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一章
4c
しおりを挟む《恋人型アンドロイド 特徴》
《恋人型アンドロイド キス》
《恋人型アンドロイド 強姦》
深夜、布団の中で、手のひらにおさまる光を見つめた。文字盤を叩きながら、検索履歴を増やしていく。思いつく限りのワードを打ち込んで、はぁ…と溜息を吐いた。
俺は今日の出来事を思い返していた。
「普通、恋人型とはいえ、あそこまでするだろうか……」
布団をそっと持ち上げて、目元だけ覗かせる。暗闇の中、部屋の隅で体育座りしている美人。影が薄っすらと見える。ナオだ。目を閉じている。手首はボロボロのままだ。人工皮膚は再生が早いと聞くが、大丈夫だろうか。
「......」
現在、ナオは充電中だ。
手の中におさまる携帯にデフォルメされたナオの気配はない。充電中のアンドロイドは負荷軽減の為、一定の機能を停止するようだ。“分身機能”もまた停止していた。
アンドロイド製造社のホームページを見つめる。ナオの手首が修復可能か調べる為に開いていたが、【よくあるご質問】という項目に目が留まった。なんとなく、検索バーに《自己破壊》と打ち込む。
すると3件の回答がヒットした。
「…ウイルス……?」
その中の1件が“ウイルスとの関連性”について言及していた。
ハッとして口に手を当てた。
近年流行しているアンドロイドウイルス。主な事例は所有主の命令を無視するというものだ。まさかナオは感染している?だからあんな妙な言動を………?
そこまで思考を巡らせて、どくどくと冷や汗をかいた。
アンドロイドウイルスの最悪の事例は、
―…人を殺す。
「…ええ、と…最寄りの研究所は…南町。近いな。…ああ、点検予約はWEBからできるのか…」
気が付けばタタタッと指を滑らせていた。そのまま画面上に表示される日程を確認し、[確定]を押した。
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