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依存と執着
第三話
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「……で、これ、どうすんの?」
いまだに芯を持つ月夜の男根を撫でる。
「さて、どうしたい?」
「そのまま大学行ってしまえ」
「もう休む連絡はした」
「……なんて?」
「弟の面倒をみるから、と。何も間違ってはいないだろう?」
用意周到すぎて腹が立つが、生まれてこの方、月夜に勝てたためしは一度もない。
そうなるともはや苛立ちよりも呆れと諦めが占めるようになる。
「光留」
期待するように名前を呼ばれる。
男同士の知識がないわけじゃない。
しかし、光留の体力で月夜を満足させられる自信はあまりない。そもそも、今朝は熱が出て、まだ身体に怠さは少し残っている。
「はぁ……仕方ないから口で処理してやる」
「お前は本当に、口の中が好きだな」
「そうしたのは月夜だろ。ほら、足開け」
光留は月夜の股間に顔を埋めると、布越しに唇で食み、舌先でチャックを探り当てると歯で挟んで降ろす。
ベルトを手で引き抜いて、下着越しに鼻を擦りつける。すんすんと匂いを嗅げば、微かに雄の匂いがして、光留はドキドキする。
「ん、ふ……あふ……ふぁ……はむ……」
形を確かめるように唇を這わせると、じわりと唾液なのか先走りなのかわからない液体で濡れる。
下着を歯で挟んで降ろすと、勢いよく男根が飛び出す。むわり、と雄の匂いが強くなり頭がくらくらする。
「ん、ふ……はぁ……月夜の……おいひ……ふあ、ちゅ……ん、んっ……」
裏筋に舌を這わせ、先端を舌先でちろちろと突く。
雁首まで口に咥えて吸い上げると、先走りの量が増える。
頬に先端を擦りつけ、唇で強弱をつけながら扱くと質量が増える。
(顎疲れる……)
でも、放したいとは思わない。
ちらりと月夜を見れば、僅かに息を乱している。
「ひもひい?」
「わかるだろう。これでも抑えているんだが?」
横髪に触れる月夜の手が耳をかすめると、ぞくりと下肢が疼いた。
(思い切り突いてくれていいんだけど)
その方が早く済むし、光留は気持ちいいのだが、意地悪く笑う月夜は今のところそれをする気はないようだ。
熱を出したばかりで気遣っている、というよりは光留の反応を見たいのだろう。
光留が焦らしているようで、その実光留の方が焦らされている。
出したばかりだというのに、下半身は素直に反応する。
月夜のを咥えながら自身の陰茎を扱いていると、頭が気持ちいいことばかりを考えてしまう。
「あぁ、いい顔だ。でも、お前の良いところはもっと奥だろう?」
月夜が光留の喉仏のあたりを撫でる。
ひくりと喉が痙攣する。
「ん、ふぅ……ん、んむ……はぁ、ぁっ……」
一度口から抜いて、再び咥え込む。後頭部を撫でられ、誘われるように喉の奥へと押し込む。
「おぇ……げ、ぇ……あっ、おごっ、ふ、あ、あふ、んんっ、じゅっ、はっ、おえっ……あっ、ぅ……」
じゅぽじゅぽと音が鳴るくらい頭を動かして、喉奥で締め付ける。
苦しいけれど気持ち良くて、光留も自身の陰茎を扱く手も止まらない。
「いやらしいな、光留。喉で気持ち良くなって、腰も振って。……淫乱」
「うえ、ぐ、ぅ……あっ、んんーーッ!!」
月夜の言葉に反応して、思わず陰茎を強く握ってしまい、光留はそのまま果てる。
喉がびくびくと痙攣し、逃げようとする光留の頭を押さえつけ、月夜も光留の喉の奥で吐き出す。
粘度の高い精液を、光留は恍惚とした表情で受け止め、懸命に喉を動かして飲み干す。
光留が口を放す頃には、顔は涙と鼻水と唾液と精液でぐちゃぐちゃだ。
「げほっ、うぇ、げえ……ごほっ、はぁ、はぁ……ん、きもひよはっら……」
月夜に顔を拭かれながら光留はとろんとした表情を浮かべる。
「あまり人にそういう顔見せるなよ。襲われても文句言えないぞ」
「?」
双子であるがゆえに、同じ顔だが、周囲の印象が異なるのは普段の表情の違いだろう。
月夜は表情豊かと言われるが、光留は無愛想と言われることが多い。
正反対だからこそ、それがかえって光留に懸想する輩を増やすのは本人だけが気付いていない。
「月花もそうだが、何故お前たちはそう、無意識に人を誑かす……」
月夜が苦々し気に言えば、光留も「人のこと言えないだろ」と拗ねたように言う。
