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しおりを挟む「ありがとう…お父さん……」
瞼にキスをされる。その瞬間だ。ぬるっと尻の孔に異物が挿入され、びくんっと腰が跳ねる。菫は小さく笑った。指だ。指が入っているのだ。一本じゃない。何本も挿入されてる。それは肉壁を擦るように動き、ぐちゅりぐちゅりとゆっくりとナカを掻き混ぜる。
「ああ、っすみれ…」
「お父さんっ、ちゅう…しよぉっ、ふふ、イチャイチャ…したいっ」
「んぅ、んっ、ぁ」
「はぁ、今日から僕たちは夫婦なんだね…」
狂気じみた言葉だ。私の反応を楽しむかのようにゆっくりと刺激を与える。しつこいくらいゆっくりだ。もう少し激しいのが欲しい。もどかしさに身をよじった。腰が勝手に動く。するとくいっと指が曲がり、背筋に電撃が走る。
「ぁあっ…!」
「……お父さんの気持ち良いところ、ここでしょう…?」
わざと焦らしてたのか。最初から分かってたような言い方だ。トントンと素早く叩かれる。そのたびに「ぁあッ」と腰をくねらせ喘いでしまう。ナカで感じてしまうだなんて、まるで女になったような感覚だ。自分から発せられる声だと思いたくなかった。全身が熱い。少しの刺激で脳が溶けてしまいそうなほど、気持ちが良い。
初めて経験する快楽だった。
「お父さん…すっごく可愛い…。いっぱい気持ち良くなろうね…」
菫はうっとりと目を細める。
「…んっ、はぁっはあっ、ぁあ」
「こっちも弄ってあげる。ふふ。お父さんのおっきいおちんちん…だいすき…」
半勃ちになった性器をぱくりと咥えられた。温かい口腔に包み込まれ、尿道をちろちろと舐められる。ナカを掻き混ぜる卑猥な水音と共に、陰茎まで刺激され、快感が大きくなっていく。
アイスキャンディーを味わうかのように、根本から先端までゆっくりと舐め上げられたときゾクゾクと背筋が震えた。
「あ、あぁ……」
「お父さんのナカ…ローションでぐちょぐちょ。下のお口、こんなにくぱくぱ広げちゃって。もう指だけじゃ足りないんじゃないかな」
「んっ、んんっぅ?」
胸がざわつく。それは罪悪感か。はたまた美しい少年に肉体的に求められた為の胸の高鳴りか。分からなかった。しかし下腹辺りが疼く。指よりも太いものが欲しい。そんな欲望が生まれていた。
「…違う?」
目を泳がせた。
「…ぁっ…」
「欲しいでしょう?僕のが奥突いたら…今よりずっと気持ち良いよ?」
「…ぁ、あ」
美しい曲線を描いた白い裸体。中心に聳え立つ陰茎は血管が浮き出て脈打っている。先端からはカウパー液がくぷくぷと溢れ出ていた。まるで御馳走を目の前にして、涎を垂らしてるみたいだ。
あれで…あれで…奥を突かれたら…。ごくりと唾を飲み込んだ。気が付けば、首を縦に振っていた。魅力的な提案に欲望が抗えなかった。
「ふふっ、お父さん顔真っ赤。可愛いね」
ちゅうっと唇が重なる。菫の唇は薄いが、下唇は少しぽってりと膨らみがある。柔らかい感触が、ちゅっちゅっと絶え間なく降り注ぐ。
「はぁ…っ…分かる……?僕の…。お父さんのナカに入っていくよ…」
ズブズブと熱い塊が入り込む。肉壁を押し広げ、擦られる快楽に腰が痙攣する。大きい。太い。尻が裂けてしまうのではないか。びくつきながら、チラリと視線を落とす。だらしなく開いた自らの孔。ローションか、体液か、太い肉棒が沈み込むたびに、そこから艶かしい液体が溢れ出る。
はっ、と熱い息を零した。もう十分なほどに質量で満たされているというのに、まだ全て入ってないのか。
「あっ……お父さぁ……」
「ふぅっ、んんんっ」
「ぁあ…、堪らない…っ、お父さんのナカ…すごい…っ」
熱い吐息が耳に掛かる。
菫は興奮した様子で私の耳を舐める。その間も、ナカの肉棒は一つの太い血管のように脈打ち、質量を増す。それが奥へ突き進む。
内臓を押し上げられる感覚だ。一体どこまで挿入されてしまうのか。体がおかしくなってしまうのではないか。怯えながら結合部を見つめる。まだ半分だ。その時だ。ふと思った。…コンドームは……?まさか生で続けるつもりか。咄嗟に腰を引く。怖くなった。私は病気など持ってないが万が一がある。すると、腰を手で固定されて、ぐちゅんっと一気に貫かれた。
「ぁああっ」
