそれぞれの部屋には光留の作品が最低でも3冊はある状態だ。
「花月は大学、休みなんだっけ?」
「はい。創立記念日で休みなんです。バイトも休みです。光留君、徹夜明けで時差ボケですか?」
「うん……」
 机の上でぐったりする光留の頭をよしよしと撫でる。
「花月の手、気持ちいい……」
「寝るならベッドに行きましょう?」
 この数日、締め切りに追われて満足に睡眠をとれていない光留が甘えてくれるのは嬉しくて、花月も普段よりも声が甘くなる。
「うん……」
 今にも寝そうな光留をどうしようかと考える。
「あんまり無防備だと、襲っちゃいますよ?」
「……いいよ。花月になら襲われても」
「君、わざと言ってますね」
「うん」
 花月は光留の膝裏に腕を差し入れ、肩に手を置くと、ひょいと抱き上げる。
「花月って見た目よりも力あるよな……」
 光留が感心したように言えば、花月は「僕も男の子なので」と、呆れたように返ってくる。
 光留を寝室に運んでベッドに寝かせると、光留が花月の頭を引き寄せキスをする。
「ん、ふぁ……んっ……」
 舌を絡めてたっぷりの唾液を混ぜる。
 くちゅくちゅと湿った音が聴覚に響いて、頭の奥が、ジンと痺れる。
「ん、は、ぅわっ!」
 油断していた花月はあっという間に光留に引き倒され、気がつけば光留が覆いかぶさっていた。
「隙あり、だな」
「光留君、騙しましたね?」
「眠たかったのは本当だよ。キスしたら目が覚めただけ」
「くっ、最近は抱かれる側ばかりだったので油断しました……」
「俺も男だからな。頑張ったご褒美、ちょうだい?」
 耳元で甘く掠れた光留の声に囁かれるとゾクゾクする。
 光留の双子の兄である月夜とよく似ているけれど、どこか甘えるような響きを持つ光留の声。
「~~~ッ!」
 喘がせることが多いが、こうしてたまにオスを見せられると腹の奥がずんと重くなる。
「花月、いい?」
 シャツの裾から光留の手が入り込んで腰のラインを撫でる。首筋に痕をつけられるとゾクゾクする。 
「……後でやりたいことがあるんですけど、やらせてくれますか?」
「いいよ。花月の好きにしてくれていいから、久しぶりに抱かせてよ」
「一回だけですよ?」
「保証は出来ないかも。花月のナカ、気持ちいいし、奥まで入れたい」
 ダメ? と子犬のような目で言われると可愛さのあまり許したくなる。
「っ、せめて動ける程度にしてください」
「頑張る」


「ひぁぁあっ!!」
 ごちゅり、と腹の奥に光留のペニスが押し込まれる。
「ふ、ぁっ、あっ、奥、までっ、んあぁっ!!」
「花月可愛い……ここ、気持ちいい?」
 グチグチと結腸の入口を捏ね回され、頭の奥がチカチカする。
「はっ、あ、あ、らめっ、そこ、弱いっ、からぁっ! やぁんっ、あ、あんっ!」
「うん、花月はこの辺り好きだろ? ん、また、締まった」
 花月の腹を軽く押してやれば、きゅうっと締め付けて、ガクガクと身体が震える。蕩けた表情の花月にドキドキする。
「あ、あ、きもちっ、ふぁ、光留く、んっ、ひぅっ! あ、好き、すきっ、あ、もっとっ……ひゃあっ!!」
「俺も、はぁ、花月が、好き、ん、はぁ、イきそっ」
 花月の手を握ってキスをして、舌が絡み合って唾液が溢れて。その感触も気持ちいい。
 ずちゅずちゅと音が鳴るほどナカを掻き回される。双子でありながら月夜とは違う動き。
「あっ、あんっ、きもち、いい、からぁっ、ひっ! あ、光留君の、ん、ナカに、あ、あっ! くださっ、いいっ!?」
「うん。いっぱい出してあげる」
 ギリギリまで引き抜いてごちゅっ! と強く打ち付ける。
「ああっ! そんな、つよいぃッ! はっ、あ、あっあっ! イく、イくイくイくっ!! ひきゃあああっ!!」
「っ、俺もっ……」
 花月が背中を仰け反らせ、びくびくと震えながら射精すると、ナカがぎゅっと締まり光留も花月のナカへと吐精する。
「っ、はぁ、はぁ……はぁ……ぅ、まだ、出て……?」
「ん、ごめ、最近シテなかったから……もうちょっと……んっ……」
 花月をぎゅっと抱きしめ、残滓まで出そうと光留の腰がゆるゆると動く。
 抱かれる側の時は自分でコントロール出来ないほど感じさせられるせいか、抱く側は何処か物足りなく感じる。
「お仕事、はっ、頑張って、ひっ! ましたから、ね……あんっ、ふっ、んぅ……ぁ、お腹、たぷたぷしちゃいます……」
「花月と月夜がシテるの聞こえて、ずっと、羨ましかった……」
「ひぁぁっ! あ、ん、言ってくれれば、はぁ、良かったのに……んぁっ……」
 コツコツとナカを突かれながら光留の頭を撫でる。
「でも、仕事も、しないと、だから……」
 セックス中の光留は、色狂いと言ってもおかしくないくらい乱れる。
 だが、一応作家として仕事をもらっている以上、納期もあるし、何より物語を形にするのは楽しい。
「光留君の、そういう真面目なところ好きですけど、無理はしないでくださいね」
「うん」
 光留がゆっくりとナカから自身を引き抜くとコポリ、と精液が溢れる。その感触にフルリと身体が震える。
「ん、は、ほんとに、溜まってたんですね……。もったいない……」
 花月が溢れた精液を掬い取って舐め取るのを見ながら、光留は花月の頬や額にキスをする。
「ありがと、付き合ってくれて」
「お礼を言われるほどのことではありません。僕も光留君と触れ合えるのは嬉しいですから」
 花月は光留にキスをすると、光留は嬉しそうに微笑む。
 その表情にきゅんと胸が高鳴る。
「それで、花月のしたいことって?」
 花月を抱く前に約束していた話を持ち出せば、花月はにっこりと笑う。
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