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無自覚

第六話

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「ん、ぅ…………れ?」
「目が覚めたか?」
「つくよ……?」
「他に誰に見える。……熱は、少しは下がったようだな」
 寝起きと熱でぼんやりするが、額に触れる月夜の手が気持ちいい。
「今、何時……?」
「夜中の二時過ぎたところだ。まだ寝てていい」
 自分のベッドで寝ていることから、警察署で月夜の聴取を待っている間に寝落ちした後、月夜が運んでくれたのだろう。
「水……」
 光留が呟くと、月夜に顎を掴まれて唇が重なり、水が流し込まれる。
 少しぬるいけれど、熱のある身体には丁度いい。
「んく、ん……ん、はっ、もっと……」
 光留の求めるままに水を与えていれば、寝起きとは違う、とろんとした目で月夜を見る。
「もういいのか?」
「ん」
 濡れた唇を拭ってやれば、熱のせいで熱い吐息が溢れる。
 昼の出来事もあり、月夜がそばにいるのは安心する。何より、中途半端な昂りに、疼くというより痛いと感じる。
「どうした?」
 月夜はふにふにと光留の柔らかな唇を撫でる。
 言わせたいのだろう。
 光留も変に昂っているせいか、月夜が欲しくて堪らない。
「ふ、月夜のこれ、頂戴?」
 いやらしく微笑みながら、月夜のまだ芯を持ってないそれを撫でる。
「いいよ」
 月夜が光留の喉を撫でると、ひくりと動く。
 光留は自分のズボンを脱いでから月夜の股間に顔を埋める。月夜の男根を取り出すと、唾液をたっぷりと纏わせた舌で、根元からゆっくりと舐めあげる。
 左手で雁首や先端を擦り、唇や舌で竿を愛撫し、右手は自分の陰茎を擦る。
「ん、はぁ……ちゅ、ん、ぁ……は、ふ……んっ……」
 次第に芯を持った月夜の陰茎から先走りが溢れる。
 さっきの男とは違う、官能的な匂いと味。
 先端を口に含めば、より濃い雄の味に頭がクラクラする。
 いつもは意地悪く言葉で責め立てる月夜も、今日ばかりは何も言わず、優しく光留の頭を撫でる。
「はぅ……ん、んっ、じゅるっ、はぁ、ぁ、おいひ……んんっ……」
 深く咥えて頭を動かす。唇で強弱をつけて、喉奥まで飲み込む。
 アナルを自分で拡げる感触。中に入り込む空気すらも刺激になる。
 舌先で尿道口を突いて、じゅるじゅると音が響くように吸い上げると、ぐんっと質量が増す。
(あ、イキそう……)
 月夜が感じてくれているのが嬉しくて、もっともっと気持ち良くなって欲しくて、深く咥え込んで、喉奥で締め付ける。
「出すぞ」
 撫でていた手に力が入る。光留が頷くと口の中に精液が注がれる。
「ん、んく、んく、はっ、ん、はぁ……ん、美味しかった……」
 何度かに分けて精液を飲み込んで、口の周りについたものも舐め取る。
「口直し出来たか?」
「ん。やっぱ飲むなら月夜のがいい」
「なら、次はこっちだな」
 月夜の指が、つぷりとアナルに入ってくる。
「ぁんっ! ん、後ろ……入れて大丈夫」
「確かめてからな。……怖くはないか?」
「月夜のだからへーき。はぁ……まだ身体熱くて……」
「霊力がまた暴走しかけているな」
 唇を触れ合わせると気持ち良くて、舌を絡めて吸って、甘噛みする。
 高まった熱が月夜に流れていくと、熱さよりも気持ちよさが勝ってくる。
「はっ、きもち……ぃ……ん、ふぁ……」
「可愛いな、光留」
 月夜に言われると、胸がきゅんとする。
 何度も角度を変えて唇が重なって、くちゅくちゅと水音が耳に響く。合間にはだけたシャツの隙間から手を入れられて、乳輪を撫で指で痛いくらいに摘まれる。
「あぅっ、ん、ふっ、ちくび、じんじんする……ぁっ……ん……」
「いずれ胸だけでイけそうだな」
「んゃっ、むりぃ……お腹、切なく、なるからぁ……ん、あっ!」
「気持ちいいのだろう?」
 指先で引っ掻かれると堪らない。けれど達するには刺激が弱すぎて、もどかしい。
「っ、ぁ……ん、も、早く、いれてぇ……」
 足を開いて自らの指でアナルを拡げて見せる。
 ぱくぱくと開くのがいやらしくて、月夜は息を呑む。
「この、淫乱」
「あ、あ~~ッ!! きたぁ! あ、ひぁっ! はっ、あ、はげしっ、あ、あぁんっ!」
 いきなり深く突かれて、光留は仰け反る。
「激しい方が好きだろう? ほら、ここも」
 前立腺をごりゅごりゅと潰され、光留はびくびくと震える。
「あ、あぁっ、そこ、ああっ! きもち、あ、らめ、イく、イくっ!! あ゙あ゙~~~ッ!!」