「そもそも、まだ童貞で処女の俺を淫乱に変えたのは月夜だろ」
「淫乱は認めるのか」
「全力で否定したいけどな。でも、今の俺じゃ否定したところで説得力ないだろ」
フェラで喉奥を犯しながら、自慰で果てるような身体だ。
被虐趣味は無いはずだが、身体が疼いて仕方ない。
「怒ってるのか?」
「怒ってないけど、責任取ってほしい」
「いいのか?」
光留とて男だ。フェラをさせておいていうのも変だが、さすがに尻を犯されるのは嫌だろう。さっきのは冗談だったつもりだったが光留から誘われたなら話は別だ。
「いいから言ってるんだよ。ていうか、月夜じゃなかったら絶対イヤだし。月花が生まれ変わっても、俺も愛してくれるんだろ?」
お互い、恋愛感情かと聞かれると怪しいけれど、前世からの付き合いだ。気心が知れている。
「全く、素直に抱いてほしいと言えばいいものを」
素直じゃない光留が可愛くて、愛しくて思わず抱き締める。
「それじゃなんだかお情けみたいでいやだ。俺は、月夜の事も好きだし……」
兄としてというのはもちろんあるだろうし、恋ではなく、愛情という意味での好きだというのもわかるが、月夜は体温が上がった気がした。
「っ、あまり煽るな」
「顔真っ赤」
「うるさい。泣かせるぞ」
「気持ち良くしてくれるならいーよ」
光留は月夜の首筋にカプリと噛みつく。痛みは無いが擽ったい愛撫だ。月夜も光留のパジャマの裾から手を入れ、腰を撫でる。
「ん、くすぐったい……」
「そのうち気持ちよくなる。ほら、ここに意識を集中させろ」
月夜がへその辺りを撫で、軽く押す。
「ん……」
「ここに俺のが入って、光留の気持ちいい場所をたくさん突いてやる」
「ふ、ぁ……あっ……ゃ、らめ……」
耳元で囁かれ、月夜の熱くて太い熱が光留の中を穿つのを想像しただけで、身体がゾクゾクする。
一度も触れられたことはないのに、きゅうっと腹の奥が切なくなる。
「光留」
名前を呼ばれて顔を上げると唇が重なる。
(気持ちいい……)
喉もいいけれど、じゃれ合うように舌先を絡ませあうのも気持ち良くて、光留は夢中になる。
「ん、ん……ふぁ……ちゅく、んむ、はぁ……ちゅ、あ、ん……ふ、ぁっ!」
アナルに指が添えられ、皺を伸ばすようにくりくりと撫でられる。
「こっちに集中していろ。その方が早く感じられるようになる」
「ん、わかった」
言われた通り、キスに集中する。
アナルの浅い場所に指が入ってくると慣れない感触にゾワゾワする。
「はふ、ぁ、ん、なんか、変……んっ、はっ……」
「指、増やすぞ」
光留が頷くと一度指が抜かれ、二本に増えて入ってくる。
「んぁっ、ぁ、ナカ、くるしっ……」
「力を抜け。指が動かせない」
「そんなこと、言われても……んぅ……ふ、ぅ……ひぁんっ! あ、あ!」
アナルを拡げられながら、陰茎を擦られるとゾクゾクする。
指が抜けたと思えば光留の先走りを指に絡め、またアナルに押し込む。
ぐちゅぐちゅと音を立てながらナカを擦られる。
「ひゃあっ! あ、そこっ、らめっ、あぁんっ!」
月夜の指が前立腺に触れると、今までの比ではない快感が光留を襲う。
「ここか。ああ、いいな。きゅうきゅうと指を締め付けている」
「ひっ! あんっ、やぁ、そこ、こりこりされたらぁ、お、おかしくっ、ひぃっ!」
前立腺を指先で弄られて、指が出入りするたび内壁が擦れる。
拡げられると空気が入り込んできて、火照った身体は温度差に震える。
「可愛いな、光留。いっそこのまま快楽漬けにしてやろうか」
ピンッと陰茎を弾いてやれば、光留の背が反らされる。
「あぁんっ! あ、あぁっ……やぁ……ふ、うぅ……」
指が三本に増えると痛みや圧迫感よりも、もどかしく思う。
キスをしながら解される感覚に、光留は無意識に腰を揺らす。
「ん、も、いから、入れてぇ……はふっ、月夜の、ん、おっきいの、あんっ、ちょう、らい……ひぁっ!」
「自分から強請るなんて、はしたなくて可愛い」
「ふ、そ、ういうの、んんっ、いいから、ひぅっ! も、ほしっ、あっ!」
前立腺を弄られると気持ち良くて堪らない。
だけど、先程から光留の腹にあたる月夜の熱に、ゾクゾクして、ナカを犯されると想像するだけで喉が鳴る。
「もう少し解したいところだが、まあ、いいだろう」
「ひゃんっ!」
ずるっと月夜の指が抜けると、ベッドに寝かされる。
震える陰茎と、ひくつくアナル。太腿の内側を撫でると、ふるりと身体が震えた。