「はあっ、お父さんっ、入った…。僕の。全部。お父さんのナカにッ」
目の前がチカチカと点滅する。
「ぁあっ、ああっ、動かないでっぇ…」
「お父さん…気持ち良い?…気持ち良い?僕たち一つになったんだよ?嬉しいね!」
「ひぃっ、ぁ、あ、あぁ」
「ねえっ、気持ち良い?」
菫はゆっくりと波打つように腰を動かした。そしてその動きは徐々に激しくなる。ぱちゅんぱちゅんと淫猥な音が響く。耳元ではしきりに「気持ち良い?」と繰り返し質問される。
「気持ち良い?気持ち良い?気持ち良い?気持ち良い?気持ち良い?気持ち良い?気持ち良い?気持ち良い?気持ち良い?気持ち良い?気持ち良い?気持ち良い?」
快楽の羅列が脳内を埋め尽くす。頭がおかしくなってしまいそうだ。
「気持ち、いいっ、からぁ」
菫の瞳孔は限界まで開き切っていた。
「あは! あははは!!」
まるで別人みたいだ。
「ねぇっ、ねぇっ!! お母さんと、したときより、気持ち良い…!? 気持ち良いよね!?」
声を弾ませてそう言う菫は幼い頃に戻ったみたいに無邪気に笑う。少し怖いと思った。すると腰が浮く。深く繋がった状態で、脚を菫の肩に乗せられた。
「ぁっ、え……?」
「…どう?お父さん」
菫の舌が私の脚の内側をじゅるりとなぞる。言い淀んでいれば、菫はふはっと笑う。
「ああ、死んだ人間のことなんかどうでもいいか。ごめんね。僕、嫉妬深い旦那なんだ」
「許してくれる?僕の可愛い奥さん」と彼は腰を動かし始めた。
腰を浮かせた状態で、熱い塊が最奥に沈み込む。
「ぁああッ……!」
その勢いで、ぐちゅんっと結合部から体液が激しく飛び散る。深い部分を何度も突かれて「ひいっ」と掠れた叫び声をあげた。
「ひっ、ぅ、っんぁ、んっ」
「お父さん愛してるよ。僕を選んでくれてありがとう」
前髪を梳かれて額に唇を落とされる。恋人に向けるような優しい声色だが、腰の動きは容赦なかった。
ぐちゅんぐちゅんと激しい音が響き渡る。
「すっ、みれぇっ、もっとぉ、ゆっくり、してぇっ」
「ふふふ」
何を笑っているのだ、と少し睨んだ。しかしそれは逆効果だったようで、挿入を繰り返す肉棒はドクドクと脈打ち、太さを増した。
「一旦っ、ぬいっ…て…っ、こわれてしまうっ」
「壊れなよ。壊れたお父さん見たいなあ」
甘ったるい声だ。愛おしげに私を見つめてそう言った。
私の首に手を回して、ぎゅうっと密着する菫。腰の動きがさらに速くなる。本当に壊れてしまうのではないか。それほどまでに結合部が擦れて熱い。
涙が溢れた。
「んあっぁ、ああっぁあっ」
この体勢は嫌だ。逃げられない。密着されているから身動きが取れないのだ。ひたすらに快楽が襲ってくる。
「あついっ、ぁあ、あついっ」
肉壁が収縮する。孔はきゅっと締まった。すると菫は「あぁっ…」と艶かしい声を落とす。
「…ぁあっ、お父さん、達しそう?」
「ぅんっ、うんっ、イく、イぐっ――」
唾を飛ばしながら、叫んだときだ。
「そう。じゃあ一旦休憩」
ピタッと腰の動きが止まった。
「は…ぇ…?」と朧げな視界の中、情け無い声が漏れた。何が起こったのか理解できなかった。絶頂はもうすぐだ。あと幾らか擦ってくれたら達していただろう。寸前で止められた。「ぁ…え…え…?」とだらしなく涎を溢して首を傾げる。
「約束して欲しいことがあるんだ」
「…ぇ……?」
菫はベッドの横にあるテーブルから携帯を手に取り、軽く操作してから、携帯のレンズを私に向けた。
「二度と…僕から離れるような提案しないで。さっきの、僕、すごく傷付いたんだよ。すごくね」
「すみれ……」
「録画するから。誓って。無かったことになんかさせないよ」
一瞬何のことだと思った。しかし直ぐに理解した。菫が傷付いた、というのは先程の引っ越しの件だろう。やはり菫は怒っていたのだ。別々に暮らそうと提案したことを。
「……す、すまな…」
「謝罪は要らない。『僕から離れない』って誓って」
「……あ、ああ……誓うよ…」
挿入されたまま何を誓わされているのだろうか。誓うも何も、私たちは親子だ。菫が一緒に居たいと希望するのならば一緒に暮らす。それが私の義務だ。頷けば、菫はホッとしたように顔を綻ばせて、携帯をテーブルに戻した。
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