 びゅるびゅると射精しながら光留が絶頂する。
「早いな。一度射精管理でもしてみるか?」
「やらぁ……いっぱいぴゅっぴゅっしたぁい……ぁんっ、も、とぉ……たりない……月夜が、ん、たりない……」
 光留は自ら腰を振って、月夜を奥へと誘う。
「煽るな。甘えるのはいいが、加減しろ。また襲われるぞ」
「月夜にしか、はぁ……しない、から……んんっ、あっ、もっと突いて、月夜でいっぱいに、はぅっ、して……?」
 月夜はプツリ、と理性の糸が切れる音を聞いた気がした。あんなことがあった後だとか、光留が熱を出したままだと言うことも、一瞬で吹き飛ぶ。
「いいだろう。ただし、泣いて止めてと言われてもやめる気はないからな」
 月夜は光留の足を広げ、腰を掴むとギリギリまで引き抜き、ひと息に奥まで押し込む。
「あがっ! あ゙、あ゙……おぐ、まで……」
 結腸に先端が入り、チカチカと目の奥に星が散る。
「好きだろう? ここを、こうされるのが」
 月夜が腰を動かすと、ぐりぐりと捏ねられ、引けば吸い付いてくる。
 くぽくぽと出入りするたびにゾクゾクして、身体がガクガクと震える。
「あっ、ああっ! あ゙あ゙~~ッ! ふかっ、いいっ!! あっ、あぁんっ!! こわれっ、ひぐっ! やっ、きちゃ、あっ、きちゃう来ちゃう! あああ~~っ! イくイくイくっ! ひぁあああっ!!」
 ぷしゃあああッと今までにないくらいの潮を吹いて絶頂する。
 ぎゅうっと締め付けるナカに月夜も小さく呻くと射精する。
「あ、あっ、やらやらぁっ! まら、イッへ……ひぎっ! あ、らめぇ! まらイッてるからぁ! きゃんっ! おく、とんとん、やぁっ!!」
「だが、出し足りないだろう? 潮も出ないくらい愛してやる」
「ああっ! あっあっあっ、やぁ、おしり、こわれっ、ひぁんっ! あ、いいっ、しお、とまんなっ、ああああ~~~~っ!!」
「壊してみるのも一興だな。ああ、ナカ、よく締まって、熱くて気持ちいい」
 イきっぱなしの状態で何度も奥を突かれ、頭が気持ちいい事しか考えられない。
 それから体位を変えて、何度もイって出されて、どれくらい時間がたったのか。
「愛してる、光留……」
 深い場所で愛情を注がれ、胸が満たされる。
「ふっ、あ、ぁ……つく、よぉ……しゅき……んっ、ん、はっ、ああっ!!」
 キスをされながら前立腺を肉棒で潰され、光留はガクガク震えながら出さずに絶頂する。
 ぎゅっと締め付けられた月夜も、ナカに吐き出す。
「ふぁ、ぁ、月夜の、きもち……ふっ、はぁ……」
 何度もイって限界の光留は気絶するように意識を飛ばした。
「は、ぁ……気を飛ばしたか。しかし、光留にしては頑張った方か……」
 汗や涙で張り付いた前髪を払い、触れるだけのキスをする。
 月夜は光留から自身を抜くと、コポリ……と大量の精液が溢れた。
 扇情的な光景に、月夜は意識しないよう息を吐き出す。じゃないと体力的にも精神的にも弱っている光留に無体を強いてしまう。
 後始末をしながら光留の様子を考える。
 未遂とはいえ、犯されそうになった恐怖を快楽で上書きしたい。
 無意識だろうが、光留の今日の乱れようはそういうことなのだろう。
 その証拠に、普段は嫌がらない、月夜の顔が見れない背面の体位を酷く嫌がった。抱き締めたり、手を握ると、安心したように柔らかな笑みを一瞬見せる。
 可愛らしいと思うと同時に切なさで胸が締め付けられる。
「熱は、下がったな」
 あれだけイッたのだから、内に籠もって暴れていた霊力は発散され、呼吸も落ち着いている。それが救いだろうか。
(しかし、何故こうも短期間で霊力が暴走する……?)
 中学くらいまでなら、キスだけでも一週間は持った。いくら思春期で性的なことに興味を持ちやすい時期でも、光留とて二回目の人生だ。ある程度処理の仕方はわかっているし、性欲が必ずしも霊力に直結するわけじゃない。ただ、そうした方が効率がいいというだけだ。
(今回の生では、落神すら殆ど見かけない……。いくら光留が未熟だとしても、悪霊程度で暴走するとも思えない)
 月夜の霊力が落ちているとは言え、視ることくらいは出来る。明らかに異常だ。
(あと考えられるのは……)
 月夜は自身と光留の胸に手を当てる。
 いくら分かれたといってももとはひとつの魂だった二人の魂は強く結びついている。
 光留の魂はまだ傷だらけではあるが、転生前よりは修復されている。そして、二人に結びつく細い糸がもう一つ。
「近くにいるのか? ――月花」
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