光留の期待に満ちた目が、快楽を欲している。
「俺もあまり余裕はない。悪いが、ここから止まることは出来ないぞ」
「いいよ、月夜になら。いっぱいめちゃくちゃにして?」
淫靡に微笑む光留に、月夜は息を呑む。
「俺は忠告した。煽ったのは光留だからな」
「ふふっ、俺もそのくらいの責任は取るよ、お兄ちゃん?」
わざとらしく呼んでキスをする。
触れるだけの可愛いものだが、それも愛おしい。
月夜は光留の膝を抱えて広げると、自身の陰茎の先端をあてがう。
「あっ、ん……はぁ……あつ、ふぁ……」
先端で浅いところを確かめるように触れられる。
もどかしい。
ちゅ、くちゅ……と湿った音がする。
「つ、くよぉ……はやく……いれ、てぇ……」
「こう言うときばかり素直だな。まあ、そこも可愛いが」
月夜がぐっと腰を進めると、ぐぷり、と光留のナカに肉棒が入り込む。
「あっ、ああっ! すご、んんっ……はぁ……」
指の比ではない圧迫感。だけど痛みはそれほど感じない。
「まだいけるな?」
「う、ん……」
光留が頷けばゆっくりと月夜の熱が奥へ入り込んでくる。
ぬち、ぬちゅ、くぷ、くちゅ、ぬぽっ、と音を立てながらナカの粘膜が擦られる。
「あ、ああ……あつくて、ん、きもひ……ふぁ、あっ!」
光留の手が確かめるように結合部に触れる。
まだ全部入っていないとわかるとお腹のあたりがきゅうっと、切なくなる。
「は、ぁ……もっと、奥……ほしっ、あっ、んっ、はぅっ、んぁっ、あ~ッ!」
とちゅん! とひと息に最奥まで押し込まれると、熱くてゾクゾクして、気持ちいい。
「はぁ、全部、入ったな」
「ん、ちゅーして……」
光留に強請られるままキスをすると、背中に腕を回される。びくびくと震える光留の男根がいじらしくて、軽く腰を揺すってやれば、きゅっと締まる。
「ん、んふっ、はっ、あむ、ふぁ……あんっ、ぁ、とんとん、きもち……ぃ……ぁっ!」
「あまり締めるな。まったく、どこでそういう言葉を……」
「んー、前世の、ひぁっ! き、おく……? あぁんっ!」
確かに前々世である月夜の記憶を光留に見せつけていた事はある。彼女との夜の営みで言わせていたことも否定しないし、興奮もするのだが。
「あまり昔に囚われすぎるな。俺は、今の光留を愛してるんだから」
光留の髪を梳いて、触れるだけのキスをすると、きゅんきゅんとナカが締まる。
「ふぇ……ぁ、え……あ、い……?」
快感とは違う意味で顔を真っ赤にする初心な光留を甘やかしたくて堪らない。
「愛してるさ。大事な俺の半身」
耳朶を甘噛みし、首筋に舌を這わせる。光留の身体がぴくぴくと震える。
「ん、やぁ……ぁ、らめっ……みみ、はぅ……」
「感じるのか? 可愛いな、光留」
「ンンッ! はっ、あたま、ふわふわ、する、からぁ……あっ! ひぁっ、とけちゃ……あんっ!」
(本当に、男を狂わせる天才だな)
小さな頃からキスはしていたが、身体を繋げたのは今日が初めてだ。にも関わらずこの淫乱ぶりは、魔性と言わずしてなんとする。
(外に出すのが怖すぎる……)
いっそ鎖で繋いでやろうか。本人は否定するが、案外虐められるのが好きな光留は、きっと嫌がらない。
堕としてもっと依存させてやりたい。
「はっ、あっ、あっ、あっ、きもち、んぁっ!」
ずちゅずちゅと月夜の先走りと光留の腸液が絡まり、混ざりあう。滑りがよくなり挿入時の痛みや圧迫感が薄れる。
「あぁ、気持ちいいな。光留の中、温かくて、柔らかで、よく締まる」
「ん、はぁ、あっ! そこぉ、もっと、きゃんっ! ひ、あぅ、あぁ、ああっ!」
前立腺を先端で捏ねたり、長いストロークで擦り上げると、ゾクゾクして、射精感が一気に高まる。
「ふっ、あ、も、イく、イっちゃ、ひぃっ! あ、あふ、んむっ!」
ナカを突かれながらキスをされ、息が苦しい。
だけど、気持ち良くて何も考えられない。
「んーッ! ん、んっ、ふぁ、んぐっ、ぅ、ンンーーッ!!」
びくびくと痙攣して、頭がはじけたように真っ白になるとびゅくびゅくと精子を吐き出す。
「っ……!」
ぎゅっと締まるアナルに、月夜も光留の中へ吐き出す。
「はっ、あ、ぅ……、きもち……ぃ……」
とろんとした光留の表情はいやらしくて、熱を出していたことなど忘れ、月夜の理性を簡単に壊す破壊力があった。
「へ? おっきく……? ぃああんっ! あっ、や、なに、ひぃっ、あ、はげしっ、あ、あぁっ!!」
「この、淫乱!」
「ひどっ、あっ、やらやらぁ! そこゴリゴリしたらぁ、あっ、イく、イっちゃうっ!!」
パンパンパンパンッ! と激しく音が鳴るほど打ち付けると、光留は枕にしがみつき喘ぐ。
揺れる視界の中で滲んで見える月夜の表情は、飢えた獣のようで、光留の胸はきゅんきゅんする。
「いくらでもイけばいい。ほら、ここを突くと気持ちいだろう?」
「んんっ、いいっ! いいからっ! あ、らめぇっ! お腹押したら、ああああーーーーッ!!」
内壁と熱い肉棒の触れ合う感触に、光留は背中を仰け反らせて絶頂する。
ぴゅくぴゅくと断続的に精液が吐き出される。
「ぁ、ふ、ひっ! うそ、ちょ、まっ……あ、あぁっ! やっ、まら、いっへ……、んぐっ、ちゅ、へぁ、あう……んーッ!」
足首を掴まれ、入れたままひっくり返される。
腰を掴まれ高く上げさせると、月夜は容赦なく打ち付ける。
口に入れられた月夜の指を伝って唾液が溢れ、その感触すら今の光留には強い刺激となる。
「はっ、イキっぱなしだな。このままでなくなるまで突いてやる。そら、当たる角度が変わって気持ちいいだろう?」
「うーっ、ん、ふぁ、あっ、も、むりぃ……」
「だが、光留のナカは嫌がっていないぞ。抜こうとすると引き留めるように絡みついてきて、突くとぎゅうぎゅうと締め付ける」
動きが分かるように光留の腹を抑えながらゆっくりと出し入れする。
「ふ、あ……らめっ、とまんな、ぃ……きもひ、の、とまらないぃ……あっ、ふ、あらま、ばかんなるぅ……ひぁっ!」
ナカを突かれるたびにゾクゾクした快感が止まらない。月夜が触れる場所すべてが熱くて、気持ち良くてずっとイっている。
後ろを振り向かされて、キスされて、舌が絡まるのが気持ちい。唇が離れると唾液が糸を引く。
「きゃんっ! あ、あぅ、ふぁ……あ、あ、あ、も、らめっ、ふっ、ん、イくっ、イくイくっ! あああ~~~ッ!!」
ガクガクと全身が震える。光留の陰茎からは何も出ず、ぴくぴくと震えている。
どちゅっ、と強く押し込まれると、光留のナカに月夜の精液が吐き出される。
「くっ……。は、ぁ……、ふ、出さずにイったな」
光留の頬を撫でれば、ぴくんと震える。だが、すぐに甘えるようにその手にすり寄る。
キスをすれば、甘い余韻に心が満たされる。
「ふぅ……も、しないぃ……。月夜の鬼畜! 絶倫、変態っ! ひゃっ!」
照れ隠しの悪態のお返しに軽く突いてやれば、光留はびくんと震える。
「絶倫って、光留ほど出してないぞ。それとも、もっとしてほしいってことか?」
「んなわけあるか! てか、鬼畜と変態は認めるのか」
「淫乱の光留に言われたくない」
「うぅ、も、抜け!」
「いいのか? 今抜くと……」
「え、あっ、んぅっ!」
月夜がゆっくりと腰を引くとどろりと月夜が出したモノと光留の体液が零れる。
抜けるときの感触と合わさってぞわりとして、思わず月夜を締め付ける。
するとその感触も気持ち良くて、光留にとっての悪循環が生まれる。
「さいてー。出しすぎだろ……」
「光留が締め付けてくるのが悪い」
月夜は光留を抱きしめたままごろんと横になる。
「んっ、はぁ……。なんか、変な感じだな」
光留が腹をさすさすと撫でる。先ほどよりも熱は感じないけれど、確かに月夜はそこにいて、なんだかとても安心する。
「もとはひとつだったのに、こうして別の魂として生まれ変わって、またひとつになるって。いつか、また元に戻るのかな……」
「それは無いだろうな。今回の転生で、お互い魂の形が僅かに変わっている。もうもとの形に戻ることはできない」
光留の横髪をさらりと撫で、露わになった耳朶をふにふにと揉む。
「だからこそ、寂しく感じるのだろう」
「月夜も、寂しい?」
「あぁ。神は寂しがり屋が多い。俺も、俺をルーツとするお前も。だから依存と執着が強くなる」
たとえ恋でなくとも、この依存心と執着心は何も間違っていないと、月夜に肯定されほっとする。
安心すると眠くなってきて、月夜の胸に顔を埋める。抱き締め返してくれるのが嬉しい。
「ん、すき……」
その後に続く言葉は、光留が眠りに落ちてしまい月夜には届かなかった。
「まったく、こういう時だけ素直だな……」
光留に触れるだけのキスをする。
甘えたで意地っ張りで寂しがり屋で無愛想な双子の弟は、可愛くて愛おしくて、手放すには勿体ない。
神は傲慢だ。欲しいものは全て手に入れなければ気が済まない。
光留も月花も、月夜のものだ。
「あいしてるよ、光留。俺の愛しい――」
いまだに芯を持つ月夜の男根を撫でる。
「さて、どうしたい?」
「そのまま大学行ってしまえ」
「もう休む連絡はした」
「……なんて?」
「弟の面倒をみるから、と。何も間違ってはいないだろう?」
用意周到すぎて腹が立つが、生まれてこの方、月夜に勝てたためしは一度もない。
そうなるともはや苛立ちよりも呆れと諦めが占めるようになる。
「光留」
期待するように名前を呼ばれる。
男同士の知識がないわけじゃない。
しかし、光留の体力で月夜を満足させられる自信はあまりない。そもそも、今朝は熱が出て、まだ身体に怠さは少し残っている。
「はぁ……仕方ないから口で処理してやる」
「お前は本当に、口の中が好きだな」
「そうしたのは月夜だろ。ほら、足開け」
光留は月夜の股間に顔を埋めると、布越しに唇で食み、舌先でチャックを探り当てると歯で挟んで降ろす。
ベルトを手で引き抜いて、下着越しに鼻を擦りつける。すんすんと匂いを嗅げば、微かに雄の匂いがして、光留はドキドキする。
「ん、ふ……あふ……ふぁ……はむ……」
形を確かめるように唇を這わせると、じわりと唾液なのか先走りなのかわからない液体で濡れる。
下着を歯で挟んで降ろすと、勢いよく男根が飛び出す。むわり、と雄の匂いが強くなり頭がくらくらする。
「ん、ふ……はぁ……月夜の……おいひ……ふあ、ちゅ……ん、んっ……」
裏筋に舌を這わせ、先端を舌先でちろちろと突く。
雁首まで口に咥えて吸い上げると、先走りの量が増える。
頬に先端を擦りつけ、唇で強弱をつけながら扱くと質量が増える。
(顎疲れる……)
でも、放したいとは思わない。
ちらりと月夜を見れば、僅かに息を乱している。
「ひもひい?」
「わかるだろう。これでも抑えているんだが?」
横髪に触れる月夜の手が耳をかすめると、ぞくりと下肢が疼いた。
(思い切り突いてくれていいんだけど)
その方が早く済むし、光留は気持ちいいのだが、意地悪く笑う月夜は今のところそれをする気はないようだ。
熱を出したばかりで気遣っている、というよりは光留の反応を見たいのだろう。
光留が焦らしているようで、その実光留の方が焦らされている。
出したばかりだというのに、下半身は素直に反応する。
月夜のを咥えながら自身の陰茎を扱いていると、頭が気持ちいいことばかりを考えてしまう。
「あぁ、いい顔だ。でも、お前の良いところはもっと奥だろう?」
月夜が光留の喉仏のあたりを撫でる。
ひくりと喉が痙攣する。
「ん、ふぅ……ん、んむ……はぁ、ぁっ……」
一度口から抜いて、再び咥え込む。後頭部を撫でられ、誘われるように喉の奥へと押し込む。
「おぇ……げ、ぇ……あっ、おごっ、ふ、あ、あふ、んんっ、じゅっ、はっ、おえっ……あっ、ぅ……」
じゅぽじゅぽと音が鳴るくらい頭を動かして、喉奥で締め付ける。
苦しいけれど気持ち良くて、光留も自身の陰茎を扱く手も止まらない。
「いやらしいな、光留。喉で気持ち良くなって、腰も振って。……淫乱」
「うえ、ぐ、ぅ……あっ、んんーーッ!!」
月夜の言葉に反応して、思わず陰茎を強く握ってしまい、光留はそのまま果てる。
喉がびくびくと痙攣し、逃げようとする光留の頭を押さえつけ、月夜も光留の喉の奥で吐き出す。
粘度の高い精液を、光留は恍惚とした表情で受け止め、懸命に喉を動かして飲み干す。
光留が口を放す頃には、顔は涙と鼻水と唾液と精液でぐちゃぐちゃだ。
「げほっ、うぇ、げえ……ごほっ、はぁ、はぁ……ん、きもひよはっら……」
月夜に顔を拭かれながら光留はとろんとした表情を浮かべる。
「あまり人にそういう顔見せるなよ。襲われても文句言えないぞ」
「?」
双子であるがゆえに、同じ顔だが、周囲の印象が異なるのは普段の表情の違いだろう。
月夜は表情豊かと言われるが、光留は無愛想と言われることが多い。
正反対だからこそ、それがかえって光留に懸想する輩を増やすのは本人だけが気付いていない。
「月花もそうだが、何故お前たちはそう、無意識に人を誑かす……」
月夜が苦々し気に言えば、光留も「人のこと言えないだろ」と拗ねたように言う。
「そもそも、まだ童貞で処女の俺を淫乱に変えたのは月夜だろ」
「淫乱は認めるのか」
「全力で否定したいけどな。でも、今の俺じゃ否定したところで説得力ないだろ」
フェラで喉奥を犯しながら、自慰で果てるような身体だ。
被虐趣味は無いはずだが、身体が疼いて仕方ない。
「怒ってるのか?」
「怒ってないけど、責任取ってほしい」
「いいのか?」
光留とて男だ。フェラをさせておいていうのも変だが、さすがに尻を犯されるのは嫌だろう。さっきのは冗談だったつもりだったが光留から誘われたなら話は別だ。
「いいから言ってるんだよ。ていうか、月夜じゃなかったら絶対イヤだし。月花が生まれ変わっても、俺も愛してくれるんだろ?」
お互い、恋愛感情かと聞かれると怪しいけれど、前世からの付き合いだ。気心が知れている。
「全く、素直に抱いてほしいと言えばいいものを」
素直じゃない光留が可愛くて、愛しくて思わず抱き締める。
「それじゃなんだかお情けみたいでいやだ。俺は、月夜の事も好きだし……」
兄としてというのはもちろんあるだろうし、恋ではなく、愛情という意味での好きだというのもわかるが、月夜は体温が上がった気がした。
「っ、あまり煽るな」
「顔真っ赤」
「うるさい。泣かせるぞ」
「気持ち良くしてくれるならいーよ」
光留は月夜の首筋にカプリと噛みつく。痛みは無いが擽ったい愛撫だ。月夜も光留のパジャマの裾から手を入れ、腰を撫でる。
「ん、くすぐったい……」
「そのうち気持ちよくなる。ほら、ここに意識を集中させろ」
月夜がへその辺りを撫で、軽く押す。
「ん……」
「ここに俺のが入って、光留の気持ちいい場所をたくさん突いてやる」
「ふ、ぁ……あっ……ゃ、らめ……」
耳元で囁かれ、月夜の熱くて太い熱が光留の中を穿つのを想像しただけで、身体がゾクゾクする。
一度も触れられたことはないのに、きゅうっと腹の奥が切なくなる。
「光留」
名前を呼ばれて顔を上げると唇が重なる。
(気持ちいい……)
喉もいいけれど、じゃれ合うように舌先を絡ませあうのも気持ち良くて、光留は夢中になる。
「ん、ん……ふぁ……ちゅく、んむ、はぁ……ちゅ、あ、ん……ふ、ぁっ!」
アナルに指が添えられ、皺を伸ばすようにくりくりと撫でられる。
「こっちに集中していろ。その方が早く感じられるようになる」
「ん、わかった」
言われた通り、キスに集中する。
アナルの浅い場所に指が入ってくると慣れない感触にゾワゾワする。
「はふ、ぁ、ん、なんか、変……んっ、はっ……」
「指、増やすぞ」
光留が頷くと一度指が抜かれ、二本に増えて入ってくる。
「んぁっ、ぁ、ナカ、くるしっ……」
「力を抜け。指が動かせない」
「そんなこと、言われても……んぅ……ふ、ぅ……ひぁんっ! あ、あ!」
アナルを拡げられながら、陰茎を擦られるとゾクゾクする。
指が抜けたと思えば光留の先走りを指に絡め、またアナルに押し込む。
ぐちゅぐちゅと音を立てながらナカを擦られる。
「ひゃあっ! あ、そこっ、らめっ、あぁんっ!」
月夜の指が前立腺に触れると、今までの比ではない快感が光留を襲う。
「ここか。ああ、いいな。きゅうきゅうと指を締め付けている」
「ひっ! あんっ、やぁ、そこ、こりこりされたらぁ、お、おかしくっ、ひぃっ!」
前立腺を指先で弄られて、指が出入りするたび内壁が擦れる。
拡げられると空気が入り込んできて、火照った身体は温度差に震える。
「可愛いな、光留。いっそこのまま快楽漬けにしてやろうか」
ピンッと陰茎を弾いてやれば、光留の背が反らされる。
「あぁんっ! あ、あぁっ……やぁ……ふ、うぅ……」
指が三本に増えると痛みや圧迫感よりも、もどかしく思う。
キスをしながら解される感覚に、光留は無意識に腰を揺らす。
「ん、も、いから、入れてぇ……はふっ、月夜の、ん、おっきいの、あんっ、ちょう、らい……ひぁっ!」
「自分から強請るなんて、はしたなくて可愛い」
「ふ、そ、ういうの、んんっ、いいから、ひぅっ! も、ほしっ、あっ!」
前立腺を弄られると気持ち良くて堪らない。
だけど、先程から光留の腹にあたる月夜の熱に、ゾクゾクして、ナカを犯されると想像するだけで喉が鳴る。
「もう少し解したいところだが、まあ、いいだろう」
「ひゃんっ!」
ずるっと月夜の指が抜けると、ベッドに寝かされる。
震える陰茎と、ひくつくアナル。太腿の内側を撫でると、ふるりと身体が震えた。
光留の期待に満ちた目が、快楽を欲している。
「俺もあまり余裕はない。悪いが、ここから止まることは出来ないぞ」
「いいよ、月夜になら。いっぱいめちゃくちゃにして?」
淫靡に微笑む光留に、月夜は息を呑む。
「俺は忠告した。煽ったのは光留だからな」
「ふふっ、俺もそのくらいの責任は取るよ、お兄ちゃん?」
わざとらしく呼んでキスをする。
触れるだけの可愛いものだが、それも愛おしい。
月夜は光留の膝を抱えて広げると、自身の陰茎の先端をあてがう。
「あっ、ん……はぁ……あつ、ふぁ……」
先端で浅いところを確かめるように触れられる。
もどかしい。
ちゅ、くちゅ……と湿った音がする。
「つ、くよぉ……はやく……いれ、てぇ……」
「こう言うときばかり素直だな。まあ、そこも可愛いが」
月夜がぐっと腰を進めると、ぐぷり、と光留のナカに肉棒が入り込む。
「あっ、ああっ! すご、んんっ……はぁ……」
指の比ではない圧迫感。だけど痛みはそれほど感じない。
「まだいけるな?」
「う、ん……」
光留が頷けばゆっくりと月夜の熱が奥へ入り込んでくる。
ぬち、ぬちゅ、くぷ、くちゅ、ぬぽっ、と音を立てながらナカの粘膜が擦られる。
「あ、ああ……あつくて、ん、きもひ……ふぁ、あっ!」
光留の手が確かめるように結合部に触れる。
まだ全部入っていないとわかるとお腹のあたりがきゅうっと、切なくなる。
「は、ぁ……もっと、奥……ほしっ、あっ、んっ、はぅっ、んぁっ、あ~ッ!」
とちゅん! とひと息に最奥まで押し込まれると、熱くてゾクゾクして、気持ちいい。
「はぁ、全部、入ったな」
「ん、ちゅーして……」
光留に強請られるままキスをすると、背中に腕を回される。びくびくと震える光留の男根がいじらしくて、軽く腰を揺すってやれば、きゅっと締まる。
「ん、んふっ、はっ、あむ、ふぁ……あんっ、ぁ、とんとん、きもち……ぃ……ぁっ!」
「あまり締めるな。まったく、どこでそういう言葉を……」
「んー、前世の、ひぁっ! き、おく……? あぁんっ!」
確かに前々世である月夜の記憶を光留に見せつけていた事はある。彼女との夜の営みで言わせていたことも否定しないし、興奮もするのだが。
「あまり昔に囚われすぎるな。俺は、今の光留を愛してるんだから」
光留の髪を梳いて、触れるだけのキスをすると、きゅんきゅんとナカが締まる。
「ふぇ……ぁ、え……あ、い……?」
快感とは違う意味で顔を真っ赤にする初心な光留を甘やかしたくて堪らない。
「愛してるさ。大事な俺の半身」
耳朶を甘噛みし、首筋に舌を這わせる。光留の身体がぴくぴくと震える。
「ん、やぁ……ぁ、らめっ……みみ、はぅ……」
「感じるのか? 可愛いな、光留」
「ンンッ! はっ、あたま、ふわふわ、する、からぁ……あっ! ひぁっ、とけちゃ……あんっ!」
(本当に、男を狂わせる天才だな)
小さな頃からキスはしていたが、身体を繋げたのは今日が初めてだ。にも関わらずこの淫乱ぶりは、魔性と言わずしてなんとする。
(外に出すのが怖すぎる……)
いっそ鎖で繋いでやろうか。本人は否定するが、案外虐められるのが好きな光留は、きっと嫌がらない。
堕としてもっと依存させてやりたい。
「はっ、あっ、あっ、あっ、きもち、んぁっ!」
ずちゅずちゅと月夜の先走りと光留の腸液が絡まり、混ざりあう。滑りがよくなり挿入時の痛みや圧迫感が薄れる。
「あぁ、気持ちいいな。光留の中、温かくて、柔らかで、よく締まる」
「ん、はぁ、あっ! そこぉ、もっと、きゃんっ! ひ、あぅ、あぁ、ああっ!」
前立腺を先端で捏ねたり、長いストロークで擦り上げると、ゾクゾクして、射精感が一気に高まる。
「ふっ、あ、も、イく、イっちゃ、ひぃっ! あ、あふ、んむっ!」
ナカを突かれながらキスをされ、息が苦しい。
だけど、気持ち良くて何も考えられない。
「んーッ! ん、んっ、ふぁ、んぐっ、ぅ、ンンーーッ!!」
びくびくと痙攣して、頭がはじけたように真っ白になるとびゅくびゅくと精子を吐き出す。
「っ……!」
ぎゅっと締まるアナルに、月夜も光留の中へ吐き出す。
「はっ、あ、ぅ……、きもち……ぃ……」
とろんとした光留の表情はいやらしくて、熱を出していたことなど忘れ、月夜の理性を簡単に壊す破壊力があった。
「へ? おっきく……? ぃああんっ! あっ、や、なに、ひぃっ、あ、はげしっ、あ、あぁっ!!」
「この、淫乱!」
「ひどっ、あっ、やらやらぁ! そこゴリゴリしたらぁ、あっ、イく、イっちゃうっ!!」
パンパンパンパンッ! と激しく音が鳴るほど打ち付けると、光留は枕にしがみつき喘ぐ。
揺れる視界の中で滲んで見える月夜の表情は、飢えた獣のようで、光留の胸はきゅんきゅんする。
「いくらでもイけばいい。ほら、ここを突くと気持ちいだろう?」
「んんっ、いいっ! いいからっ! あ、らめぇっ! お腹押したら、ああああーーーーッ!!」
内壁と熱い肉棒の触れ合う感触に、光留は背中を仰け反らせて絶頂する。
ぴゅくぴゅくと断続的に精液が吐き出される。
「ぁ、ふ、ひっ! うそ、ちょ、まっ……あ、あぁっ! やっ、まら、いっへ……、んぐっ、ちゅ、へぁ、あう……んーッ!」
足首を掴まれ、入れたままひっくり返される。
腰を掴まれ高く上げさせると、月夜は容赦なく打ち付ける。
口に入れられた月夜の指を伝って唾液が溢れ、その感触すら今の光留には強い刺激となる。
「はっ、イキっぱなしだな。このままでなくなるまで突いてやる。そら、当たる角度が変わって気持ちいいだろう?」
「うーっ、ん、ふぁ、あっ、も、むりぃ……」
「だが、光留のナカは嫌がっていないぞ。抜こうとすると引き留めるように絡みついてきて、突くとぎゅうぎゅうと締め付ける」
動きが分かるように光留の腹を抑えながらゆっくりと出し入れする。
「ふ、あ……らめっ、とまんな、ぃ……きもひ、の、とまらないぃ……あっ、ふ、あらま、ばかんなるぅ……ひぁっ!」
ナカを突かれるたびにゾクゾクした快感が止まらない。月夜が触れる場所すべてが熱くて、気持ち良くてずっとイっている。
後ろを振り向かされて、キスされて、舌が絡まるのが気持ちい。唇が離れると唾液が糸を引く。
「きゃんっ! あ、あぅ、ふぁ……あ、あ、あ、も、らめっ、ふっ、ん、イくっ、イくイくっ! あああ~~~ッ!!」
ガクガクと全身が震える。光留の陰茎からは何も出ず、ぴくぴくと震えている。
どちゅっ、と強く押し込まれると、光留のナカに月夜の精液が吐き出される。
「くっ……。は、ぁ……、ふ、出さずにイったな」
光留の頬を撫でれば、ぴくんと震える。だが、すぐに甘えるようにその手にすり寄る。
キスをすれば、甘い余韻に心が満たされる。
「ふぅ……も、しないぃ……。月夜の鬼畜! 絶倫、変態っ! ひゃっ!」
照れ隠しの悪態のお返しに軽く突いてやれば、光留はびくんと震える。
「絶倫って、光留ほど出してないぞ。それとも、もっとしてほしいってことか?」
「んなわけあるか! てか、鬼畜と変態は認めるのか」
「淫乱の光留に言われたくない」
「うぅ、も、抜け!」
「いいのか? 今抜くと……」
「え、あっ、んぅっ!」
月夜がゆっくりと腰を引くとどろりと月夜が出したモノと光留の体液が零れる。
抜けるときの感触と合わさってぞわりとして、思わず月夜を締め付ける。
するとその感触も気持ち良くて、光留にとっての悪循環が生まれる。
「さいてー。出しすぎだろ……」
「光留が締め付けてくるのが悪い」
月夜は光留を抱きしめたままごろんと横になる。
「んっ、はぁ……。なんか、変な感じだな」
光留が腹をさすさすと撫でる。先ほどよりも熱は感じないけれど、確かに月夜はそこにいて、なんだかとても安心する。
「もとはひとつだったのに、こうして別の魂として生まれ変わって、またひとつになるって。いつか、また元に戻るのかな……」
「それは無いだろうな。今回の転生で、お互い魂の形が僅かに変わっている。もうもとの形に戻ることはできない」
光留の横髪をさらりと撫で、露わになった耳朶をふにふにと揉む。
「だからこそ、寂しく感じるのだろう」
「月夜も、寂しい?」
「あぁ。神は寂しがり屋が多い。俺も、俺をルーツとするお前も。だから依存と執着が強くなる」
たとえ恋でなくとも、この依存心と執着心は何も間違っていないと、月夜に肯定されほっとする。
安心すると眠くなってきて、月夜の胸に顔を埋める。抱き締め返してくれるのが嬉しい。
「ん、すき……」
その後に続く言葉は、光留が眠りに落ちてしまい月夜には届かなかった。
「まったく、こういう時だけ素直だな……」
光留に触れるだけのキスをする。
甘えたで意地っ張りで寂しがり屋で無愛想な双子の弟は、可愛くて愛おしくて、手放すには勿体ない。
神は傲慢だ。欲しいものは全て手に入れなければ気が済まない。
光留も月花も、月夜のものだ。
「あいしてるよ、光留。俺の愛しい――」
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